英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『軍師官兵衛』 第40話「小田原の落日」

2014-10-07 20:51:26 | ドラマ・映画
【ストーリー】
 秀吉(竹中直人)待望の実子・鶴松を産んだ淀(二階堂ふみ)の権勢は、正室のおね(黒木瞳)をしのぐまでに高まっていく。三成(田中圭)は淀と結託し、自らの権力を確固たるものにしようと謀る。
 そんな中、天下統一を阻む最後の大敵、小田原の北条攻めが始まるが、官兵衛(岡田准一)と三成は、家康をどこまで信用するかで激しく対立する。
 包囲が長引く中、官兵衛は単身、城に乗り込み戦なき世を実現するため降伏するよう北条氏政(伊吹吾郎)を説き伏せる。しかし、秀吉は所領安堵の約束を破り、氏政に切腹を命じる。


 今話は「官兵衛対三成」がメイン、「北の政所(おね)対淀(茶々)」サブテーマ。(以前からそうであったが、今回はさらにそれが顕著になった)
 両方とも秀吉を引っ張り合い、それに利休が絡む図式。
 小田原城攻略は、ストーリー展開の材料で“添え物”的扱いだった。

官兵衛三成
★第1ラウンド……秀吉の駿府城入城
 「北条と縁のある家康が、秀吉謀殺を企む」という疑い(噂)から、
三成
主張「危険を回避して駿府城を素通りすべき」
根拠「城を改修したのは、戦に備えてのことである」
官兵衛
主張「噂に振り回されて義弟の城を素通りしたのでは、器が小さいと世間の笑いものになってしまう」
根拠「城だけではなく橋や街道も補修している」

 あらかじめ、官兵衛は北条討伐の際に、秀吉の駿府城入城を予見し、城の修繕を助言している。
 家康も同意し、意を汲んだ井伊直政が大軍の通行に支障ないよう街道や橋の整備の手配をした。

秀吉は官兵衛の意見を採用

 わからないのは、官兵衛と家康の会話を三成が目撃したシーンを入れたこと。
 官兵衛や家康が二心(ふたごころ)を持っていたのなら、人目を避けたはず。
 三成が会話の内容を聞き取れたかは不明だが、謀反話を廊下ですると考えるほど三成も不出来者ではないであろう。
 三成に会話を目撃させずに、城の改修という事実で三成が疑いを持ったことにした方がスムーズに思える。

 目撃シーンに意味を持たせるとしたら、城などの補修をしたことを無駄にさせる“官兵衛や家康への嫌がらせ”と解釈すべきか

☆官兵衛のテクニック
「明日は駿府を素通りするのがよろし…」という三成の言葉にかぶせて、これを否定。
 三成に十分な弁舌をさせず、秀吉や三成の同意者に同意の間を与えない効果がある。(人は発言(同意)を取り消し難い)


★第2ラウンド……北条攻略
 兵糧の蓄えも十分で難攻不落の小田原城、大群を以てしても長期戦となった。
 茶会にて、官兵衛「周囲の城を落として小田原城を孤立させる」策を進言し、茶器を突きつけるように三成の渡し、飲むよう勧める。
 秀吉、三成に命を下す。
三成、忍城攻略失敗(『のぼうの城』のエピソードは省略されてしまった)
官兵衛、「石垣山一夜城」で動揺する北条方に、内偵も機能し北条の内情を暴露するな豊臣の余裕を見せつけた上、「北条に2か国の所領安堵」を保証し説得、降伏を迫り、開城を果たす


★大逆転……北条成敗
 所領安堵を反故にし家康に与え、氏政切腹の命を下す秀吉
・最後まで秀吉に抗った北条を許せない、生かせば今後の憂いとなる(建前か)
・家康を関東に追いやる
・官兵衛のあいさつ(酒、肴)の返礼として弾薬を贈りつけたが、送り先が秀吉でなく官兵衛だったのが面白くない

 またしても約束を反故にした秀吉に、官兵衛もっと怒れよ!
 「こう度々反故にされては、軍師などやってられねえよ!」と啖呵を切ればよかったのに……と思っていたら、次回の予告でそのような啖呵を切っていた。


不可解な三成の心情
「官兵衛対三成」の図式だが、三成の心情がよく分からない
 官兵衛は天下泰平の為(以前は秀吉の為という動機もあったが…)で、三成はそれの障害となっていた。

 では、三成は何のために、あれこれ余計なことをするのか?
 私欲? 出世欲(権力)? ……秀吉を操って自己の欲望を叶えるという図もあり得るが、おそらく、秀吉の為であろう。
 官兵衛は天下泰平の為には、秀吉が天下人となるのが良いと判断した。これに対し、三成は秀吉に憧れ、天下人になって欲しいと純粋に思ったのだろう。秀吉大好きの三成だが、智謀輝く官兵衛に自分の存在が霞んでしまう。そして、官兵衛の対抗心、嫉妬心が生まれ、官兵衛のすることすべてに反対してしまう。
 手段、目的が違えども、価値観や正義が同じであれば、両者に溝は生まれなかったが、一気に天下人になったこと、茶々の存在が、秀吉を変え、三成も歪んでしまった。


 ただ、このドラマで不満なのは、三成のその辺りの心情が描かれておらず、単に頭でっかちの嫌な奴としか思えないこと。
 さらに、なぜ秀吉が三成を信頼し重用するのかも描かれていないのも残念である。


北の政所(おね)淀(茶々)
★勝ち誇る淀
 淀が鶴松を生んだことで権勢は北の政所を凌ぐほどになり、居住も大阪城に移った。そして、北の政所は、追い出されるように聚楽第へ。
 この北の政所の処遇の目的は、人質(各大名の妻)の取りまとめを担ってもらうためでもあったが、居住の逆転が正室と側室の立場の逆転を思わせる。

★利休の助け舟
 長期にわたる小田原攻めの慰安として、「淀を呼び寄せては?」と利休が進言。
 北の政所は「豊臣の世継ぎを育てる」という正室の立場を取り戻した。

★三者の心情
北の政所……豊臣家が安泰が第一。世継ぎを育てられて嬉しい
淀……………秀吉の愛情や豊臣家の安泰などはどうでもよく、秀吉を操り豊臣家を支配できればよい。豊臣家が滅びても構わない、本望かも。
 鶴松を取り上げられ怒り、「おね様は私を憎んでおられます。鶴松のこととて可愛くなど思っておられますまい」と秀吉に文句を言う。
秀吉……茶々や鶴松にメロメロだが、茶々の言葉に「茶々、おねのことをとやかく言うことは許さん」と真顔で諌める。


第一回の見せ場として、今回の「官兵衛、単身で小田原城に乗り込む」シーンが用いられていたが、今回の攻略が足早過ぎて、官兵衛の「生きられよっ!」という叫びも重みが感じられなかった。
 城から官兵衛に矢を射かけたが、最初の一本で充分。あれだけ多数の矢を射かけては、真実味に欠ける。それとも、北条の射手は下手なのか?

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2 コメント

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岡田くんが・・・・ (こてくん)
2014-10-10 19:41:22
こんばんはっ。


>第一回の見せ場

当時、線が細そうだなぁ~~~~と
思われていた岡田くんが、
40回もなると、あんなにも貫禄がつくとは・・・・

正直予想外で、第一回の映像
撮っておいて良かったなぁ~~~
を感じさせる回でした。

良かったです。

一方・・・・

伊吹吾郎さん(北条氏政さん)

父・氏康さんの武田・上杉を
退けた篭城戦を誇っていますが、

その篭城戦は、
自分が主としてやった篭城戦でないのが
あまりにも痛々しくて
残念で、今回、戦いらしい戦いも
ドラマでは見せられませんでした。

とほほっ。


でも、ドラマ的には楽かも(笑)

5万もいたら関東平野を焦土化させる
戦いも出来たろうに。
いや、それでは、農民が悲劇だろうなぁ~~~~

と思いながら見ていた次第です。

ではではっ。

PS・それにしても、三成さん。
なんで、あんなに重用されているのでしょう(笑)

視聴者の補正? ()
2014-10-11 16:19:50
こてくん、感想ありがとうございます。

>40回もなると、あんなにも貫禄がつくとは・・・・

>正直予想外で、第一回の映像
>撮っておいて良かったなぁ~~~

 確かに重みを感じさせますね。
 今回のシーンですが、初回のモノだったのでしょうか?
 私の記憶では同じように思います。今話の「小田原の落日」の中で、このシーンだけ先に撮ったのでしょうか?
 だとすると、やはり岡田君はすごいですね。それとも、視聴者の方が視聴の積み重ねで、勝手に補正したのでしょうか?

 伊吹さんの氏政は、「通りすがりの斬られ役」でした。
 役回りだけでなく、伊吹さんの演技も「空威張りする実力のない田舎大名」にしか思えませんでした。
 脚本がそうなのか、伊吹さんの演技力なのか?それとも、あまりの扱いに伊吹さんが投げやりになってしまったのでしょうか?

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