英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2105夏ドラマ雑感 その3 ~小手先の技法が邪魔~

2015-08-09 20:50:55 | ドラマ・映画
 ドラマに限らず、視聴を継続させる小細工が目立つ21世紀のテレビ。
 スポーツ中継だと、思い浮かぶのが世界陸上の「この後すぐ」というセリフ。「“この後すぐ”が実は3時間後だった」ということが連日続いた。(さすがに、その後の大会では、そこまで露骨なことはなくなった)
 現在開催中の世界水泳では、日本の有望選手のプロモーション映像を流した後、「次の決勝(レース)まで□□分△△秒」のカウントダウンが表示される。で、そのカウントダウンがゼロになって始まったのは別の決勝レースだったということが何度も。確かに、誤りではないのだが……
 私は日本選手に対する思い入れはそれほど強くなく、録画で観ることがほとんどなので、反発心は少ないが、生で観ている人はどうなのだろう?

 バラエティでは、視聴の興味をMAXにしておいてCM挿入。視聴継続の常套手段で、仕方がないが、その時の出演者や会場の観客のリアクションだけ見せてCMを挿入されるのは腹立たしい。
 もちろん、収録したモノを放映するのであるから、当事者が視聴者より先にネタを知るのは当たり前なのだが、リアクションだけを見せられるのは、≪あんたたちだけ、先に合点するなよ≫と思ってしまう。

 このように視聴を離さない技法は、ある程度は仕方がないけれど、ドラマにおけるそういった小細工は邪魔である。
 例えば、『相棒』においては、CM挿入直前にスポンサー名を表示する時、今後の展開されるシーンを流す。核心には触れないシーンであるが、裏を返せば、そのシーンは核心でないと想像できるし、その如何に拘わらず、今後の展開が分かってしまうのは、迷惑この上ない。
 こういった傾向はドラマ全般で強くなってきている。今季ドラマでは、次の2シーンは目に余った

『探偵の探偵』 第3話
 この回の冒頭、玲奈(北川景子)と琴葉(川口春奈)が倉庫か工場のようなところで手足を縛られ暴行を受ける絶体絶命のようなシーンから始まった。
 サスペンスドラマでは時折使用される“時系列を前後させる”技法で、この後、時間をさかのぼり、監察医・矢吹(高岡早紀)に情報を得て、玲奈と琴葉が犯人の隠れ家に向かうストーリーが見せられる。
 高岡早紀演じる矢吹が怪しい雰囲気を漂わせていたので、クレームをつけるほどのネタバレではないのかもしれない。しかし、冒頭で視聴を引きつけるためだけの時系列前後のテクニックの使用が、ドラマのハラハラドキドキ感を低下させてしまったのは残念である。

『花咲舞が黙ってない』 第3話
 六本木支店で300万円の現金が紛失する事件が発生し、舞(杏)と相馬(上川隆也)がその対処に向かう。支店中をくまなく調べたが現金は見つからず、行員たちの私物検査、ロッカーの検査までするが、それでも300万円は出てこない。
 舞と相馬は、もう一度防犯カメラの映像を調べることに。すると、テラーの恭子(内山理名)の動きに、不審な点がある事に気づく…。

 なかなか巧妙な手口で、『名探偵コナン』のような捜査・推理モノのような展開だった。
 しかし、予告CMで「恭子が犯人で、動機が恋人の為」ということが明かされていて、窃盗(着服)の技法の解明の見所はあったものの、誰が犯人?どうして犯行を?などのドキドキ感はなかった。
 配役で恭子(内山理名が怪しいと考えられるが、営業課長・神田(正名僕蔵)も風体的には充分、犯人の資質はある(正名さん、ごめんなさい)。

 このように、純粋にドラマを楽しみたいのに、視聴率の為にドラマの面白みを半減させるのは、残念で堪らない。


今期ドラマの雑感 「その2」以降)

『花咲舞が黙ってない』
 「舞が悪い奴らを糾弾する(懲らしめる)」爽快感を出すために、ストーリーに無理を感じてしまうことがある。爽快感を重視するならOKだろう。
 第5話(相馬の親友・青井(石黒賢)が経営する会社の業績を偽り、5億円の融資をだまし取ろうとした話)が、好きだ。舞ではなく、相馬が主体でストーリーに強引さ(悪役の無理な非道ぶり)がない為かもしれない。まあ、石黒賢や財前直美がいい味を出していたこともある。
 ただ、五反田支店の松木(成宮寛貴)くん、5億円も融資するのに、決算書のコピーを容認してしまうは駄目だろう。

『探偵の探偵』
 都合のよい展開、強引なこじつけが多すぎる。
 それに、主人公が強くないと爽快感がないが、体術、探偵術、知識、推理力(←かなり強引)、機転力、精神力など秀でていて、玲奈が無敵過ぎる。


 窪塚刑事(三浦貴大)が、玲奈を「彼女は殺人まで犯す人間ではない」と庇うが、これまで玲奈は、さんざん敵を半殺しにしてきたんだけど。
 現に、刑事たちの目の前で、監察医を鉄パイプで殴り飛ばしている。
 それでも、「警察は迂闊に自分に手を出せないはず」と断言。警察の面子や事情もあるかもしれないが、暴行(殺人未遂)を見逃すのだろうか?
 警察も無能すぎる。ターゲット(檜池)のいる病室をがら空きにするとは…。玲奈に撒かれたとしても、目的地は病室なのだから。
 阿比留(ユースケ・サンタマリア)も策を弄する割には抜けているし。

 無駄なアクションシーンやハラハラシーン(GPS取り付けシーンなど)が多すぎ。
 原作に問題があるのか、脚本に問題があるのか不明だが、面白く見せようとするが、まったく面白くなっておらず、労力の方向違いや空回りを強く感じるドラマだ。


『リスクの神様』
 非常に面白いとは言えないが、それなりに面白い。


『ホテルコンシェルジュ』
 ≪私には絶対にコンシェルジュは出来ない≫と感じさせるドラマである。
 スキッパー(無銭宿泊者)はもちろん、コンシェルジュへの誤解によるストーカー行為、歌舞伎役者のボンボンもちょっといいところを見せたが、「プールを貸し切れ」「食事メニューを土壇場で変更」などわがまま言い放題。その時登場した祖母と孫もかなり我儘。誕生日のサプライズイベント、事情があるにしても準備をした孫や従業員の気持ちを理解してやれよ。
 「特定のお客様だけ特別扱いしてはいけない」と言っておきながら、特別扱いのオンパレード。

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4 コメント

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探偵の (koumama)
2015-08-11 10:24:12
探偵は離脱しました
どうも、サンタマリアが邪魔な気がします~ファンの方には申し訳ないけどね
今回はどうしても見たいというのが少ないですね
美女と男子これは最終回まで楽しみに見ます♪
阿比留(ユースケ・サンタマリア)は ()
2015-08-11 19:53:13
koumamaさん、こんばんは。

>サンタマリアが邪魔な気がします

 阿比留は前々回で退場しましたが、確かに彼の存在の設定に無理がありましたし、彼のキャラや行動なども変でした。

 『美女と男子』は前回は納得いきませんでしたが、面白いです。20回は長いと思っていましたが、今夜を含めても、あと3回。いよいよクライマックスですね。
たんていのたんてい (かみしろ)
2015-08-14 22:07:15
四話を見ました。
原作と比べると、暴力はそれなりに抑えられています。主人公が全裸にされるようなことはないでしょう。
原作ですが、ハードボイルドの探偵小説ではなく、四分の三ボイルド(勿論造語)くらいの感じです。
ハードボイルドなら主人公の人格は成熟して安定し(とはいえ平和な世界の住人から見れば破綻している)、暴力によって主人公の協力者の何人かは絶命し、ヒロインが一度や二度レイプされることも珍しくないですが、そこまではいかない。
壮絶なネタバレをすると、現在原作四巻まで出ていますが、三巻までは「妹の復讐と贖罪」の話。主人公があまりに自分を粗末にして破滅に向かうような行動をするのは多分自分に対する罰でしょう。そうすることで完全に自暴自棄になる手前で踏みとどまっている。
三巻で妹の復讐を果たし、四巻でさてこれからどうしようか、前向きに生きることを考えなきゃ、って感じで、やっと主人公が事件を半ば克服したのですが、それによってこの話がハードボイルドになるのか半熟卵になるのか萌え方向に突き進んだりするのか。
原作そのものが、この先どういう路線でいくのか難しいなというものを、テレビドラマの形式に焼き直すというのは、時間がかけられれば面白そうですが、そうでないなら「これじゃない」という違和感を明確に感じつつも適当にやっつけることになると思います、脚本家は。
原作はともかく ()
2015-08-14 22:55:27
かみしろさん、こんばんは。

 なるほど、原作は“それなりに”面白そうですね(ごめんなさい、上から目線で)。
 ドラマは……ダメですね。
 一番の問題は、主人公だけでなく登場人物の行動が不可解(整合性、一貫性に疑問)だということでしょうか?これでは感情移入ができません。

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