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ABL遺伝子、1と2

2010年07月27日 | 医療 血液
ABL遺伝子は、マウスのAbelsonマウス白血病ウイルスと相同性を有する細胞内遺伝子として同定され、命名された遺伝子です。
Abelsonマウス白血病ウイルスを、特定の他のウイルス(ヘルパーウイルス)と一緒にマウスに感染させると、マウスは3~4週間で白血病になります。
人の1番染色体と9番染色体上に、このウイルスの遺伝子構造と非常によく似た(相同)遺伝子配列がみつかっています。
初めに、9番染色体の相同部分が、慢性骨髄性白血病と関連して同定され、ABLと命名されました。
1986年には、1番染色体上の相同部分が ARG(Abelson-Related Gene)(ABL-Related Gene)として同定されています。
その後、ABLとARGが構造上、機能上、細胞内動態等、極めて類似していることが明らかとなり、それぞれABL1、ABL2と改めて命名されました。

ABL1遺伝子は、BCR遺伝子と融合遺伝子を形成し慢性骨髄性白血病と密接に関連しており
ABL2遺伝子は、ETV6遺伝子と融合遺伝子を形成して急性白血病で見つかっています。

慢性骨髄性白血病細胞は BCR-ABL1融合遺伝子が疾患のマーカーとなっており、治療の標的となっています。
以前は、BCR-ABL遺伝子、と表現していましたが、近年は、BCR-ABL1遺伝子、と言うようになりました。

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