アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

ABBA 40/40

2017-06-23 22:49:31 | 音楽
『ABBA 40/40』 ABBA   ☆☆☆☆☆  アバが好きだということは前に書いたが、しばらく前に日本だけで発売されているべスト盤を買った。アバの主要な曲をほぼ全部網羅した便利なベスト盤で、全40曲収録。特に日本人にとってしっくりくる選曲になっているところがミソだ。ジャケットもいいですぞ。フレッシュなアグネタと大人っぽいフリーダのミニスカ姿。これでぐっと来なかったらアバ・ファンじゃありませ . . . 本文を読む
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めくらやなぎと眠る女(その2)

2017-06-20 23:41:38 | 
(前回からの続き)  さて、ここらで印象に残った作品についてコメントしたい。まずは「我らの時代のフォークロア」。友だちを紹介する文章で始まり、更にその友だちから聞いた話を紹介するという入り組んだ枠組みの中の、煎じ詰めればある男女の哀しい物語である。ラブストーリーのような甘さも滲ませつつ、その中に不条理な人生の一刺しを織り交ぜるのがこの著者ならではのスタイル。しかも、その一刺しは小説らしい具体的細 . . . 本文を読む
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めくらやなぎと眠る女(その1)

2017-06-17 22:48:42 | 
『めくらやなぎと眠る女』 村上春樹   ☆☆☆☆  『象の消滅』に続く、アメリカで出版された村上春樹短篇集の逆輸入シリーズ第二弾。『象の消滅』には星五個つけたのにこれは四つなのは、実際にクオリティの差なのか、村上春樹の短篇小説に対する私の見る目が少し冷めたせいなのかは、五年以上も間が空いてしまったのでなんとも言えない。もう一回『象の消滅』を読み返してみればいいのだが、本書に続けて『回転木馬のデッ . . . 本文を読む
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タクシードライバー

2017-06-14 23:25:50 | 映画
『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ監督   ☆☆☆☆☆  言わずと知れた、スコセッシ監督の最高傑作にして映画史上に残る金字塔。第29回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品。ニューヨークを舞台にした映画は数多く、名作もあまたあるが、ニューヨークが舞台でなければ絶対に成立しない映画があるとすれば、この『タクシードライバー』をおいて他にない。少なくともその筆頭である。個人的には、ニューヨーク . . . 本文を読む
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そこのみにて光輝く

2017-06-11 20:53:32 | 映画
『そこのみにて光輝く』 呉美保監督   ☆☆☆  評判が良い映画のようだったので日本版ブルーレイを購入して鑑賞。が、個人的にはさほどの感動はなかった。というか、駄作とは言わないがピンと来なかった。  採掘場の事故で人を死なせた達夫(綾野剛)は仕事を辞め、パチンコと散歩の無気力な日々を送っている。ある時、仮釈放中の拓児(菅田将暉)と姉の千夏(池脇千鶴)と知り合い、後日、千夏が体を売っていることを . . . 本文を読む
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十三番目の人格―ISOLA

2017-06-08 21:20:11 | 
『十三番目の人格―ISOLA』 貴志祐介   ☆☆☆  貴志祐介が『黒い家』の前に書いたホラー小説。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。この翌年に、著者は『黒い家』で第四回日本ホラー小説大賞を受賞することになる。なかなか新作を出してくれないので読んでみたが、やはり『黒い家』あたりと比べると色々と粗い。話の展開も作為が目立つし、頑張ってストーリーを作っているなという感じがする。個々のエピソードが組 . . . 本文を読む
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2017-06-05 21:15:24 | 映画
『穴』 市川崑監督   ☆☆☆  日本版DVDで鑑賞。1957年のモノクロ映画。市川崑監督は三島由紀夫や伊丹十三、トリュフォーなど心酔者が多い日本映画の巨匠だが、『鍵』のような実験的映画を撮ったり『犬神家の一族』のようなエンタメを撮ったり『細雪』のような文芸作品を撮ったりと、いやに作風が幅広く、そのせいでどんな監督なのか今一つ私の中でイメージが定まらない。個人的には『鍵』と『女経』中の一篇「物を . . . 本文を読む
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世界怪奇実話(その2)

2017-06-02 23:06:49 | 
(前回からの続き。写真はマタ・ハリ)  さて、それからシリアル・キラー系の話が三つある。「都会の類人猿」「浴槽の花嫁」「街を陰る死翼」の三つで、読み終わって思い返すと似た話なので頭の中でごっちゃになってしまいそうだが、やはりそれぞれに特色がある。「都会の類人猿」は貸間を探しているふりをして下見に上がり込み、女主人をレイプして殺す連続殺人犯で、年配の女性を好むという変態性と、頻繁に服を着替えるとい . . . 本文を読む
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世界怪奇実話(その1)

2017-05-30 23:10:02 | 
『世界怪奇実話』 牧逸馬   ☆☆☆☆☆  牧逸馬とは長谷川海太郎のペンネームの一つで、この人は他に林不忘、谷譲次というペンネームも持っていた。林不忘は名高い「丹下左膳」シリーズの作家であり、活躍した時代は1920年代から30年代と古い。  そういうわけで、本書も文体やボキャブラリーはかなり古めかしいが、内容は文句なく面白い。タイトル通り世界中の毛色の変わった事件や歴史的事実を取り上げて読み物 . . . 本文を読む
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男はつらいよ 幸福の青い鳥

2017-05-27 20:50:15 | 映画
『男はつらいよ 幸福の青い鳥』 山田洋次監督   ☆☆★  DVDで再見。シリーズ第37作。  マドンナ役の志穂美悦子は、これが最後の映画出演作品となった。恋人役で長渕剛が出演していて、この二人が実生活でもゴールインしたのは皆さんご存知の通り。ところでこのエピソードが他の「男はつらいよ」シリーズ作とちょっと変わっているのは、志穂美悦子が演じるキャラクター・島崎美保は本作が初登場ではなく、以前の . . . 本文を読む
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呪われた腕

2017-05-23 22:17:54 | 
『呪われた腕: ハーディ傑作選』 トマス・ハーディ   ☆☆☆★  これは「村上柴田翻訳堂」シリーズの一冊だけれども、以前出ていた「ハーディ短編集」を復刊・改題したもので、翻訳は村上春樹でも柴田元幸でもない。単に、この二人が対談する形式の「特別解説」が巻末に収録されているだけである。ちょっとずるいと思う。買おうと思っている人は注意して下さい。実際の翻訳者は、河野一郎という方です。  ハーディと . . . 本文を読む
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夜の蝶

2017-05-20 19:50:47 | 映画
『夜の蝶』 吉村公三郎監督   ☆☆☆☆  日本版DVDを購入して鑑賞。面白い。夜の銀座の世界を描く映画と言えば成瀬監督の『女が階段を上る時』を思い出すが、これもまた違うテイストで愉しめる。  物語は、銀座の有名店フランソワのマダム、マリ(京マチ子)と、新たに京都から進出してきた店OKIKUのママ、おきく(山本富士子)との、女の意地と人生をかけた熾烈な争いがメインとなる。なぜ人生がかかっている . . . 本文を読む
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田園交響楽

2017-05-17 23:01:57 | 
『田園交響楽』 ジッド   ☆☆☆☆  ジッドの清澄なる世界に浸りたくなって、久しぶりに再読。確か前に読んだのは中学か高校の頃である。薄っぺらな新潮文庫の本を買ったのだが、とても薄くてあっという間に読み終えてしまった。ほとんど長めの短篇といってもいいぐらいのボリュームだが、物語は数年にわたって人間関係の変化を描いていくもので、やはり物語としての厚みがあり、次第に盛り上がっていくドラマの緩急を味わ . . . 本文を読む
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満月の夜

2017-05-14 11:08:52 | 映画
『満月の夜』 エリック・ロメール監督   ☆☆☆☆  英語版ブルーレイで鑑賞。「喜劇と格言劇集」の第四作にあたる本作、冒頭に「二人の妻をもつ者はこころをなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」という格言らしきものが表示される(これはロメール自身がでっち上げた創作という噂があるが、確かなことは知らない)。  パーティー好きの娘ルイーズと社交嫌いの建築家レミは、レミの仕事の都合により郊外の家で同棲 . . . 本文を読む
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エンロン 内部告発者(その2)

2017-05-11 22:50:37 | 
(前回からの続き)  ところで、なぜ私はこうまでエンロン事件に興味を掻き立てられるのだろうか? それは結局のところ、これほどまでに頭がいい人間たちが集まって、なぜこれほどまでに愚かなことをしでかしてしまうのか、という点に尽きるように思う。ケネス・レイやジェフ・スキリング、アンディ・ファストウ、その他エンロンのビジネスを担当していた役員たち、更にはアーサー・アンダーセンや粉飾に関与した銀行の人々な . . . 本文を読む
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