アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

ゴジラの逆襲

2016-11-25 20:41:07 | 映画
『ゴジラの逆襲』 小田基義監督   ☆☆★

 日本版DVDを購入して鑑賞。初鑑賞である。初期のゴジラシリーズでこれだけ観ていなかった。オリジナルの『ゴジラ』とこの『ゴジラの逆襲』だけがモノクロである。観ていなかったのはもちろん評判が悪いせいだ。こういうのは時間がたつと評価基準が変わって見直されたりすることもあるものだが、これはまあ、今回観ても大して出来ではないなという感じだ。ただし、初期ゴジラの暗い雰囲気はまだ残っているし、第一作の災害映画のコンセプトが維持されているところは悪くない。凡作ではあるが、駄作というほどではないと思う。

 『ゴジラ』がヒットしたので急遽作られた二作目のはずだが、監督は本多監督でなく音楽も伊福部さんではない。従って色々と新たな趣向が目につく。まず第一は、当然だがアンギラスの登場。怪獣同志の対決を売り物とする映画になった。後の「ゴジラ対XXX」のフォーマットが生み出されたわけだ。人類をおびやかす核の恐怖が形となった不気味な存在としてのゴジラ、というホラーなテイストはなくなり、でかくて強い怪獣たちがぶつかり合ってすげえ迫力! と男の子が興奮する映画へと方向転換した。

 ただしまだそれに徹底したわけでなく中途半端で、だから前半は大阪におけるアンギラスとの対決篇、後半は北海道におけるゴジラ単独篇、という構成になっている。アンギラスはゴジラにやられ前半で退場するのである。

 怪獣同志の対決を映像化するのは初めてということで試行錯誤したのだろう、ゴジラとアンギラスの対決場面はすべて早回し処理がなされている。だから動きがチョコマカしていて、今の目で見ると重厚感や迫力に欠ける気がするが、この時はおそらく動きがのろいよりスピード感があった方がいいと考えたのだろう。まあ確かに、動物同志の闘いという感じは多少出ているかも知れない。しかしそれよりも目をひくのは、ゴジラとアンギラスが最終決戦をする場面での大阪城のミニチュアの精巧さである。当然壊される運命にあるわけだが、この大阪城崩壊はなかなかの見ものだ。

 後半のゴジラ単独篇は雪山にいるゴジラを戦闘機が爆撃するという、人間対ゴジラの闘いだが、街中でなく雪山ということでビジュアル的には面白味に欠ける。戦闘機の攻撃も今の目で見ると単調、かつアングルや見せ方も芸がない、従って躍動感が足りない。ゴジラも基本的にじっとしているし。それに、最後はゴジラを雪に埋めただけである。あんなんで本当にいいのか。またすぐ出てくるとは思わないのか。

 さて、この頃の怪獣映画は人間ドラマも絡めてある。オリジナルの『ゴジラ』は芹沢博士の殺戮兵器を生み出すことへの葛藤という高尚なものだったが、今回は主人公の友人である小林(千秋実)のささやかな恋愛と死、という人間ドラマになっている。人はいいがちょっととろい性格の小林がついに恋をし、何をプレゼントしたらいいかヒロイン(主人公の恋人である)に相談し、「何か考えておいてくれ!」と元気に言い残してゴジラ退治の戦闘機に乗り込み、そのまま帰らぬ人となってしまう。一種のお涙頂戴である。まあ悪くはないが、第一作の厳しさと比べると、かなり甘くなったと言わざるを得ない。

 災害映画のカラーが残っていると書いたが、たとえばダンスホールに緊急避難のアナウンスが流れて全員が慌てふためいて逃げ出すところや、ゴジラが大阪に上陸しないように照明弾で誘導するところなどはなかなか面白かった。土屋嘉男が戦闘機乗りとして後半登場することと、ほんのちょっとだけだが志村喬の登場も嬉しかった。この人が出てくるとさすがに画面が引き締まる。

 が、結果的に凡作になってしまった最大の原因は、前半と後半が分離してしまったこと、ゴジラ登場の意味づけがすっかり弱まって単なるモンスター退治の話になってしまったこと、にあると思われる。

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