平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ラウダテ・ドミヌム(ヴェスペレK339より)

2009-05-04 01:36:38 | 芸術
 カセットデッキが使えるようになり、少ないコレクションを聴き直しています。僕はテープを余すのがもったいない世代なので、余った所には小品を録音する癖があります。特に、今回紹介するモーツァルトのラウダテ・ドミヌムは珠玉の名曲中の名曲なので、あちこちのテープに収録されています。

 ラウダテ・ドミヌムはソプラノ独唱に合唱が加わった小品で、ヴェスペレK339という教会音楽の一部分です。僕がこの曲を知った当時では、大学の4年くらいでしたかね、声楽の女の子でもほとんど知らないという隠れた名曲でした。今ではエディット・マティス盤のほか、様々に見つけられますが。

 オーディオ評論家の長岡鉄男氏は、声楽の声は、あらゆる楽器を凌駕してダイナミックレンジ(音の強弱の幅)が広いと評していました。オーディオ機器にとって、声楽の声を再生するのは一番難しい事なのだそうです。神が授けた最高の楽器が人の声という事なのでしょうか。

 さて、ヴェスペレ(vesperae)とはカソリックの聖職者による晩課で、夕べの祈りと理解すればよいと思います。ですから、ヴェスペレは一般に証聖者の盛儀晩課と訳されています。この典礼に欠かせないモーツァルトの作品は二つありますが、今回取り上げるVesperae solennes de confessore K339ハ長調の第5曲目がラウダテ・ドミヌム(Laudate Dominum)なのです。

"Laudate dominum"

Laudate Dominum omnes gentes,
laudate eum omnes populi:
Quoniam confirmata est supernos misericordia ejus.
et veritas, veritas Dominum manet, manet in aeternum.

Gloria patri et filio et spiritui sancto,
sicut erat in principio
et nunc et semper et in saecula saeculorum.
Amen.

"ラウダテ・ドミヌム/詩編117"

全ての国よ、主を崇めよ。
全ての民よ、主を褒め讃えよ。
主の慈しみと真は
永久に私達を超えて力強い。

父と子と聖霊に栄光がありますように。
始まりがそうであったように、
そして今もそうであるように、
そして世代を超えていつもそうであるように。
アーメン!          (訳はこちらのサイトから)

 紹介したサイトではキリ・テ・カナワの独唱でしたが、僕は彼女は出自故に政治的に持ち上げられているように思えます。確かにそこそこの実力はあるのですが、評判ほど良いとは感じないのです。声が少し濁るというか、何を聴いても物足らなさが残ります。そこで、ラヘル・ハルニッシュのソプラノ独唱、クラウディオ・アバド指揮、スエーデン放送合唱団、ベルリンフィルハーモニーの盤を紹介します→こちら。これはカラヤン没後10周年メモリアルコンサートの一部なので、DVDも出ています→右クリックで新しいタブ

 ラヘル・ハルニッシュ(Rachel Harnisch)は名前からユダヤ系と推測されますが、ラヘルは『創世記』に登場するヨセフの母ラケルの現代ヘブライ語読みです。日本人の大半の祖先です。これが英語ではレイチェルになるのですが、レイチェルと言えばレイチェル・フラット(Rachael Flatt)。おや、エフライムの平のFlatに一字違いだぞ。フラグが立ったかな?それはともかくとして、ラヘル・ハルニッシュは古典的な顔立ちということもあり、来日している割には有名ではありませんね。写真を探すのに苦労しました→右クリック

     エフライム工房 平御幸
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4 コメント

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はるか昔 (柚子)
2009-05-04 09:51:49
平様おはようございます。家のLPを探しましたが、見つからなかったのですが、まったく違うところのCDの中にありました。演奏はすべてマイナーですが、清らかな演奏です。KV321と KV339の2曲の Vesperae solennes de Confessoreが入っったもので、KV321の方のLaudate Dominumもコロラトゥーラが美しいものですが、KV339の方は本当に美しいです。メゾも良いかなと思うので、大好きなマティスで聴いてみたいです。ソプラノPamela Heuvelmans、 Nicol Matt 指揮Kurfaalzisches Kammerorchester(fはウムラウトです)室内管弦楽でしょうか。会社はDDDとか?
しかし、はるか昔、モーツァルトよりずっとずっと前、修道士たちは一日の時間に従って何度も典礼に従ってお祈りをして、生活をしており、一般の人も鐘の音で祈りの時刻を知り、聖書の物語を劇で見たり、踊ったり宗教はとても素朴なものだったのですね。平様の古代史以来、普通の神社に詣でていた感覚で捉えるようになったので、西洋のものもまたなつかしく感じられます。
柚子さんマティス盤です (平御幸)
2009-05-04 15:54:30
柚子さんこんにちは。

マティス盤はこちらです。

http://www.geocities.jp/atelier_efraym/Mathis-01.wav

あいにく、マティス以外の演奏者は記載されていません。Webでも情報が無くて、以前に借りた図書館で調べるしかないようです。音質はドルビーが入っていますから少しボケています。

それからDDDというのは録音プロセスのことで、Pamela Heuvelmans盤はフィリップスで出したもので、これを小学館が全集にした『モーツァルト大全集(Briliant)宗教曲』があります。全部で50万円のはずなので、これを全部お持ちなら凄いですね。

ちなみに、DDDは録音段階からデジタルで、ダイレクト録音という意味だと思います。DDDのKV321と KV339が入った15枚組はヤフオクで9000円ですね、ヒェー!
マティスはすごいです (柚子)
2009-05-04 17:14:15
平様ありがとうございます
マティスは歌から来る力が全然違います。すばらしいですね。しばらく、これにはまってみます。CDは家にあるのは全集全部あるようですが、小学館のものではなく、輸入盤で、HMVかお茶の水のディスクユニオンのバーゲン品でとても安く買ったもののようです。家にはあまり高いものはないと思います。DDDはそういう意味でしたか。わかりました。でも、これほどマティス盤と演奏が違うとは!家のは実に敬謙なのです。歌も合奏も合唱も、美しいこと限りないです。しかしマティス盤の合唱も独唱もこちらの根本に直接訴えて来ますね。単なる祈りでも信仰告白でもない。これが芸術というものなのでしょうか。
連投をお許し下さい (柚子)
2009-05-04 17:38:27
二つの違いは、家のは祈る人や祈る場の風景が浮かんで来ます。時代の風が漂っていると言えるかも知れません。しかし、マティス盤は音楽のどこを取っても、絶対的なものを証ししているかのようです。私にとってはシュワルツコップよりアメリンクより好きなマティスだからかも知れませんが。

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