この映画のロケ地が千葉県の房総ということで、大変関心があった。どんなところなのかと。ちょうど、鋸南町では、水仙まつり(12/20~2/8)を開催していると言うので、水仙まつりを見るついでに、この映画の主なロケ地である鋸南町元名1番地にある喫茶「岬」を訪れてみたのである。もちろん、映画は見ている。
まず、一番驚いたのは、毎年のように館山等の房総に行く際に通っていた国道127号線(木更津~館山)沿いの明鐘岬にあったということである。なんのことはない、この映画で有名になる前から、このお店はずーと、あり続けていたのに、ね。
なるほど、昔は、このお店へ行く人は、このお店のがけ下にある岩場で釣りをする人しか行かなかったかもね。
第一、一般の人は、意識しないと、この国道から右折するのを忘れて通り過ぎてしまう。私もナビで、見当つけていたので、トンネル(?)の手前でやっと右折できたのだ。
右折してデコボコの道を車で入ること約100メートル(?)。やっと、車を止めるスペースが出会う。そこは、石がゴロゴロしているところなので、最近よく来ると言う観光バスなどは、一体どのように止めるのだろうか。
車を降りて、前方をみると白い建物。便所である。そして、奥には舞台となったお店が。
ここからが、問題である。というか、映画と言う世界の不思議さを感じさせるところなのです。改めて言うまでもなく、この映画はドキメンタリーではなく、フィクション。ここが、肝要なのだが、この映画は、知らないと、フィクションなのに、この映画に流れる全てが、この村(岬のこと)に存在するかのように思えてしまうのです。そう、悲しいかな私にはすべてがここに実在してるかのように思えてしまう。
このお店の近くに、毎朝船で、コーヒーを沸かすための水をくみに行く島はない。ロケをしたのは、館山の方。
クジラ祭りをロケしたのは、ここではなく、和田町で、ここには漁港はあるが、クジラを取る漁港ではないし、クジラ祭りもない。
昇太が結婚式を挙げたお花畑は、ここではなく、館山のお花畑。
タニさんを見送った電車(気動車)もここにはない。それは、大多喜の小湊鉄道の列車。ここはJR。
等々のように、この映画の主なロケ地の岬には、それらが全てまとめられているように思えるが、実は、房総各地のよいところをとりまとめたものである。つまり、このような村は実在しない、フィクションとして構成せれた舞台としての村なのだ。
当然、映画と実際のお店の中も違う。確かにカウンターはあり、カウンターから見る東京湾の景色はかわらない。でも、お店は映画のようには広くはない。中の配置も違う。ものすごく、ゴタゴタしている感じ。私は、それが良かったし、流れるジャズは良かった。懐かしかった。
そう、繰り返すが、すべてが、フィクションとしてこの映画は構成されているのだが、房総の良いところが取り上げられている。
だからか、毎日新聞企業人大学の第18回千葉イメージアップ大賞の表彰式が1月19日、千葉市美浜区のホテルで開かれ、イメージアップ大賞にこの映画「ふしぎな岬の物語」の成島出(いずる)監督が選ばれている。
まあ、映画についての感想は人それぞれ、あると思いますが、百聞は一見にしかず、房総を愛する人は、是非ともまず、映画を見て、それから喫茶「岬」に行かれてみてはいかがでしょうか。ふしぎな岬に巡り合えるかも。
以下に、この映画の概要を紹介します。
<ストーリー>
森沢明夫の小説「虹の岬の喫茶店」を映画化したヒューマンドラマ。原作でもモチーフとなっている喫茶店が実在する千葉県明鐘岬を中心にロケーション撮影を行い、岬の喫茶店を経営する女主人と、そこに集う人々の悲喜こもごもを描いたものです。
<スタッフ>
監督:成島出
企画:吉永小百合、成島出
原作:森沢明夫
脚本:加藤正人
<キャスト>
吉永小百合:柏木悦子役 (叔母)
阿部寛:柏木浩司 役 (甥)
竹内結子:竜崎みどり 役
笑福亭鶴瓶:タニさん 役
笹野高史:竜崎徳三郎 役
<作品データ>
製作年:2014年
製作国:日本
配給:東映
上映時間:117分
なお、最後に映画「ふしぎな岬の物語」は、第38回日本アカデミー賞(2015)では、以下の賞を獲得していますので、紹介します。(主なもの)
☆優秀作品賞(ふしぎな岬の物語)
☆優秀監督賞(成島出)
☆優秀脚本賞(加藤正人)
☆優秀主演男優賞(阿部寛)
☆優秀主演女優賞(吉永小百合)
☆優秀助演男優賞(笑福亭鶴瓶)
☆優秀助演女優賞(竹内結子)
なお、念のため、第38回モントリオール世界映画祭では、審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞しています。