エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

アメリカの2030年42%CO2削減の内訳とその問題点

2010-01-02 06:29:42 | Weblog
 COP15に臨む前に表明したオバマ政権のCO2削減目標は、2020年に05年比17%減、25年に30%減、30年に42%減、50年に83%減というものですが(こちらをご覧ください)、シリコンバレーにある民間の電力中央研究所(EPRI)は、CO2削減のの経済的・技術的可能性に関する分析(Prism/MERGE分析)の結果、2030年にCO2削減を達成する上で必要な技術目標を示しています。
 その技術目標は、a.電力負荷の増加を年0.47%に抑える、b.送配電ロスを25%低減する、c.135ギガワット(GW)の再生可能エネルギー発電を導入する、d.64GWの原子力発電所を新設する、e.20年以降はすべての新設の石炭火力発電と天然ガス複合発電から排出されるCO2の90%を回収する、f.25年までに新車の40%をプラグイン電気自動車にするなどです。
 その上で、これらのすべての施策を活用すれば、30年に05年比で41%のCO2排出削減が可能だと試算しています。
 2020年以降30年まで、かなりCCSによる削減に期待していることが特徴ですが、これは依然として石炭火力に依存していこうという考えがベースにあります。
 問題は、現在開発中のCCSがその時までに技術、コストの両面から実用段階に入っているかです(この点に関しては、別の機会に詳述します)。
 また、原子力発電に関しては、日本とは異なり高速増殖炉などではなく、現行の技術レベルの延長線にある第3世代プラスで対応しようとしているので、その点では現実性がありますが、アメリカにおける問題は、規模の小さいアメリカの電力会社がこのように大量の資金調達ができるかどうかです。DOEの債務保証に期待するとなれば、再生可能エネルギーとの競合が生じます。
 EPRIの技術目標には上記の問題があり、総じて、もっとアメリカは省エネを進め、電力需要の増加率の減少にとどまらず量の減少を行う必要があるというのが私の観察です。
 なお、EPRIの報告書は、今後の電力料金の上昇について、これらの措置のうち炭素回収・貯留(CCS)が行われなかったり、原子力発電所の新設が進まないなど施策が限定的だったりした場合は、07年比で3.1倍に上昇するが、すべての措置を講じる場合は、80%の上昇にとどまるとしています。

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