江別市総合計画(昭和53年から62年度)策定のための一つの基礎資料となった市民アンケート調査結果報告書があります。
調査対象は、市内全域からアトランダムに抽出した5,027人で、回答数は2,391人(回答率45.4%)でした。
興味のあるところは、今後とも現在のところに住み続けたいと思うか、の居住意思を問うたものですが、約7割が住み続けたいと答えています。
これを年代別にみると、40代以上では約8割が居住したいとしているのに対し、年代が低くなるほど移住を希望する比率が高くなっています。
これは、ヤング層の大都市志向という一般的な傾向であると同時に、移りたいと答えた人の多い地区が公住や社宅が集中する上江別の一部、大麻(おおあさ)南樹町、大麻(おおあさ)宮町、王子などであることから、江別の是非より以前に、住宅条件などにより、現在のところから移りたいと答えたとみるのが妥当のようです。
つまりは、江別の環境などに対するストレートな否回答ではないのです。
事実、移りたい理由の第1が大麻(おおあさ)の鉄北地区を中心とした借家だからが44.8%と最も多く、次いで家が狭い、古い、が18.1%となっています。
逆にマチ自体の環境に起因するものとしては、仕事や通勤に不便11.4%、環境が良くない6.5%、人間関係が良くない3.5%と、極めて少数といって良いものでしょう。
反対に、定住の理由をみると、自分の家があるからが58.6%と最も多い。
次いで環境が良いが25.2%、仕事や通勤に便利が10.7%となっています
持ち家を江別に立てた理由は、様々にしても、環境が良い、仕事や通勤に便利という要因は欠かせないところでしょう。
と、すれば、借家だからどこかへ移りたい、と答えた人が、市内に自分の家を求めることも決して少なくないものと思われます。
また、生活環境の評価点では、日当り、緑の豊かさ、全体としてのまわりの環境などがプラス評価となっており、マイナス評価のワースト3は、文化・スポーツ施設の便利さ、日用品の値段の安さ、街路灯の設置の状況となっています。
このことから、市民の目に映った江別の都市像が鮮明に炙り出されたといえるでしょう。
この時点の江別は、都市の基盤整備では道内の水準を超えており、住み良いことのお墨付きも得ながら、なおかつ市民の目からは十分に成熟していない都市と見られたのです。一言で括るならば、自然的空間の高い評価に対し、文化やスポーツ施設の不足や、都市空間にかなりの比重を占める街路空間に対する評価は、低い。
なかなか厳しい評価です。
これは、おそらく、一つには札幌広域圏が日常生活のベースになっている多くの市民の目は、評価の尺度としてイメージとしての札幌市を持っており、その目でみるために、自然厳しいものとなったものと思われます。
もっともアンケート調査は、主観的な判断によるだけに、全てをそのままうのみにできません。山田市長の言葉を借りると、『まだまだ未完成な青年都市であり、近代都市への脱皮は、その緒についた』(開基100年記念式典・式辞)ばかりであったことも、また、否めない事実です。
その意味では、市民の目は正鵠を射てもいたのです。
同アンケートによる市民の市施策に対する要求度では、(1)除・排雪など冬の対策、(2)交通安全の確保、(3)道路の整備、(4)公害の防止、(5)老人福祉の充実、が上位の五つでした。
また、江別市の将来像として市民が臨む姿は、文教都市、機能集積都市、住宅都市の三つが上位を占めました。
註:江別市総務部「えべつ昭和史」504-506頁.
写真:昭和53年10月5日、100年記念碑の除幕式
同上書499頁掲載写真を複写し、当ブログ掲載いたしております。
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