EABuSは、効率的で利便性の高いデジタルネットワーク社会を考えるNPO法人です。

EABuSメンバーの意見を順次掲載しますので、皆さんからのコメントをお待ちしています。

デンマークのOpen Data

2012-02-12 06:30:13 | 行政

 The Danish Misistry of science(デンマーク科学省)を訪問し、夕方4時過ぎまで3時間余り「開かれた政府」についてたっぷりと意見交換をしてきました。
 まず感じたのは、デンマーク高級官僚たちが非常に若いことです。トップの局長もアラフォー世代と思える女性(さすがに年は聞けませんでしたが・・・)。ほかに同席した3人のメンバーは20代から30代前半といったところです。
 また、日本ではトップが会話の中心になり、同席する官僚たちは随行者のようにフォローに徹するのが通常ですが、こちらでは皆さん活発に意見を述べ合い、とても自由な雰囲気でディスカッションが盛り上がります。テーブルに用意されたお菓子や飲み物をつまみながら、非常にフランクでオープンな環境で過ごすことができました。

 さて、本題の「開かれた政府」ですが、これは前の雑感でも書いたように米国のオープンガバメントが有名ですが、デンマークのオープンガバメントはより徹底しているようです。 
 「国民は政府が保有するあらゆる情報を知る権利がある」という原則が以前から浸透しており、政府情報の一覧サイトで検索すると、国防に関係する情報まで見つかりました。もちろん、安全保障に関係する情報や、個人が特定されてプライバシーに抵触するようなセンシティブな情報は公開されませんが、この一覧サイトには746件もの政府情報が公開されているとのことでした。
 さらに興味深いのは、各省や庁が積極的に情報を公開している点でした。日本では、情報公開に向けた法や制度などの見直し論議が盛んに行われていますが、デンマークでは公開すべき情報や公開方法などはすべて主管するセクターに任されており、公開方法(たとえばデータ・フォーマットや書式など)も自由に選択することが許されています。 簡単に、スピーディに、お金をかけずに公開することが基本原則のようです。
 そのため、「情報公開法などの改正はあったのか?」という質問にも、「情報公開法は昔からあるが、特に見直してはいない」との回答でした。

 デンマークが、トップダウンの大号令がないにもかかわらず各セクターがこぞって情報を公開している背景には、次の3点があるようです。
(1)デジタル化が進んでおり、あらゆる情報はデジタル化されていたこと
(2)市民や企業からの情報請求が多く、それにいちいち答えるよりは一斉に出したほうが効率的であると考えたこと
(3)情報公開を主管するデンマーク科学省が様々な取り組みを行ったこと

 このうち、(3)の取り組みについてはかなり面白い話がありました。

 まず、2010年2月に「ODISコンテスト」を行ったそうです(ODISとは、Open Data Innovation Strategyの略です)。このコンテストでは、法律成立時に検討された様々な意見を集約する「Political Data API (PDAPI)」や、省エネ目標に対する個別家庭のエネルギー使用分布を解析する「Energy calculation」、あらゆる統計情報を地図上にリアルタイムに表示する「Mapicture (MapとPictureの合成語)」など、興味深いアプリケーションが表彰され、現在も活用されているとのことです。

 また、2010年11月には「DATA CAMP」という行政と民間が参加するワークショップが開かれています。定員50名のところ、官民それぞれが40名ほど(計80名程度)参加して行われたようです。
 ここでは、政府と民間が情報をどのように再利用するかなどについて、パソコンを前に侃侃諤諤の議論を行い、その結果多くの有効な仕組みが構築されたとのことです。DATA CAMPの様子は、You Tubeで見ることができます。 このような行政と民間のオープンな交流自体、日本の行政に慣れた目から見れば大きな驚きでした。

 政府情報の公開に伴い、情報を受け取る側もあらゆる創造性を発揮することができ、それによって作られた情報再利用のためのツールは、デンマークのIT産業を支える大きな武器にもなっています。

 さて、こうした取り組みはデンマークだけではありません。英国でも懸賞金をかけて政府情報の再利用に対する民間の知恵を集めましたし、同様の取り組みをしている国は数多く存在しています。
 日本では、「情報公開」というと、やれ「法的根拠は?」とか、「公開可能な情報と不可能な情報の定義を明確にせよ」、さらには「情報公開のための共通のガイドラインを設けるべき」などといった議論が生まれ、一向に進まないのですが、世界のスピードは我々が感じている以上に早いということを我々はもっと肝に銘じるべきだと思います。

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とかく役所の手続きは煩雑・・・

2012-01-24 10:59:49 | 行政

とかく役所の手続きが煩雑なことは今さら言うまでもないが、最近それを改めて思い知らされる経験をした。

ことの発端は、亡父の月命日に千葉市営霊園に墓参に行ったことから始まった。
墓石の脇に霊園管理事務所からの通知が貼られており、中を見ると「市営霊園の権利承継が行われていないので、管理事務所に来るように」と書かれていた。

早速管理事務所に出向くと、「亡くなったお父様からの墓地の権利承継手続きをしてください」と言われ、手続書なるものをいただいた。
記入すべき書類は、「承継使用届出書」と「承継承諾書」などで、それ以外の添付書類として「被承継者の死亡の事実及び承継者・承継を承諾する親族が記載された戸籍謄本」と「承継者の世帯全員の本籍・続柄が記載された住民票」などである。

「これらの書類は、すべて同じ千葉市で管理しているのに・・・」と思いつつも、そこは国民の義務ということで、早速書類の交付を受けに所轄の市役所に行って書類の収集を行った。(証明書発行手数料は〆て750円)

集めた書類を持参し再び霊園管理事務所を訪れたら、ここで一つ問題が生じた。私は結婚を機に戸籍を移しているため、被承継者である父親の死亡を証明する戸籍謄本と、承継者である私の現戸籍が異なっているため、私の戸籍も持参するように言われ差し戻された。住民票の有効期限は1カ月のため、数週間のうちに再び手続きに出向く必要が生じてしまった。

本籍地の市役所で私の戸籍謄本を取り、霊園に再訪することでようやく手続きは完了した次第である。

高々(と言ってはご先祖様に叱られるが)、墓地の権利承継手続きのために要した時間は、2往復の時間も含め10時間以上。掛かった経費は1800円。
これらの証明書類は、すべて千葉市で管理している書類である。言うなれば、承継届けさえ出せば、それ以外は役所内で書類をやり取りするだけで十分可能な手続きであろう。

とかく、日本の役所は「申請主義」が前提になっており、申請者が駆けずり回って集めた書類を窓口で受理することから役所の業務が始まる。不備があれば差し戻されれ、申請を怠れば申請者にその責任が問われる。
世界の行政システムが「プッシュ型行政」に移行している中で、こうした日本の行政風土はすでにガラパゴス化しているといってもおかしくない。

政府は、社会保障・税番号の導入を今次通常国会に上程する構えであるが、是非こうした役所の風土を変えて、国民にとって有効な仕組みを優先的に考えてほしいものである。(安達)

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簡単になった老齢年金給付裁定請求

2011-09-08 16:01:55 | 行政

還暦を迎え、早速老齢年金給付裁定請求手続きを行った。

事前に年金機構から送付された裁定請求書には、すでに請求者の氏名、基礎年金番号、過去の年金加入履歴、勤務した事業所名等がプリプリントされており、私の場合は雇用保険番号、家内の基礎年金番号、生計関係にある家族の氏名、生年月日、所得の有無等を記入するだけで済んだ。

昨夜書類の記入を行い、今朝市役所で戸籍謄本と住民票を受け取り、その足で年金事務所に行くと、90分ほど待たされたものの、実際の手続きは10分程度で終了した。

この間要した時間は、待ち時間も含めて約2時間程度。

これ以外に添付する書類も、雇用保険被保険者証と銀行通帳程度。通帳は、かつては銀行窓口で口座証明を受けたものを通帳に置き換えたとのこと。

年金給付裁定請求はかなり大変と聞かされていたが、まったく拍子抜けするほど簡単に終わった。

消えた年金問題以降、様々な機構改革を行ったが、おそらくその一環として手続きの簡略化を行ったものと考えられる。

窓口の担当者も極めて丁重で、いきなり名刺を渡され「私が担当させていただきます」と自己紹介された。

上から目線と揶揄されていた年金事務所の雰囲気の改善にも積極的に取り組んだ結果と考えられる。

オンライン化されなくとも、窓口でワンストップに近いほど簡単に手続きが完結するのであれば、市民にとっては大歓迎である。

戸籍や住民票といった市役所等が発行する証明書との連動などの課題は残されているが、改善に対する努力は評価したい。

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成年後見人制度と「自助」について考える

2011-06-28 00:35:21 | 日記

6月25日の日経夕刊に税理士と社労士の全国団体が成年後見人の専門機関を設置するという囲み記事があった。この記事によると成年後見人の潜在ニーズは100万件以上と推計されており、不足が見込まれる成年後見人の担い手の範囲を拡大するという内容だ。2000年の制度発足時には成年後見人の90%は被後見人の親族であったが、2010年では60%に減少し、残りの40%は行政書士や司法書士等の専門職によるとされている。

成年後見人における親族の割合が減少している理由はよく分からないが、核家族化による独居高齢者の増加、あるいは専門知識のない親族にとっての過大な負担等が推測できる。つまり政府がいう「自助」では対応できなくなっているということであろう。実際に成年後見の現場で活動されている専門職の方のお話では、成年後見人の役割には単に財産管理だけでなく、日常生活のサポートをコーディネートする身上監護があり、被後見人の信頼を得る上でも重要な役割であるという。この意味では被後見人にとっては親族による後見が最も安心できるのではなかろうか。

社会保障の基本が「自助」であるという政策をとるのであれば、後見人となる親族の負担を軽減する施策が望まれる。このことは、介護制度においても同様であり、在宅介護をしている要介護高齢者の親族あるいは世帯の心身の負担も大きい。要介護高齢者の日常生活では介護保険制度のルールでは手の届かない部分を親族がカバーしているのが現実であろう。

成年後見人制度においても、介護制度においても、「自助」を基本とするならば、「番号」制度において、「誰が誰の面倒をみるか、あるいは現にみているか」という情報を的確に把握し、関係機関や団体で共有するルール造りが望まれる。前回投稿したブログの「生計関係情報」の展開として議論することも意味があると考える。

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社会保障改革の総合合算制度における「世帯」とは

2011-06-25 00:06:24 | 日記

6月2月に発表された税・社会保障一体改革原案の中に総合合算制度というプログラムがある。医療、介護、保育の自己負担額を世帯単位で合算し、世帯収入に応じて定められた一定額を超えた額を還付給付するという制度のようだ。この制度は「税・社会保障共通番号」と「情報連携基盤」の導入が前提となっている。確かに、この制度の基本である個別の自己負担額は「番号」によって個人単位で合算することができるが、さらに世帯で合算するためには「世帯」の識別が必要である。そもそも、この制度の「世帯」とはどんなものだろう。社会通念としては、同一家計で生活してる個人の集合と考えることもできるが、これは住民基本台帳の世帯、国民健康保険の世帯、健康保険の被扶養者、あるいは所得税の控除対象被扶養者等々とは必ずしも一致しないのではなかろうか。

「番号」制度のユースケースを考える時に、所得税の扶養控除申告、健康保険被保険者資格取得、年金給付裁定請求等、個人の生計関係に関する情報を必要とするケースがある。一度これ等の各制度における生計関係のルールを整理して一元化し、各制度でその情報を共有することを検討してはどうであろうか。社会保障原案の総合合算制度でも役立つと思われる。もちろん、これは個人の生活に立入った非常にセンシティブな情報であり、プライバシーの問題に直結することから、個人情報保護WGでの議論も必要であることは云うまでもない。

社会保障改革において、政府はしばしば「自助、共助、公助」を口に出す。自助は家族(世帯)でお互いを支えあうことであり、今更云われなくとも・・・という感じもあるが、総合合算制度が社会保障の基本は家族(世帯)にある、ということを踏まえて検討されているのであれば大いに歓迎したい。それだけに「世帯」を「お互いを支えあう集合体」として考え直してみることも意味があると考える。

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