鹿と緑と蓮華草

裏庭の緑を眺めながら綴る日々の記録です

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59日-①10月2日の夜

2015-12-22 | 日記
忘れもしない、10月2日は朝から冷たい空気に包まれて雲行きもだんだんと怪しくなっていた

我が家の裏は鹿も住む森になっていて、共同のオープンスペースになっているために
動物達にとっては格好の集いの場所となっている

とはいえ、私たちの住む地域は全米でもナンバーワンの「鹿ダニ」によるライム病発症の高い地域なので
楽ちゃんが我が家に来た頃から極力外には出さないように我慢してもらっていた

それでも、すばしこくて外に出たくてたまらない楽ちゃんなので
隙あらばドアが開くたびに飛び出し、捕まえようとする私達をからかうようにピュ~ッと逃げてしまう
家の作りも関係しているせいか、外からお客さんや配達の方達が知らずにドアを開けるたびに脱走

元野良で生活していたのだから、仕様がない
裏もあんなに広々としているし、窓から羨ましそうにご近所の猫達が悠々と散歩している姿を見ている...ような錯覚を私達も覚えてしまう

私達は飼い主としての責任を徐々に甘く甘くしていった結果が招いた事だと痛感している

次第に、ドアの前でジッと開けてくれるのを待つ姿を見ると、夫婦して互いに「良いよね?」と確認し合って
外に出してあげるようになったのだった

5年の間に、そういう暗黙のルールを作った事で楽ちゃんは当然の事ながら外での時間を満喫していた
私達も、後ろめたさから解放されて、お互いストレスフリーな環境だった事も間違いない

そして、外に出ても長くて2時間もしないうちに楽ちゃんは必ず帰って来た
いつ覚えたのか、帰って来ると決まって家のドアをカリカリと爪を立ててノックをするようになったのだった

かろうじて決めたルールの一つに、
夏の間はマダニも大量に発生するからと極力外には出さないようにしていた
その代わり、野生の動物達も行動が静かになる冬の間は、雪の降る時を主に外に出していた
雪と寒さで、楽ちゃんの行動範囲も数十メートル
クンクンと外の雰囲気を確認したら満足げに戻って来た

今年の夏は家族が日本から来てくれたり友達の訪問も多かったので、知らない・慣れない皆がうっかりドアを開け放してしまう事も多かった
楽ちゃんにとってはラッキー/ハッピーという事で私達もギュウギュウの家の中でストレスを貯めさせるよりはと
敢えて見て見ぬ振りをして好きにさせてしまったのだ

そんな賑やかな夏が過ぎ、その夜だった

好きに出させたとはいえ、毎日1回1時間程の散歩で満足して帰って来ていた楽ちゃんには申し訳なかったが
再び家族だけの日常が始まると同時に楽ちゃんにも外出制限を始めた
段々とストレスを貯めてしまったのだと思う
外に出してと言わんばかりに大きな声でドアの前でニャンニャンと訴える日が増え始めた

あの日は朝から凍えるような空気に包まれていた
寒いからさすがに外に出るのは嫌がるだろうと、試しに日中一度ドアを開けてみた
当然の如く、喜び勇んで飛び出した楽ちゃんだったけれども、外の寒さをすぐに感知したのか
階段を駆け下りて立ち止まり、数秒できびすを返して家の中に飛び来んだ

そうだろうそうだろう、今日は寒いから外にでない方が良いよ
と声をかけ、夜になるまで一度も出たがる様子もなくゴロゴロしていた

夜になり、雨脚も強くなって来た頃だった
遠くで雷の音もし始める
基本的に室内外の猫は雷が苦手だと思うけれど、例に漏れず楽ちゃんも雷が鳴り始めると目を思い切り見開いて身体を硬直させる

それなのに、そんな状況になってから外に出たいとウロウロし始めた

朝の事もあるし、ドアを開けてもまた直ぐに飛び込んで来るさと

夫がドアを開けた

ソロリソロリとゆっくりと階段を降りて、暫くその場でジッとしていたけれど
今度は家に引き返さずにそのまま家の裏の方へと歩いていった

その時から、長い長い59日が始まった事はまだ私達はちいとも気がついていないのだった


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