週刊電影報告

至福のひとときの記録

乙酉年皐月壱ノ弐 混血児リカ ハマぐれ子守唄

2005-05-08 | か行
混血児リカ ハマぐれ子守唄@三百人劇場
1973/日本/吉村公三郎

 少年院に舞い戻ったリカ(青木リカ)、院の少女達と喧嘩をする毎日だが、脱走の機会を虎視眈々と狙う。ある日脱走に成功したリカは古巣の横浜港に戻った。その時偶然、親子心中を図ろうとする黒人女性とその娘を見かけて間一髪のところで二人を救う。二人を捨てて行方の知れなくなった父親、そして娘は混血児として自分を生んだ母親を恨んでいる。同じ混血児のリカは娘に同情し、姉のように娘の世話をする。
 ある日リカと娘は愚連隊たちに絡まれ、彼らに追われるがリカの恋人五郎(河原崎次郎)に救われる。しかし直後に警察に見つかり再び少年院へ。
 少年院の保護員はある日、リカたちを外国へ売り飛ばそうと精神病院へ送る。病院で「性欲のかたまり・ゴリラ男」に襲われるが一緒に少年院から送られた仲間に助けられ、ついには全員精神病院から脱出する。オートバイで脱走する女達に再会を約束してリカは再び横浜港へ戻る。すると妹のように世話をしていた娘が誘拐されたことを知る。母親が家政婦をしている貿易商のニクイソンが娘を生娘として高値で売り飛ばすために連れ去ったことを知るリカは、彼らが天城の山荘に行っていることをつきとめる、少年院の仲間達、五郎の援護もあり、激しい銃撃戦の後見事娘の救出に成功する。

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 吉本公三郎特集より。

 混血児、愚連隊、悪徳商人・・・昭和アクションの要素がふんだんに盛り込まれた作品。もちろん出てくるセリフも“バッキャッロー”、“○○参上!”等々、うれしくなってしまいます♪
 劇画が原作ということもあり、あくまでも劇画チック(少年院の“囚人服”があんなミニスカートって・・・リカさんパンツ○見えでケリ入れてます)、あくまでも娯楽作品です。製作した当時はこうやって三百人劇場で上映されるなんて思ってもいなかったのでは?
 しかし脚本は名作を数々生み出したあの新藤兼人氏。そう考えると名作映画って作っているときは「後世に残る名作を作ろう」と意図して作っているのではなく、B級C級も含め数多く作り出された作品のうち結果として後世の人が選び取ったものなのでしょうね。「名作」の土台にあるのは数々のB級C級なんでしょう。それでもこうやってときに土台になってる作品を観てみるのも悪くないもんです。

 しかし冷静になってみれば、こういう映画ってもう今の時代には作れませんね。表現の問題もあってテレビでは絶対放送できないだろうし、“混血”とか“精神病”のいわゆるステレオタイプを助長するって指摘されちゃうでしょ、これじゃ。そういう意味でも時代の雰囲気を感じることができる作品ですね。

 おまけですが、主人公の恋人役で現れる五郎さん、様相といい場面設定といいどうしてもアタシの唯一知っているアダルト男優加藤鷹っぽいんですけど(笑)

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