asahi.com:妊娠 夫ができること【ケア編】-マイタウン広島
すこやか道
妊娠 夫ができること【ケア編】
妊娠した妻をあれこれ手伝いたいのはやまやまですが、何をどうしていいか戸惑う夫は少なくありません。でもせっかくなら、この世に出てくるまでの約10カ月間を家族で楽しみたいものです。初めての子の妊娠がわかった男性記者が、妊娠生活の心得を取材しました。

ストレッチする記者の妻(左)=鳥取市のみやもと産婦人科
■情報交換し安心感
記者(35)の妻(31)の妊娠がわかったのは昨年12月。ただいま18週とちょっと。7月に出産の予定だ。
結婚から約2年。なかなか妊娠せず、不妊治療を始めようかと検査を受けた矢先だった。超音波検査で豆粒ほどの胎児を初めて見たときは2人で泣いた。
だが、現実はとまどいと不安だらけだ。「おなかが痛い」「茶色いおりものが出た」。妻のささいな一言で、すぐに不安になる。
安定期に入ったが、妻はまだ食欲が戻らない。おなかは日に日にぽっこりしてきたが、体重は増えない。大丈夫だろうか。
周りに相談する人が少ないこともある。妊娠8週目までは流産の可能性も高く、周りに妊娠したことを言えない。両親も遠くに暮らす。インターネットもあまり役立たなかった。義兄の妻が数カ月先に妊娠していたので、情報を交換し合い、気持ちが落ち着いた。
妊娠がわかってから、風呂掃除とごみ出しは記者がしている。掃除や買い物も手伝う。体が冷えては駄目だと聞き、布団を事前に温めている。
「支えなきゃ」という思いも時折空回りする。「安静が一番」と一日中家でテレビを見ている妻に「新聞とか読書とか、ほかにすることあるだろ」と、見当違いな八つ当たりをすることもあった。記者がいくら心を砕いても、赤ちゃんはまだ、妻の腹の中なのだ。

妊婦体験で大きくなったおなかを抱えながら階段を下りる記者。足元が見えず危険だ=鳥取市
■重い 足元見えない
産婦人科医院の両親学校に何度も通い、医師や先輩ママたちに、日頃の悩みを打ち明けた。
4年前に娘を出産した女性(31)からは「夫のちょっとした優しさがうれしい」と言われた。
妊娠中の女性の負担を知ろうと、鳥取市中央保健センターで妊婦体験をした。
妊娠中に増える体重(10キロ)と同じ重さの「妊婦体験スーツ」を体に巻く。腹がぽっこりとせり出した。
立ち上がろうとしてよろめいた。「げっ、重い」。寝ても、腹の重みで息がしづらい。靴を履くにも、腹が邪魔してかがみにくい。
階段は足元が見えない。片手は手すりに、もう片方は自然と腹に。市街地の小さな段差につまずき、転びそうになる。
約1時間の体験で腰が痛くなり、冬なのにシャツが汗でぬれた。妊婦がいかに大変な生活を送っているか、身をもって実感した。

■優しい言葉かけて
妊娠生活の注意点や工夫を鳥取市のみやもと産婦人科の助産師、宮本須美子さんに聞いた=表。
まず、体を冷やさないこと。体温が低いと早産の危険性がある。胎児を守ろうと、羊水が増え、陣痛が起こりにくくなる。
体力もつけておきたい。「1日3時間歩こう」という医師もいるほどだ。母親が運動して心拍数が上がることで胎児の心拍数も上がり、心臓が強くなる。
食べ過ぎにも注意が必要だ。体重の増加は10キロまでにとどめて欲しいという。
「今のうちに栄養や料理を勉強して下さい」と、宮本さん。
昨年5月に長女が生まれた鳥取市立病院の産婦人科医、早田桂(けい)さん(37)は、夫の立場から気遣い方を教えてくれた。
奥さんの腹を触りながら「大丈夫?」と優しい言葉をかける。休みの日は寝てばかりいないで、一緒に外出して気分転換を。仕事が忙しくても、一度は妊婦健診に付き添えるといい。
「お産の後に子育てが待っている。夫婦が協力して妊娠を楽しむ気持ちで過ごすことができれば、育児にもつながっていきます」
病気が絡むこともある。鳥取県立中央病院産婦人科の池野慎治医長(44)によると、「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」など、妊娠中になりやすい病気は少なくない。「他にも鼻や胃腸など、妊娠が理由の病気がある。内科ではなく、産婦人科へまず来て下さい」
≪追伸 記者より≫
妻の妊娠で、見える風景ががらりと変わりました。町中にこんなに多くの妊婦や赤ちゃんを抱いた母親がいたとは知りませんでした。雪の多い今年の鳥取。雪かきされていない道は、いかにも歩きづらそう。ちょっとした階段の上り下りも大変です。これまで気づかなかった自身の不明を恥じています。(宋潤敏)


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