ある老舗の「常打ち小屋」(実は「浪速クラブ」・大阪新世界)、その日、客席は開演一時間前から「大入り」が予想された。花形役者の誕生日とあって入場者全員に粗品(役者の芸名を染め抜いた手拭い)がプレゼントされるからだ。座席は予約で満員、当日席はすべて補助席という状態であった。しかし、小屋の若い衆(従業員)は手慣れたもので、次から次に入場してくる客を、手際よく補助席に案内していく。そんな時、客はもう「見やすい席」をあきらめなければならないのだが、黙って応じるとは限らない。私は上手の壁際にある三人掛けの長椅子に案内された。その隣に七十歳代とおぼしき(しかし元気のいい、血気盛んな)女性客二人もまた案内されてきた。(続きを見る)
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