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Googleが風穴を開けるか -- 閉鎖的なインスタント・メッセージングの世界

2004-09-04 | ◆ビジネス
AdInnovatorでGoogleによるインスタント・メッセージング・サービス参入に関する噂が取り上げられた。オリジナルのニュースソースを読んでみると、そのインパクトは意外に大きそうだ。

噂に過ぎないとは言え、GoogleはGmailによるメール・サービス、Bloggerによるブログ・サービスを既に行っており、次に来るのがインスタント・メッセージング(IM)であっても不思議ではない。従って、この噂で注目すべきは、GoogleがIMに参入するかもしれないということよりも、むしろそのIMサービスでJabberプロトコルと呼ばれるオープンソースのスタンダードを使うかもしれないということだ。

よく知られている通り、IMサービスをリードするAOL、Microsoft、Yahooは、一般向けサービスにおいては独自のプロトコルを採用しており、相互の互換性はない。これは、各社が顧客囲い込みにIMを利用しているからだと言われている。従って、IMサービスは同じサービスを使っている人が多ければ多いほど利便性が増す、というネットワーク効果が認められる分野である。そうしたサービスにおいては、仮にオープンスタンダードを標榜しても、ベンチャーが参入するのは非常に難しい。ユーザー数が少なくても是非とも活用してみたい新機能やサービスが加わっているなど、何か目玉が無ければユーザー数はそう簡単には増やせないからだ。

IM市場とは、そんな特性を持っているが故に、Googleがオープンスタンダードを携えて参入してくると面白い。Googleは一からIMのユーザーベースを構築しなくてはならないが、そのブランド力や話題性から、一定数のIMユーザーを獲得することは極めて容易であろう。また、Gmailの時と同様に、何かあっと驚く仕掛けも用意するかもしれない。また、オープンスタンダードを採用することにより、中小のIMサービスを自陣へ取り込んで行くことが出来る。

仮にGoogleが一定のユーザーを確保することとなると、独自プロコトルを採用する先行3社は、独自であるが故に顧客を失うという状況に直面する可能性がある。そうすると、独自性をとことん追求して、機能アップなどを図っていくか、オープンプロトコルとのインターフェースを構築するか、あるいはオープンプロトコルを全面採用するか、という選択を迫られることになる。いずれにしても、互換性が無いという現状に対する圧力が強まることは間違いない。

一ユーザーの立場からすると、GoogleがオープンスタンダードでIMサービス導入、という噂が本当であることを信じたい。

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1 コメント

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リアルタイムコミュニケーションの技術トレンド (みのたん)
2004-09-04 20:40:58
IMをリアルタイムなコミュニケーション(コラボレーション)と捉えると、このコミュニケーションを実現する技術トレンドとして3方向はあるのではないでしょうか。



①e-tetsuでとりあげた、インターネットの老舗が展開しているIM

②SIP(VoIP)ベースのアプリケーション。

IPをベースに映像・音声・チャットを同時にできる企業向け製品。大手電気メーカ・通信機器メーカは多く製品を提供。

③P2P技術ベース。まだ事例が少ないか。

例)アリエルネットワークス



①の中でGoogleのオープン戦略がうまくいくか見ものですが、②への進入、つまり企業向けのコレボレーションで使われるかどうかは静観したいと思います。技術以前にASP型と企業内自前型というビジネスモデルの違いも大きいでしょう。。。

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