プロメテウスの政治経済コラム

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チリ地震  日本の津波対策  防波堤、観測体制、原発冷却水などの対策は大丈夫?

2010-03-01 19:05:35 | 政治経済
昨日のすべてのTV録画画面には、日本地図と津波警報が写ることになった。各地の沿岸部で浸水に見舞われたところがでたほか、鉄道の運休や道路の通行止め、住民の避難指示・勧告など緊急対策に追われた。1960年の同じチリ地震津波のときには、津波警報が出ないまま最大で6メートルもの津波が日本の三陸沿岸などを襲い、大船渡市などで142人の死者を出す大災害になったこともあり、今回、気象庁は、TVを通じて警報を流し続けた。被害を防ぐために、事前警報は大袈裟すぎるぐらいでよいと思うが、科学的な観測体制は、どうなっているのだろうか。また、原発立地地域では住民が、原子炉を冷却する海水が取水できなくなるなど、重大事故につながらないか、不安な一日を過ごした。宮城県女川町の高野博町議(日本共産党)は、「津波対策は、原発の盲点になっているように思う。国の安全審査で漂流物や砂の影響を試験するなど、真剣にやってほしい。大丈夫、大丈夫ということですまされない」と語っている(「しんぶん赤旗」2010年3月1日)。

 南米チリで日本時間2月27日に発生したマグニチュード(M)8・8の地震で、気象庁は1日午前10時15分、青森県から茨城県の太平洋沿岸と高知県に出ていた津波注意報を解除した。これで、地震の影響による津波に関して出された警報・注意報はすべて解除された。気象庁の関田康雄・地震津波監視課長は1日午前、会見を行い、「津波の予測が過大であったこと、警報・注意報が長引いたことをおわびしたい」と謝罪した(「産経」3月1日11時45分配信)。
津波は28日午後に北海道から沖縄県の太平洋沿岸を中心に到達。岩手県の久慈港と高知県の須崎港で1・2メートル、仙台市の仙台港と鹿児島県の志布志港で1・1メートルの津波が観測されたが、多くの地点で気象庁の予想を下回った。科学的な観測が難しいときには、安全サイドに大袈裟になるのは、ある程度やむをえない。2004年12月のスマトラ沖地震(約22万人の死者が出た)のとき、津波警報が出なかったインドやスリランカなどで、甚大な被害を出した。

 幸い今回、日本では人身災害は出なかったようであるが、日本の津波への備えは大丈夫なのか。前回のチリ地震津波では、日本の気象庁は事前に津波警報を出さなかった。ことし1月に中央防災会議の専門調査会がまとめた「1960年チリ地震津波」報告書は「チリ津波の予報は仙台管区気象台がもっとも早かったが、津波到達後であり」、気象庁の「津波警報が間に合った地域は皆無だった」と指摘している。50年前の日本の気象庁のレベルはその程度だったのだ(「しんぶん赤旗」同上)。
それでは、今回のチリ地震津波のように、非常に遠方に震源があるため、地震のゆれが体感できないまま津波がやってくる「遠地津波」(気象庁は日本沿岸から600キロ以上離れたものと定義)について、その後、日本の対策は十分になされたのだろうか。防波堤・観測体制・土地利用規制など、現在も対策が十分に進んでいないのが実情である。

 先述の「チリ地震津波」報告書は、チリ津波災害では「貯木場からの木材流失が大問題となったが、その後も対策は進んでいない。積極的に対策を講じている港湾は全国でわずか5港湾しかない」と強調。津波を想定した土地利用規制も、北海道浜中町と宮城県志津川町(現南三陸町)の2町でしか実現しなかったと対策の立ち遅れを指摘。チリ地震津波後、岩手県大船渡湾口に津波防波堤が建設されたが、それ以後は建設されていないという。遠地津波の観測体制でも、04年末のスマトラ地震災害まで大きく立ち遅れたままで、現在も米国海洋大気圏局・太平洋津波警報センター(ハワイ・オアフ島)の観測・シミュレーションに依存しているのが実情である。同センターは、04年のスマトラ地震を教訓に、海底津波圧力計(DART:Deep-Ocean Assessment and Reporting of Tsunamis)の観測を強化。海上のブイによる人工衛星による津波観測システムとDARTシミュレーションを開始し、太平洋地域の津波警報が大幅に改善されたという。しかし、日本列島の近海では、気象庁はDARTシステムのような津波観測体制を持っていない(「しんぶん赤旗」同上)。

 津波に襲われたとき、海水によって原子炉を冷却している原発は深刻である。5メートルの津波(引き波)によって、日本の原発の約8割にあたる43基の原発で、冷却水が海から取水できなくなるという。原子炉の冷却ができなければ、炉心溶融のような重大事故につながる恐れがある。貯水槽で緊急避難するとしても、12原発には貯水槽もないという(「しんぶん赤旗」同上)。
女川原発(東北電力)がある宮城県女川町では、1960年のチリ地震津波のとき6メートルほど海面が下がり、町史には海底が見えたと記録されているという。原発問題住民運動全国連絡センターの伊東達也筆頭代表委員は「1960年の津波のときにはまだ原発はなく、それ以来、本格的な大きな津波に襲われたことはない。今回の経験にたって、電力会社は、防災対策の現状を住民に説明し、対策をきちんとするべきだ」と訴えている(「しんぶん赤旗」同上)。
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