プロメテウスの政治経済コラム

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「ミサイル着弾」の誤報事件  人騒がせな「国民保護法」 怖い有事法制

2008-07-07 18:39:38 | 政治経済
6月30日午後4時35分ごろ、福井県美浜町の防災無線全58基から、「ミサイル発射情報。当地域にミサイルが着弾する恐れがあります」との放送が誤って流れた(「読売」2008年6月30日)。総務省消防庁の警報システム(J―ALERT)の誤作動が原因だった。同町は「事故責任が消防庁にあることの公表」を強く求めている。警報システムは、米軍や自衛隊の軍事行動に自治体や住民を動員する有事法制の一つである「国民保護法」に基づくものだ(「しんぶん赤旗」2008年7月7日)。小泉人気のドサクサにまぎれて成立した有事法制とは、一体何だったのか。

「お母さん、もう会えない、最後の声を聞かせて」。美浜町の隣接市の勤務先の母親に、泣きながら電話をかけてきた中学生のA子さん。この日、A子さんは、久しぶりに部活のない放課後を楽しもうと、仲良しグループで海岸に近い公園に来ていた。午後四時半すぎ。「ミサイル発射情報。当地域にミサイルが着弾する恐れがあります」―― 付近の防災無線のスピーカーからサイレンとともに流された緊急警報。公園にいた住民はパニックに陥った。おとなたちの「大変だ、ミサイルが飛んでくるぞ」の声に、女子中学生たちから笑顔が消え、恐怖で顔はひきつり、泣き声があがる。A子さんは、死をも覚悟、せめて母の声が聞きたいと友人の携帯電話で勤務先の番号を押したのだった(「しんぶん赤旗」同上)。

町から十分後に「ミサイル情報は誤報です」との放送が流れた。なんとも人騒がせなできごとだ。
誤報の元となった「全国瞬時警報システム」(Jアラート)を運用する総務省消防庁は7月3日、機器点検時のテスト情報を消去するプログラムが働かなかったことが原因だった、と発表した(「朝日」7月3日)。
Jアラートは、弾道ミサイル発射情報、航空攻撃情報、ゲリラ・特殊部隊攻撃情報などを消防庁から衛星経由で自治体に一斉配信するシステム。受信した自治体では自動起動装置で防災行政無線のスイッチが入り、住民に緊急情報を伝える。
消防庁は、「原発テロ」を想定した全国初の住民動員による国民保護実動訓練(2005年11月)を受け入れた美浜町に警報システムを優先整備したのだった。同警報システムを導入しているのは、現在のところ全国62区市町村だけである(「しんぶん赤旗」同上)。

有事法制とは、アメリカの世界戦略に沿って日米同盟を極東から地理的に限定されない地球規模の同盟に引き上げるにあたって、在日米軍やそれと共同作戦をとる自衛隊が日本国内で自由に活動できるように自治体や国民の諸権利をあらかじめ制限できるように法制化しておくというものであった。その狙い・実態は、有事における自治体や住民を動員する「国家総動員」であった。非常事態に際して憲法の一部または全部を停止し最終的に国及び国民の安全を守るという限り、有事からの国民の保護も有事法制の一環として必要ということで、「国民保護法」(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)が2004年に成立した。

「国民保護法」は日本が武力攻撃を受けたときや大規模テロにさらされたとき(これらは武力攻撃事態に準ずる扱いとして緊急対処事態という)、国民の生命・財産を守る方法を定めたということになっている。武力攻撃事態や緊急対処事態などに際して住民の避難・救援に必要な場合、一定の範囲で私権を制限すること(例えば、私有地の一時的な提供、医薬品や食料の保管指示、交通規制などに従わなかった場合などに罰則が科されることがある)を容認し、住民に対する避難指示や救援活動は都道府県中心で行うこととされている。

有事の際、軍隊(=自衛隊)は国民をまもらない。自衛隊の役割の最優先課題は「敵」の排除=国民ではなく「国家」を守ることである国民は自主防災力を持ち、武力攻撃の危機を少しでも軽減するためのあらゆる自主的な防衛活動、いわゆる民間防衛に努めよということだ。米軍のイラクやアフガニスタンでの軍事作戦の最大の口実は対テロへの先制攻撃である。誤報事件から見えてくるのは、米軍による海外での戦争に自衛隊を参戦させ、国民、自治体を協力させる有事体制=国民保護法の危険、怖ろしさである。
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国民保護法 武力攻撃事態 しんぶん赤旗 ミサイル発射 総務省消防庁 防災行政無線 弾道ミサイル 声を聞かせて 泣きながら 全国瞬時警報システム
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