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社保庁1752人を処分…年金保険料不正免除

2006年09月04日 | Weblog
国民年金保険料の不正免除問題で、社会保険庁は28日、不正な事務処理に関与した職員と、その上司ら計1752人の処分を発表した。このうち停職1~2月の6人を含め、国家公務員法に基づく懲戒処分は169人。村瀬清司・社保庁長官についても、監督責任を問い、川崎厚労相による訓告とした。組織改革の一環として、民間企業経験者の中から、社会保険事務所長を公募することも発表した。

 今年3月に発覚した京都社保事務局の事案にかかわった8人はすでに処分済みで、一連の不正免除問題の処分者は、社保庁職員全体の約1割となる。また、既に退職している112人については処分の対象にできないため、減給処分などを受けた場合の相当額について自主返納を求める。

 停職処分となったのは、大阪、静岡、埼玉、三重の社保事務局で局長ら幹部として不正にかかわった6人で、本人の意思を確認しないまま、免除手続きを行う違法行為を主導するなどした責任が問われた。

 停職以外の懲戒処分の内訳は、減給が81人、戒告が82人。社保庁本庁では、担当の国民年金事業室長が、京都社保事務局での事案発覚後の調査で、不正事案の一部を把握しながら、対応が不適切だったとして、減給(10分の1)1月とされた。

 社保事務所長以上で処分を受けた人のうち、違法な手続きを主導し、調査に対しても虚偽の報告をするなどした25人は、9月の人事で降任・降格とする方針。

 処分とは別に、社保事務所の課長から、村瀬長官まで約3700人の職員について、給与の一部を自主返納する。

意識改革へ正念場…長官「できることすべて盛った」
 「職員の意識改革が本当にできるのか、これからにかかっている」。国民年金保険料の不正免除問題で、1752人の大量処分を発表した28日、村瀬清司・社会保険庁長官はそう強調した。相次ぐ不祥事を受けて、民間から登用された村瀬長官の改革は進むのか、いよいよ正念場を迎えている。

 「国民の信頼を著しく損ねたことを心よりおわび申し上げる」。記者会見の冒頭、村瀬長官は改めて陳謝した。昨年12月、年金加入記録の業務目的外閲覧が発覚して3273人を処分したのに続いての大量処分。今回は、給与が下がる「降格」や、社会保険事務所長から次長にするなどの「降任」という人事上の措置もとることになり、村瀬長官は「国家公務員法上、ギリギリできることはすべて盛り込んだ」と強調した。

 社保事務所課長以上で懲戒処分を受けた者については、9月の人事異動で現在のポストから外す方針だ。312社保事務所の所長のうち90人が異動対象となり、「職場への衝撃は大きい」(社保庁幹部)という。

 その一方で、民間企業経験者から社保事務所長を公募することについては、これまで地方採用の職員の中から起用されていた所長に民間の人材を登用し、体質を変えるのが狙いだ。来年春には、多ければ5人の民間出身所長が誕生する。国民を裏切り続けてきた組織は変わっていけるのか。村瀬長官は「これから再チャレンジしたい」と、会見を締めくくった。

(2006年8月29日 読売新聞)