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「理想的な淡水水槽」 10.4.2. 水草は硝酸塩を消費する


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

10.4.2. 水草は硝酸塩を消費する


残念なことに我々は、水槽においてどうしても解決することのできない問題といつも向かい合っている。その問題のひとつが、水槽内に過剰に蓄積する硝酸塩の存在である。硝酸塩は、窒素が水中で最も高次で酸化したものである。硝酸塩の濃度は基本的に特に何もしない限りは高くなっていくものである。硝酸塩は元々水槽の水に含まれているばかりか、魚のエサや排泄物などによりさらにその濃度を増していく。

硝酸塩の濃度は試薬(デュプラテストNO3/NO2など)によって簡単に測定することができる。

確かに我々は、硝酸塩を窒素として受け入れて利用する様々な植物を知っているが、一方で多くの種類が硝酸塩をまったく利用することがないクリプトコリネという植物があることも知っている。

原則的に植物は、窒素をアンモニアという形態で必要としている。植物が体内の硝酸塩を利用するためには、これを還元によってアンモニアに変えなければならない。この反応は科学的な作用と結びついている。天然河川の水に含まれる窒素はほとんどアンモニアとして存在しているため、大多数のクリプトコリネはこれをそのまま利用し、窒素分を硝酸塩へと変化させて吸収するという方法をわざわざ学んだりはしない。一方水槽内の場合クリプトコリネは過剰な硝酸塩に否応なく直面するが、彼らにとって硝酸塩は生存のために何の意味も持たない物質に過ぎないのである。そのためクリプトコリネは、水槽内の水に含まれる栄養素を吸収する際に硝酸塩も多量に体内に取り込み、これが組織内に蓄積されてしまう。

水槽において、栄養分を過剰に含んだ水はクリプトコリネなどの植物の枯死の大きな原因のひとつと考えられている。植物の周辺環境内で起こる化学的あるいは物理的な変化は、それがどれだけささいなものであったとしても、植物の生命を脅かす恐ろしい事態の原因となってしまうのだ。水槽内において、このような事態は突然の照明の変化や、化学添加物の導入などによって簡単に引き起こされる。また不規則な肥料の投与、二酸化炭素濃度の急激な変動、質の悪い鉄分肥料、適切な間隔で行われない水換えなどによっても水草は致命的なダメージを受ける。さらにアクアリアナーのずさんなメンテナンスや怠慢のせいで、同様の結果を招くこともある。

これらの原因によって水槽内には毒性の強い窒素の中間化合物が生じ、この化合物がクリプトコリネの葉を一枚一枚腐敗させ、俗に言うクリプトコリネ病を発症させるのだ。もちろんこれはクリプトコリネに限った話ではなく、すべての水草に当てはまる。






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