デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
9.6.1. 水道水に含まれる有害物質
この章で我々は、魚や水草が健康に成長する自然の河川では決して見ることができないが、水道水や水槽の水に含まれる有害な物質について述べる。
水中の有害物質としては、ある環境下において河川の水や沈殿物の中にも含まれ、さらにその後の水の流れによっては水道水中にも混入する可能性がある重金属や化学薬品が知られている。新聞や科学雑誌、あるいは専門誌などが、水中の有害物質が増加していることを報告するたびに、我々は不安な気持ちになる。また研究者たちの機関紙でも、水中の生態系に悪影響を及ぼす有害物質の増加は懸念材料となっている。
雑誌「展望」の1981年15号では、ネッカー川環境シンポジウムにおいて、水質レベルが全流域において著しく低下しているとの報告があったことが取り上げられている。コバルトやニッケル、クロムの調査では、依然として全体に0~1の判定クラス(「まったく含まない」から「少量含む」)であったが、エンツやスタルツェルにおいてはこれが2~4(「ある程度含む」から「多く含む」)となっていた。しかしこれが銅、亜鉛、鉛では、状況はずっと悪くなっていた。流域の測定地点の多くで、結果は「多く含む」から「危険量を含む」までの判定クラスが圧倒的に多く、フィルスではクラス6(「過剰に含む」)を記録した。
特に問題があるのはカドミウムである。ネッカー川の流入範囲にある河川での測定では、多くの地点で「多く含む」「過剰に含む」と判定された。ネッカー川の上流ですら、自然環境下での平均の値の100倍の濃度が測定された。
ロルフ・ガイスラー教授は「AQUARIUM HEUTE」1988年4号の中で、飲料水の中に化学殺虫剤が多く混入していると報告した。バーデン・ヴェルテンベルグでの試験取水では、200の市町村の水が調査され、ECで定められた限界値を大きく上回る水の汚染が確認された。これらの汚染された水は、当然ながら水槽の中の生物に大きなダメージを与え、中でも特にディスカスの被害報告がドイツ中から多く聞かれたのである。
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浄水場で処理された水は人間に対して安全であっても
魚や水草の飼育には不向きである。
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