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「理想的な淡水水槽」 9.4.5. 二酸化炭素の理想的な添加量


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

9.4.5. 二酸化炭素の理想的な添加量


水槽ごとに二酸化炭素(CO2)の最適な添加方法や添加量は異なる。これは、その水槽に必要な遊離二酸化炭素の量が、水質を決定するいくつかの要素の状態に依存するからである。この要素には下記のようなものがある。


エネルギー - 光
光は植物の光合成の原動力である。光が強ければ強いほど、植物の新陳代謝は活発になり、同時に栄養分の消費スピードも速くなる。まず最初に植物の二酸化炭素要求量が多くなる。つまり水槽内により多くの二酸化炭素が供給されなければならないということだ。十分な照明の下では、水草が光合成を行っているしるしとして、水草が葉から放出する酸素の泡を確認することができる。同じ光の強さで観察すると、二酸化炭素の供給量が増えたり減ったりすれば、水草が葉から放出する酸素の泡もそれに応じて増減する。

水の体積 - 水槽の大きさ
「理想的な水槽」においては、使用する水槽の水の量に見合った二酸化炭素供給能力を持ったシステムを構築するが、この時考慮しなければならないのは、大きな水槽には小さな水槽に比べて有利な点があるということだ。これは、水の量が多ければ多いほど、水の化学的安定度が増すためである。特にpH値、二酸化炭素量、炭酸塩硬度(KH)は、ふさわしい二酸化炭素供給システムが完備された水槽では、継続的に安定した値を示すようになる。

水草の数 - 二酸化炭素の消費者
二酸化炭素の消費に影響を及ぼす3つめの要素は、実際の二酸化炭素消費者である水草の数である。水槽に水草を密に植えようとすればするほど、多くの二酸化炭素が必要になる。しかし水草を密植することで、水槽に確実に酸素を供給することができ、さらに生物にとっての良好な生存環境が保証される。

水槽内における二酸化炭素の要求量は、植えられている水草の種類によっても変わってくる。Elodea canadensis(オオカナダモ)、Hygrophila polysperma(ハイグロフィラ)、Cabomba aquatica(カボンバ)の様に速く成長する植物は、アヌビアスやクリプトコリネの仲間の様に成長が遅い植物よりも、基本的にはより多くの二酸化炭素を消費する。

化学的バランスのとれた炭素 - 炭酸塩の含有量
炭酸塩の含有量(炭酸塩硬度)と二酸化炭素濃度は、自然の河川より水槽内においてはるかに大きな役割を持つ。特にpH値は、水の炭酸塩硬度と二酸化炭素濃度によって決定される(表参照)。水槽は自然の河川にくらべて圧倒的に小さな環境の中に、様々な種・属の生物が比較的多く入れられており、さらにそれらの生物はそれぞれpH値や二酸化炭素量などに関して最適な領域が異なる。よって、いわゆる「黄金の中道」=中性付近のpHという条件の中で生存できるすべての生物に対しては、二酸化炭素供給量をコントロールすることで中性付近のpHを維持するという方法が勧められる。表7で記した二酸化炭素量の基準が例外的に当てはまらないのは、炭酸塩硬度が極端に低い時と、極端に高い時のみである。炭酸塩硬度やpH値、二酸化炭素の濃度を測定するための試薬や器具は、アクアショップで揃えることができる。

また、さらに別の要素が二酸化炭素の必要量を左右する。魚の数や水温、底床土の種類、水流の強さ、エサの量、水交換の頻度などがそれにあたる。

 

表:水槽における理想的なCO2(二酸化炭素)濃度

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