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「理想的な淡水水槽」 9.4.2. 二酸化炭素の供給


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

9.4.2. 二酸化炭素の供給


水槽に二酸化炭素(CO2)を供給する場合、それが水質を構成する一連の要素にどのような影響を与えるか考慮しなければならない。二酸化炭素は空気中ではほとんど失われることはないが、水中では話が異なる。二酸化炭素は水中では特に複雑な組織を構成し、水中植物はそこから以下のような様々な方法で二酸化炭素を摂取しているのである。


●水中にガス状に溶解した遊離二酸化炭素から
●炭酸(H2CO3)から
●炭酸水素カルシウム[Ca(HCO3)2]から
●他の陰イオンへのイオン交換過程にあるHCO3から
●炭酸イオン(CO3)から

上記の水草の二酸化炭素摂取方法から、陸上よりも水中の方が二酸化炭素供給に関して、質・量ともに多様性があることがはっきりとわかる。

水槽内の水草への二酸化炭素供給について理論的に考えようとするなら、水中における様々な炭素の形態を挙げることは確かに価値がある。水草のそう複雑ではない二酸化炭素吸収システムにとって、ガス状に溶解した二酸化炭素が最も有効に利用できる形態だということがわかるからだ。

水中の遊離二酸化炭素の量が減ってくるとすぐに、生物の脱石灰作用というプロセスが始まる。この過程において水草は、生命維持に必要な二酸化炭素量を確保するため重炭酸塩中の炭酸塩を取り出して吸収しようとする。水槽内においてこのプロセスにはpHの上昇が伴い、最終的には9~10もの高いpH値を示すことになる。速いか遅いかの違いはあるが、水槽内において、この現象は避けられない宿命的な結果なのである。

自然の河川では、大量の水の中にほんのわずかな量の水草しか生息していないが、我々が水槽内で観賞魚を飼育する場合には、たいていは比較的小さな水槽に多くの水草を入れている。

水槽内で育成される水草には、二酸化炭素摂取に関して様々な能力を持つものがあり、それぞれが適した方法で二酸化炭素を吸収している。例えばElodea canadensis(カナダモ)は、二酸化炭素の量が充分でない場合炭酸イオン(CO3)から炭素を取り出す(その結果水槽内のpHは上昇する)ことができるのに対し、Fontinalis antipyretica(クロカワゴケ=ウィローモス)は遊離二酸化炭素を使う能力しか持たない。水草は水中の二酸化炭素をめぐって激しく争うライバル関係にある。この争いの際に優位に立つのは、比較的高いpH値にも耐えることができる水草である。



水中の二酸化炭素含有値

青線=水流なし   赤線=水流あり


遊離二酸化炭素は空気中の二酸化炭素を利用してバランスを保つ。
つまり水中から空気中へ二酸化炭素を排出しているのである。
この調査では、水に動きがある場合の方が、動きがない場合に比べて
水中の二酸化炭素がより速く減少することを示している。
またこのグラフは、60ml/ℓの二酸化炭素がどのぐらいの時間で
水中から空気中へ移動するかについても示している。


 


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