----この映画って話題だよね。
なんと言っても宮崎駿を父に持つ宮崎吾郎が監督している。
「うん。しかも彼が第一回監督作品として選んだのが
『指輪物語』『ナルニア』と並び称されるファンタジー文学
『ゲド戦記』というんだから、嬉しいような悲しいような」
----なんで悲しいの?
「だってこの話、
やっぱり実写で観たかったという気もするじゃない。
でも、それって多分無理なんだろうな。
これまで数多くの映画化の話があったけど
原作者アーシュラ・K.ル=グウィンは拒否。
かつては宮崎駿も打診して断られたらしい」
----ふうん。それなのにどうして映画化されたの?
「『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞を受賞するなど、
世界の評価が高まり、
原作者の方から打診が舞い込んできたらしい」
----そうか、父と子の確執がいろいろささやかれたりもしたけど、
本当は宮崎駿が自分で映画化したかったんだ。
「まあ、そのあたりは宣伝的な意味での話題作りも多分にあるかもね。
それでも宮崎駿は
『「ゲド戦記」にはクロード・ロランの世界観が似合う』と漏らしたことがあって、
スタッフは、すぐさま彼の画集を手に入れたらしい」
----『ゲド戦記』って長いお話だけど、
どのあたりが描かれているの?
「どうやら3巻目が核になっているみたい。
ぼく自身、この本は取っ付きにくくて
まだ読んでないんだけど、
世界観も分かったし、やっと本気で読む気が出てきた。
ただ、物語を紹介しようとすると、
これが実にややこしいものになる。
その前にタイトル、ゲドの意味から。
ゲドというのはハイタカという魔法使いの<真の名>。
この世界では<真の名>を魔法使いに明かすと、
相手に支配されてしまう。
さて、世界の均衡が崩れ始めたことから、
その源を探る旅に出たハイタカの前に、
ひとりの少年が現れる。
少年はエンラッドの王子アレン。
父王を刺し、国を出た彼は『影』に追われていた。
アレンに若き日の自分を見たハイタカは、
彼とともにホート・タウンの街はずれ、
ハイタカの幼なじみテナーの家へ行く。
そこには親に捨てられた少女テルーも一緒に住んでいた。
だが、そんな彼らを魔法使いクモが狙う」
----ニャんだ。全然ややこしくないじゃない。
「う~~ん。さっきも話したように、これは第3巻目が軸になっている。
ここに出てくるハイタカ、テナー、そしてクモの間には、
かつて永遠の生命をめぐる壮大な戦いがあったようなんだ。
<生死両界の扉>なんて話も出てくるし…」
----うわあ、それってスゴそう。
「いや、ここでは言葉だけだけどね。
アレンは『影』に追われ、死ぬことを恐れている。
だがそれは『生きること』を恐れているということ。
ハイタカは言う。
『生には限りがある。人間はそれを知っているから素晴らしい』と。
そう、これは命の意味を問うた映画なんだ」
----子供にはちょっと難しそうだね。
「ただ、そんな深い意味まで考えなくても、
まったく飽きることなく観ることができる。
ハイタカとアレンが旅する廃墟の街、
そしてホート・タウン。
中世の町並みを思わせるその深みのある色合い、
苔むした石畳の上に影を作る樹々など、
よそのアニメがいくら頑張っても到底追いつかない」
----アクションもあるんでしょ?
確かドラゴンも出てくるよね。
「アクションの見せ方はさすがだね。
宮崎駿が影響を受けたというポール・グリモーの『王と鳥』。
宮崎駿はそれを引き合いに出し、
映画の中の<上昇の動き>の重要性を説いている。
宮崎吾郎はその映画を観てないらしいんだけど、
クライマックスのアレンとクモの戦いでは
その<上昇の動き>がきっちりと描かれている。
このあたりが他のファンタジー・アニメとはまったく違う点だろうね。
否が応でも手に汗握ってしまう」
----さすが父から子へDNAが受け継がれているってこと?
「ただ、最初の方はジブリというより
60年代の『東映まんが祭り』を思い出したね。
でも、ラストはやはりジブリ。
なかでも『耳をすませば』の感動に近いかも」
(byえいwithフォーン)
※こういう世界に行きたくなる度
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
なんと言っても宮崎駿を父に持つ宮崎吾郎が監督している。
「うん。しかも彼が第一回監督作品として選んだのが
『指輪物語』『ナルニア』と並び称されるファンタジー文学
『ゲド戦記』というんだから、嬉しいような悲しいような」
----なんで悲しいの?
「だってこの話、
やっぱり実写で観たかったという気もするじゃない。
でも、それって多分無理なんだろうな。
これまで数多くの映画化の話があったけど
原作者アーシュラ・K.ル=グウィンは拒否。
かつては宮崎駿も打診して断られたらしい」
----ふうん。それなのにどうして映画化されたの?
「『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞を受賞するなど、
世界の評価が高まり、
原作者の方から打診が舞い込んできたらしい」
----そうか、父と子の確執がいろいろささやかれたりもしたけど、
本当は宮崎駿が自分で映画化したかったんだ。
「まあ、そのあたりは宣伝的な意味での話題作りも多分にあるかもね。
それでも宮崎駿は
『「ゲド戦記」にはクロード・ロランの世界観が似合う』と漏らしたことがあって、
スタッフは、すぐさま彼の画集を手に入れたらしい」
----『ゲド戦記』って長いお話だけど、
どのあたりが描かれているの?
「どうやら3巻目が核になっているみたい。
ぼく自身、この本は取っ付きにくくて
まだ読んでないんだけど、
世界観も分かったし、やっと本気で読む気が出てきた。
ただ、物語を紹介しようとすると、
これが実にややこしいものになる。
その前にタイトル、ゲドの意味から。
ゲドというのはハイタカという魔法使いの<真の名>。
この世界では<真の名>を魔法使いに明かすと、
相手に支配されてしまう。
さて、世界の均衡が崩れ始めたことから、
その源を探る旅に出たハイタカの前に、
ひとりの少年が現れる。
少年はエンラッドの王子アレン。
父王を刺し、国を出た彼は『影』に追われていた。
アレンに若き日の自分を見たハイタカは、
彼とともにホート・タウンの街はずれ、
ハイタカの幼なじみテナーの家へ行く。
そこには親に捨てられた少女テルーも一緒に住んでいた。
だが、そんな彼らを魔法使いクモが狙う」
----ニャんだ。全然ややこしくないじゃない。
「う~~ん。さっきも話したように、これは第3巻目が軸になっている。
ここに出てくるハイタカ、テナー、そしてクモの間には、
かつて永遠の生命をめぐる壮大な戦いがあったようなんだ。
<生死両界の扉>なんて話も出てくるし…」
----うわあ、それってスゴそう。
「いや、ここでは言葉だけだけどね。
アレンは『影』に追われ、死ぬことを恐れている。
だがそれは『生きること』を恐れているということ。
ハイタカは言う。
『生には限りがある。人間はそれを知っているから素晴らしい』と。
そう、これは命の意味を問うた映画なんだ」
----子供にはちょっと難しそうだね。
「ただ、そんな深い意味まで考えなくても、
まったく飽きることなく観ることができる。
ハイタカとアレンが旅する廃墟の街、
そしてホート・タウン。
中世の町並みを思わせるその深みのある色合い、
苔むした石畳の上に影を作る樹々など、
よそのアニメがいくら頑張っても到底追いつかない」
----アクションもあるんでしょ?
確かドラゴンも出てくるよね。
「アクションの見せ方はさすがだね。
宮崎駿が影響を受けたというポール・グリモーの『王と鳥』。
宮崎駿はそれを引き合いに出し、
映画の中の<上昇の動き>の重要性を説いている。
宮崎吾郎はその映画を観てないらしいんだけど、
クライマックスのアレンとクモの戦いでは
その<上昇の動き>がきっちりと描かれている。
このあたりが他のファンタジー・アニメとはまったく違う点だろうね。
否が応でも手に汗握ってしまう」
----さすが父から子へDNAが受け継がれているってこと?
「ただ、最初の方はジブリというより
60年代の『東映まんが祭り』を思い出したね。
でも、ラストはやはりジブリ。
なかでも『耳をすませば』の感動に近いかも」
(byえいwithフォーン)
※こういう世界に行きたくなる度
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もう見たんですか。
これは期待したいような、心配なような、複雑な心境の映画です。
>原作者アーシュラ・K.ル=グウィンは拒否。
と言われていたんですが、昨年テレビ映画になっています。
私はまだ観てないんですが、途中から原作者を無視して製作が進められたらしく、その出来にル=グウィンは激怒してるらしいです。
映像メディアにはますます厳しくなるはずで、これがダメだったら二度と許可は出ないかも・・・
えいさんの記事を読むと、少なくとも酷い出来ではないようですね。
予告編から想像するに、原作の1~3巻をミックスしたような感じなのかな。
いずれにしても、ファンタジーファンとしては外せない映画で、楽しみになってきました。
この作品、私も2巻までしか読んでいないので、3巻も読もうという気持ちになりました。
有難うございます!!
>中世の町並みを思わせるその深みのある色合い、
苔むした石畳の上に影を作る樹々など、
よそのアニメがいくら頑張っても到底追いつかない
う~ん、いいですね楽しみになりました。
テレビ映画になっているんですか?
出来不出来は別にして、観てみたい気がします。
プレスを読んだ限りでは、第3巻が軸のようですが、
全巻を通して読みたくなる上がりでした。
でも、何人かの方からTBをいただいていて、
そちらを拝見すると
あまり評判よくないみたいですね。
■とらねこさん
あんまり大きな声では言えませんが、
ぼくは同じように
ドラゴンまで出てくるファンタジー・アニメなのに
『ブレイ○ストーリー』がまったく受け付けなくて…。
で、なぜだろうと、
(やってはいけないと思いつつも)
両者の比較をしてしまったわけです。
すると、やはり絵の書き込みにおける本気度、
そして演出力の違いを感じてしまったのでした。
原作のトーンなのか、監督がもとから持つ独自の雰囲気なのかはわかりませんが、全編に哀しさが溢れている感じがして、弾けるような宮崎駿作品とはまた違った、影の魅力みたいなものも感じました。次回作も楽しみです。
こんばんは。
この歌、いいですよね。
ただ、後で作詞が監督自身の手によるものだったことを知って、
あのシーンでこの歌を聴いたアレンが
涙を流すというのは、
はてさてどうなんだろうと思ってしまいました。
あぁ酷かった。。。
この映画、厳しい批評が多いですね。
そえだけ、ジブリ作品に対しては
期待値が高いと言うことでしょうか?
ぼくは、映画はまず楽しめればOKなので、
『ブレイブストーリー』よりは
高得点でした。
えいさんの仰る様に、三次元の空間演出などに素晴しい物はあったのですが、やはり脚本が・・・
全てを台詞で語っちゃってるのと、辻褄が合わないことが山ほどある物語的な荒さですねえ。
宮崎吾朗はやはり経験不足を感じました。
逆に言えばジブリでなければ、もっとメタメタな仕上がりになってしまったのかもしれません。
どちらかというと技術的な事ですから、これを糧にして次でより良いものが出来れば良いのですが。
しかし先週観た「時をかける少女」の出来を観ると、ジブリにとって細田守は、先々を考えると逃がした魚は大きかった・・って事になるんじゃないかなと思います。
この映画、厳しい評が多いですね。
ジブリが背負う宿命でしょうか?
ノラネコさんが書かれていること、
(特に辻褄の合わなさなど)
まさにそのとおりだと思うのですが、
それでも一気に最後まで見せてくれたので
ぼくは「よし」としました。
もちろん
『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』といった
泣ける映画からすれば、
メッセージが先に出た頭でっかちの作品には違いないのですが……。
ただ。同じ異世界ものでも欠伸が止まらなかった
『ブレイブストーリー』を先に観ていたため
点数が甘くなった点も否めません。
この両者の違いはなんなのかと…。
このあたりをまじめに追求したら
映画の持つ魅力のダイナミズムに迫れると言う気もするのですが…。
原作を読みたくなってしまったので、猫的にはありな映画だったようです。
竜の飛翔シーンなんかはやっぱり凄いし、背景の描写の色調も
その細かさも・・・さすがって思いましたけど
テルーの唄を核とした紙芝居のように思えてしまったのも
確かなのよね^^;キライじゃないけど、中盤あたりまでは
集中力ないと寝ちゃったかも(笑)
隣に座ってた3歳くらいの男の子が、見事にバロメーターーに
なってたような気がします。
うん、確かにブレイブより、ありかなぁ~(笑)こっちのほうが