----この映画知っているよ。今年のカンヌのパルム・ドール受賞作でしょ。
「そう、監督がベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟。
本作の受賞でコッポラ、ビレ・アウグスト、今村昌平、
そしてクストリッツァしか成し遂げていない
<パルムドール大賞2度受賞監督>の仲間入りを果たしたんだ」
----この監督って社会派のイメージがあるけど、今度もそうなの?
「うん。久しぶりにこの言葉を使わせてもらうけど、
物語はきわめてシンプル。そしてメッセージはダイレクト。
プレスに巧くまとめてあるので、ストーリーはそこから借用しよう。
『20歳のプリュノ。定職には就かず、仲間とともに盗みを働いて、
その日暮らしをしている。
恋人はソニア、18歳。ふたりの愛は、まるでじゃれあう子犬のようだ。
ある日、ふたりの間には子供ができる。
だが、ブリュノにはまったく実感がない。
盗んだカメラを売りさばくように、ブリュノは子供を売る。
それを知ったソニアはショックのあまり倒れ、
ブリュノはそのときになって初めて自分が冒した過ちに気づくのだが…』」
----ありゃ、ホント暗い。社会派映画の代名詞って感じだ。ついていけた?
「うん。映画そのものがサスペンスフルだったからね」
----えっ、それってどういうこと?。
「トップ・シーンが生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて階段を上がるソニア。
これがいかにも危なっかしい。大通りに出れば彼女の前を車が行き交う。
ここでは意図的に騒音を大きくし、観る者の不安をかき立てる」
----ニャるほど。それじゃ赤ちゃんも大変だ。
「うん、この赤ちゃんジミー役には、なんと21人もクレジットされている。
慎重にも慎重を期して撮影したんだろうけど、それでも観ていてハラハラだった」
----それじゃタイトルの意味は、
生まれた時から受難に満ちた人生を送っているこの赤ちゃんのこと?
「いや、それもあるとは思うけど、
観てすぐ気づくのは、この<子供>がブリュノのことも意味しているってこと。
これまで青春映画と言えば、
一生懸命がんばっているけど、社会の壁にぶち当たったり、
罠に落ちたり、裏目に出たりで巧くいかないという描き方が多かった。
しかし、このブリュノははっきり言って無知。
働きたくはない、つまりは<大人>になりたくないし、
やることなすこと場当たり的でドジばかり踏む」
----その言い方、身も蓋もないニャあ。
「うん。たとえば、スクーターでひったくりをするシーンがあるんだけど、
見つかって車に追われてしまう。
ところがスクーターが立ち往生すると、そこに置いて逃げてしまう。
そこからすぐ足がつくとか考えないのかなと思ったね。
さらには、近くまで追っ手が迫ったら、
年端もいかない部下の少年と寒い川に入り身を潜める。
案の定、少年は体に変調をきたしてしまう。
この辺りは観ていて、ただただ辛かった」
----車とバイクのチェイスなんてあるんだ?
「これはリアルだったね。ハリウッドの“ありえねえ~”チェイスとは大違い。
ドラマがしっかり撮れる監督は、こういうアクションも撮れるんだと感心」
---でも、この監督兄弟だよね?どう住み分けてるの?
「撮影中は、ひとりが役者のそばにいて、
もうひとりがモニターのそばに。
シーンによってその位置を交換するらしい。
もちろんふたりで徹底的に意見を交換した後にね」
----でも、こういう映画って日本で受けるのかなあ?
「難しいけど、多くの人に観てほしい気がする。
ベルギーでは若年層の失業率が20%なんだって。
日本では失業の捉え方が違うから数字はここまでいかないけど、
ニートや引きこもりと呼ばれる人増えてるよね。
でも彼らの両親が現役引退する年になったらどうするんだろう?
そう考えたら、これはベルギーだけの問題じゃなくなってくる。
この映画では、あまりに身勝手な言動を行い、
その結果として厳しい残酷な事態に直面した若者が、
それでも最後に、ある道を自ら選択する。
そこにかすかな希望が見えるけど、
問題の本質的な解決にはほど遠い気がするな」
(byえいwithフォーン)
※こんな人にオススメだ度
社会派映画が好きな人
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「そう、監督がベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟。
本作の受賞でコッポラ、ビレ・アウグスト、今村昌平、
そしてクストリッツァしか成し遂げていない
<パルムドール大賞2度受賞監督>の仲間入りを果たしたんだ」
----この監督って社会派のイメージがあるけど、今度もそうなの?
「うん。久しぶりにこの言葉を使わせてもらうけど、
物語はきわめてシンプル。そしてメッセージはダイレクト。
プレスに巧くまとめてあるので、ストーリーはそこから借用しよう。
『20歳のプリュノ。定職には就かず、仲間とともに盗みを働いて、
その日暮らしをしている。
恋人はソニア、18歳。ふたりの愛は、まるでじゃれあう子犬のようだ。
ある日、ふたりの間には子供ができる。
だが、ブリュノにはまったく実感がない。
盗んだカメラを売りさばくように、ブリュノは子供を売る。
それを知ったソニアはショックのあまり倒れ、
ブリュノはそのときになって初めて自分が冒した過ちに気づくのだが…』」
----ありゃ、ホント暗い。社会派映画の代名詞って感じだ。ついていけた?
「うん。映画そのものがサスペンスフルだったからね」
----えっ、それってどういうこと?。
「トップ・シーンが生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて階段を上がるソニア。
これがいかにも危なっかしい。大通りに出れば彼女の前を車が行き交う。
ここでは意図的に騒音を大きくし、観る者の不安をかき立てる」
----ニャるほど。それじゃ赤ちゃんも大変だ。
「うん、この赤ちゃんジミー役には、なんと21人もクレジットされている。
慎重にも慎重を期して撮影したんだろうけど、それでも観ていてハラハラだった」
----それじゃタイトルの意味は、
生まれた時から受難に満ちた人生を送っているこの赤ちゃんのこと?
「いや、それもあるとは思うけど、
観てすぐ気づくのは、この<子供>がブリュノのことも意味しているってこと。
これまで青春映画と言えば、
一生懸命がんばっているけど、社会の壁にぶち当たったり、
罠に落ちたり、裏目に出たりで巧くいかないという描き方が多かった。
しかし、このブリュノははっきり言って無知。
働きたくはない、つまりは<大人>になりたくないし、
やることなすこと場当たり的でドジばかり踏む」
----その言い方、身も蓋もないニャあ。
「うん。たとえば、スクーターでひったくりをするシーンがあるんだけど、
見つかって車に追われてしまう。
ところがスクーターが立ち往生すると、そこに置いて逃げてしまう。
そこからすぐ足がつくとか考えないのかなと思ったね。
さらには、近くまで追っ手が迫ったら、
年端もいかない部下の少年と寒い川に入り身を潜める。
案の定、少年は体に変調をきたしてしまう。
この辺りは観ていて、ただただ辛かった」
----車とバイクのチェイスなんてあるんだ?
「これはリアルだったね。ハリウッドの“ありえねえ~”チェイスとは大違い。
ドラマがしっかり撮れる監督は、こういうアクションも撮れるんだと感心」
---でも、この監督兄弟だよね?どう住み分けてるの?
「撮影中は、ひとりが役者のそばにいて、
もうひとりがモニターのそばに。
シーンによってその位置を交換するらしい。
もちろんふたりで徹底的に意見を交換した後にね」
----でも、こういう映画って日本で受けるのかなあ?
「難しいけど、多くの人に観てほしい気がする。
ベルギーでは若年層の失業率が20%なんだって。
日本では失業の捉え方が違うから数字はここまでいかないけど、
ニートや引きこもりと呼ばれる人増えてるよね。
でも彼らの両親が現役引退する年になったらどうするんだろう?
そう考えたら、これはベルギーだけの問題じゃなくなってくる。
この映画では、あまりに身勝手な言動を行い、
その結果として厳しい残酷な事態に直面した若者が、
それでも最後に、ある道を自ら選択する。
そこにかすかな希望が見えるけど、
問題の本質的な解決にはほど遠い気がするな」
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彼が「観たい」と思っている映画だと。
このことは、自分にとっては、ちょっとしたセンセーションでした>親ばか。。。
もちろん、是が非でも観ようと決めています。>来年になるのですね、公開。忘れそうで怖い…。
いつ公開されるのかなぁ、と思っていたのですが、さすがにパルムドール獲ると日本公開も割とはやいのですねぇ。
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この映画、本文では書き忘れましたが、
いわゆる<映画音楽>が使われていなかった気がします。
そのような作品に、
音楽をやってられるご子息が関心を持たれたというのが
また興味深いですね。
■ころりさん
そうですね。
この映画、来年公開になるみたい。
しかしパルム・ドールも渋いなあ。
昨日、宣伝の方からうかがった情報によりますと、
『ある子供』は12月上旬の公開だそうです。
呆気に取られました。
渋いですよね~この作品。ホントに。
ソニアの「出て行け!」の叫びが怖かった。
ではまた!
あのソニアの叫びは、
その厳しさに
逆に救われた気もします。
今の日本だったら
夫と一緒に子供を売っちゃうような
映画になってしまう気がします。
ついにご覧になったんですね。
あのカーチェイス(?)は
ハリウッドでは出せないリアルさですよね。
これからもよろしくお願いします。