真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「義父と嫁 夫の目を盗んで…」(1998『嫁の告白 凄い!義父さんの指使ひ』の2005年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/脚本・監督:伊藤正治/企画:稲山悌二⦅エクセスフィルム⦆/プロデューサー:伍代俊介/撮影:佐藤文男/照明:藤塚正行/助監督:羽生研司/製作担当:真弓学/撮影助手:鏡早智・西村友宏/照明助手:高橋理之/監督助手:小谷内郁代/ヘアメイク:松本貴恵子/スチール:本田あきら/編集:金子尚樹⦅フィルムクラフト⦆/現像:東映化学/録音:シネキャビン/効果:東京スクリーンサービス/出演:佐久間百合子・吉行由実・麻生みゅう・久須美欽一・山本清彦・田原政人)。
 貴子(佐久間)の夫・隆一郎が交通事故で急逝して早二年。貴子は隆一郎の親友・杉田正人(山本)と現在は交際してをり、そろそろ杉田からは再婚を迫られつつ、未だ夫の家の茅野家から籍を抜かずにゐた。義父である作家の総一郎(久須美)に、密かに想ひを寄せてゐたからである。
 麻生みゅうは貴子の義妹・彩香、度々隆一郎と喧嘩をしては、貴子の家にプチ家出して来る。今回はテレクラで男を漁り、進藤純一(田原)を名前も知らぬまゝ貴子の家に連れ込み、恣なセックスに耽る。も、実は以前から杉田のことが好きだつた。なかなか自分との結婚に踏み込んで呉れない貴子に悩む杉田の姿に、彩香は胸を痛める。吉行由実は、杉田、と貴子も常連のパブ「モンシェリ」のママ・小谷美里。美里も実は杉田に好意を持ち、貴子にやきもきする杉田を見かね、自らに乗り換へるやう口説く。
 週末観に行つた際には、極限にまで集積した肉体的疲労に屈し、三本立てを二周してもどうしても途中で寝てしまひ、最後まで観ること叶はなかつたものである。三本立てを二周、そんな真似を仕出かしてゐるから、ますます火に油が注がれるのはいふまでもなからう。ところが、体調に余裕のある機を見計らひ再見してみたところ、高橋留美子マンガもかくや、と思はれるほど真つ直ぐな恋愛映画であつた。互ひに道ならぬ想ひを寄せ合ふ貴子と総一郎、肉体関係を持ちながらも、そんな貴子に振り回される杉田。更に苦しむ杉田の様子に、心締めつけられる彩香と美里。これはロケ地は何処なのか、気合を入れて雪が降り積もる冬の街を舞台に、丁寧に描かれた五人の恋心も舞ひ踊る。濡れ場も物語に完全に齟齬なく回収された、極めて良心的な一作、美しい佳作である。
 ジス・イズ・ア・和製美人、主演の佐久間百合子は、残念ながらピンクではこの一本きりしか仕事をしてゐない模様。微妙に芝居勘もよく、どんな女優さんなのかと調べてみようと試みたところ、現在では同名のグラビアアイドルがデビューしてしまつてゐて、如何せん手も足も出なかつた。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 女刑務官 牝私刑 熟女・発情 ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。