真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「美人妻覚醒 破られた貞操」(2016/制作:関根プロダクション/提供:オーピー映画/脚本・監督:関根和美/撮影:下元哲/照明:代田橋男/助監督:加藤義一/編集:有馬潜/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:榎本靖/録音:シネキャビン/スチール:小櫃亘弘/選曲:山田案山子/仕上げ:東映ラボ・テック/効果:東京スクリーンサービス/出演:水稀みり・玉城マイ・緒川凛・津田篤・山本宗介・SHIN・なかみつせいじ・竹本泰志)。出演者中、SHINは本篇クレジットのみ。それと前作に引き続き、東スクが東ラボよりも後に来る謎位置が、この期に及んで目新しい。
 引越し荷物の未だ片付かないマンションの一室、北島あおい(水稀)が台所で洗ひもの。ベンチャー企業社長の夫・海斗(津田)との、海外ぽい新婚旅行のスナップ噛ませて、劇伴が鳴り始めるや昨夜の夫婦生活回想。海斗が戯れに持ち出したローターを、あおいは拒む。一週間の海外出張に向かふ海斗を送り出し、洗ひものに戻るあおいの後姿に重なるタイトル・イン。強迫的にゴミ出しに難癖をつけるファースト・カットは別に不要なやうにも思へつつ、あおいは隣人のマンション自治会長・寺田芳江(緒川)に、芳江のデイトレーダーの夫・正之(竹本)も交へてのディナーに招かれる。ワインに轟沈、寝落ちたあおいが目覚めると、芳江と正之は色んな意味で重量級の一戦の真最中。誘き寄せられるやうに覗いてみたあおいを、芳江が捕獲、あおいは二人に嬲られる。ところがあおいが再び目覚めたのは、自室のベッドの上。寺田家での一幕は、果たして実際に起こつた出来事なのかはたまた淫夢の類に過ぎないのか。出先から送られて来るLINEでは海斗に芳江との交際を勧められる一方、あおいは桃色方面に虚実が混濁する心身の不調に苦しむ。
 配役一部残り玉城マイは、あおいとは職場に入つて来た派遣といふ形で出会つた、海斗の妹・さやか。当然、さやかが兄貴をあおいに紹介したのが、二人の馴初め。玉城マイ自身に話を戻すと初参戦した加藤義一2015年第三作「絶頂家族 愛人だらけ」(脚本:後藤大輔/主演:めぐり)、実質三番手で何気な輝きを放つた俊英の再ピンクには大いに期待したものの、今回は目立つた戦果を残せず。山本宗介は、さやかの夫・前川樹。遣り取りが微妙に判別し難いが海斗の同級生か後輩で、海斗の会社には起業時より参加、目下は“片腕”と無頓着に連呼される副社長。なかみつせいじは前川に乞はれあおいが御馴染「アラン・ド」で落ち合ふ、さやかを喰ひ物にする街金業者とかいふ原口純一郎。徹頭徹尾単なるそこら辺の好色漢にしか見えない原口の造形は、後述する巧みに大化けする竹本泰志と対比すると尚更、結果論的には粗雑に映る決して小さくはない穴。
 関根和美の愛妻・亜希いずみの連続加勢は三作で途切れた、2016年関根和美、最終なのに僅か第二作。当サイト―恐らく―最後の悲願、ハンドレッド・関根和美は矢張り結構高い壁なのか。ルックスは昭和だがいいオッパイの主演女優を擁し、ヒロインがお隣にセクシュアルに苛まされる物語は、2011年第三作「援交強要 堕ちた人妻」(金沢勇大との共同脚本/主演:水沢真樹)に似た一作か、あるいは開巻のジョイトイ忌避を想起するに、最後にやらかすけれど川井健二名義の1995年第二作「ザ・夫婦交換 隣の若妻の味」(森満康巳との共同脚本/主演:浅野桃里)なり、吉行由実2015年第二作の革命的女子トークピンク「お昼の猥談 若妻の異常な性体験」(主演:奥田咲)といつた、性的に晩熟な新妻が一皮剝かれる定番作かと、一旦は思ひきや。芳江は特に理由もなく正之秘蔵のワインを、海斗は父親の遺言だとか訳の判らん方便で青汁を共々飲むことを拒み、あおいのみがそれらを摂取する。デジタル時代に突入し十分延びた尺を丁寧に使ひ、案外外堀は十全に埋められてゐなくもない、にせよ。黒服に装ひを変へ表情もソリッドに一変させた竹本泰志の突破力頼みで、出し抜けに撃ち抜かれる衝撃だか豪快な大風呂敷には度肝を抜かれた。トムとジェリー風に顎が地面に着くまで口は塞がらず、腰骨は原子レベルに砕かれる。映画全体の粒が極微であるだけに、一見ポカーンとかサラッと通り過ぎがちになつてしまひかねないのやも知れないが、大ッ概な破壊力。関名和美が、久し振りに本格的にやらかして呉れやがつた。深澤浩子とのコンビで何もないところで安定してゐる加藤義一や、全体この御仁は大丈夫なのかと荒木太郎が心配にすらなつて来る問題作を捻じ伏せ、2016年裏ランキングの最有力候補に躍り出る怪作である、愉快の快作でもいい。

 改めて本当に配役残りラストに飛び込んで来るSHINは、街頭ベンチでデイトレードの入門書を読んでゐたところ、俄かに起動したあおいから迫られ恐れをなして逃げる初老のサラリーマン。それ、

 戻してやらんのか

 といふのが、如何にも関根和美らしい無造作さで放置される巨大なツッコミ処。

 もうひとつ、あおいが芳江からダイエットに効果的とお裾分けされた青汁を、海斗に報告する件。一笑に付す海斗が投げた“信憑性w”の一言は、関根和美がさりげなく内角を抉つたキラーワード。
 衝撃の大風呂敷< ビリング順にさやか・芳江・海斗・樹・正之は全員秘密工作機関(笑)のメンバーで、海斗が打つた下手で全員に及んだ命の危機を回避すべく、次期首相候補の原口を失脚させる蜜罠にあおいを仕立てあげる


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