真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「淫乱なる一族 第一章 痴人たちの戯れ」(2004/制作:セメントマッチ/配給:新東宝映画/監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/企画:福俵満/撮影:清水正二/編集:酒井正次/音楽:大場一魅/助監督:佐藤吏/監督助手:氏家とわ子・茂木孝幸/撮影助手:岡部雄二・前田賢一/スチール:山本千里/ネガ編集:フィルムクラフト/録音:シネキャビン/現像:東映ラボ・テック/出演:矢崎茜・酒井あずさ・山口玲子・牧村耕次・華沢レモン・本多菊次朗・神戸顕一・しのざきさとみ・梅沢身知子・小川隆史・田中サブロー・モテギタカユキ・平川直大)。
 「僕は、結婚したかつた」、四年付き合つた彼女と別れて半年、当人いはく途轍もない寂しさに耐へかねたサラリーマンの一ノ瀬たかし(平川)は、取引先も交へた合コンに人生初めてで参加する。場慣れぬたかしに声をかけて来た、社長令嬢の山崎涼子(矢崎)とたかしが話に花を咲かせてゐると、話の腰をヘシ折らんばかりの勢ひで、たかしを間に挟んで涼子と逆隣の三好さくら(山口)が出し抜けな自己紹介で割つて入つて来る。幾ら合コンとはいへ、流石にザックリ、あるいはザクザクに過ぎる。とまれ“タイプが全く違ふけれども両方ともタイプ”とたかしはときめく、節操の欠片もない男ではある。酔つたフリしてたかしをサシの状況に持ち込まうとした、さくら常套の手洗ひ作戦を阻止した涼子は、たかしを別の店に誘ふ。生ひ立ち諸々たかしを知りたいと涼子が怪しげに投げると、フォントも処理も下品なタイトル・イン。アバンで御役御免の神戸顕一と梅沢身知子からモテギタカユキ(当然イコール茂木孝幸、田中サブローは田中康文)までは、居酒屋のその他要員。手前のテーブルに見切れる、パッと見今野元志に見えるのは誰?
 タイトル明けるとたかしと涼子はディープ・キス、そのまゝサクサク絡み、半年後に二人は結婚する。ミサトニックな山崎邸にたかしは同居、山崎家の成員は輸入会社を経営する涼子の父・順三(牧村)と、順三の三人目の後妻・ますみ(酒井)に、涼子の腹違ひの妹だけれども暫くたかしとは顔を合はせない、レオナルド・ディカプリオの写真と花々に埋め尽くされた部屋に引きこもる美奈(華沢)。順三とますみの、見るから腹に一物含んでゐさうなファースト・カット。順三のといふか恐らく牧村耕次私物の、襟にまで英字プリントが施されたドレスシャツが頭がクラクラ来さうな凄まじいセンスを爆裂させる。ところでデビュー当初、未だ表情に硬さを窺はせなくもない華沢レモン扮する美奈とたかしのミーツ。鼻歌と顔を照らす水面の反射光に気づいたたかしが庭に出てみると、美奈が水のないプールの底で人形を乗せた乳母車を押したり引いたりしてゐた。斯様に奇怪なシチュエーションにも関らず、初対面の美奈にたかしが普通に爽やかに自己紹介してみせる―依然一ノ瀬を名乗るので、入り婿ではないみたい―のも大概素頓狂なシークエンスである以前に、そもそもたかしを照らしてゐたのは全体何の光なんだ
 配役残り、後述する第二章共々遺影役のしのざきさとみは、息子共々ますみの勧めで二億の生命保険に入つた直後、不自然な転落死を遂げるたかし母。因みにその写真は二年後の田中康文デビュー作に於いても使用したのと同じ品、宣材か。キメッキメの男前で三枚目の変態を怪演する本多菊次朗は、順三の部下・徳永、何故だか各種資料には高橋とある。
 池島ゆたか2004年第二作は、二ヶ月後公開の次作「淫乱なる一族 第二章 絶倫の果てに」(主演:山口玲子)と対をなす一作。要は冒頭の合コンでたかしが涼子とさくらのどちらを捕まへるだか捕まるかで、何れにせよ酷い目に遭ふ。五年前の「痴漢電車 開いて濡らす」(1999/主演:水原かなえ)同様、「スライディング・ドア」(1998)とかいふ洋画の翻案らしいが、さういふことは俺は知らん。
 四番手にして華沢レモンが大股開きまでは義兄に披露しておいて、以降の顛末は豪快にスッ飛ばしてのける雑な繋ぎなり、レオ様を神と仰ぐ美奈のみならず、カラスとハトを正しく病的に恐れる順三のいはゆる電波系造形の清々しい藪蛇具合。所々に穴が開きつつ、重ねて精々怪しげではあつても決して妖しくはない主演女優も、そこはかとなくエクセスライクなスメルを漂はせる。第一章と二章を単純に比べてみた感想としては、山口玲子が豪快な濡れ場の牽引力で満開のピンク映画らしいピンク映画を咲き誇らせる第二章の方が断然優れてゐるともいへ、第一章も第一章でたかしが洒落にならない地獄に叩き落される案外ハードな展開は、二章との対比で逆に映える。各々単品でも完全に完結する趣向は、気紛れに小屋の敷居を跨ぐ観客の存在を当然想定して然るべき量産型娯楽映画的に実に麗しく、主人公の―といふかある意味標準的な―無節操さをも上手く開巻の分岐に盛り込んだ、スマートで秀逸な二部作である。

 順にますみと涼子が足を運ばずにスーッとたかしに近づく、細山智明をパクッた演出のほかに一点目を引いたのが、背後の幽霊に気づかない志村感覚で迂闊なたかしに、ますみは生命保険を勧める。酒井あずさが如何にも、あるいは軽やかな胡散臭さを表現するメソッドに覚えた既視感の、源は杉原みさお。積もつて山になるでもなく撮つては捨て撮つては捨てられて行くポップ・カルチャーの極北の中で、杉原みさおが人知れず残してゐた功績なり痕跡に触れた際には、少しだけグッと来た。
 締めはクソの話、結構リアルな脱糞描写は、何気に新東宝がよく首を縦に振つたやうな気がする。


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 「痴漢 痴漢 痴漢」(昭和57/製作・配給:新東宝映画/監督:伊豆洋/撮影:西川卓磨/照明:石井明/編集:酒井正次/監督補:石部肇/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:杉佳代子・長谷圭子・島本優・にしき香・田口あゆみ・螢雪次郎・西中清・伊藤猛・富士光男・関たかし)。石部肇が演出部に入つてゐるのは初めて見た。
 夜の公園、青姦するカップル。女優部が島本優かにしき香といふのは兎も角、大問題なのが―外見による消去法で―最終的に男は伊藤猛しか名前が残らない。単なる同姓同名でない伊藤猛だとするとjmdbの記載を五年も遡る、当時二十歳の仕事となる訳だが遠くて暗くて識別不能。ただどちらに張るかと問はれるならば、背格好から違ふ気はする。一方茂みに潜んで、二人の様子を覗く螢雪次郎。螢雪次郎が中央にハート状に何かを塗つたサングラスを装着すると、暗闇の中もよく見えるやうになり、真正面に向かつて大股開いたパンティから飛び出す形でタイトル・イン。恐らくビデオ仕様の端折られたクレジットは脚本を通り過ぎ、朗ではなく螢雪次郎も一応クレジットまゝ。
 本篇インは、今夜こそと観音様に香水を振る杉佳代子。眼鏡に塗ると暗視効果を発揮する乳剤の開発に今日も帰りの遅い夫の井上和夫(螢)に、結婚五年目にして十日のレスに堪へかねた妻の美子(杉)はザクザク迫る。一旦は拒みかけつつ、和夫が容易く陥落する格好の夫婦生活。美子が旦那に尺八を吹き始めるや、尺八が鳴り始める画期的にポップな選曲には感動した。中途で奥多摩の山の中にカット移り、現存する旅館「玉翠荘」。斯様にクッソ古いピンクを見るなり観てゐて、実名登場する物件が今なほ現存してゐると、柄にもなく何となくホッコリする。帰宅した際美子には難航してゐる風も窺はせながらも、実際には開巻に於いて既に効果を発揮してゐるやうに、赤外線乳液はひとまづ完成してゐる。リフレッシュ的な出張で玉翠荘に逗留する和夫は、河原で軽く開戦するカップル・春子(長谷)とノブオ(ビリング推定で西中清)を目撃。山小屋に移行した二人を和夫も追走、赤外線乳液を塗つたサングラス―何故サングラスなのかは、恐らく普通の眼鏡では何かを塗つてゐることが判り辛いからか―で屋内の覗きに垂涎しつつ、窓から落ちて退散する。その夜和夫が部屋でウダウダしてゐると、処女を奪つた旧知であると春子が訪ねて来る。
 春子があれよあれよと膳を据ゑる一夜明け、会社から所在を聞いた和夫を追ひ、美子も奥多摩に入る。配役残りにしき香か島本優と富士光男か関たかし―この辺り、後述する田口あゆみを考慮に入れると登場順即ビリングでいいのかなあ?―は、ドライブ中脇道で一服するかとした和夫と美子が、遭遇する結婚間近でカーセックス中のカップル・フミコとタツオ。フミコV.S.タツオ戦も適当に経たのち矢継ぎ早に濡れ場を連ねる―当たり前だが凄く若い―田口あゆみと関たかしか富士光男は、和夫がここは裸眼で風呂を覗く、劇中台詞ママで女学生と土方。因みに、関たかしには九年後の1991年、「愛染恭子 in 沖縄 本番快感ツアー」(脚本:夏季忍=久須美欽一/撮影:西川卓)なるぞんざいな公開題の監督作があるらしい。
 DMMをブラブラしてゐて辿り着いた、如何にも変名臭い伊豆洋唯一作。「痴漢 痴漢 痴漢」だなどと、ザックリするにもほどがあるのか、プリミティブがグルッと一周したその先の地平を目指したものなのかよく判らないタイトルの一作。暗視乳剤と結構な秘密道具感も迸らせるギミックを持ち出しておいて、たとへば諸々の勢力が争奪戦のひとつやふたつ繰り広げる、といつた方向に話が膨らむでは欠片もなく。とりあへず乳剤グラサンをかけると暗がりの中もよく見えますよといふ方便で、クッキリ照明を当てた女の裸をしつかり見せるに終始する、ある種の穏やかささへ錯覚しかねない安寧な裸映画。取つてつけたとでもしかいひやうがないオチが無理からケリをつける始終からは、伊豆洋の正体を探らうにも時期的な障壁に阻まれる以前に、そもそも取つかゝりらしい取つかゝりが見当たらない。
 事の真相< 春子withノブオは美子が和夫を元気づけるために雇つた飛び道具


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 「ロリータ いけない戯れ」(昭和59/製作:小川企画プロダクション/配給:大蔵映画株式会社/監督:小川和久/撮影:柳田友貴/照明:内田清/編集:金子編集室/助監督:細山智明/音楽:OK企画/脚本:水谷一二三/演出助手:石崎雅幸・羽山陽子/撮影助手:古谷巧/照明助手:山田隆/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/現像:東映化学/出演:伊藤清美・大島ありす・佐原裕子・武藤樹一郎・久須美欽一・川倉慶三・三条まゆみ)。恐ろしく中途半端な位置にクレジットされる脚本の水谷一二三は、小川和久(現:欽也)の変名。
 原宿駅の駅舎にビートの利いた劇伴起動、竹の子族を捉へた画にタイトル入るまでが八秒、文字通り秒殺の開巻が鮮やかに決まる。クレジットに連動して雑踏の中に伊藤清美登場、ナンパ師の大学生・マスオ(川倉)に声をかけられた女子高生のマコ(伊藤)が、待ち合はせをしてゐると断ると一旦マスオは潔く退く。合流した同級生のサトミ(佐原裕子/一番可愛いのに濡れ場レス)は、男を知らないマコに家庭教師とのニャンニャン自慢。一応お断り申し上げておくと、この期に性交渉を称して“ニャンニャン”といふのは、あくまで劇中使用される用語、ないしは当時の風俗に従つたものに過ぎない。サトミに渡された、家庭教師との淫行を録音したテープ―何を考へてゐるのか判らないほどにフランクである―を姉のウォークマンで聞いてみたマコがオナニーに耽つてゐると、当のOLの姉・ユリ(三条)が、恋人の川合(武藤)を連れ込み帰宅。妹が部屋に潜んでゐるのも知らず、奔放にオッ始める。サトミは家庭教師とニャンニャンしてゐるにも関らず、自分は未だバージン。姐さんも姉さんでとあれやこれやにくさくさして原宿に行つたマコは、再会したマスオに再び声をかけられるや部屋までホイホイついて行く。
 さうでないと物語が進行しないともいへ、マスオが一度オトした女には棹の先も乾かぬ内に金を無心する、清々しいダニ野郎。配役残り久須美欽一は、呑むマコもマコなのだが、あらうことかマスオが捕まへてマコに取らせる客・立花。大島ありすは、マコ基準でマスオ最低二股相手のトルコ嬢・美沙。シックスナインの、引き締まつた背中から入るファースト・カット、小ぶりながら形のいいオッパイ経由で辿り着いた面相がいかりや長介ソックリなのは、ある意味的確なカメラ・ワークだと感心した。
 大雑把には前世紀末までの二十余年が和久時代、目下も伊豆映画の巨匠として健在ぶりを誇る小川欽也の、和久名義による昭和59年最終第十作。今後オーピーが新たなる弾を投入して呉れれば―小屋ならばなほさら―大歓喜するところなのだが、現状、DMMで見られる今上御大最古作にあたる。と筆を滑らせかけて、姿良三名義の「谷ナオミ しびれる」(昭和53/脚本:神田明夫/主演は勿論谷ナオミ)が入つてゐるのを思ひだした。映画の中身に入る前に、トメに座るは昭和55年から八年間大蔵に専属し、殊にこの頃の小川組には出てゐないことがあるのかとすら思はせる、昭和のビッグスター・三条まゆみ。といつてほぼ初見の三条まゆみの、三十年越しの節穴を通した印象はといふと甚だ申し訳ないが華が欠片も見当たらず、さういふいはゆる“隣のお姉さん”的な風情がウケたのかも知れないが、この人が築いた、あるいは小屋に客を呼んだ時代は正直全然ピンとは来なかつた。
 改めて見てみると若い頃から結構出来上がつてゐた伊藤清美も伊藤清美で、アイドル的人気を博してゐた歴史に対しては矢張り理解に難くもありつつ、これ以上無駄に敵を増やす与太はさて措き、女子高生がナンパされた大学生に客を取らされる。結構どころか大概シリアスな状況にも思へるものの、三度目のセックスにして覚えの異常に早いマコは、立花からマスオに支払つた金額とは別に小遣ひも貰ふとケロッと御満悦。ここで呆れるなりツッコミを入れるのはまだ早計、もしくはこれでも早計。三番手の絡みを通してマスオに幻滅したマコが、無断外泊を繰り返す一時的な不良状態から更生するのはそれなりに手堅い落とし処かと思ひきや、問題は依然四分の一残す尺。例によつて原宿にて再会した立花に、マコが監禁されるに至る出し抜けにエクストリームな終盤には度肝を抜かれたが、斯様な展開に突入してさへ暗くならない曲芸じみたドラマツルギーにはなほ驚いた、これこそ正しく逆に凄い。立花宅を適当に脱出したマコが達する結論が、“世の中には色んな人がゐるんだなあ”だなどとどうでもよさがイエローストーンの間欠泉の如く迸るラストの今と全く変らない底の抜けた大らかさは、小川欽也が早くに完成されてゐた事実を物語る。コラコラ誰だ、要はまるで進歩してゐないんだなとかいつてゐるのは。


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 「恋するオヤジ ビンビンなお留守番」(2015/製作:セメントマッチ/提供:オーピー映画/監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/撮影監督:清水正二/撮影:海津真也/録音:小林徹哉/編集:山内大輔/音楽:大場一魅/助監督:菊島稔章/撮影助手:矢澤直子/照明助手:広瀬寛巳/監督助手:小関裕次郎・藤井理代/スチール:津田一郎・だいさく/協力:若林美保・秋山豊/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:由愛可奈・松井理子・山口真里・那波隆史・竹本泰志・松本渉・野村貴浩・佐々木麻由子・佐倉萌・和田光沙・東二・沢村麻耶《写真出演》・マリオ)。出演者中、写真出演の沢村麻耶と御犬様のマリオは本篇クレジットのみ。
 初見のセメントロゴ開巻、ODZの時にも見たかな?七十五を目前に、転倒して腰を痛めた菊地泰三(老けメイクの那波隆史)が、二十年前に死別した妻・サチコ(沢村麻耶/泰三に応答する声は佐々木麻由子のアテレコ)の遺影に語りかける。父危機の報にも何のレスもない長女と次女に対し、父親の介護に一時的に実家に戻つて来た末女・マリ(松井)が用意した、泰三好みの和食が並ぶ食卓。改まつてマリは、南酒々井の実家を処分、東京でマンションを購入しての同居を申し出る。と、そこに何を届けに来たのか宅配便。マリは玄関に席を外し、泰三が一人ニンマリと料理を口に運んで、ベタな公開題もシュッとして見させる、今時雑貨屋感覚のオサレなフォントのタイトル・イン。まあそれにしても、那波隆史の弛緩しきつたクソ笑顔は何時観ても逆鱗を甘噛みする。
 タイトル明けは“1年後”、甲斐甲斐しい孝行娘と満ち足りた二世帯生活かと思ひきや、税金対策と称してマンションの名義もマリの夫・吉川崇(野村)に、泰三は居候扱ひを強ひられ冷や飯を喰らふ日々。ありがちなこんな筈ぢやなかつた感を爆裂させる泰三はある日、マリオ(犬セルフ)を散歩させる峯岸ゆうな(由愛)と出会ふ。キラキラと瞳を輝かせる魅力が変らない由愛可奈は、その後沙汰を聞かない中川大資の単独デビュー作「女子トイレ エッチな密室」(2014/脚本:小松公典)以来。少々佇まひには地に足の着かない印象も否めない反面、後述する御伽噺のヒロインとしては、逆に適役ともいへようか。
 配役残り泰三が通院する、「笑顔のいけじま病院」のぞんざいな医師・高村裕次郎は小関裕次郎。正体不明の東二はいけじま病院を後にした泰三に声をかける、老人仲間の橋本。橋本が泰三に娘婿との風俗通ひを自慢しつつ勧める、ステージ・ドアー前。照明を満足に当てないものだから、演者の表情が影に沈んでしまつてゐる。泰三が通ふステージ・ドアー店内、深く悩ましい胸の谷間に、“悩殺”といふ言葉はこの人のためにあるのではなからうかとこの期に改めて感嘆した山口真里がママの芳恵で、竹本泰志と和田光沙は常連客の高梨直人とミホ、ほかに鎌田一利と周磨要もボックス席に座つてた?ピンク映画初陣の松本渉は結婚後のために分不相応にダダッ広いマンションまでゆうなに借りさせておいて、なほ好条件の逆玉を見つけるやコロッと乗り換へるダニ男・椎名和彦。ただ一言脚本のリアリティに茶々を入れておくと、世間一般的に、資産家の親は歯科開業医の娘と一介のリーマンを、おいそれと結婚させはせんぢやろ。盤石の貫禄とコンビネーションを炸裂させる―ともに広島出身の―佐々木麻由子と佐倉萌は、直に底の割れる姦計で要は泰三の資産を独り占めしたマリを、とつちめに来た長女・愛子と次女・沙織。ところでこのお二人、実年齢もその順番でええんかいな。それと、折角ゆうなから預かつたのにロストした合鍵を泰三が必死こいて探す件、何気にひろぽんも見切れてる。
 ODZで全国を席巻してゐた池島ゆたか2015年唯一作、一般自主第二弾の企画とかどうなつてゐるのか、坂ノ上朝美の天よりも高い高下駄はもう履けないけど。居場所のない老人が、ハキハキ可愛い若い娘とミーツ、ザクザク距離を縮める。主要客層の琴線にノー・モーションでラリアットを叩き込むいはば体のいいファンタジーが、やがてゆうなが裏の顔を見せるのかと勘繰つたのは正しく下衆の所業。山口真里の濡れ場のど初つ端で投げたのが大胆に機能した後に、ゆうなが蒔いた第二の伏線が鮮やかなクロスファイアを叩き込む、力技の一件落着にはさう来たかと普通に感心した。最終的にケロッとゆうなが絆されるラストは些かならず弱いともいへ、山口真里のオッパイと負けず劣らずムッチムチの由愛可奈のお尻で女の裸欲求も大満足に、手堅く纏まつた一作ではある。


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 「透明人間 極秘ワイセツ」(1989/製作:株式会社メディアトップ/配給:新東宝映画/監督:渡辺元嗣/脚本:双美零/撮影:志賀葉一/照明:田端一/編集:酒井正次/助監督:橋口卓明/監督助手:小泉玲/色彩計測:中松敏裕/撮影助手:鍋島淳裕/照明助手:小田求・中島清/スチール:津田一郎/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:浅野しおり・伊藤清美・川奈忍・石原ゆか・早瀬美奈・南城千秋・秋本ちえみ《友情出演》・皆川衆・山本竜二)。撮影の志賀葉一と監督の渡辺元嗣は、現在清水正二と渡邊元嗣。
 長閑な劇伴とともにイメージ開巻、林の中、揃ひの凄い水玉のハットとワンピースの主演女優が「お父さあん!」と手を振る。駆け寄る様を暫し追ふと、背中をこちらに向け片手を木に突いた男が。背中に抱きついた、浅野しおりの尻を男は撫でる。男は父親ではなく、井沢芯平(皆川)だつた。「何て夢だつたのかしら」と夢オチで目覚めた、婦警の金谷美子(浅野)が濡れてゐるのに困惑すると、街の遠景にビデオ題「透明人間 極秘猥褻 浅野しおり」でタイトル・イン。古くはジミー土田や―それでも少し遠いけど―近年では十日市秀悦、目下長く空位が続く―なかみつせいじでは、チと色男の残滓が残り過ぎる―三枚目主人公の不器用な純情を描くのは、アイドルなりファンタ路線の影に隠れた渡邊元嗣もうひとつの十八番テーマともいへ、華なり色気の欠片もなく、最大限によくて親近感しか湧かない皆川衆は、如何せん一篇の劇映画を背負はせるには些か厳しいか。
 仮称「井沢生花店」、看護婦の早苗(川奈)が買はうとした鉢植ゑを、店員の敬介(南城)は豪快に半値に値引きする。敬介がデレデレ早苗の手を撫でてゐると、婦警志望の女子大生・春子(早瀬)を伴つた美子が芯平を訪ねて来店。今日も芯平は店を敬介に任せ、今日は101を遥かに凌ぐだとかいふスーパー発毛剤の発明に自室兼研究室で没頭してゐた。となると当然とでもいはんばかりの勢ひで、ボガーンとドリフな爆破オチ。その弾みで出て来た、御殿医まで務めた先祖・井沢千白が記したとの巻物を手にした芯平は狂喜する。所変つて時制も飛んで、ズンチャカした劇伴とともに電車。浜野佐知みたいな丸グラサン、小脇にモルモン書を携へ、松田優作の狂人芝居みたいなメソッドの山竜起動。痴漢歴三十年を誇る遠藤龍太郎(山本)は、美子と多分看護学校教師・北島沙也香(石原ゆか/石原ゆりと名前を混同し、混乱してゐたのは内緒だ)に一対二の同時痴漢を仕掛ける。ザクザク点火し脱ぎだした沙也香に、美子の手錠が誤爆する。巻物を繙く芯平が秘薬の完成には女の愛液が必要であることに辿り着く一方、在野発明が盛んな世間らしく、龍太郎も、といふか龍太郎は一足先に“催淫音波発生機”を完成させる。催淫音波発生機!因みにその原理は、①音波が骨盤と共鳴、②マイクロ波が性腺を刺激、③遠赤外線で体内から発熱させる。と、何となくしつかりしてゐる。
 配役残り伊藤清美は芯平が配達を届ける、術後自宅療養中の常連客・ゆりえ。川奈忍と石原ゆかで頭数が足りてゐないでもなく、カメオの意義が微妙な秋本ちえみは、敬介と芯平が各々透明化したのち時間差で忍び込んだ月見町総合病院女子寮、煙草の自動販売機の前にゐる女。
 関孝二の「痴漢透明人間」戦の最中辿り着いた、渡辺元嗣1989年第四作。芯平がゆりえ宅から戻つたところ、大胆なのか単なる底の抜けた粗忽者なのか、恋人関係にある春子と敬介は芯平の部屋にて真最中。事後待てよと立ち止まつた芯平は、クズ籠のチリ紙から春子の愛液を採取する。ところが春子が―当たり前だが―非処女であつたため、本来目指してゐたものとは別なものが出来上がつたのが透明薬で、以来処女の愛液を求め奔走するといふのが本筋。なほ今作が採用した透明人間表現は、無論ナベらしく虚空に何某かがプカプカ浮くプリミティブ特撮を併用しつつも、主には痴漢透明人間同様案外十全な光学合成。但し、痴漢透明人間が潔く諦めたボディ・タッチの不自然さを最も工夫を欠いた形で回避しようとした結果、男優部のみならず女優部までもが透けて見える諸刃の剣の直撃を被弾してみせてのけるのは、流石ピンク映画といふべきか、流石ナベシネマといふべきか。そこに何はともあれ独力で催淫音波発生機なる超装置をロールアウトしたとなると、紙一重の両側を併せ持つ怪人の山竜をも飛び込んで来るとあつては、正直手捌きのシャープさには難のある渡邊元嗣ゆゑ、どうしても全体的にトッ散らかるきらひは否めない。反面、ランダムな時間経過で再可視化する痴漢透明人間に対し、射精すると元に戻るといふのは作劇上のメリハリ込みで判り易く、ゆりえの造形を本線に上手く合流させた上で一幕に綺麗なオチをつける、ゆりえが自宅療養してゐた所以はスマートに話がよく出来てゐる。何より素晴らしいのは、敬介が先に気づいて、後々芯平が最終的に確認する。売り物を枯らせてしまふ、何てこともない枝葉としか思へなかつた、さういふ風にしか見せなかつたエピソードが、締めの濡れ場に文字通り花を添へる美しい伏線の結実には、何と洒落た映画なのかと全力で感動した。


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 「痴漢透明人間 PARTⅣ 奥の奥まで」(昭和56/製作:新東宝興業株式会社/配給:新東宝映画/監督:関孝二/企画・脚本:大門登/製作補:北村淳/撮影:塩田敦也/照明:石部肇/編集:酒井正次/助監督:都次郎/録音:東音スタジオ/効果:東芸音響/現像:東映化工/出演:堺勝朗・浦野あすか・栄雅美・長谷圭子・霧川マリ・中川夕子・青木三枝子・竹内祐佳・久須美弦・吉岡一郎・北村淳)。出演者中、北村淳(=新田栄)は本篇クレジットのみ。
 「それでは皆さん」、僅かにここでは紳士然とした堺勝朗が容器も同じマル秘透明薬を服用すると、少なくとも前作は踏襲する素頓狂なSEと痙攣とともに着た服ごと透明に。「全てが透明に」、透けた自らに堺勝朗は御満悦。長谷圭子と青木三枝子がキャッキャ入る女湯に、透明の堺勝朗も浸かる画にタイトル・イン。スタッフのクレジットに並走して、堺勝朗が出したちよつかいに、長谷圭子と青木三枝子は触るな触らないで一悶着、前作とネタが全く変らない。恐らく、第一作から変らないやうな気も、何となくする。クレジットがキャストに差しかゝつたところで、シスター服の中川夕子が用を足す女子トイレに移行。以降は竹内祐佳V.S.吉岡一郎戦の傍らで煙草を吸ひながらマス、久須美弦(護・猛同様久須美欽一の旧名義)と横臥位の栄雅美に、横から菊穴に捻じ込む二穴責めを敢行する大技のハイライトを、ある意味惜しげもなく見せる。ここで明らかとなる驚愕の事実は、再度少なくとも第三作と四作に関しては、重複する俳優部も別々の配役で登場する、パラレルなシリーズ構成。フリーダムなほどの無頓着さが、実に量産型娯楽映画的ではある。
 さて本篇、走行する電車からグーッとパンした先は公園。痩せ薬セールスマンの堺勝朗が、ダイエット器具の登場に愚痴をこぼす。こぼしてゐたかと思ふと、偶々見初めた婦警・ヨシコ(竹内)に、立小便を装ひ一物―に模した張形―を誇示、出鱈目なブレイブが清々しい。一発ヤリてえとポップにヨシコに欲情した堺勝朗は、勤務を終へたヨシコが制服のまゝ帰宅する家まで尾行。透明化したのち忍び込んでみると、恋人の吉岡一郎が先に訪ねて来てゐた。二人が営む真横でマスをかく堺勝朗の、顔射を吉岡一郎が被弾するといふのがまたしても無体なここでのオチ。ポスターに名前が見当たるPART2に於いても、相変らず吉岡一郎は酷い目に遭つてゐたのであらうか。
 配役残り浦野あすかと中川夕子は、堺勝朗がレストランにて隣り合はせる修道女・マリアとサアネ。二人が百合の花を咲かせる間柄にあるらしき風情を感知した堺勝朗は、手洗ひ挿んで二人が掃除機プレイを仕出かすサアネのアパートに突入、当然どさくさする中堺勝朗のカツローも吸はれる。地方回りのセールスに飛ばされた堺勝朗は、何処ぞの山間の観光地に。長谷圭子と青木三枝子は、何故かジョギング中の堺勝朗が、吊り橋の上から発見する矢張り百合を咲かせる女学生・ポッポとトマト、青木三枝子が画期的に女子高生に見えない点に関しては通り過ぎるべきだ。栄雅美がトマトの叔母で旅館の未亡人女将・好代で、久須美弦がその情夫・槍岡、町会議員。マル秘透明薬の存在も知らず、恐らくも何も、前作とは完全に別人である。大女の霧川マリは同じ町の三段締めの名器持ちホステス・スミコ、そして遂に登場!翌年八木沢修名義で監督デビューする、我等が無冠か無言の帝王・新田栄俳優部時代の北村淳が、スミコのヒモ・カリオ。上背はないながら骨の太さを感じさせる戦闘力の高さうなガタイで、ワイルドな美人局を好演する。
 改めて、無印「痴漢透明人間」(昭和52)、「痴漢透明人間 女・女・女 PART2」(同)、「痴漢透明人間 PART3 わいせつ?」(昭和54)と続いた人気シリーズの最終作。因みにjmdbを遡つてみたところ、関孝二には昭和43年に「透明人間エロ博士」なる一作があるらしい。意外と完璧な光学合成を駆使する痴漢透明人間に対し、果たしてこの時は如何なるインビジブル描写を用ゐたものなのか。
 物語の中身的には終始女の裸の傍らで堺勝朗がああだかうだボヤき続ける、一種の実況芸が形になつてゐなくもないとはいへ、展開は一貫して場当たり的で、中身も何も物語らしい物語は矢張り存在しない。寧ろ如何にも後に繋がりさうな一幕の切り方をしておいて、カット跨ぐと一切掠りもしないズタズタぶりが際立ちもする。ともいへ、蜂の巣を突いた力技で無理から一篇を締め括る、案外十全なクライマックスはPART3に引き続き健在。堺勝朗が姿を消す秘密に興味を抱いた好代は、呵責の素振りも見せずに客の荷物の中からマル秘透明薬を拝借。最終的には順に勝朗・カリオ・スミコ・槍岡・好代に、トマトまでもが透明に。互ひに相手が見えない上で六人の男女が入り乱れる乱交は、さう来たかと唸らされる豪快な名シークエンス。勝朗がスミコにチンコを噛まれたタイミングで、ジャーンとポップなファンファーレが鳴るや投げ込まれる“終”が、これで終るといつたら終るのだといはんばかりの、有無をいはせぬ正体不明の突破力を振り抜く。

 付記< 案の定今作もビデオ安売王のVHSジャケがへべれけで、脚本も関孝二になつてゐる。必ず何かひとつ間違へないと気が済まないのか、それとも間違へないと死ぬ魔法でもかけられてゐるのか


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 「痴漢透明人間 PART3 わいせつ?」(昭和54/製作・配給:新東宝映画/監督:関孝二/撮影:西川卓磨・塩田敦也/照明:佐々木哲男・宮川照彦/編集:酒井正次/記録:浜茂子/助監督:石山徹・伊藤裕介/録音:東音スタジオ/効果:東芸音響/現像:東映化工/出演:三條まゆみ・浜けい子・長谷圭子・しば早苗・杉佳代子・与那城ライラ・岡崎由美・青野梨麻・吉岡一郎・吉田純・久須美護)。出演者中、三條まゆみ・浜けい子・岡崎由美・青野梨麻が、ポスターには三条まゆみ・浜恵子・岡崎ユミ・青野リマ。何故かクレジットはオミットする脚本も、ポスターによれば関孝二。撮影の西川卓磨は、恐らく西川卓の変名か。
 後々判明する、ダイナミックな構図で吉田純に手マンされる浜けい子―このカットでは二人とも特定不能―の裸を一拍見せた上で、ビリング順に長谷圭子・しば早苗・杉佳代子・岡崎由美・青野梨麻が浸かる銭湯の女湯に、透明になつた久須美護(弦・猛同様久須美欽一の旧名義)が闖入する画に秒殺のタイトル・イン。クレジット中はそれぞれ二人づつの看護婦(三條まゆみと与那城ライラ)と尼僧(しば早苗と杉佳代子)が咲かせる百合に、矢張り透明の久須りんが狂喜する。監督クレジット時の、久須りんが勝手に悶絶する小ネタの意味が判らない。
 クレジット明けは、御馴染東映化工(現:東映ラボ・テック)社屋を病院に見立てた三共病院。退院の決まつた吉岡一郎(a.k.a.吉岡市郎)が、世話になつた整形外科看護婦・アヤコ(与那城)を第一応接室に強引に連れ込み、手篭めスレスレの勢ひで言ひ寄る。応接室前の廊下に現れたこちらは外科から退院する久須りんは、すは色事と色めきたつや、持参する錠剤を飲むと素頓狂なSEと痙攣とともに透明人間に。久須りんが吉岡一郎を押し退けアヤコを軽く攻略する一方、自分は何もしてゐないのに喜悦するアヤコの姿に幽霊が出たのかと錯乱した吉岡一郎は、神経科に再入院する羽目になるといふのがここでのオチ。
 配役残り三條まゆみは、パンティの中に何かを忍ばせて、土手に手を伸ばす久須りんを撃退する外科看護婦・ハルコ。だから、その“何か”が何なのか明示せずに通り過ぎる一種のストイシズムですらあるのかも知れない頓着のなさは、逆に凄いとでもしか最早いひやうがない。一体仕事は何をしてゐるのかゐないのか、お寺の周りをブラブラしてゐた久須りんは、尼僧・春妙(しば)が熊みたいな労務者(不明)に犯される現場に遭遇。自覚もなくはないのか「野郎俺よか酷え奴」とかいひながら、結局最後まで助けようとはピクリともしない久須りんの方が、劣るとも勝らないやうな気がする。杉佳代子は、嫌よ嫌よも好きの内と、浜野佐知激怒必至の展開で最終的にはヘバッた労務者に無理矢理跨り腰を使ふ春妙を、叱責する高僧・親蓮、春妙共々漢字は推定。とはいへ前述した通りハルコ・アヤコに続き百合を咲かせた親蓮と春妙は、二人して肉欲の誘惑に負け還俗を決意。親蓮と春妙が美容院に入つてゐる間、久須りんはパチンコ屋に。吉田純と長谷圭子は、負けた久須りんの隣で勝つ銭湯「喜久の湯温泉」の宿六亭主・助三と、助三が軽く口説くパチンコ屋の看板娘・ミヨちやん。浜けい子が助三の女房にして喜久の湯女将のお万で、岡崎由美と青野梨麻は女の湯要員。労務者に加へ不明分は全員男衆、整形外科医と外科医に、喜久の湯で番台を通過するだけの客二名。当時67の関孝二が自ら出撃してゐるとしたら、白髪で貫禄のある外科医なのかなあ。それと、喜久の湯は山梨県甲府市に現存。番台を代り買物に出るお万に、助三が甲南劇場で三本立てでも観て来いよと軽口を叩く一幕は、さりげない共闘が微笑ましい。
 ザックリした物言ひで大変申し訳ないが、死去の報が聞こえて来ぬゆゑ、御存命だとすると何と御年104歳!となる関孝二と初対戦。この人の撮影現場の取材を通して“ピンク映画”なる言葉が生まれたといふだけで、抜き差しならないレジェンド感。明確にナンバリングされた“PART3”といふ次第で、痴漢透明人間の沿革を簡略に掻い摘むと、市村譲が俳優部として出演する無印第一作「痴漢透明人間」が昭和52年、同年四作後に「痴漢透明人間 女・女・女 PART2」。二年空けた今作挿んで、北村淳名義で今度は新田栄が俳優部として出演する最終作「痴漢透明人間 PARTⅣ 奥の奥まで」(昭和56)。残念ながらDMMでは後ろ二作しか見られないが、勿論「奥の奥まで」も次に見る。何はともあれ驚かされたのは、半透明の久須りん―と、久須りんが脱衣所に落として行つたマル秘透明薬(人畜無害)を勝手に飲んでみた助三―が裸の女の周りをウロウロする様子の、姿が見えなくなるのと再び見えるやうになる過程まで含め、思ひのほか完璧な光学合成には目を見張つた。折角デジタル時代に突入した訳だし、ここいらで誰か透明人間ピンクを久し振りに撮ればいいのに、出来れば依然昔ながらのローテクでやりかねない関根和美以外で。なほ一層度肝を抜かれたのが、アヤコと吉岡一郎が事に及んでゐさうな気配に、その場に通りがかつた―本篇初登場の―久須りんが、やをら錠剤を取り出し透明になる清々しいほどのレス・ザン・イントロダクションぶり。重ねて問題なのが、前述した通り無印第一作には市村譲、PARTⅣには北村淳イコール新田栄、そしてPARTⅡには野上正義が出演してゐるのは―jmdbなりビデオ安売王のVHSジャケを参照して―辿り着けたものの、どうやら久須りんは出てゐさうにない点。一体人間を―着た服ごと―不可視化する何気にでもなく超新薬を開発したのは何者で、久須りんらがそれを自由に使用出来る形で所持するに至つた経緯や如何に。無印「痴漢透明人間」を見るなり観られればその疑問は解消されるのか、それともやゝもすると、最初からスッ飛ばしてのけさうな予感もしないでもない。
 ところで物語はといふと、女の裸のあるところに超絶の嗅覚を発揮して出没する久須りんが、その都度マル秘透明薬を服用し鼻の下を伸ばすばかり、要は物語らしい物語は別に存在しない。面白楽しく女の裸を見せた上で、喜久の湯女湯で助三と久須りんの透明効果が時間差で切れそこにお万も帰還、一同上へ下への大騒ぎに。演者がてんやわんや動くのをカメラが全然捉へきれてゐないのは御愛嬌として、追ひ駆けて来るお万から久須りんが逃げる結構遠いロングで、そこそこ上手いこと一篇を締め括る。本格的に手の込んだ特撮に、豪華八人体制の、しかも面子的にも質より量とは決していはせない女優部。明らかに通常よりも潤沢である節が窺へる普請は人気シリーズの所以か、実際そのことも肯けよう賑々しく量産型娯楽映画らしい一作である。

 付記< CINEPO.comのサイトでPART2・3・Ⅳの画像―無印は見当たらなんだ―に触れてみたところ、どれにも久須りんの名前がある。ここから先は、とりあへず現物と相対するしかない
 再付記< 改めて目を通してみると今作のビデオ安売王VHSジャケがへべれけ、表面では監督が鈴木ハル(a.k.a.鈴木敬晴)になつてゐるし、裏面でも岡孝二に。大体、表と裏とで監督名が違つてゐるのがアメイジング、何処まで間違へれば気が済むのか


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 「オナニーシスター たぎる肉壺」(2015/製作:ファミリーツリー/提供:オーピー映画/監督:榊英雄/脚本・助監督:三輪江一/音楽:雷鳥/撮影:早坂伸/照明:藤田貴路/録音・効果・仕上げ:丹雄二/編集:清野英樹/ヘアメイク:木戸出香/スチール:富山龍太郎/撮影助手:小島悠介/特別協力:小沼秀剛・氏家英樹/企画協力:木原祐輔・楠智晴/仕上げ:東映ラボ・テック/衣装協力:ナジャペレーネ株式会社/出演:三田羽衣・西野翔・柴やすよ・針原滋・小切裕太・水野直・梅谷又朗・とみやまあゆみ・三輪江一・小川慶永・橋本和也)。珍しく、スタッフロールよりもポスターの方が情報量が多い。ポスターには更に制作担当が小川慶永で、制作進行に橋本和也と村松みさき。
 主演女優が讃美歌312番を歌ふ中、下品なフラッシュバックで三本柱三者三様の濡れ場を短く繋ぐ。病床で祈りを捧ぐ修道女・神崎茜(三田)挿んで、茜が脳梗塞で卒倒後会社と家族を失つた山並勘三郎(針原)の車椅子を押す、テトラを手前に置いた波止場のロングにタイトル・イン。開巻を通り過ぎる小川慶永と橋本和也は、西野翔とあくまで合意の上で野外巴戦に及んだものの、稚拙を詰られるや激昂し暴行を働く若い男・ゴウとタロー。正直、どちらがどちらといふほど満足に映りもしない。
 意識を取り戻した元介護ヘルパーの福家佳代子(西野)は、一旦穿きかけて、矢張り脱ぎ捨てたパンティが舞ふほどの海風にも恵まれつつ、山並に唯一残された海辺の別荘を発見、気軽に侵入してみる。軽く日に当たり、別荘に戻る茜―と山並―が脇を通り過ぎた赤いステーションワゴンの車中では、教へ子の岡田慎司(小切)と駆け落ちした女教師・仙堂莉奈(柴)が、二人とも事後の全裸のまゝ目覚める。帰宅した茜が、半裸で食物を貪る佳代子に当然度肝を抜かれる一方、後輩の茜を頼り、莉奈と慎司も山並荘に転がり込む。一方、慎司の捜索願が出されたことにより、若年ガッハッハ系の斉藤健介(水野)・雰囲気イケメンの木村重之(梅谷)に、何でだか知らんけど常時斉藤に乳を揉まれ続ける町岡純子(とみやま)の三馬鹿、もとい三人の刑事が捜査を開始する。斉藤と木村のファースト・カット、押収品と称して二人が垂涎するAV?の詳細は不明。配役残り三輪江一は、莉奈と慎司の校内情事を盗撮、莉奈を脅迫するピンク風にいふとザ・痴漢教師の手島。
 俳優部としての印象しか持たないものであつたが、ピンクになけなしのリソースを全振りしてゐる内に何時の間にか、目下は一般映画やテレビドラマの監督業をメインに活躍する榊英雄の、何の物の弾みか出し抜けにピンク映画に飛び込んで来た筆卸作。いきなり一点苦言を呈しておくと、買ひ取られたゆゑ一々問ひ合はせなければならないのが煩はしいのかも知れないが、一般映画やテレビドラマに注ぐのと同じ労力を以てして、榊英雄は自作ピンクの津々浦々情報もアナウンスして罰は当たらないのではなからうか。全く予想外の名前が量産型娯楽映画最後の戦線に電撃参戦した、少なくとも話題作であるのは疑ひない割に、当方が観に行つた日の場内は全然常日頃と変りがなかつた。
 映画の中身に話を戻すと、要介護者の性処理を行つた咎で職を失つた佳代子は、聖女面して山並に寄り添ふばかりの茜の綺麗言を激しく痛罵する。ここで西野翔のフィルモグラフィーを改めて整理すると、城定秀夫新東宝第二作「桃木屋旅館騒動記」(2014/監督・脚本・編集:城定夫名義)の前は何と渡邊元嗣2011年第四作「ノーパンの蕾 濡れたいの」まで遡る、四年ぶりのオーピー第四作、ついでにビリング頭を譲つたのは初めて。長く裸稼業の第一線で戦ひ続けるキャリアに裏打ちされた、実際に他を圧倒する貫禄で、佳代子が頑なに筋を通さうとする信念に見事に血肉を通はせる西野翔は正しく格が違ふ。対して三田羽衣はといふと、西野翔を向かうに回すにはただでさへ何もかにも心許ない上に、作劇上もその言ひ分なり、何某か抱へぬでもない―肉欲絡みの―葛藤の外堀は終ぞ埋まらない、埋められない。柴やすよは折角体当たりで脱いで絡んではゐるにも関らず、とみやまあゆみをもが脱ぐまさかよもやの四番手の衝撃にも喰はれ、殆ど印象が残らない。そもそも、乳尻や尺八を吹く口元。決してそのものズバリ映すことは律が許さないにせよ、結合部に迫らうとする気配さへ窺はせないお上品にサラついた撮り様は、根本的に考へもの。たとへば吉行由実が女優を美しく撮ることに全てを賭けるのとは訳が違ひ、女体への執着自体感じさせない。重ねて表面的には一番の売りである筈の、初脱ぎの三田羽衣の裸を明るい光の下マトモに見せようとするカットが、最終盤に至るまでなかなかどころでは済まず見当たらないのには、全体何を考へてゐるのかと根本的に神経を疑つた。何のつもりか知らないが、裸映画を伊達にして貰つては困る。古の国映隊ではあるまいし、裸映画は女の裸をキッチリ見せて、ガッチリ勃たせる、映画の話はそれからにして欲しい。当然ながら、この致命傷に関しては、場数不足の男優部も大いに火に油を注ぐ。再びそもそも、かといつて裸映画としては兎も角、裸の劇映画としてなら面白ければ渋々首を縦に振らなくもないところが、その面に於いても厳しいとあつては端的に万事休す。前述した通り最後までヒロインの首か腰が据わらない脆弱性に加へ、終盤の超展開はたとへば藪からオリハルコン製の巨大建造物を屹立させる、大御大・小林悟が突発的に大言する反戦思想に比べれば全然可愛らしいものともいへ、革命の左翼闘士が旧日本軍のコスプレをしてゐるのは、釣られた方が負けといふ以外に果たして如何なる意味があるのものやら甚だ理解に苦しむ。水野直のコント芝居に開き直つた節を見るのが正解なのか、三馬鹿が僅か三人で山並荘を包囲したと称するのも、大人が観る娯楽映画を舐めてゐるのかといふか、子供騙しにすらなつてはゐない。尤も、三馬鹿に止(とど)まらず一部始終を煙に巻き走り去らうとするステーションワゴンの、左ドアから西野翔、右ドアから柴やすよ、そして三田羽衣はリアハッチから三人ともキラッキラ笑ひながら―おまけにスローモーションで!―各々裸で登場。カメラが少し引いて勢揃ひの三本柱がバシッと決める清々しいくらゐに下らない画は、確かに女の裸とはいへピンク映画といふよりは、寧ろ一般のいはゆるバカ映画のセンスに近く、ともあれそれなりの決定力を撃ち抜くこのショットの一点突破で、連れて来られたのか飛んで火に入つたのかはさて措き、今回榊英雄が―あんまりぽくもないけど―ピンクを撮つた異種格闘技戦に、決して意味がまるでなくはなかつたやうな気がする。


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 「復讐性犯罪 白濁レイプ」(1994/製作・配給:大蔵映画/監督:小林悟/脚本:如月吹雪/撮影:柳田友貴/照明:荻久保則男/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:国沢実/音楽:東京BGM/スチール:佐藤初太郎/フィルム:AGFA/録音:シネキャビンRCO/現像:東映化学《株》/出演:大鷹小百合・西野奈々美・梶原恭子・白都翔一・浜崎優・太田始・港雄一)。照明の荻久保則男―胎内記憶を扱つたドキュメンタリー映画「かみさまとのやくそく」が目下上映中―は、a.k.a.まんたのりお。
 「嫌ーッ!」開巻、林道を逃げるセーラー服姿の女子高生と、追ふ二人の男。木が風に戦ぐのは兎も角、足音が微妙にコツコツいつてるのは音効おかしくね?カメラが左斜め上にパンすると、劇伴起動とともに暗転タイトル・イン。クレジット中の、シネキャビンRCOなる初見の謎表記の意味が判らない。
 チェイス続行、追ひ駆けてゐるのも男子高生。追ひ詰められた大鷹小百合が一見美人かと思つたら馬面、再びの「嫌ーッ!」と矢継ぎ早に、白都翔一が「ワーッ!」と悪夢から跳ね起きる。俳優として売り出し中の達也(白都)宅に、超絶のタイミングでしかも港雄一から、「あの時の女子高生美味しかつたろ」と金銭を要求するでもなく目的不明の不審電話がかゝつて来る。窮した達也は当時のマドンナで、清純女子高生、ではなく清純女子高に通つてゐた望(大鷹)を二人で犯した悪友の和夫(浜崎)と、高校卒業以来五年ぶりに「摩天楼」にて再会。五年前、達也と和夫が何となく尾けてみた望は、苦学生の通か透か徹辺り(太田)と逢瀬。ここで港雄一は、望と通がランデブーするベンチの隣のベンチで寝てた人。通が放り投げた新聞紙と、達也と和夫がポイ捨てした空き缶の直撃をそれぞれ被弾、「馬鹿野郎、俺はゴミ箱ぢやねえんだよ」といふツッコミは笑かせる。なほも尾けてみた望は、あらうことか通と青姦敢行。因みに港雄一(以下ミッチ)もコソッと追随し、マスをかいてなんかゐたりする。事後一人その場に残つた望を、達也と和夫が強姦したといふ次第。挙句の果てに、更にその事後。ミッチが「大変だつたねえ」とかいひながら無抵抗無反応―あるいは単に、演者に表情が乏しいともいへる―の望を、延々執拗に貪るシークエンスは、品性下劣な琴線をどうしやうもなく激弾きする。
 配役残り、辛うじて乳は垣間見せる西野奈々美は、「お前の兄貴への制裁」と称した謎のパーカ男に、自宅で凌辱される和夫の同居する妹・緑。事件をネタに脅迫されてゐた望は睡眠薬をオーバードーズ、通の眼前、ホテルのベッドの上で死す。殆ど脱ぐ機会も与へられない梶原恭子は、後を追ふも死に損なつた通の今カノ・ケイコ。
 大御大・小林悟、1994年ピンク映画第七作、薔薇族込みで第十作。女の子一人スーサイドしてゐるといふのに、まるで悪びれないクズ二人が、姿の見えない脅迫者の影に怯える。外道が更なるド外道に喰はれるピカレスクな物語は、港雄一が尺の折り返しも跨ぎかねない勢ひで長々と大鷹小百合に垂涎してゐる内に、何時しか何処吹く風。後半は矢継ぎ早の超展開に次ぐ魔展開の末に、そこだけ掻い摘めば確かに小林悟が映画の魔術を仕掛けた形跡も窺へ、ショット単体の出来は決して満更でもないラストまで一直線、もしくは急転直下。望と通の野外セックスに対し、和夫がマンガみたいに見開いた目を爛々と輝かせる一方、達也はグジャグジャ現実から逃避すらしてのける。刹那の幻影を叩き込む、ラスト・ショットの方便自体は決して呑み込み得ない筋合のものではないものの、回想を乱打する中で時制の移動ないしは整理が木端微塵に粉砕してしまふのと、サイコに入り組んだ展開にあつても断じて濡れ場は疎かにしはしない逆説的にストイックな至誠が災ひし、ただでさへ大きな飛躍が清々しいまでに埋まらない。大体、達也とミッチの接点を完全にスッ飛ばしてのけるのが地味に致命傷。重ねて、濡れ場を疎かにしないといふのも、主演女優の一人勝ち。二番手三番手はビリングが意味を成さないほどに、共々瞬間的に通過。よしんば梶原恭子は百歩譲るとしても、西野奈々美の裸を満足に見せないのは、裸映画的には重大な疑問手ではなからうか。珍しくヤル気を出したやうに思へなくもないにせよ、最終的なトッ散らかり具合は、良きにつけ悪しきにつけ安定と貫禄の大御大仕事である。
 備忘録< ケイコも白濁レイプし狂気を露にする達也に、和夫は望の幻影を見る


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 「絶頂家族 愛人だらけ」(2015/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:後藤大輔/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/録音:小林徹哉/音楽:友愛学園音楽部/助監督:小関裕次郎/監督助手:菊島稔章、他一名/撮影助手:佐藤文男・宮永昭典/照明応援:広瀬寛巳/スチール:本田あきら/録音所:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:甲斐銃介/引用詩:T.S.エリオット『J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌』/出演:めぐり・玉城マイ・佐々木麻由子・山本宗介・那波隆史・なかみつせいじ・バルカン・青森次郎)。出演者中、バルカンと青森次郎は本篇クレジットのみ。引用詩は実際には、クレジットのど頭に飛び込んで来る。
 「しろくま不動産」社長の佐藤伸輔(なかみつ)と、従業員兼不倫相手の室田由紀(玉城)の学生服プレイの逢瀬。由紀が娘と同じ佐久良第一高校出身であることに一旦萎えた伸輔は、強くはない心臓を慮りバイアグラを用量の半分服用。フラグに違はず由紀の腹の上で悶絶すると、田園風景のロングに“チーン”とお鈴の御臨終音。東海旅客鉄道身延線の常永駅に電車が到着、喪服を着ためぐりが駅舎表に姿を見せてタイトル・イン。軽く女の裸を見せた上で、簡潔な進行に主演女優の喪装を披露と、開巻の神速を誇つた師匠・新田栄の手練を現代的に継承したアバンは完璧。
 父急逝の報に緊急帰省したものの、繋がらない家電に不平を垂れる伸輔の娘・瞳(めぐり)を、弁護士バッチを着けた山本宗介がチャリンコで追ひ抜いて行く。仕方なく歩を進める瞳に声をかけて来たのは、何と営業車に由紀を同乗させた伸輔。喧嘩ばかりの両親と仲が悪く、東京からなかなか帰つて来ない娘の顔を見るために人騒がせな、あるいは火にガソリンを注ぐ一芝居を打つたものだつた。その頃佐藤家では母親の早苗(佐々木)が、母親も母親で伸輔との離婚調停に雇つた弁護士・石井卓郎(山本)に跨る始末。因みに石井は、高校時代瞳が処女を捧げた相手でもあつた。そこはまあ、田舎の狭さといふ奴で。それと改めて整理すると、佐々木麻由子の新作登場は一ヶ月前に封切られた小山悟2015年第二作「果てなき欲望 監禁シェアハウス」(脚本:当方ボーカル=小松公典/主演:神咲詩織)の写真協力を挨拶代りに、同じく加藤義一の2013年第四作「女教師 秘密の放課後」(脚本:鎌田一利/主演:辺見麻衣)以来のそこそこな御無沙汰、衰へは全く感じさせない。
 配役残り那波隆史は、瞳就職先の出版社編集者、兼不倫相手の野村朗、親のことを四の五のいへた筋合かといふ次第である。それぞれ小関裕次郎と竹洞哲也の変名のバルカンと青森次郎は、他にそれらしき人影も見当たらないゆゑ瞳・石井と同窓会の打ち合はせをする佐久良第一の同級生か。ただ引き気味の薄暗い画面の中、片方は菊島稔章に見えたんだけどな。それとも、バルカン名義を菊島稔章と小関裕次郎で使ひ回してゐるのかも?
 以降に見かけないのを見るに甚だ残念ながらここで打ち止めなのか、2014年第四作「新人巨乳 はさんで三発!」(脚本:城定秀夫)から2015年第一作「純情巨乳 谷間で歌ふ」(脚本:小松公典)・「巨乳狩人 幻妖の微笑」(脚本:筆鬼一=鎌田一利)と、四作ビリング頭を固定した加藤義一2015年第三作。今回脚本に―自身の監督作の話はとんと聞こえて来ない―後藤大輔を招き、とりあへず災ひするのはラストを塗り潰すT.S.エリオットに、何某かの含意があるものやら単なるぺダンチズムに過ぎないものやら、オッパイオッパイ( ゜∀゜)o彡°しに来た凡愚にはてんで判らない点。反面、早苗主催の弁護士を交へての家族会議の席にて、前日同窓会打ち合はせがてら一夜を共にしたばかりの石井と瞳が思はぬ再会、挙句に野村までのこのこ弔問に現れる件は、もつとドタバタを膨らませればいいのにと思へるくらゐには面白い。依然大健在の佐々木麻由子は元より、画面奥での小芝居も地味に達者な初陣の実質三番手も意外に勘がよく、確かに愛人だらけの似た者家族の物語はサクサク見させる。何はともあれ、めぐりのオッパイを胸かお腹一杯に堪能させる濡れ場の質量はともに申し分なく、ギャースカ騒ぐほどでもないとはいへ、一頃の散々な若御大ぶりを想起するならば、全然安心して観てゐられる一作である。

 めぐりのフィルモグラフィーに話を戻すと新人巨乳と純情巨乳の間に、「わるいをんな」(2015/監督・脚本:城定夫=城定秀夫)を挿む。そもそも最高の新人巨乳は城定秀夫の脚本ともいへ、以外も最も厳しい純情巨乳にしても園辺亜門シリーズに於ける新旧宮前晶子役が顔を揃へる飛び道具込みで加藤組三作はそれなりに安定。一方「わるいをんな」のあまりに全方位的に平板な仕上りに、めぐり主演五作に話を限れば―Vシネまでは手が回らん、悪しからず―まさかよもや加藤義一が城定秀夫を倒す全く以て予想外、日本映画史上最大級の大番狂はせが発生するなどとは果たして誰が予想し得たであらうか。


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 「赤塚不二夫のギャグ・ポルノ 気分を出してもう一度」(昭和54/製作:アイランズ・コーポレーション/監督:山本晋也/脚本:高平哲郎・山田勉/原案:赤塚不二夫/ギャグ:面白グループ/企画:奥村幸士・成田尚哉/製作:八巻晶彦・高平哲郎/製作補:八田剛宏・大井武士/撮影:鈴木史郎/照明:出雲静二/録音:市村肇章・松原一/音楽監督:北島肇/編集:田中治/音楽:坂崎孝之助・所ジョージ/助監督:滝田洋二郎/製作主任:長谷川一/製作協力:太平洋映画社/協力:関根大サーカス/出演:小川亜佐美・柄本明・宮井えりな・結城マミ・日野繭子・たこ八郎・堺勝朗・坂本明・ベンガル・由比ひろ子・はな太郎・与那城ライラ・久保新二・由利徹《友情出演》・赤塚不二夫)。出演者中、与那城ライラが何故か本篇クレジットのみ、要員とはいへ濡れ場も務めるのに。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては事実上“提供:Xces Film”。壮絶なクレジットの情報量に爆死すれど、正確には協力の関根大サーカスは、与那城ライラと久保新二の間に入る。
 中野区役所前のロング、離婚届を提出する待ち合はせに遅れた、ギリギリ未だ夫の畑山大五郎(柄本)を花子(小川)が気違ひだ―ど頭には、“不適切な表現”云々の注釈が入る―変態だと罵りつつ、二人は対照的に入籍を済ませ出て来た、タキシードにウェディング・ドレスの出来たて夫婦(ベンガルと由比ひろ子)と交錯する。離婚届を抜いて手短にタイトル・インはいいとして、この時代の離婚届には、写真貼付したの?さて措きさあて独身生活再開と颯爽と街に繰り出す花子に対し、取り残された格好の大五郎は男尊女卑な恨み節をワーギャーぶちまけながらも、最終的には惰弱な未練を拗らせる。
 配役残りほぼヒムセルフの赤塚不二夫は、喫茶店で締切に追はれる割に、電話で捕まへたか捕まつた女とヤッてばかりのマンガ家・赤坂不二夫。登場する都度繰り返される、アタリをつけた原稿に、赤塚不二夫がグッグッグッとまるでペン入ればりのテンションで黒々と下書きを入れるカットが、歴史的な価値もあるのではなからうかと思はれる今観ても今作数少ない見所。結城マミは、花子が一発ヤルつもりで訪ねた赤坂先生を、カッ浚ふ杉本雪子。たこ八郎は、山本晋也が運転する電車に、飛び込まん勢ひの大五郎の足を釘で打ちつける変質者。赤塚不二夫と結城マミの絡み初戦を経て、大五郎は何でか知らんけど関根大サーカスの小屋に彷徨ひ込む。久保チンと与那城ライラは、二頭の象の傍らで事に及ぶ団員なのか何なのか訳の判らないカップル。ある意味流石ともいへるのか、久保チンが象の鼻で尺八を吹かせようとするのが、自分よりも決定的に体の大きな相手に一物を預ける行為にハラハラさせられて仕方がない。堺勝朗は、多分新宿のポルノ映画館の表で、花子がミーツするジェントルマン。花子が勝手に膨らませるイマジンで小川亜佐美の濡れ場を介錯するものの、紳士は薔薇族であつた。このオチ、堺勝朗を迎へに来るのは製作協力の太平洋映画社に続く膨大な人数の名前の中に紛れ込む、サングラスをキャストオフしたタモリ?由利徹は関根大サーカスを離脱した大五郎が診察を受ける、この御仁こそ気違ひみたいな造形の医師・門口先生。因みに看護婦は雪子、二人とも、正式な免許を持つてゐるやうには凡そ見えない、はな太郎は大五郎に続いて現れる患者。宮井えりなは赤坂が出入りする居酒屋の女将・秋由玲子で、日野繭子もその店の常連・原田幸子。一旦坂本明を飛ばし赤坂宅のヤリ部屋にて幸子×雪子×玲子で赤坂先生を取り合ふ件、結城マミと日野繭子をビッシビシ蹴倒す宮井えりなのヤクザキックが笑かせる。より正確にいふと、ヤクザキックは笑かせる。柄本明と日野繭子の絡み経て改めて坂本明は、花子がプラッと敷居を跨いでみたゴーゴー喫茶で、いはばラップ感覚でシャウトを連打するビートの利いたパフォーマンスを披露するリーゼント。
 二作後には大体同じ仲間内での「下落合焼鳥ムービー」が控へる、山本晋也昭和54年第三作。アバンとラストだけ掻い摘めば綺麗に纏まつてゐなくはないともいへ、問題はその中間、要は一部始終。たこ八郎が起爆し、関根大サーカスで大爆発、そして由利徹が完膚なきまでに止めを刺す。脈略は全くなければ、面白打率も間違つても高くはない各幕が延々延々、体感的には果てしなく続く地獄巡り。地獄を巡る過程を描いた映画、ではなく、それ自体が映画的な地獄巡りに付き合はされるのには非常な困難を覚える、非情に詰まらない苦行作である。個々のシークエンスに別に意味がないのに加へ全体的な繋がりも場当たり的な羅列に過ぎない以上、好きに動かせた俳優部を撮影部がキチンと押さへてさへゐれば、カントクは山本晋也で御座いといつたところで、こんなもの誰が撮つても変りはしないのではあるまいか、とすら思へる支離滅裂。小川亜佐美や宮井えりなと来て日野繭子、男優部も堺勝朗に久保チンと結構な布陣を揃へておいて、ガチャガチャかグチャグチャ空騒ぐ中綺麗に無駄遣ひ、裸映画としても満足に成立してゐない。といふか、グダグダグダグダ執拗に地獄を巡らされてゐる内に、何時しか棹を勃てる気力なり活力も萎える。笑へず勃たずそもそも面白くもなく、斯様な代物が“ギャグ・ポルノ”であるとするならば、お高くとまつたロマンの方がまだしもマシだ。


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 「愛Robot したたる淫行知能」(2015/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:矢澤直子・樋口覚・船越繰未/スチール:本田あきら/効果:梅沢身知子/録音:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/協賛:GARAKU/出演:彩城ゆりな・夏希みなみ・横山みれい・津田篤・山本宗介)。船越繰未の名前に躓いて、クレジット終盤に力尽きる、マンガ原稿の主とかあつたのかも知れん。
 生活感・仕事場臭ともに欠く部屋にて、彩城ゆりなが―古臭い絵柄の―マンガの下書き中。机上には原稿用紙と画材のほかに、銀紙で折られた折り鶴がちらほら。津田篤とのスナップ抜いて当の真弥(津田)が、自身が担当編集を務めるマンガ家の霞(彩城)に紅茶を淹れる。真弥発案のロボットと人間が恋に落ちる企画の資料を渡しがてら、二人は新連載が起動に乗つた折の、結婚を約束する間柄にもあつた。開巻速攻婚前交渉もオッ始めかねないラブラブな雰囲気から一転、遠目の路上で、何事か霞と真弥が激しく諍ふ。霞がフレーム左袖に捌けるや、聞こえよがしに車が暴走、何かしらを撥ねるSE。車道に散乱する原稿用紙、暗転ならぬ赤転してタイトル・イン。アバンは今回のナベシネマが、シリアス路線である旨を告げる。
 明けて一ヶ月後、頭には包帯を巻いた霞が自宅で目覚めると、傍らには白衣の山本宗介が。同じく白衣の津田篤を伴つた、真弥の学友にして、往診医との尾崎(山本)は衝撃的な事実を告げる。真弥は交通事故で死亡、白衣の津田篤は霞の治療目的に真弥の記憶をインストールしたセラピー・ロボット、オリジナルではないといふ塩梅でダッシュだといふのだ。何時の間に、あるいは何処から一人の人間の記憶をデータ化したのかよ、とかいふ疑問は脊髄で折り返して体外に排出せれ。ひとまづ、霞が我儘を振り回すダッシュとの生活。霞に笑はないのを指摘されたダッシュが近所の公園でぎこちなく笑顔の練習をしてゐる様子を、久美子(横山)がオッカナイ形相で凝視する。
 配役残り、デジエク第五弾「女と女のラブゲーム 男達を犯せ!」(2014/監督:松岡邦彦/脚本:今西守/主演:水希杏)の二番手から年と会社跨いで主演に昇格した彩城ゆりな同様、いまおかしんじ電撃大蔵上陸作―次はないのかな?―「帰れない三人 快感は終はらない」(涼川絢音・工藤翔子とトリプル主演)に続きピンク第二戦の夏希みなみは、ダッシュが機能を停止した濡れ場込みのどさくさの末にGARAKU魂を爆裂させるメイド衣装で飛び込んで来る、三年前に死別した尾崎亡妻の姿にカスタマイズされた、この人?もメイド型ロボット・恵。だから妻と同じ外見のロボットにメイド服を着させる、尾崎の性癖に入れるツッコミは脊髄で折り返せつてば。
 エースにしては案外少ない、渡邊元嗣2015年最終第三作。ど直球な公開題ながらロボット三原則が欠片たりとて参照されるでなく、寸分違はぬ外装のロボットが人間と共存する世界観といふ以外にはアシモフとも、ウィル・スミス主演の映画版(2004/米/監督:アレックス・プロヤス)とも特段関係はなからう。寧ろ直近では2013年第三作「愛液まみれの花嫁」(主演:樹花凜)以来となるロボナベは、先に登場する三番手が上手い具合に隠された真相の存在を予感させる、サスペンスに一旦は主眼が置かれる。折り鶴を折る真弥は、口癖のやうにかう繰り返し投げる「祈りを込めて折れば、想ひはきつと通じる」。祈りを込めて撮れば、想ひはきつと通じる。さう言ひ換へるならばそのまゝナベシネマの信念と受け取れる文言ともいへ、十字に交差するどんでん返しが火花を散らす謎明かしは、片側が結構無理が大きいのもあり、この手のお話か幽霊譚にありがちな予想可能性を、必ずしも捻じ伏せるものではない。据ゑられた膳は喰つておいて、尾崎は恵に鳴海昌平ばりの捨て台詞を投げる。2009年第三作「愛液ドールズ 悩殺いかせ上手」(主演:クリス・小澤)に於いては映画の奇跡で美しく昇華する、作られし者の悲劇なり、作る側の傲慢さが掘り下げられるでもない。女優の裸を美しく押さへることに全振りする、デジタルのクリアな果実は見所とはいへ反面始終は薄味であるものの、ピンク映画的には主要モチーフでもある喪装の投入含め、無常観と表裏一体のある意味永遠の思慕が叩き込まれるラストは、雌雄は決したと高を括つた早とちりを覆す、それなりに深い余韻を残す。理に落ちた展開に足を引かれ、祈りを込めて撮つたからといつて想ひがきつと通じたとは行かないまでも、最後の最後に粘りを見せる一作ではある。
 備忘録< 本妻と別れろ別れられないの痴話喧嘩の最中に、久美子の車に轢かれ霞死亡。以来自身をロボットと思ひ込み精神を閉ざした真弥の治療目的の、霞がダッシュ>>オーラスは真弥の没後百年、尾崎は五十年の墓参に各々喪装で訪れた二体のロボットが交錯


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 「女子大生 教師の前で」(昭和58/製作・配給:新東宝映画/監督:水谷俊之/脚本:磯村一路/撮影:坂真一穀/照明:三好和宏/音楽:坂口博樹/編集:菊池純一/助監督:周防正行・冨樫森/撮影助手:斉藤幸一/録音:銀座サウンド/効果:内田越允/現像:東映化学/タイトル:代東画/協力:アトリエキーホール・ファイブドアーズ/出演:山本さゆり・美野真琴・田口ゆかり・山口良一・森林太郎・小磯一巳・米長一彰・大杉漣)。
 山本さゆりが田舎の母親と電話で話す、電話を切り就寝すると暗転タイトル・イン。明けて今度は美野真琴(a.k.a.よしのまこと)登場、着替へるのかと思ふと、自ら胸を揉みオナニーをオッ始める。壁に並ぶ細い覗き窓が、その空間が嬢の痴態を個室に入つた客に覗かせる、いはゆる覗き部屋であることを伝へる。因みに協力のキーホールは実名登場する有名店、ファイブドアーズは判らん。四周を闇に縁取られる覗き窓視点の、上辺にクレジットを打つのが激しく洒落てゐる。元教師につき、本名不詳源氏名ならシェリー(美野)からは“教授”と呼ばれる店長(大杉)の顔見せ挿んで、その日のキーホールの営業は終了、ネオンを消灯する。ジョギングで一走りし帰宅後に鳴りだした目覚まし時計を止める工藤タカコ(山本)と、対照的にベッドの中から目覚ましを蹴倒すシェリー。西(甚だ覚束ないビリング推定で山口良一)の車に乗るタカコに対し、シェリーは大欠伸しながら電車で通学。風俗のアルバイトで月数十万を稼ぎ、大学には殆ど顔を出さないシェリーは久々に再会したタカコを、お気楽にキーホールに誘つてみる。
 配役残り、新東宝が別タイトルでリリースしたVHS―現在はDVDもあり―では「田口ゆかり 見せちやひます」と、三番手にして堂々とだかシレッと看板をカッ浚ふ田口ゆかりは、パンジー・シェリーとキーホールのナンバーワンの座を争ふキャンディ。張形とペニパン持ち出し、ペニパン越しに張形を挿入するといふ斬新なプレイも披露しつつ、敵情視察したタカコには、「感じてなんかゐやしない癖に、ただの見世物だは」と痛罵される。森林太郎は・・・・教授と二言三言遣り取りを交すキーホールの従業員?磯村一路と米田彰の変名臭い小磯一巳と米長一彰は、キーホールを―ついでに大学も―辞めたシェリーの、移籍先に於ける客要員??とかく男優部にはボロボロに手も足も出ないものの、新宿電話局の二人は定石からいふと演出部か。
 高橋伴明率ゐる高橋プロダクション解散後、残された面々で立ち上げた制作集団ユニット・ファイブ。福岡芳穂・米田彰・磯村一路(a.k.a.北川徹)・周防正行(順不同)と五人組のもう一人・水谷俊之の昭和58年第一作、通算第三作。因みに家にないゆゑ当然よくも何も全然知らないが、目下水谷俊之はテレビを主戦場としてゐる御様子。悪友から覗き部屋のアルバイトに誘はれた、シェリー曰く“何するにも真面目”な、自称“在り来たりの女子大生”が、やがてキーホールに家財道具の一式を持ち込み、遂には電話も引き、覗き部屋で寝起きするにまで至るといふ展開が実にユニーク。ついでに電話を引くなるイベントが、発生する点には時代を感じさせる。今ならばスマホなりWi-Fiを持ち歩けば事済む話で、全く以て味気ない。閑話休題、重ねてユニークなのが、女の裸をほぼ全て―客の鼻先でポーズを取り写真を撮らせる、シェリー移籍先での様子を僅かに除く―覗き部屋の“舞台”に於けるパフォーマンス―キーホールで生活し、断じて風ではないタカコの自慰ですら―として処理し、男女が性交するシークエンスが半カットたりとて一切存在しない奇抜な機軸。いつそパンジー×シェリーの百合すら放棄し、濡れ場から一切の絡みさへ廃してしまへばなほ独創的であつたのに。クライマックスをオナニーだけで魅せきる熱量を確かに感じさせる、タカコのライブはマジックミラー越し、満場の観衆の拍手と各々のブースを打ち鳴らすオベーションを招く。屈折しながらも辿り着いた感動の大団円、かと思ひきや。何より素晴らしいのがお嬢さんお嬢さんした柔和なイメージを一転、山本さゆりが鋭く一閃する、映画を観るなり見てゐる観客含め一切合財を奈落の底に叩き落す、ハードボイルドに衆生を突き放したドライなエモーションが圧巻。この時、意欲的に映画に取り組む若き水谷俊之は一見対極中の対極に位置する、裸映画に裸以外の何物をも、時には映画をも求める心性を貪欲と戒めるかの如く否定する、大御大・小林悟の厳格な父性にも似たダンディズムに、偶さか邂逅しかけてゐたのかも知れない。


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 「妻くどき撮り 変態くらべ」(1993『変態妻 わいせつくらべ』の1999年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:河中金美・稲吉雅志・難波俊三/照明:秋山和夫・荻野真也/音楽:藪中博章/編集:《有》フィルム・クラフト/助監督:広瀬寛己/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:酒井智恵子/スチール:岡崎一隆/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:小林亜樹・真下奈々江・森山芽衣子・衣さよこ・石神一・杉本まこと・芳田正浩・栗原良・神戸顕一)。助監督の広瀬寛巳ではなく寛己は、本篇クレジットまゝ。
 男の体を舐める女の舌のクローズ・アップにクレジット起動、二番手と三番手がポスターと異なるビリングに面喰ふ。張形を舐める画に監督クレジット、咥へ込んで暗転タイトル・イン。竹村祐佳を軽くリファインしたやうな主演女優が、「駅前カルチャースクール」オープン準備の女性モニターを募集する、タウン誌の広告に目を留める。駅前カルチャースクールを仕掛けるのはTAMAカルチャースクール準備室こと、、気になるしくじりの内容が、終に語られずじまひの元大手広告代理店マンの日下(石神)に、元風俗店経営の小野(杉本)と元スカウトの三田(芳田)。小林亜樹がシャワーを浴びて軽く一裸、首から上は些か老けてる割にはいはゆる美乳のいいオッパイが意外性の眼福。晩酌する夫のナガノ(栗原)に、セツコ(小林)は小説を書きたいとモニター応募の承諾を求める。適当に首を縦に振りつつ、ナガノが小説よりも子作りと突入する夫婦生活の導入が、あまりにも鮮やか過ぎて草が生える。セツコの他に、ハスキーボイスの馬面(真下奈々江と衣さよこが特定出来ない/以下馬面>あんまりだ)、旦々舎に住むもう一人(同/以下旦々舎)、その御近所(森山芽衣子/以下御近所)も駅前カルチャースクールに関心を持つ。背水の陣で挑むTAMAカルチャースクール準備室の面々は、出資者に提出する報告書のために銘々モニターとの接触を開始。ところが英会話の受講を希望する旦々舎の目的は、黒人男とのセックス。御近所は御近所で、女の性を女の側から描くシナリオ・ライター。セツコが書きたい小説の中身とは、夫の目の前で犯される人妻の話。三田と小野が二の足を踏み、日下は明らかに尋常ではないセツコのテンションに怖気づく火に油を注ぎ、馬面に至つては資格マニアを拗らせた得意の性技の資格認定を求め、三田は最早ヤケクソで据膳を喰ふ。
 正直残弾僅かともなつて来た、DMM浜野佐知殲滅戦、1993年全十二作中第五作。三人の男達が、カルセン開校に再起を賭ける。といふとプロジェクトXじみた主人公が男の、即ち浜野佐知的には甚だらしからぬ物語になるのかもと思ひきや、モニターとして接触した奥様方がどいつもこいつも華麗に猥褻度合いを比べる変態妻揃ひで、自由奔放に解き放たれる女達の性的な妄想なり要望に、三人がクラクラ翻弄される展開は結局何時も通りの浜野佐知、実に清々しい。全員濡れ場もこなす結果、却つてビリング推定を拒む甲乙つけ難い、といふか要は乙ばかりの微妙な女優部が、唯一の難点らしい難点とはいへる。突発的に琴線をマキシマムに弾かれたのは、旦々舎が臆面もなく膨らませる願望。イマジン中腰から下をシャネルズした男優部(識別不能)が登場するのは、よもや妙に温存される神戸顕一は黒人役で出て来やがるのかと、ピンク映画史上空前絶後のプリミティブなギミックの予感に、思はずPCを置いた机上に身を乗り出した。結果的に絡みに参加することもない神戸顕一の甚だ中途半端な配役は、劇中一切姿は見せない日下のコネのカルセン開校のスポンサー“会長”の、使ひの者。反面栗原良(a.k.a.リョウ・ジョージ川崎・相原涼二)はセツコの小説の中で、縛り上げられた眼前女房を手篭めにされ、重厚に地団太を踏む十八番を綺麗に披露する。各講座の内容が“現代セクソロジー/寝室の文化史/写真とフェティシズム/ウーマン・ラビング/独身者の科学/異装のセクシュアリティ”と、セクシュアルな方向に舵を切つた「ナイト・カルチャースクール」といふ形で、三馬鹿の企画は目出度く船出を迎へる。ところまでは娯楽映画的に十分順当ともいへ、余した尺は夜のカルセンの模様が描かれるでもなく、残り十分をナガノ家の夫婦生活で堂々と切り抜ける。最終的に男供は正しく蚊帳の外に放り出し、始終を何故かセツコの統治下においてみせるのは、流石といふかある意味といふか、改めて浜野佐知なればこそ。


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 「人妻銀行員 不倫密会」(1998/製作:シネマアーク/製作協力:THE PSYCHEDELIC PLASTICRAINS/提供:Xces Film/監督:瀧島弘義/脚本:本調有香/企画:稲山悌二《エクセスフィルム》/製作:奥田幸一/撮影:村川聡/照明:多摩三郎/編集:酒井正次/音楽:斎藤慎一《smp recordings》/助監督:久方真路/監督助手:玉城悟・松岡誠/撮影助手:藤井昌之/照明助手:藤森玄一郎・堀口健/キャスティング:綿引近人/スチール:本田あきら・佐藤初太郎/ネガ編集:三上えつ子/録音:シネキャビン/効果:東京スクリーンサービス/現像:東映化学/現場応援:国沢実・横井有紀/衣装協力:小倉久乃・桧山勇・Material Voice/撮影機材:ナック/フィルム:愛光/台本印刷:ユタカスタイラス/協力:木澤雅博・秋山兼定・大工原正樹・光石冨士朗・金田敬・野口勝広・槇原めぐみ・加藤章夫・細谷隆広・大山雅義・木村富貴子・ゴジラや・丸号・Dear Friends/出演:井上知子・岸加奈子・吉行由実・川屋せっちん・森羅万象・臼井星絢・国枝量平・内藤忠司・岡本暁・石阪稔朗・田上陽介《子役》)。出演者中、内藤忠司以降は本篇クレジットのみ。
 ノイズに片足突つ込んだ虚仮威しな劇伴鳴る中、東都銀行の朝礼風景。その他女子行員と同じ制服だが課長らしい恵(吉行)から書類を受け取り、外回り隊が各々出撃する。紅一点のトモコ(井上)が、渡されたばかりの書類をクシャッと握り潰しタイトル・イン。タイトル明けは、調理中の茹で卵。トモコと、夫のタカヒロ(森羅)の朝つぱらからの夜の営み。因みにjmdb準拠で、今作が今をときめく量産型娯楽映画界の重鎮・森羅万象のピンク映画初陣。見た目が殆ど全く変らないゆゑともすると通り過ぎがちになつてしまふのかも知れないが、何気に再来年で二十の周年である。ピンクに、再来年があるのかどうかは知らないけれど。尤も、同時にさういふ物言ひがリアリティを持ち始め、果たして何十年経つのかといふ話でもある。閑話休題、共働きにしては何故か、二人は持ち家のローンの支払ひで尻に火が点くどころか、殆ど首さへ回らなくなつてゐた。とりわけトモコに至つては金融のプロであるにも関らず、一体どんな無茶なローンを組んだのか。顧客(国枝)から三百万を預かつたトモコは、客に渡す控へは三百万で切つておいて、東都に提出する受取証は二百万で偽造。なほかつ、素知らぬ顔で国枝量平に体を任せる。帰還後のトモコに、恵が言ひ寄る。トモコに横領の手口を指南したのは、恵だつた。不自然に人気のない行内にて、二人は美しい百合を咲かせる。
 配役残り川屋せっちんは、トモコ大学同期の元カレ、にしてブランクの有無はさて措かれながら、兎も角目下関係は継続だか再開してゐる田中ケン。店長・木澤雅博で御馴染のアンティークトイ店「ゴジラや」の、二号店「ゴジラや2」―現存せず―店長。岸加奈子は息子・リョータが「ゴジラや2」で万引きしたのか否か外堀は絶妙に有耶無耶のまゝに済まされつつ、ケンと逢瀬の末に、金まで支払ふハイソな人妻・アキコ。水族館男優部の臼井星絢は、泥酔して田中家に転がり込む矢張り大学同期・サトシ。世事に疎いケンに、トモコの枕を投げる、内藤忠司がトモコがM字を披露する劇中二人目の顧客。リョータが家出したと「ゴジラや2」に現れたアキコは、衝動的に尺八を吹く。田上陽介は、その模様を通りから目撃する妙にハイカラな紛争の男児、この坊やがリョータなのか否かも不明。石阪稔朗と一緒くたのビリング推定で岡本暁は、恵を連行する刑事。
 目下は長く映画を離れ、舞台撮影を主に活動する瀧島弘義のデビュー作。何処で躓いたのか“せじまひろよし”と、お名前を間違つて覚えてゐたことは内緒だ。金に困窮したトモコが渡る、蜜の匂ひ漂ふ危ない橋。妙にモテるケンを間に挟み、トモコとアキコが織り成す三角関係。硬質な画作りにも支へられ終始思はせぶりに種だけは蒔き続けておいて、結局何ひとつ満足には刈り取らずに豪快に振り逃げてみせる物語自体には、特段の魅力は感じない。但し、絶妙な決して美人ではなさが寧ろエロい主演女優の脇を固めるのは、絶対美貌を誇る岸加奈子と、妖艶な大巨乳を爆裂させる吉行由実。一度きりしかない吉行由実の絡みが、しかも頗る短いものである点に関しては不満も残らなくはないにせよ、総体的には超強力な三本柱を素直に見せ魅せる、裸映画として素晴らしく高い水準で安定してゐる。山岡隆資の最初で最終作「人妻秘書 肉体ご接待」(1995/脚本:七里圭/主演:白井麻子/a.k.a.工藤翔子)同様、新人監督が覗かせる映画的野心は―正しく―ほどほどにいなした上で、キッチリ商品として仕上げさせて来る、エクセスの強さがより際立つ一作である。


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