真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「制服挑発 下着の奥」(1992『制服ギャル 下着大図鑑』の1999年旧作改題版/製作:獅子プロダクション/提供:Xces Film/監督:笠井雅裕/脚本:瀬々敬久/撮影:下元哲/照明:伊和手健/編集:酒井正次/助監督:今岡信治/監督助手:原田兼一郎/撮影助手:小山田勝治/照明助手:広瀬寛己/スチール:佐藤初太郎/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:佐倉ちひろ・浅野桃里・桜井あつみ・久須美欽一・杉本まこと・池島ゆたか・佐野和宏・広瀬寛己・飛田翔・佐藤宏・小獅子)。出演者中、広瀬寛己以降は本篇クレジットのみ。寛巳でなく寛己なのは、クレジット通り。
 タイトル開巻、窓の中から抜いた街景に、嬌声が被さる。カメラがパンすると、吃驚するくらゐに綺麗なTバックの尻。主不在の零細芸能プロダクション「浅見企画」、何故かナース服を着たアイドルくずれの演歌歌手・羽生沙耶(浅野)と、歌手くずれのマネージャー・稲田ケンジ(佐野)の開巻を飾る一戦。ダボッとしたジージャンが80年代の残滓を引き摺る佐野和宏のファッションには目を覆ひつつ、どうやら本当に演歌系の芸能プロらしき、ロケーションは全体何処なのか。何時の間にか日も暮れて、繁華街に大きなキャリーバッグを引き如何にも上京して来ました風情の佐倉ちひろ。社長の浅見(池島)が帰還するも、大絶賛事後にも関らず沙耶と稲田は衣装探しを方便に悪びれるでもない浅見企画に、九州旅行中に浅見が歌声に惚れ込み口説き落としたバスガイド・鷹栖幸子(佐倉)が現れる。見るから垢抜けない幸子を沙耶は小馬鹿にする一方、浅見は幸子と沙耶を組ませての、演歌界初の制服デュオを目論む。幸子のバスガイド姿は兎も角、ところで沙耶はどうして看護婦なのかといふ何気に根本的な疑問に対しては、最後まで一欠片の解答も提示されない。
 出演者残り杉本まことは、幸子が東京での宿を頼る今井タクロー。関係性を一切語らず―後述するリカに、今井が幼馴染と釈明―その夜に突入する濡れ場には、ルーズな作劇に匙を投げるばかり。桜井あつみは、一悶着経てションボリ帰つて来た幸子を更なる絶望の底に叩き落す、実は今井の婚約者・大森リカ。この人の制服は、制服のまゝ男の家まで来た客室乗務員といふ豪快な寸法。三番手にヒロインの傷口に塩を塗らせる用兵はそれなりに秀逸にせよ、要はコスプレといふエクセスからの御題に対し、造形に上手く組み込まうとする工夫を覗かせたのは幸子のみで、二三番手に関しては力技でしか対応してゐない。広瀬寛己は、今井宅から飛び出した幸子の、歌を褒めて呉れるルンペン。この件のガード下のロングや、終盤、稲田の置手紙を読んだ幸子の目が据わつたショット。画的な文字通りの見所は、ちらほらなくもない。久須美欽一はオリオンレコードからデビューの決まつた幸子を、浅見が売つた作曲家の先生かプロデューサーとかその辺り。その他多分佐藤宏がアダルトビデオ監督で、絡み推定で飛田翔が男優。恐らく獅子プロ内トラの小獅子―それ以上は特定不能―は、稲田のギターで流しのプロモーションに出撃した幸子に、ピンサロ感覚で手を出す性質の悪い酔客か。
 滝田痴漢電車を観に行くと大体な確率で名前を見かける笠井雅裕は、獅子プロで約十年の助監督修行を経て、何のものの弾みかロマポばりに尺の長い「いんらん姉妹」(昭和63/新東宝)でデビュー。以来新東宝とエクセスでピンク十四本と、ENKで薔薇族を二本監督。今作は1992年第二作にして、ピンク映画最終作。因みに橋本杏子―この人と杉原みさおの、齢の取り方には少なからぬ衝撃を受けた―の元夫としても知られる笠井雅裕がハシキョンと結婚したのはピンクから足を洗ふ前年のことで、自身の会社を興した笠井雅裕は、AV戦線で今なほ現役である。
 脚本が瀬々敬久だからといつて、しかもエクセスで徒にポリティカルな方向に振れてみせるでもなく、歌を全然聴いて貰へない幸子が煽情的な赤の下着で流してみたところ一時的に好評を博したり、アイドルに返り咲くと息巻き浅見企画を飛び出した沙耶が、選んだ道はAVアイドルであつたりだとか、浪花節か雑草系の奮戦記的には全く順当な、順当過ぎて殆ど平板な展開に終始。沙耶に連れられる形で浅見企画と袂を分つた稲田が、社長とのキャンペーンの最中、ラジカセが故障してオケが止まつた幸子の窮地に、様子を窺つてゐた物陰からギターを抱へて飛び込むベタなシークエンスは、何で稲田が一々ギターを持参してゐたのかさへさて措けば佐野和宏の突破力に支へられ軽くグッと来る。となると、といふか兎にも角にも苦しいも通り越し十二分に致命傷たり得るのが、滑舌に影響を及ぼすほど顔の曲がつた主演女優のエクセスライク。録音スタジオにて幸子が久須りんに手篭めにされる一幕、あまりにも発声が不安定で、バルタン星人ばりにビブラートする悲鳴には腹を抱へた。当然、全篇を貫く歌唱の方もお察し。桜井あつみも桜井あつみで所詮はオッパイ頼りの御愛嬌ぶりで、まともな女優が浅野桃里一人きりの脆弱な三本柱は、オーソドックスな娯楽映画のセンで攻めるには如何せん厳しい。ある意味、プロフェッショナルの矜持を持つ沙耶が何処の馬の骨とも知れない幸子を軽視する構図と、実際の浅野桃里と佐倉ちひろの立ち位置が綺麗に相当してゐるともいへ、斯様に屈折してゐるのかゐないのかよく判らない配役が、下手にハマッてみたところで始まらない。幸子と稲田が付くのか離れるのか、グダグダ右往左往するキレの悪いラストまで登場以降始終佐倉ちひろに支配され、この時既に、笠井雅裕はピンクに留まる情熱を失つてゐたのかしらんとすら邪推しかける、挽回の気配なり気骨を感じさせない負け戦である。


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 「女囚101 性感地獄」(昭和51/製作:日活株式会社/監督:林功/脚本:久保田圭司・大原豊/プロデューサー:海野義幸/撮影:山崎敏郎/照明:新川真/録音:秋野能伸/美術:柳生一夫/編集:井上親弥/音楽:多摩零/助監督:高橋芳郎/色彩計測:田村輝行/現像:東洋現像所/製作担当者:服部紹男/出演:珠瑠美・山科ゆり・丘奈保美・牧れいか・木島一郎・織田俊彦・浜口竜哉・森みどり・梨沙ゆり・嬢沙菜恵・飯田紅子・野村真樹・雪丘恵介・玉井謙介・谷口えり子・伊豆見英輔・小泉郁之助・橘田良江・北上忠行・小見山玉樹・影山英俊・水木京一・近江大介)。出演者中、雪丘恵介から伊豆見英輔と、北上忠行以降は本篇クレジットのみ。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
 三年の実刑判決を喰らひ、愕然とする珠瑠美の馬面を左に置き、右半分を大書で埋め尽くすタイトル・イン、完璧な強度の画面設計には惚れ惚れさせられる。
 珠ならぬ多摩女子刑務所、妙に場慣れしたズベ公達からは一応浮いた萩村佐夜子(珠)は―何故か100は欠番の―101号の番号を頂戴し、99号パン女の志村紀代美(牧)らとともに、内藤珠江(丘)が房長の24房に入る。一同をドン引きさせる佐夜子の罪状は、ズバリ殺人。夫の勇治(織田)を送り出した直後に押し入つた暴漢(小見山)を、小夜子はネクタイで絞殺。激しく抵抗するどころか、まさかの返り討ち。但しそもそも小見玉は、小夜子の浮気をでつちあげて離婚に持ち込まうとした、勇治の姦計の弾だつた。
 別に大した物語もないゆゑ大体登場順にサクサク配役残り、橘田良江・木島一郎・浜口竜哉は女看守の牧村和美と看守主任の鮫島に、多摩女子に常駐するハンサム医師・肥沼、ハンサムにはハンサムぽい名前つけたれよ。山科ゆりは24房で珠江中心の輪からは外れ、馴染めぬ同士で佐夜子と仲良くなる小林ユキ。森みどりは24房最年長、既にアガッた佐川スギ、梨沙ゆり・嬢沙菜恵・飯田紅子・谷口えり子はその他女囚要員。女優部ならぬ女囚部は、風呂だ何だで全員脱ぐ。北上忠行は懲罰房で佐夜子を犯す看守の田中、玉井謙介と近江大介はその他看守。野村真樹が、勇治の浮気相手・川島マキ。社長の娘をオトして、高級クラブの店長の座につかうとかいふセコい寸法。とこ、ろが。人を呪はば穴二つ、影山英俊は、佐夜子を捨てた勇治も捨てる、マキが乗り換へるプレイボーイ。ムービーウォーカーにも記載のない水木京一は、生後二ヶ月のサキコを死なせたクズ亭主、恐らくユキに殺される、小泉郁之助は多摩女子所長。雪丘恵介は、これで絡みで締めてるラスト・カットを介錯する年配、多分お金持ち。最後に刑事役とされる伊豆見英輔が、刑事が何処に出て来たのかからよく判らない。
 翌年もう一本の女囚101「女囚101 しやぶる」(昭和52/監督:小原宏裕/脚本:松岡清治/主演:谷ナオミ)とは、森みどりが丸つきり同じやうな役で出て来る以外には、一欠片たりとて掠らない林功昭和51年第四作。もう一点、“性感地獄”だ“しやぶる”だと、辞書を開いて目に入つた単語をつけてみたが如く、適当極まりないタイトルも共通してゐる。
 女子刑務所と来れば百合の花咲き、淫湿もとい陰湿な苛めが横行する。遠く過ぎ去つた時代の色合ひ以外には、これといつた見所を探すのも難い一作ながら、仮に量産型娯楽映画の神髄を類型性に求めるならば、今作のやうな純然たるフォーマット映画こそがその鑑であるとする強弁も、やらうと思へば出来なくもないやうな気の迷ひも、しないではない、せんでええけど。徐々に株を上げる佐夜子と、派手に撃墜された珠江が、前段珠江のハチャメチャな大暴走込みで対峙するのが、残り尺考へると些か早過ぎやしないか?と訝しんでゐると、ラストといへば誰か殺さないと気が済まない乾燥したセンスと、無様に破滅に至る男の一方、女は逞しく生きる的な、まるで脊髄反射か自動出力で脚本を書いたかのやうな清々しいほどに心のこもらないオーラスが、グルッと一周して琴線に触れる。何となくか、やんはりと。


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 「めぐる快感 あの日の私とエッチして」(2016/制作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:猪本太久磨・岡村浩代・磯崎秀介/スチール:津田一郎/録音:シネキャビン/効果:梅沢身知子/仕上げ:東映ラボ・テック/協賛:GARAKU/出演:星美りか・里美まゆ・横山みれい・橘秀樹・小滝正大・ケイチャン)。
 モノクロ無声映画風味の開巻、上野の王比伊神社。何時の時代か、浴衣姿で縁結びのお百度参りに励む彩香(星美)に、願ひが叶つて和服の修平(橘)が指輪を贈る。装ひと求婚の風俗との齟齬如きさて措き、威圧的なまでに胸元をいはゆるロケット型に盛り上げる、星美りかのオッパイが凄え。そして現代、UFOは未来人の乗つたタイムマシンだ何だと他愛ないムー話に盛り上がる、彩香と凜香(里美)の片桐姉妹に加へ、大森修平と川島司(小滝)の大蔵大学都市伝説研究部の面々。今はその手のネタも、ミミズバーガーやラジオ体操第4と十把一絡げに都市伝説に括られるのか。因みに小滝正大(ex.小滝正太)は、「熟妻と愛人 絶妙すけべ舌」(2012/監督・脚本:後藤大輔/主演:春日野結衣)から四年ぶりのピンク復帰。彩香の、過去にメールを送るといふ思ひつきにヒントを得た修平は、司が学ランの下に着る白Tにやをら数式を書き殴り始める。アルプス一万尺の二番を手遊び込みでフルコーラス噛ませた上で、夢を追ふ将来を熱く語る修平に彩香がウットリしてタイトル・イン。往々にして渡邊元嗣が仕出かす、下手にデジタルな安つぽいタイトル・インはどうにかならないものか。フィルム時代から、元々頓着ないのか酷い時はスッカスカな手の抜きつぷりに逆の意味で驚かされることもあつたが。
 三年後、普通に就職した彩香に対し、修平は発明と起業の準備期間と称して、姉妹が同居するマンションの一室にどう見ても自堕落に寄生。片や凜香が挙式間近の司は一流企業で順調にコースに乗り、ヒモを抱へ煮詰まる姉とは対照的に妹は玉の輿をゲットしつつあつた。こんな筈ぢやなかつた感を拗らせる彩香のスマホに、“過去の自分にメールを送れるサービス”との「過去ポスト」なる正体不明のアプリが着弾する。戯れに彩香が過去の自分に修平とは付き合はぬやうメールを送つてゐると、世界的なIT起業「リンゴ社」代表取締役のスティーブ・成仏(名刺オチで一切登場せず)に、SNSを介して認められた朗報を持つて修平が現れる。双方感激した流れで突入する絡み初戦、ミッチリ完遂したのち満ち足りた彩香がフと傍らを見やると、隣にゐるのは修平の筈が何と司。事後の軽い後悔がまんまと当たり、彩香が過去ポストで昔のメルアドに送信した忠告メールによつて、現在の歴史が変つてしまつてゐたのだ。
 配役残り、二作続けてトメを譲つた横山みれいは、多分寿退社済みの彩香が愛妻(予)弁当を届けに向かつた司と、見るから怪しげに逢瀬するバツイチ子持ちの先輩・重森紀子。「本気の恋でも潔く身を引くのが年上女の心意気」が、男をオトす必殺の殺し文句。クローゼットの中からラストに文字通り飛び込んで来るケイチャン(ex.けーすけ)は、ドッペルならぬドッピュルゲンガー。斯様な駄中の駄洒落をどさくさ紛れでも何でも形にし得るといふのも、確かにさうさう得難いタレントではある。
 改めて近年ナベシネマを振り返つてみたところ、降順に此岸と彼岸を跨いで全身整形生前の記憶を移植した瓜二つロボット時空を超える女忍者と来て、日本消滅回避を賭けての神と悪魔に板挟み。フィルム最終作にナベシネマズ・エンジェルも大量動員しての処女の難病ものは比較的おとなしいにせよ、相変らず易々と時空を超えてみたり衝撃のディストピア結末を叩き込んだ上に、人類の存亡を巡り天女とセックスどストレートなインセプション既視感もなくはない人造人間悲譚、涙腺を決壊させるみるくの恩返しと、見事に連なる種々雑多に飛び道具を満載したファンタなフィルモグラフィーにはクラクラ来る。完全に日常の地べたに止(とど)まる物語となると、オッパイ姉妹の恋愛ドタバタを描いた2013年第一作「姉妹相姦 いたづらな魔乳」(2013/主演:ティア・眞木あずさ)まで、何と十二作遡らなければならない徹底した軌跡には圧巻の言葉しかなく、更にその前作では相変らず地球壊滅の危機を迎へてゐたりする。ここいらで2009年第一作「しのび指は夢気分」(主演:夏井亜美)以来、エース格といふポジションも踏まへるならばなほさら大概御無沙汰の、ナベ痴漢電車を出発進行してみせるのは如何か、痴漢電車の基礎理論「ベッドの上で起こることは、全て電車の中でも起こる!」を定立したのは渡邊元嗣と山崎浩治のコンビなんだぜ。
 そんなこんなで渡邊元嗣2016年第二作は、送信速度が正しく光速を超えるメールが巻き起こす、四角だか五画だか六角関係。うん、何時も通りのナベだ。要はヒロインの打算が誤算を生む利己的極まりない展開ながら、司と凜香も同じ穴の狢に据ゑ彩香の現金さを薄める方便も有効に、“いまを選ぶのは、未来のわたしぢやない”と彩香に臆面もなく撃ち抜かせるエモーションを、しみじみと爽やかなオーラスで補強し堂々と成立してのけるのが、一途な真心に熟練した技術の伴つたナベシネマの強さ。瑣細はかなぐり捨て、一撃に全てを賭ける凄味には、渡邊元嗣の娯楽映画に対する鉄の信念が透けて見える。時の流れまで含め縦横無尽に入り組むお話を入念に進行する代償に、主演女優でさへ二回、二番手三番手はともに一戦きりと回数こそ確実に少ないものの、その分結構エグく攻める濡れ場は何れも腰から下への訴求力が高く、裸映画的にも遜色なく安定する。一見さうは見えない里美まゆもいはゆる脱いだら凄い系で、巨乳部を三枚揃へた三本柱は眼福眼福。実は修平にも過去ポストが着弾してゐた、馬鹿丁寧なパラドックスよりも、絵馬を通して過去の自分からのメッセージが届く方が寧ろ豪快な力技ともいへ、さういふ些末な野暮はいひない。身勝手な右往左往を無理から美しい帰結に引つこ抜くパワー系の一作を、ドッピュルゲンガーが一旦ガッチャガチャに散らかす如何にもナベシネマらしいラストを、胸に染み入るオーラスで再度締め括る構成は矢張り心憎い。

 唯一の心残りは、脊髄反射で内トラが予想された、凜香に言ひ寄る童貞デブ上司役の永井卓爾の不発。いや、蛇足・オブ・蛇足に過ぎないのは判つてゐる。


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 「聖なるボイン もみもみ懺悔室」(2016/制作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:深澤浩子/撮影監督:創優和/録音:小林徹哉/編集:有馬潜/助監督:小関裕次郎/音楽:OK企画・友愛学園音楽部/録音所:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/監督助手:植田浩行/撮影助手:佐藤雅人/スチール:本田あきら/出演:折原ゆかり・伊織涼子・加山なつこ・深澤幸太・柳東史・世志男・津田篤・広瀬寛巳・なかみつせいじ)。
 何故かプロレスラーの宣材ばりに大きく胸を張つた、竹中神父(なかみつ)のポスターみたいな遺影から、カメラが下がつて引くとシスター服の三本柱が手を合はせてタイトル・イン。三人前の修道女服をレンタルするのが関の山だつたのか、安普請も通り越しスカスカな美術に開き直るが如く、手前に添へられた線香の無造作な折衷感は微かにクスリと来る。それと、結局回想カットのひとつ設けられるでなく、写真一枚限りの登場に止(とど)まるなかみつせいじが、ゼロ特記でトメに座るのには軽く驚いた。
 出所したヤクザの立花柳二(深澤)が、拾つて呉れた酒屋の大将・島本(世志男)のライトバンでヤサを目指す。ヴィジュアルは百歩譲るとして、スーパーライトどころでは済まず江端英久1ミリ的に軽い深澤幸太の発声に、幾らやさぐれた2.5枚目を気取つてみせたところで、苦笑すら漏れぬ居た堪れなさを禁じ得ない。閑話、あるいは憎まれ口休題、ベランダに干された真黄色のパンツに、ミズエ(名前しか登場しない)が待つてゐて呉れたものかと感激した立花が、玄関が開くなり抱きついた女は、レッドな他人のシスター絵美(折原)。当然双方ワーキャーする騒ぎとなり、続けてシスター怜子と香織(伊織涼子と加山なつこ)も顔を出す。かつての住居が今は三人が暮らす「のらKYOUKAI」に変つてゐるのを確認した立花が、諦めて立ち去らうとすると照明が赤く一転するとともに、ホンワカホンワカOK劇伴起動。修道女が三人がかりで立花に迫る、のは、「のらKYOUKAI」の隣に住む官能小説家・小林トオル(柳)の『破廉恥シスターシリーズ』作中の出来事。怜子と香織の二人で営業する「修道女BAR マリア」で痛飲したものの、飲代を払へなかつたシケた立花は、小林が破廉恥シスターシリーズにマリアを実名登場させたばかりに、ストーカー的な痴漢の出没に悩む店の用心棒の座に納まることに。
 配役残り広瀬寛巳は、相対論かも知れないが意外な巨体で妙な戦闘力を発揮する大立ち回りを披露する、プリミティブにワイルドな痴漢氏。津田篤は小林先生担当編集のヒムセルフ、怜子に筆卸して貰つた小林が書き上げた、シリーズ最新作「破廉恥シスター 童貞おどり喰ひ」に感激のあまり、勢ひ余つて薔薇を咲かせかける。
 最早暗雲も立ち籠めない、加藤義一2016年第三作。座付脚本家の深澤浩子への変更に、一旦胸を撫で下ろした向きも見受けられるやうだが、加藤義一、依然全然ヤバいのではなからうか。娑婆に戻つて来たヤクザ者に、訳の判らん聖なるボイン三連星と、隣人のポルノ作家、ひとまづ如何にもピンク映画的な面子は揃つたかに見える。否、少なくとも形式的には揃つてゐた。そこから香織×島本、怜子×小林、そして絵美×立花。三者三様の色恋沙汰が並走するのも十全な展開とはいへ、満足に交錯するでも深く踏み込まれるでもなく、要は何れも精々三番手程度の濡れ場ばかりを連ねた始終は、エモーションの結実には終に遠い。ただでさへ脆弱か非力な人情ドラマを、挙句に浩子について来る幸太が軽く薄く逆噴射する始末とあつては、加藤義一の発掘脚本家との心中路線は相変らず。ついでに、機能のキの字にも至らない些末な小ネタが火に油を注いで癪に障る。今時、ダンプ松本の「マジだぜ」を覚えてゐる観客が、小屋に全部で百人ゐたとして全体何人ゐるといふのか。殆ど唯一の見所といへば、初めて加藤義一が深澤浩子と組んだ前々作にして、熟女・爆乳AV女優ユニット「3boins」初戦の「ボインのお宿 熟女大宴会!」では撃ち損ねた、六峰の巨山を連ねるジェット・ストリーム・アタックを放つたくらゐ。繰り返すが、加藤義一は依然全然ヤバいのではなからうか。破綻してゐないだけで、何もないところで安定してる。ツッコミの愉楽にも欠く寒々しい白夜の荒野にも似た一作に、弥増す徒労が骨身に染みる。

 ペテン師な竹中神父の造形は前作「巨乳OLと美乳人妻 ~北へ向かふ女たち~」(主演:福咲れん)と合致するものながら、最終的な同期は図られず。


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 「人妻家庭教師 濡れしぐれ」(2000/製作:小川企画プロダクション/配給:大蔵映画/監督:小川欽也/撮影:郷田有/照明:岩橋豊/助監督:寺嶋亮/音楽:OK企画/編集:フィルムクラフト/スチール:津田一郎/脚本:水谷一二三/監督助手:亀谷英司/撮影助手:西村友宏/照明助手:山下由美/録音:シネキャビン/効果:東京スクリーンサービス/現像:東映化学/タイトル:ハセガワタイトル/出演:椎名絵里香・江本友紀・小池結・杉本まこと・久須美欽一・平川ナオヒ・中川大輔)。照明の岩崎ではなく岩橋豊は、本篇クレジットまゝ。物凄く中途半端な位置にクレジットされる脚本の水谷一二三は、小川欽也の変名。
 一浪生の佐藤拓也(中川)が英語のテキストを―何故か縦書きのノートに―和訳し、その背後では、人妻家庭教師の奈美(椎名)が呑気にコーヒーを楽しむ。一旦一段落、訳をチェックする奈美が拓也の背中に無造作に押しつけるオッパイの表現に、チョイチョイ裸を挿み込む―だけの―プリミティブな演出が妙にそゝる。奈美が玄関の中から拓也に送り出されタイトル・イン、自室で寝転がり拓也が改めてイマジンを膨らませる奈美の痴態にクレジット。画が替る毎に、ブラを外してゐたりゐなかつたりする繋がりの悪い無頓着さに、ここでは躓く。佐藤家と津田スタジオを兼用する、奈美自宅。奈美の夫・浩史(杉本)は勤務先倒産につき失業中、元高校教師の奈美が家庭教師のアルバイトをしつつ、浩史は―正確には“元”―社長秘書の清水の紹介で、漸く新しい就職先が決まりかけてゐた。そんな流れでの夫婦生活、主演女優の椎名絵里香が、絶妙に美人過ぎないルックスと、デカい乳輪がどエロくて素晴らしい。入念な濡れ場を完遂してなほ、カット尻まで杉本まことが乳を触り続けるジャスティス。
 配役残り小池結は、家庭教師の終り際に遊びに来た、要は大概強引な三番手の捻じ込みやうを振り抜く拓也の彼女・友紀。一応一年後輩の受験生なので、二人とも通れば目出度く同級生となる格好、目出度いのかどうかよく判らないけど。後を辞した奈美が“あんな可愛い彼女”と述懐するのが、正直通らない下駄面。平川ナオヒ(現:平川直大)は、実は生徒との淫行を仕出かし教職をドロップアウトしてゐた奈美と再会する、当時喰はれた平川あきら。奈美がその後結婚したのを知ると、過去を出汁に関係を迫る悪ナオヒーローぶりを披露する。椎名絵里香×平川ナオヒと、江本友紀×杉本まこと。二つの絡みが苛烈なクロスカウンターを放つて同時進行する中盤を支配する江本友紀は、ところでその頃浩史が会つてゐた前述の清水久子、愛称チャコ。端からそのつもりで、浩史に転職の代償としてワン・ナイト・ラブを求める。仕事を世話して呉れたばかりかヤラせても呉れるなんて、爆裂する史上空前の濡れ手で粟感が堪らない。慰撫して呉れ、怠惰でもいい、もつと俺達を優しく慰撫して呉れ!
 気を取り直して、貫禄すら漂はせる下衆い千両役者・久須美欽一は、拓也の近所に住んでゐた奈美の教師時代の同僚・小林。案の定拓也にも手を出す現場を盗撮した奈美の、菊の花まで散らす。小池結投入前段、横断歩道を渡る奈美に、いいぢやんと垂涎する特に必要なやうにも見えない内トラは不明、定石だと寺嶋亮か。
 初期ナオヒーロー目当てで見てみたところ椎名絵里香が拾ひものであつた、今年も新作を―どうせ伊豆で―撮影予定の今上御大・小川欽也、2000年案外少ない全三作中第一作。空気ほどしか存在しない物語を通して、二三番手は仲良く一幕限りに、男優部総嘗めの四冠を達成する椎名絵里香の裸をひたすらに見せ倒す、誠腹の据わつた裸映画。それはそれで、いいにせよ。如何にも小川欽也らしい脱力系のフリーダムが、火を噴くのは最終盤。因みに嫁とは半年前に離婚した小林家で結構酷い目に遭つておいて、普通に風呂に浸かる奈美はまづあきら、そこからなのかよ。拓也に続いてついでに小林、最後に申し訳程度に浩史。冷静に振り返ると劇中二日間の間に繰り広げられた濡れしぐれの数々を想起した上で、若い子の摘み食ひを止める決意でケロッと一件を強制落着。再度の夫婦生活で最後を締めるのかと思ひきや、尻が痛むのか嘘生理で回避。その後受験に合格した拓也と再会するものの、その時奈美はといふと御懐妊。ラスト二分半を他愛ない世間話に終始する、即ち締めの濡れ場を放棄した謎エンドには完全に油断してゐて逆に吃驚した。なかなかどうして一筋縄では行かない、ある意味老獪なのかも知れない一作である。


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 「本番裏快楽」(1993/製作・配給:新東宝映画/脚本・監督:鈴木敬晴/企画・製作:田中岩男/撮影:稲吉雅志/照明:斉藤久晃/音楽:雄龍舎/編集:竹村編集室/撮影助手:青木克弘/照明助手:木村文美・フィックス照明/助監督:森山茂雄・平岡きみたけ/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/現像:東映化学/出演:林由美香・牧村耕二・岸加奈子・浅野桃里・清水大敬・木下雅之・平岡きみたけ)。洋泉社刊『女優 林由美香』(2005)には雄龍舎製作とあるが、企画だけでなく製作にも田中岩男がクレジットされてゐる点をみるに、新東宝製作なのではなからうか。それと出演者中牧村耕二が、VHSジャケには殆ど頑ななまでに牧村耕次。
 キャーといふ儚い悲鳴とともに、宙に舞ふ赤いマフラー。画質が粗過ぎて何が映つてゐるのか殆ど判らない壮絶なビデオ画像と、北陸から出稼ぎの日雇ひ人夫・倉田(牧村)が解体現場で大雑把に汗を流す姿とを交互に往き来。親方のヤジマ(清水)が、見た感じ作業は大絶賛中途、日も全然高いのに時間だ帰らうと倉田に告げたタイミングで鈴木敬晴クレジット、どんな現場だ。倉田が水道の蛇口直浴びで汗を流し、再びマフラー舞つて裏ビ映像、漸く林由美香が登場した画を一時停止してビデオ題の「裏快楽 襲はれた妹」でタイトル・イン。ヤジマの悪いも通り越し聞くから怪しげな誘ひを振り切つた倉田が、強姦後廃人状態となつた妹・康子(林由美香の二役)が祖母と暮らす郷里に送金する手紙を認めてゐると、康子が死去した旨を伝へる電報が飛び込んで来る。一方その頃、ヤジマはキョーコ(岸)が店主の売春スナックにて、カオリ(浅野)相手に大ハッスル。如何にも清大的なメソッドで羽目を外し過ぎたヤジマをキョーコが撃退、カオリが食塩を撒く店に、入れ代りで呆然と夜の街を彷徨ふ倉田が現れる。強引にカオリとの―店外―デートを成立させたところに、一仕事終へた岡本桃子(林由美香/但し辿り着けさうで主に辿り着けないアテレコ)が帰還。康子康子と半ば錯乱状態の倉田に、金さへ毟り取れれば構はないキョーコは強引にだか豪快に桃子を宛がふ。配役残り木下雅之は、キョーコの店を仕切る安岡組の西田、平岡きみたけはそのジャンキーみたいな子分。
 林由美香初期の代表作の一本に前述した由美香本が挙げる、鈴木敬晴1993年第一作、敬晴名義第八作。単独監督作全十三作を追ふ鈴木敬晴(ex.鈴木ハル)映画祭も、残すは次作「高級ソープテクニック3 快感天国」のみ。とりあへず、あるいは兎にも角にも。実際に妹を持つ身の一人としては、康子と瓜二つの桃子が過去に出演したかさせられた裏ビデオを所持し、ミーツした後には桃子を抱く倉田が、激しく感情移入に遠い。他人声にエンジェル・ボイスも封じられたこの時期の、要は後年リファイン前の林由美香に、由美香が由美香といふだけで殊更に入れ揚げる訳でもない。ビスタが本来の映画的設計の左右を無惨に断頭するのはいふても仕方ない話にせよ、康子に何も出来なかつた倉田が、西田に捕獲された桃子の窮地に体を張る展開はありがちなエモーションを最低限撃ち抜くともいへ、改めてワーキャー騒ぐほどには思へなかつた一作。ラスト一本に最後の一縷の望みを繋ぎつつ、時に観念論の大樹海を派手にブチまけてみたり、ダサさと同義の愚直な映画愛を覗かせてみたりもしながらも、総じては誰が誰に痴漢してゐるのか判らない痴漢電車を撮つてしまふやうな映画監督。といふ辺りの評価が、鈴木敬晴には最も相当なのではあるまいか。


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 「性辱の朝 止まらない淫夢」(2016/制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画/脚本・監督:山内大輔/特殊メイク・造形:土肥良成/撮影監督:田宮健彦/録音:大塚学/編集:山内大輔/音楽・効果:Project T&K・AKASAKA音効/助監督:江尻大/制作:沼元善紀、もう一名/特殊メイク・造形助手:鈴木雪香、他/美術:吉田孝子/スチール:本田あきら/エキストラ:SHU軍団・井尻鯛、他/協力:VOICE、竜巻軒、スナックちばる、ホテル・フォレストイン、株式会社TRIDOM、はきだめ造形、日活スタジオセンター/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:朝倉ことみ・涼川絢音・みづなれい・川瀬陽太・竹本泰志・森羅万象・世志男・岡田智弘・山本宗介・太三・松井理子・藤岡範子・中野未穂・和田光沙《友情出演》)。出演者中、岡田智弘と山本宗介は本篇クレジットのみ。演出部応援始め、予想外の情報量に爆死する、協力は順不同。
 赤暗いラブホテルの一室、右頬に大きなバッテンが痛々しく刻まれた朝倉ことみが、物騒にも威圧的にサバイバルナイフを握り締めた男に抱かれてゐる。加へて朝倉ことみの右肩甲骨下には、天使が羽を捥ぎ取られたかのやうな大きな傷跡が。左足を曳き自室集合住宅の表にまで漸く辿り着いた、川瀬陽太の携帯が鳴る。ユリ子か!?といふ問ひに対し当のユリ子(朝倉)が、屋上から川瀬陽太の眼前にドチャッと降つて来る。潰れたユリ子の頭部に、川瀬陽太が呆然と手をやりタイトル・イン。のつけから陰惨なアバンの完成度は本来完璧な筈なのだが、小倉名画座との比較で何故か暗い画の映写に抱へる結構致命的な弱点が判明した、我等が旗艦館・前田有楽での大いなる苦戦が容易に予想され、現にその懸念はまんまと当たる。
 猫を轢き血塗られたホイールを洗ふ運送会社トラック運転手の吉川(川瀬)に、社長の滝沢(世志男)が人ぢやなきやいいよとデス陽気に声をかける。恐らく竜巻軒で滝沢に紹介された本社とは別の倉庫に勤務する事務員のユリ子と、吉川は結婚する。愛妻弁当を満喫する吉川に、可愛い顔の下にキナ臭さを隠す事務員のミカヨ(涼川)はユリ子が実は滝沢の愛人である、残酷な事実を悪びれるでもなく告げる。気分を変へに吉川とユリ子は、上野特選劇場に「痴漢電車 悶絶!裏夢いぢり」(2015)を観に行く。観終つたあと手洗ひに向かつたユリ子は、呆然と立ち尽くす吉川の目の前で、世界の救済を自任する気違ひ(太三)に鉈状の刃物で惨殺される。仕事も辞め消沈する吉川の下に、高校時代サッカー部の後輩でヤクザの高橋(竹本)が、飛んだ亭主の借金の形に泡風呂で働かせてゐる弥生(みづな)を、身の回り―と下―の世話をさせるために連れて来る。男女の一夜を過ごした翌日、弥生の姿はユリ子に変つてゐた。
 配役残り、どんな役でも卒なくこなし、何でも出来るがゆゑの一点突破力不足が強ひて探した難にさへ最近思へて来た山本宗介は、仮称高橋組推定若頭の真木。今なほ何かと気を揉む高橋と吉川の関係は、高橋が仕出かした不祥事で部がインターハイを辞退、エースストライカーの吉川はサッカー選手への夢を絶たれたといふ因縁。ex.弥生のユリ子も結局亭主との焼身心中で喪つた―厳密には弥生は死に損なふ―吉川は、多分スナックちばるにて和田光沙の連れを消火器でアレックス。森羅万象は、三年後仮釈放された吉川の身元引受人となる、解体会社社長の杉田。高橋いはくヤクザよりも性質の悪いカタギ且つ、ミカヨのパパさんであつたりするありがちな世間の狭さを爆裂させる。杉田解体興業で働く吉川の前に、杉田の妻が初めからユリ子の姿で現れる。不貞が発覚しリンチの末に杉田に左足を殆どサンダーロードされた吉川は、最終的に仮称高橋組傘下のデリヘル「人妻倶楽部 バビロン」の雇はれ店長に。松井理子が「バビロン」デリ嬢のミキで、藤岡範子と中野未穂は特定不能のサヨとレナ。ミキが固定可能なのは声と歩行器をつけてゐるからであつて、三人とも人相ではまづ判らない。ミカヨを連れ瞬間的に登場する岡田智弘は、吉川が入院する「さとう形成クリニック」院長の佐藤。エキストラは飲食店に見切れるほか、組と解体作業員の皆さん。
 前田有楽ではやゝこしいとの評判を呼んだ(笑、山内大輔2016年第一作。尺の大半を占める暗い画面が、本当に漆黒に沈む上野特選を筆頭に、判り易くいふと岡田智弘が連れてゐるのが涼川絢音なのかみづなれいなのか、俄かには識別し難い程度に見えず苦労しながらも、匙を投げるなり臍を曲げるには至らず。朝倉ことみ×涼川絢音×みづなれいと主演級を三枚揃へた三本柱を擁しておいて、濡れ場も暗い以前にスラッシュな描写が兎に角といふか矢鱈と多く、安穏と股間を膨らませるには画期的に適さないものの、川瀬陽太と竹本泰志のツートップを筆頭に、盤石な男優部が静脈色のドラマを頑丈に牽引する。吉川が再会しては再びユリ子を喪ふ、バッド系のタイムリープ。そもそも事が上手く運ぶとそこで再試行する要が発生しない以上、タイムリープものは畢竟悲恋なり悲劇と不可分ともいへようか。娑婆に居場所を失くし、バビロンの門を叩いた杉田嫁に源氏名を求められた吉川が、「ユリ子、お前はユリ子だ」とユリ子と名づけるカットは、そこでクレジットだ!と正体不明の興奮に震へる比類ない強度に溢れ、脈略を完全に放棄してすら突入した二度目の上野特選、吉川が覚醒夢的に悪夢の連鎖を断ち切るラストまで切れ味は失してゐない。尤も、バビロンの嬢が全員顔面が破壊されてゐる辺りで、劇中此岸と彼岸の別は甚だ怪しくなり、クレジットが流れきつてなほ、吉川とユリ子が出会つては別れ出会つては別れる風呂敷は一欠片たりとて畳まれはしない。本来ならば量産型娯楽映画的には敷居の高さを難じたくもなりかけるところが、三ヶ月弱後封切りの後篇「淫暴の夜 繰り返す正夢」を早く観たくて観たくて仕方がなくなるのは、それだけ面白かつたといふ山内大輔の勝利。ともいへ、かういふ、要は山内大輔の好きに任せた映画はかういふので悪くないとは思ひつつ、ここいらで思ひだしたやうにでも、エクセス×フィルハ時代2007年以前の、主眼はあくまで裸映画を時には観てみたいと思つてもみたり。

 最後に、今作は昨年AV女優を引退、現在の肩書がよく判らないみづなれいにとつて、初陣の森山茂雄第十作「肉体婚活 寝てみて味見」(2010/脚本:佐野和宏)、森茂次作にして私選依然2010年代最高傑作「あぶない美乳 悩殺ヒッチハイク」(2011/脚本:佐野和宏)。山内大輔電撃大蔵上陸作「欲望に狂つた愛獣たち」(2014/プロデューサー:加藤義一)から二年ぶり兼、恐らくはピンク最終第四戦となるのか、今後戦線復帰しなければ。首から上は変らないけど総じて肉感的に、殊にオッパイが大きくなつてた。


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 「普通の女の子 性愛日記」(昭和60/製作:TWIN‐CAM JAPAN CORPORATION/配給:株式会社にっかつ/監督:佐野日出夫/脚本:白鳥洋一・佐野日出夫/企画:進藤貴美男/撮影:落合遼一・岩神卓郎・森井美光・岡沢勝美/照明:中村友彦・野村秀之・村松春雄/録音:佐伯晃・小池洋二/TD:山梨一寿/助監督:古野克己・田渕英夫・松田行二/VE:青木正治/ヘアー&メイク:黒川尚子/スタイリスト:滝和幸/MUSIC:佐耆弘徳・園田容子・中浜真二・篠崎勲/Vocal:林千珠子/車両:樋口博/編集:坂田翔/協力:ホテルL&L《柏インター》・THEPhenomenon Studio・小松越夫《劇団 火の鳥》・ルナティック・オフィースピエロ・ST.クレオール・ビデオスペース アルファー/出演:渡瀬ミク《新人》・早見瞳《新人》・庄司恵子・田口ゆかり・美沢映子・外山えりか・田口美穂・塩谷営理子・岡本忍・梅沢薫《友情出演》・杉田一夫・関けんじ・飛場英二・佐藤恒治・弾十郎・伊藤彰洋)。出演者中、田口ゆかりから岡本忍までと、飛場英二に弾十郎は本篇クレジットのみ。但し田口ゆかりに関しては、ポスターには正しく載る田口あゆみのよもやまさかありえない歴史的大誤爆。ビリング推定で弾十郎が、ポスターでは青山文彦か。それと正直、何にこんな大勢が関つてゐるのかてんで判らない。
 朝の室内をのんびり舐めて、“大沢直子 二十歳OL”(渡瀬)が起床。直子は置手紙に従ひ、出勤前にルームメイトの“庄野ユキ 十九歳 秘書専門学校一年生”―この二人にのみクレジットが入る―(早見)を起こして行く。出勤風景を軽く押さへた上で、霧深い森の中を、直子が素頓狂な扮装で走るイメージ。“一番悲しかつたこと”として高校時代、本間たかし(弾十郎=青山文彦?)の子供を中絶、高校も中退した過去を振り返つてタイトル・イン。本社の課長・三田村雄介(伊藤)との不倫が、同僚女子社員(美沢映子以下五名?岡本忍は男かも知れんけど)の密告により発覚した直子は、最終的には転勤を拒否し退職する。
 配役残りだからゆかりではなく田口あゆみは、会話を聞くにユキの高校以前からの友人と思しき野々村紀子。ユキが紀子に紹介して貰ふバイトといふのが、客先に出張してオナニーを見せる斬新な風俗。多分当時五十一歳の梅沢薫が、その顧客の車椅子紳士・坂上?脱ぎもしない癖に妙にビリングが高い庄司恵子は、雄介の妻・洋子。杉田一夫は娘に説教を垂れるヒット・アンド・アウェイで直ぐに退場する、直子の父親・直道。またこの男が父親の威厳も貫禄にも何もかも欠き、そんな馬の骨を何でまたわざわざ連れて来たのか最も謎の多い一幕。佐藤恒治は、劇中直子が最後に出会ふメガネ・青山紀彦。タケシ役とされる関けんじが、一旦退職後一時期ホテトルをしてゐた直子の客なのか、ユキ周りの名前なのかは不明。飛場英二に関しては手も足も出ない、とんちピクルス似の、直子が勤めてゐた事業所の長・スガワラ?
 「夜のOL 舌なぶり」(昭和56/監督・脚本:宗豊/主演:朝霧友香?)で豪快に火蓋を切つた、エクセス提供東映ナウ・ポルノ第四弾で「聖女地獄絵図」(昭和55/脚本:梅沢薫/主演:吉田さより=風祭ゆき)が―その内―来る予習にと、DMMに一本だけ入つてゐるのを見てみた佐野日出夫、jmdb準拠で最終第九作、因みに「聖女地獄絵図」は第六作。見てみた、ところが。ビデオからビスタにブローアップした買取系ロマポの無惨なファースト・カットに、脊髄反射で愕然とするや否や、あとは奈落の底に真つ逆様。壮絶な画質の火に油を注ぎ、全ての繋ぎがことごとくキレを欠き、当然グジャグジャに混濁する時制。時代のダサさの直撃をむざむざ被弾する、壊滅的に貧相な俳優部。不倫相手を刺したヒロインが、鉄道自殺―また御丁寧に傍迷惑な死に方だ―を制止された弾みで出会つた新しい彼氏と、ラブラブのハッピーエンド。だなどと、そもそも自堕落の極みの物語。ついでに、冗談みたいに馬鹿デカいボカシ。ホコテンでユキと軽く交錯した直子が、青山と連れ立つて歩くラスト。両手にケミカルな色のジュースを持つて、直子の下に駆け寄る青山の挙句―始終結構多用する―スローモーションのショットの、爆裂するダサさにも大概震へたが、田口あゆみを本クレで田口ゆかりに誤植する衝撃が、地獄巡りに近い一篇にある意味華麗に止めを刺す。どんな映画にも、何処かひとつチャーミングなところがある。淀川テーゼの信頼性さへ揺るがしかねない、詰まらなくすらない救ひやうのない面白くなさが一種の破壊力にグルッと一周しかけるキナ臭い一作。佐野日出夫がどうかう以前に、石川江梨子名義による菊池エリの銀幕初陣「団地妻 W ONANIE」(昭和60/構成・監督:奥出哲雄)に触れた際にも思つたことだが、斯様な寒々しいのも通り越し糞々しい代物を小屋に木戸銭を落とした客に見せておいて、ロマポが終つたのもむべなるかなとこの期に改めて呆れ果てた次第。今更ないはずもがなをこの際敢て言葉にしておくと、映画がビデオに対抗するのに、ビデオに寄せる戦略は根本的に間違つてゐた訳だ。


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 「女編集長 丸出し恥辱責め」(1995/製作・配給:大蔵映画/監督:小林悟/脚本:小林悟/原案:荻久保則男/撮影:柳田友貴/照明:真崎良人/編集:フィルム・クラフト/助監督:国沢実/スチール:佐藤初太郎/録音:シネキャビン/フィルム:AGFA/現像:東映化学/協力:新宿T・Sミュージック/出演:不二子・風間晶・白都翔一・坂入正三・荒木太郎・浜崎優・港雄一・田村ちなみ)。
 遠くの車がなかなか来ないロング、運転するのは主演女優。急ブレーキを踏むと個人的には「《淫》四十八手 巨乳責め」(1994/監督:川村真一/脚本:双美零と友松直之の筈/主演:青木こずえ)をいの一番に想起するブレイクビーツ起動、車外から運転席を撮つたスチールにタイトル・イン。寝てたところを呼び出した社員カメラマンの橘(白都)に、㈱快楽出版の女編集長・雅美(不二子)は轢き逃げて来た交通事故の事後対応を相談する。話は適当に纏めて―全然纏まつてないけど―絡み初戦。家主とのトラブルが原因だなどと、シネ・リーブル博多ばりにクソな理由で十五日に惜しまれつつ閉館した、新宿T・Sミュージックに公開当時所属の不二子。首から上は完全に時代の束縛に囚はれながらも、本当に綺麗な体をしてゐる。尤もお芝居の方は大御大も潔く匙を投げるレベルだつたのか、この時期由実由美を併用する吉行由実のアテレコ。翌日の快楽出版編集部、新聞に自身が仕出かした事件の記事が見当たらず、隣席の橘にVサインを送つた雅美は、何者かに社外に呼び出される。偶々その場に居合はせた、何時もより気持ち長いモジャモジャ頭が案外正方向にカッコいい無頼派カメラマン・横田(坂入)が、実は雅美の事故現場を激写。そこで横田が口を噤む引き換へに提示した条件といふのが、横田持ち込み企画のヘアヌード写真集出版とかいふ超展開。
 配役残り、トメの田村ちなみは、一応編集者ではあるもののお茶汲み扱ひのカオリ。荒木太郎と浜崎優は幾分台詞も与へられる編集者要員、部内にはもう三人見切れるも、その中に背格好だけでその人と知れる国沢実は含まれず。港雄一は快楽出版会長、雅美が編集長の座にゐるのは、要は愛人を編集長にしたといふ次第。風間晶は、横田の情婦・山本エリコ、こちらもこちらでこの人がヘアヌードのモデルにといふ寸法。万事が棹と蛤とに支配された、何て清々しい世界なんだ。
 元々さういふ志向があつたのかどうかは知らないが、昨今スピリチュアル方面に活路を見出した荻久保則男(a.k.a.まんたのりお)の原案を擁した、小林悟1995年全十二作中第六作、ピンク限定だと第四作。何某か秘めたものを感じさせるカオリは、横田企画から蚊帳の外に追ひやられ不貞る橘に急接近。橘の行きつけこと御馴染「RiZ」にて二三杯盃を交すや否や、出し抜けに「私のヘアヌード撮つて下さい」と切り出す超展開に次ぐ超展開。一方、遅々として進まぬ撮影に煮詰まる横田は、エリコの排尿姿に俄かに点火、お前は下元哲か。さうして出来上がつた写真集は、過激過ぎて問屋の取次拒否を喰らひ大爆死。生じた損害を補ふべく会長自ら下命した次なる企画が、何と会長と雅美のセックス写真集!超展開発超展開経由の魔展開にクラクラ来るのも必至な、紛ふことなき大御大仕事。一体全体、荻久保則男は如何なる原案を出したのか、あるいは、荻久保則男が出した原案は実際には如何なるものであつたのか。尤も、いはゆるお人形のやうに整つた顔立ちで正体不明の決定力を誇る田村ちなみまで女優部の粒はそれなりに揃つてゐるゆゑ、裸映画的にはひとまづ安定する。ところがとなると、締めの濡れ場は、馬鹿騒ぎから離れたカオリと橘がミサトのプール脇にて青姦。これといつた意味もなく中途半端に引くラスト・ショットは、女の乳尻が見えず裸映画を一円安くする。


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 「カルーセル麻紀 夜は私を濡らす」(昭和49/製作:日活株式会社/監督:西村昭五郎/脚本:大工原正泰/プロデューサー:海野義幸/撮影:山崎善弘/美術:横尾嘉良/録音:秋野能伸/照明:新川真/編集:辻井正則/助監督:飛河三義/色彩計測:村田米造/現像:東洋現像所/製作担当者:高橋信宏/音楽:奥沢散策/主題歌:「夜の花びら」 作詞:なかにし・礼 作曲:神保正明 唄:カルーセル麻紀 テイチク・レコード/出演:カルーセル麻紀・中島葵・宇南山宏・石津康彦・中平哲仟・浜口竜哉・小泉郁之助・五條博・叶今日子・島崎みどり・橘田良江・織田俊彦・溝口拳・谷文太・佐藤了一・賀川修嗣・小見山玉樹)。出演者中、浜口竜哉と五條博、島崎みどり以降は本篇クレジットのみ。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
 開巻と同時に主題歌起動、劇中では彫師の父親に彫られたとされる、左太股の牡丹を抜いて速攻タイトル・イン、クレジットが流れるフォーマットの安定感。ところで牡丹に話を戻すと、ウィキペディアでは薔薇とされてゐるのは何でなんだ?
 山西友夫(石津)がちびちびウイスキーを舐めながら自堕落に競馬新聞を広げてゐると、キャバレー「レディーファースト」のホステス・源氏名ミサこと鮎川涼子(カルーセル)が帰宅する。完全に水商売の女とヒモにしか見えないこの二人、厳密にはヤクザ者の池谷に、山西が退職金でナシをつけ涼子を身受け。但し墨を入れた女との結婚を嫌つた父親からは勘当された、山西が職も家族も捨てた格好の内縁の夫婦といふ関係であつた。尤も目下実質的には矢張り見た目通りホステスとヒモに過ぎず、二人はすつかり煮詰まつてゐた。そんな最中、涼子はレディーファーストのショータイムにて自慢の喉を披露する形で、歌謡曲ヒットメーカーの仙波良文(宇南山)と出会ふ。山西が池谷(中平)に競馬で三十万の借金を膨らませる一方、涼子は仙波と何時の間にか男女の仲に。帰宅してみると窮した山西に衣類・貴金属を質に入れられてゐた涼子が愕然とするその頃、山西は通ふ小料理屋の看板娘・三崎玉代(中島)と寝てゐたりなんかする煌びやかなまでのろくでなしぶり。アパートを出た涼子は、サクサク仙波先生にマンションを持たせて貰ふ。
 その他配役織田俊彦は、この人もこの人で軽快な名司会を披露する「レディーファースト」マネージャー。a.k.a.の市村博でポスターには記載される、五條博は仙波のマネージャー・石野。浜口竜哉は、仙波とミーツした夜の涼子と、今でいふアフターで連れ込みに入る常連客の秋山。小泉郁之助は小料理屋の大将・三崎英吉、関係性を明確に示す台詞に欠き玉代との間柄がよく判らないが、嫁にしては齢が離れ過ぎてゐるゆゑ男手ひとつの父娘ではなからうか。濡れ場を担当するビリング推定で多分叶今日子が、涼子に心を移した仙波に邪険にされる、石野いはく一発屋。池谷が山西に唆させ誘き寄せた涼子の、ブルーフィルムを撮る件。辿り着ける最後は、色事師の一人に佐藤了一がゐたやうな気がする。
 前年性転換手術を受けたカルーセル麻紀をタイトルと当然ビリング頭に据ゑた、西村昭五郎昭和49年第四作。とはいふもののこれが、凡そスターの看板映画とは思へない酷い扱ひ。美貌と天賦の才を認められ、栄光―と愛―を掴みかけたイレズミ者のホステスに、粘着質にもほどがある昔の男がグジャグジャ付き纏ふ。新居を探し当てた山西と涼子が外出してゐる隙に、仙波先生が一発屋を選りに選つて涼子に宛がつた筈のマンションに連れ込んでゐたり、山西と玉代が乳繰り合ふところに英吉が怒鳴り込むポップな修羅場に、時間差で山西を訪ねた涼子も現れてみたりする御都合的か脇の甘い箇所は兎も角、如何にも量産型娯楽映画的な、定石通りの下衆展開を積み重ねた果ての、テンプレの斜め上を行くどうしやうもないバッドエンドはあまりにも、といふかあんまりな無体さが圧巻。「あんた、アタシの幸せメチャクチャにするのね!」、今時の若い娘にはさうさう形にし得まい大時代的な常套句をカルーセル麻紀が放つた瞬間、清々しいほどに胸糞悪い映画を観たと思はずグルッと一周して感動した。素気ないロングから再度主題歌を暫し聴かせ、何もない水面に何故か寄つたかと思ひきや、暗転とともにエンド・マークが叩き込まれるラスト・ショットは、意味のなさが無常観に繋がつてゐるのではとか錯覚しかねないハッタリ感がある意味完璧。全盛期とはいへ如何せん些かくどいカルーセル麻紀―見せらんないのかも知れないが、頼むから寝る時くらゐ化粧を落として呉れ―よりも、不完全無欠に惰弱な山西を演じ抜く石津康彦の完成されたダメ人間芝居が寧ろ心に残る、出来が屑なのではなくクズい物語を描いたクズ映画の秀作である。


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 「ドロドロの人妻たち -痴漢と不倫の果て-」(2004『三面記事の妻たち -痴漢・淫乱・不倫-』の2016年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/脚本・監督:佐々木乃武良/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:鏡早智/照明:サブリナ/録音:シネキャビン/編集:フィルムクラフト/助監督:小泉剛/監督助手:福本明日香/撮影助手:橋本彩/照明助手:花木洋美/スタジオ協力:カプリ/タイトル:高橋タイトル/現像:東映ラボテック/出演:葉月蛍・竹本泰志・瀬戸恵子・牧村耕次・酒井あずさ・柳東史)。各話ごと冒頭にクレジットされる出演者中、葉月螢が本篇では略字。撮影助手の橋本彩子ではなく橋本彩は、本篇クレジットまゝ。あと照明部セカンドに続いてスチール:元永斉
 スタッフ・クレジットの後を追ふ形で、鼻歌で家事を切り上げ美奈子(葉月)登場。「今日はお友達の麻衣子と、フランス料理のランチバイキングを食べに行くんです」と、以降ああだかうだな心情に加へ見れば判る状況まで逐一といふか一々一から十まで音声情報にして呉れやがる、後の電車痴漢のシークエンスに際しては官能小説朗読の領域に突入するトゥー・マッチ・モノローグ超起動。殆ど、演出の労を放棄したやうにさへ映る。とまれそんな乃武良クレジット通過してタイトル・イン、俯瞰の陸橋を潜る電車ショットに“第一話 痴漢”。特に混み合つてもゐない車中、美奈子は手鏡での品定めを経た痴漢を被弾。慌てて途中の駅で降りた美奈子が、偶々その駅が降りる駅で再会した痴漢は、現在塾講師の清純女子高時代の恩師・梶山ハルヒコ(竹本)だつた。そもそも倦怠期を持て余してゐた美奈子はとかいふ次第で無人の教室戦に、結局約束をスッぽかされた、お友達の麻衣子(瀬戸)がプンスカして“第二話 淫乱”。雑貨屋を覘いて出て来た麻衣子のバッグに、私服警備員?の飯島益男(牧村)がネックレスを忍ばせる。麻衣子に接触した飯島は、どう見ても事務所には見えない普通のマンションの一室に連行。麻衣子を喰つたつもりの飯島が、最終的には麻衣子に喰はれるある意味男女の機微。第二話オーラス、完全に火の点いた状態で帰宅する麻衣子に、コインランドリーで捕獲される童顔の男は小泉剛。“第三話 不倫”、欲求不満をアンニュイに拗らせる智美(酒井)は、不倫相手の飯島を麻衣子に奪はれる。一旦出撃、雑貨屋表まで来て引き返しそこら辺の児童公園でぼんやり黄昏る智美に、美容ドリンクのセールスマン・津野田浩史(柳)が声をかける。
 今でいふといんらんな女神たち的な勝利一との合同デビュー企画、単独第八作の次に来る再びの坂本太・デビュー二作目の羽生研司との二度目のトリオ企画。三話オムニバス構成に、佐々木乃武良が一人で挑んだ単独全十作中第九作。一話と二話はそれなりにスマートに、二話と三話は結構力技でリンクさせ、とりあへずの統一感は醸成した上で、過剰モノローグが爆裂する素頓狂な第一話。瀬戸恵子の馬力で一点突破する、裸映画的には最もストレートな第二話。場面と台詞は陳腐なものばかりながら、メランコリックな劇伴と、階段坂中央の手摺越しの攻防戦に顕著な、そこそこ凝つた画作り。中身は薄いけれど闇雲に抒情的な第三話と、一人で三話各篇の毛色を綺麗に変へてみせた点は、ひとまづ買へる。尤も、共に陽性の裸映画であつた前二話に対し、第三話で藪蛇に舵を切つてしまつた分、実は一話から巧みに撒かれた伏線は評価に値しつつも、男優部が全員ニュースに登場する出し抜けなバッドエンドは、愕然と膝から崩れ落ちる酒井あずさの姿を追体験するといふよりは、それ以前の釈然としなさ、全体佐々木乃武良はこの時、観客のエモーションを何処に持つて行きたかつたのか?といふ漠然とした疑問を残す。土台が、これでは三面記事に載るのは妻たちではなく男ばかりではないかといふツッコミ処に関しては、エクセスにその手の野暮をいつてみても始まらない。


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 「溺れるふたり ふやけるほど愛して」(2016/製作:多呂プロ/提供:オーピー映画/監督・脚本・出演:荒木太郎/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/撮影助手:宮原かおり・榮穰・岡村浩代/演出:榎本敏郎/演出ヘルパー:冨田訓広/制作:佐藤選人・小林徹哉/メイク:ビューティ☆佐口/ポスター:本田あきら/協力:花道プロ/録音:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック株式会社/出演:神納花・松すみれ・塚田詩織・野村貴浩・津田篤・天才ナカムラスペシャル・冨田訓広/特別出演:平川直大・淡島小鞠・ほたる)。ポスターには記載のある音楽の首里音楽研究会が、本篇クレジットには確か見当たらない。
 立体ロゴとタイトル開巻、先にクレジットが流れる。天下りの工場長・長谷川修平(荒木)が、朝から枯れ果てて定時出社。派遣の工員には陰口を叩かれつつ、仕事も特に何するでもなく、新聞をスクラップしかけた長谷川は突如襲はれた激しい苦痛に悶絶。担ぎ込まれた病院で、あつさり手の施しやうのない末期癌を宣告される。とまれとりあへず職場復帰してみた長谷川に、工場の事務員・小山内美紀(神納)は、「死んでる時間の中にゐたくない」だ「このまゝ終りたくない」だとかありがちな方便で退職を申し出る。ここで神納花といふのが、今何処田中康文大蔵移籍の第三作「女真剣師 色仕掛け乱れ指」(2011)・第四作「感じる若妻の甘い蜜」(2012)以来の電撃ピンク復帰を遂げたex.菅野しずか。妻・秋子(淡島)と死別した長谷川は、秋子の思ひ出も残る親が遺した家での、現在は弟・哲平(野村)夫婦との同居生活。弟嫁の千里(松)のみならず、哲平も兄の遺産に対する色目を隠さうともせず、長谷川は家に帰つても針の筵に座らされてゐた。万事に力尽きた長谷川は、飛び込まうかとした急流の畔で、傾(かぶ)いたホームレスの保志(天ナス)と出会ふ。何のためにも誰のためにもならないとこれまでの来し方を述懐する長谷川を、山﨑邦紀に気触れたのか保志は完全な芸術家と称揚する。
 配役残り塚田詩織は、保志が長谷川に引き合はせる謎の女・ジャネット。水上荘の法被を羽織り、寿限無をシャウトしながら賑々しく大登場。「イン・ザ・ムード」鳴り響く中、散発的に自慢の爆乳を最短距離で誇示する「オッパーイ!」を連呼する飛び道具的三番手にして、今作唯一の清涼剤。利いた風な口を叩いた割に、結局美紀はデリ嬢に。客(ナオヒーロー)と別れた美紀と、出社もしないで徘徊する長谷川は再会する。以降美紀を取り巻く男達が、順にコバテツが客、順番を前後して冨田訓広の二役目、ナオヒーローの二役目、津田篤があがりを吸ひ取るダニ。この中で津田篤のビリングが高いのは、絡みがあるから。こちらは加藤義一2014年第一作「制服日記 あどけない腰使ひ」(脚本:鎌田一利/主演:桜ここみ)以来のピンク帰還となるほたる(ex.葉月螢)は、偶さか平穏を取り戻した長谷川と縁側でかき氷を食べる、多分病人友達。その他、長谷川を揶揄する派遣行員は佐藤選人と冨田訓広に、台詞のないビューティ☆佐口と、背中しか見せないもう一人。あと、ぞんざいにステージ4を告知する医師のアフレコが、クレジットは完全に素通りしてゐるけれど岡田智弘に聞こえたのだが。塚田詩織に話を戻して、それどころでなくなる前に触れておくと、塚田詩織の豪快な起用法に加へ、松すみれに秋子の秘密を明かさせるカットでは、荒木太郎の演出も冴えてゐた。
 改めて後述するが荒木太郎が心配にさへ思へて来る、2016年第二作。再会した美紀を、長谷川は食事に誘ひ、食後にはソフトクリーム、締めにブランコに乗る。それだけの一日が楽しくて楽しくて仕方がなかつた長谷川は、コバテツと別れた美紀を、再び同じ店に誘ひ、ソフトクリーム経由のブランコと、かつて美紀が“死んでる時間”と吐き捨てた工場での仕事と変らない、同じことを繰り返す。脊髄反射で臍を曲げ、一旦別れを告げるも踵を返した美紀は長谷川に、「金出せよいい夢見させてやんぞ」と悪し様に詰め寄る。これは、これはこれで無力に立ち尽くすほかないダメ人間に、延髄斬りを叩き込む残酷な天使が降臨するドラマが起動したのかとときめきかけたのは、俺史上最大級空前の早とちり。風俗嬢に入れ揚げ全財産を貢いだ男は、弟嫁まで含め全てを失ひ最終的には野垂れ死に。女も女でちよろまかした金をダニに吸ひ取られるまでは兎も角、何故か男の後を追ふかのやうにみるみる消耗、挙句急流に身を投げるストップモーションがラスト・ショット。だ、などと。斯くも一欠片の救ひもないどうしやうもない物語を、荒木太郎は一体何を考へて撮つたのか。長谷川と美紀の造形なり関係性から火を見るよりも明らかなやうに、黒澤明「生きる」の翻案をチラシに謳ふまでもなく実際に取り組んでおきながら、全ての生命力を失ひ落下運動の如く死に至るのが、荒木太郎にとつての“生きる”といふことなのか?全然生きてねえよ。侘び寂びなんぞでは片付かぬ明らかに尋常ではない生命観に荒木太郎が心配にさへ思へて来る、2016年恐らく最大の問題作である。

 最後にもう一ツッコミ、為にする嘘ないしは事実誤認であるのかも知れないが、健康問題でも家族との不和でもなく、中高年―男性―自殺の原因第一位は経済的な要因ぢやろ。


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 「萌え盛るアイドル エクスタシーで犯れ!」(2016/製作:フリーク・アウト/提供:オーピー映画/監督:国沢実/脚本:高橋祐太/撮影・照明:海津真也/撮影助手:榮穰/照明助手:広瀬寛巳/録音:小林徹哉/助監督:夏湖・浅井康生/編集:酒井編集室/スチール:本田あきら/音楽:與語一平/整音:シネキャビン/タイトル:小関裕次郎/特殊造形:はきだめ造形/仕上げ:東映ラボ・テック/タイミング:石井良太/衣装協力:小平海美/協力:菊嶌稔章・《有》アシスト/出演:浅田結梨・夏目優希・桜木優希音・比佐仁・太三・豊川尚人・村田頼俊・生方哲・丘尚輝・鎌田一利・周摩要・電撃チャック・中村勝則、他大勢)。オープニングとエンディングとで主要キャストのビリングが異なる、オープニングはポスターと同じで太三がトメに来る。出演者中、五十音順で並べてみた生方哲以降は本篇クレジットのみ。
 のちにMC曰く“北半球に残された人類最後の正統派アイドル”なり“地上に舞ひ降りた天使”こと、アンダーグラウンドアイドル・熱音郁(浅田)のライブ開巻。曲は誰が書いたのか知らないが、浅田結梨の不安定な音程が爆裂する一節経て、郁がファンに「ありがとー☆」と手を振りタイトル・イン。とりあへず、きみと歩実とここまで2016年歌謡ピンクは豪快に二連敗、澁谷果歩のギターも大概御愛嬌ではあつたが。
 熱音郁大ファンの「スマイル警備」警備員・槍上亜久人(比佐)が、てれんこてれんこケミカルライト感覚で誘導灯を振つてゐると、通りがかつた高部万美(桜木)に当ててしまふ。当たり前も通り越し万美は口汚く激昂、ダメ人間・変態と罵られた槍上が万美を公衆便所に連れ込み手酷く犯すのは、ここでは勿論槍上の妄想。ここでピンク映画初陣の―三輪江一と同じ事務所所属の―比佐仁が、国沢実と田嶋謙一(ex.田崎潤一)を足して二で割つた俳優部、より正確にはダメ人間部のアルティメットウェポンたる逸材。国沢組次作には出て来ないやうだが、どうにか継戦して貰へないものか。話を戻して見るから怪しげな自称映画プロデューサー・須東寛二(豊川)に郁がまんまと捕獲される一方、帰宅した槍上の部屋に現れた謎の男・ディック(太三)は、“あなたのエロな妄想を実現するアプリ”なる「EROS NOTE」を槍上のスマホにダウンロードする。その時は真に受けなかつた槍上ではあつたが、後日同じやうな形で再会した万美を、EROS NOTEを使ひ実際に凌辱する。
 配役残り、凄腕がチュッパチャップスを咥へてゐるクリシェが清々しい夏目優希は、EROS NOTEの餌食となつた万美・郁の前に現れる謎の女・ユリアヌス。郁には性被害に遭つた女性を調査する探偵と名乗るも、一体その場合クライアントは誰なのよ?村田頼俊は、ラメラメのオレンジのジャケットで如何にもそれらしく務め上げる、イベントMC。生方哲以降は、十数人は擁したと思はれる、ライブ会場の客席要員。丘尚輝を又してもロストしたのは痛恨の極みながら菊りんも客席に見切れるほか、後述するマラ神を崇拝する群衆の中に、ひろぽんと国沢実も顔を出す。
 前々作「スケベ研究室 絶倫強化計画」(2015/主演:竹内真琴)・前作「陶酔妻 白濁に濡れる柔肌」(主演:美泉咲)と続く高橋祐太とのタッグで、それ以前からの好調を加速する国沢実2016年第二作。DEATHならぬEROS NOTEと来た日には、と草を生やさうとする態度は、今作を全然ナメてゐる。EROS NOTEの持つ力を認めた槍上は、ティアドロップのグラサンをキメるとその名も“地獄の警備員”に大変身、大暴走。槍上に須東から解放された郁は、感謝の気持ちと称して尺八を吹く。あるいは握手会会場で操られた郁がファンの手を乳に誘(いざな)ひ、ステージ上で諸乳を揉みしだき、果てにはゾンビ化した大勢のファンに輪姦される。高橋祐太はチンコでキーを叩いてゐるとしか思へない、神々しいまでに一撃必殺のシークエンスを連打する傍ら、EROS NOTEでエロスの神・ディック―因みに造形的には角の代りにチンコの生えた鬼―とロゴスの神・ユリアヌスの行動の自由をも手中に収めた槍上は、やがて自らをマラ神と成す。DEATH NOTE如き小賢しい推理か心理サスペンスどころか、神々の争ひが地球を丸ごと包む大ロマンに物語は大バースト。V.マドンナなプロテクターは殆ど全く機能しないともいへ、最終的に郁が槍上亜久人改め地獄の警備員改めマラ神と対峙。破滅の危機に瀕した、

 世界をオッパイが救ふ

 作劇的に最大級にして、同時に最も崇高なスペクタクルを臆することなく撃ち抜けるのは、ナベか国沢実しかゐない!これは2016年は国沢実がいよいよ天下を取る―監督賞だけなら二回獲つてるけど―のかと、海よりも深く感銘を受けた、のに。そこで救つたまゝおとなしく映画を畳めないのが、同時に国沢実の素直でない限界。


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 「婚前交渉 淫夢に濡れて」(2003/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:岡輝男/撮影:図書紀芳/照明:小川満/編集:フィルムクラフト/録音:シネキャビン/助監督:竹洞哲也/監督助手:山口大輔/撮影助手:末吉真琴・田沼加奈子/照明助手:佐藤浩太/スチール:佐藤初太郎/音楽:レインボーサウンド/タイトル:ホーラX/現像:東映ラボ・テック/出演:りる・林由美香・風間今日子・柳東史・丘尚輝・小川真実)。タイトルのホーラXは、竹洞哲也の変名か。
 タイトル開巻、拘束された主演女優に、鋏を手にした白頭巾の男が迫る。旧姓堀内の嶋田光葉(りる)が、鋏を用ゐた危なつかしい愛虐に悶える淫夢から跳ね起きると、隣に夫が眠る寝室には、吊るされた人形の裂かれた腹から零れた綿が降る。のも、二段構への夢オチ。「その夢は、私に忘れかけてゐた二年前の忌まはしい出来事を思ひださせた」との光葉のモノローグで、本篇突入。堀内酒店看板娘の光葉がハイエースで得意の大泉家に到着、カットの端々でこれ見よがしに邪悪な相を見せる大泉徹子(小川)に、遅いと軽く怒られる。その日大泉家では、光葉とは幼馴染でもある智也(柳)の婚約者でセントエルモス病院看護婦・杉浦洋子(林)が、徹子に御挨拶。智也と徹子は、既に故人の智也父親が、智也が三歳の時に再婚した後妻が徹子といふ関係。一見話は恙なく進行しつつ、突如淫蕩女に変貌した洋子と智也はどさくさ破局。智也はさういふ形で別れた女が洋子で六人目ともなる不可解な悩みを、光葉に打ち明ける。
 配役残り風間今日子は多分五人目、巨乳未亡人の真山みかげ。別に喪服に袖を通すでもなく、寡婦属性は藪蛇か闇雲ともいへる。丘尚輝は最終的な光葉夫・淳と、洋子を寝取る男の首から下―と声―を兼任。
 中州に2006年五月までは大蔵の直営館があつたのもあり、2002年のデビュー以来ピンクは全作追ひ駆けて来たつもりが、何故か脱けてゐた加藤義一第七作、2003年的には第三作。改めて慌てて見てみたところが、小屋に来てゐない筈がない割に不思議なことに清々しく初見の印象。仮に脳内から欠落するくらゐ面白くも何ともないにせよ、何処か一カットか二カットは覚えてゐるか思ひだすもんなんだけどな。
 他愛もない私的な繰言はさて措き、物語の核―当然尺的な限界もあるゆゑ、枝葉といふほどの枝葉が繁る訳でもないのだが―としては、智也が深く付き合つた女といふ女は、ことごとく呪はれてゐるのではあるまいか。果たして、それは一体誰の仕業なのか、とでもいつた趣向のサイコスリラー風味のサスペンス。洋子宅にてオッ始まる婚前交渉と、如何にも怪しげな風情の徹子のミシン仕事が並走。カタカタ高速上下するミシン針と、柳東史のいはゆるピストン運動とをカットバックでリンクさせる演出は、おどろおどろしいといふよりも寧ろ馬鹿馬鹿しさ寄りに可笑しく、洋子が囚はれる淫夢の中で、人形に針が一本刺される毎に、林由美香の体中の穴といふ穴を責めるバイブの数が一本づつ増えて行くポップかつ煽情的な演出は、スリラーも何もかんもスッ飛ばして裸映画的には手放しで有効。尤も、方便が卒なく繋がる一転目までは普通に決まるものの、余計な色気を出したオーラスのどんでん返し二転目は正真正銘のレス・ザン・イントロダクションぶりに、蛇に描いた足が足にすら見えない始末、ある意味見事にやらかしてしまふ。だらしない緊縛にも映えるカザキョンの偉大なるオッパイと、りるの綺麗な乳首は全く以て眼福とはいへ、土台素面の劇映画的には無惨に引つ繰り返つた卓袱台を、デフォルトで決められた上映時間が有無をいはせる暇さへ与へず締め括るといふか強制終了してのけるのが、量産型娯楽映画のせめてもの救ひ。


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 平成29年映画鑑賞実績:24本 一般映画:2 ピンク:21 再見作:1 杉本ナンバー:4 ミサトナンバー:1 花宴ナンバー: 水上荘ナンバー:2

 平成28年映画鑑賞実績:175本 一般映画:9 ピンク:156 再見作:10 杉本ナンバー:38 ミサトナンバー:2 花宴ナンバー:2 水上荘ナンバー:5

 再見作に関しては一年毎にリセットしてゐる。そのため、たとへば三年前に観たピンクを旧作改題で新たに観た場合、再見作にはカウントしない。あくまでその一年間の中で、二度以上観た映画の本数、あるいは回数である。二度観た映画が八本で三度観た映画が一本ある場合、その年の再見作は10本となる。それと一々別立てするのも煩はしいので、ロマポも一緒くたにしてある。

 因みに“杉本ナンバー”とは。ピンクの内、杉本まこと(現:なかみつせいじ)出演作の本数である。改めてなかみつせいじの芸名の変遷に関しては。1987年に中満誠治名義でデビュー。1990年に杉本まことに改名。2000年に更に、現在のなかみつせいじに改名してゐる。改名後も、旧芸名をランダムに使用することもある。ピンクの畑にはかういふことを好む(?)傾向がまゝあるので、なかなか一筋縄には行かぬところでもある。
 加へて、戯れにカウントする“ミサトナンバー”とは。いふまでもなく、ピンク映画で御馴染みプールのある白亜の洋館、撮影をミサトスタジオで行つてゐる新旧問はずピンクの本数である。もしもミサトで撮影してゐる一般映画にお目にかゝれば、当然に加算する。
 同様に“花宴ナンバー”は、主に小川(欽也)組や深町(章)組の映画に頻出する、伊豆のペンション「花宴」が、“水上荘ナンバー”は御馴染み「水上荘」が、劇中に登場する映画の本数である。


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