真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「ドロドロの人妻たち -痴漢と不倫の果て-」(2004『三面記事の妻たち -痴漢・淫乱・不倫-』の2016年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/脚本・監督:佐々木乃武良/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:鏡早智/照明:サブリナ/録音:シネキャビン/編集:フィルムクラフト/助監督:小泉剛/監督助手:福本明日香/撮影助手:橋本彩/照明助手:花木洋美/スタジオ協力:カプリ/タイトル:高橋タイトル/現像:東映ラボテック/出演:葉月蛍・竹本泰志・瀬戸恵子・牧村耕次・酒井あずさ・柳東史)。各話ごと冒頭にクレジットされる出演者中、葉月螢が本篇では略字。撮影助手の橋本彩子ではなく橋本彩は、本篇クレジットまゝ。あと照明部セカンドに続いてスチール:元永斉
 スタッフ・クレジットの後を追ふ形で、鼻歌で家事を切り上げ美奈子(葉月)登場。「今日はお友達の麻衣子と、フランス料理のランチバイキングを食べに行くんです」と、以降ああだかうだな心情に加へ見れば判る状況まで逐一といふか一々一から十まで音声情報にして呉れやがる、後の電車痴漢のシークエンスに際しては官能小説朗読の領域に突入するトゥー・マッチ・モノローグ超起動。殆ど、演出の労を放棄したやうにさへ映る。とまれそんな乃武良クレジット通過してタイトル・イン、俯瞰の陸橋を潜る電車ショットに“第一話 痴漢”。特に混み合つてもゐない車中、美奈子は手鏡での品定めを経た痴漢を被弾。慌てて途中の駅で降りた美奈子が、偶々その駅が降りる駅で再会した痴漢は、現在塾講師の清純女子高時代の恩師・梶山ハルヒコ(竹本)だつた。そもそも倦怠期を持て余してゐた美奈子はとかいふ次第で無人の教室戦に、結局約束をスッぽかされた、お友達の麻衣子(瀬戸)がプンスカして“第二話 淫乱”。雑貨屋を覘いて出て来た麻衣子のバッグに、私服警備員?の飯島益男(牧村)がネックレスを忍ばせる。麻衣子に接触した飯島は、どう見ても事務所には見えない普通のマンションの一室に連行。麻衣子を喰つたつもりの飯島が、最終的には麻衣子に喰はれるある意味男女の機微。第二話オーラス、完全に火の点いた状態で帰宅する麻衣子に、コインランドリーで捕獲される童顔の男は小泉剛。“第三話 不倫”、欲求不満をアンニュイに拗らせる智美(酒井)は、不倫相手の飯島を麻衣子に奪はれる。一旦出撃、雑貨屋表まで来て引き返しそこら辺の児童公園でぼんやり黄昏る智美に、美容ドリンクのセールスマン・津野田浩史(柳)が声をかける。
 今でいふといんらんな女神たち的な勝利一との合同デビュー企画、単独第八作の次に来る再びの坂本太・デビュー二作目の羽生研司との二度目のトリオ企画。三話オムニバス構成に、佐々木乃武良が一人で挑んだ単独全十作中第九作。一話と二話はそれなりにスマートに、二話と三話は結構力技でリンクさせ、とりあへずの統一感は醸成した上で、過剰モノローグが爆裂する素頓狂な第一話。瀬戸恵子の馬力で一点突破する、裸映画的には最もストレートな第二話。場面と台詞は陳腐なものばかりながら、メランコリックな劇伴と、階段坂中央の手摺越しの攻防戦に顕著な、そこそこ凝つた画作り。中身は薄いけれど闇雲に抒情的な第三話と、一人で三話各篇の毛色を綺麗に変へてみせた点は、ひとまづ買へる。尤も、共に陽性の裸映画であつた前二話に対し、第三話で藪蛇に舵を切つてしまつた分、実は一話から巧みに撒かれた伏線は評価に値しつつも、男優部が全員ニュースに登場する出し抜けなバッドエンドは、愕然と膝から崩れ落ちる酒井あずさの姿を追体験するといふよりは、それ以前の釈然としなさ、全体佐々木乃武良はこの時、観客のエモーションを何処に持つて行きたかつたのか?といふ漠然とした疑問を残す。土台が、これでは三面記事に載るのは妻たちではなく男ばかりではないかといふツッコミ処に関しては、エクセスにその手の野暮をいつてみても始まらない。


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 「溺れるふたり ふやけるほど愛して」(2016/製作:多呂プロ/提供:オーピー映画/監督・脚本・出演:荒木太郎/撮影・照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/撮影助手:宮原かおり・榮穰・岡村浩代/演出:榎本敏郎/演出ヘルパー:冨田訓広/制作:佐藤選人・小林徹哉/メイク:ビューティ☆佐口/ポスター:本田あきら/協力:花道プロ/録音:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック株式会社/出演:神納花・松すみれ・塚田詩織・野村貴浩・津田篤・天才ナカムラスペシャル・冨田訓広/特別出演:平川直大・淡島小鞠・ほたる)。ポスターには記載のある音楽の首里音楽研究会が、本篇クレジットには確か見当たらない。
 立体ロゴとタイトル開巻、先にクレジットが流れる。天下りの工場長・長谷川修平(荒木)が、朝から枯れ果てて定時出社。派遣の工員には陰口を叩かれつつ、仕事も特に何するでもなく、新聞をスクラップしかけた長谷川は突如襲はれた激しい苦痛に悶絶。担ぎ込まれた病院で、あつさり手の施しやうのない末期癌を宣告される。とまれとりあへず職場復帰してみた長谷川に、工場の事務員・小山内美紀(神納)は、「死んでる時間の中にゐたくない」だ「このまゝ終りたくない」だとかありがちな方便で退職を申し出る。ここで神納花といふのが、今何処田中康文大蔵移籍の第三作「女真剣師 色仕掛け乱れ指」(2011)・第四作「感じる若妻の甘い蜜」(2012)以来の電撃ピンク復帰を遂げたex.菅野しずか。妻・秋子(淡島)と死別した長谷川は、秋子の思ひ出も残る親が遺した家での、現在は弟・哲平(野村)夫婦との同居生活。弟嫁の千里(松)のみならず、哲平も兄の遺産に対する色目を隠さうともせず、長谷川は家に帰つても針の筵に座らされてゐた。万事に力尽きた長谷川は、飛び込まうかとした急流の畔で、傾(かぶ)いたホームレスの保志(天ナス)と出会ふ。何のためにも誰のためにもならないとこれまでの来し方を述懐する長谷川を、山﨑邦紀に気触れたのか保志は完全な芸術家と称揚する。
 配役残り塚田詩織は、保志が長谷川に引き合はせる謎の女・ジャネット。水上荘の法被を羽織り、寿限無をシャウトしながら賑々しく大登場。「イン・ザ・ムード」鳴り響く中、散発的に自慢の爆乳を最短距離で誇示する「オッパーイ!」を連呼する飛び道具的三番手にして、今作唯一の清涼剤。利いた風な口を叩いた割に、結局美紀はデリ嬢に。客(ナオヒーロー)と別れた美紀と、出社もしないで徘徊する長谷川は再会する。以降美紀を取り巻く男達が、順にコバテツが客、順番を前後して冨田訓広の二役目、ナオヒーローの二役目、津田篤があがりを吸ひ取るダニ。この中で津田篤のビリングが高いのは、絡みがあるから。こちらは加藤義一2014年第一作「制服日記 あどけない腰使ひ」(脚本:鎌田一利/主演:桜ここみ)以来のピンク帰還となるほたる(ex.葉月螢)は、偶さか平穏を取り戻した長谷川と縁側でかき氷を食べる、多分病人友達。その他、長谷川を揶揄する派遣行員は佐藤選人と冨田訓広に、台詞のないビューティ☆佐口と、背中しか見せないもう一人。あと、ぞんざいにステージ4を告知する医師のアフレコが、クレジットは完全に素通りしてゐるけれど岡田智弘に聞こえたのだが。塚田詩織に話を戻して、それどころでなくなる前に触れておくと、塚田詩織の豪快な起用法に加へ、松すみれに秋子の秘密を明かさせるカットでは、荒木太郎の演出も冴えてゐた。
 改めて後述するが荒木太郎が心配にさへ思へて来る、2016年第二作。再会した美紀を、長谷川は食事に誘ひ、食後にはソフトクリーム、締めにブランコに乗る。それだけの一日が楽しくて楽しくて仕方がなかつた長谷川は、コバテツと別れた美紀を、再び同じ店に誘ひ、ソフトクリーム経由のブランコと、かつて美紀が“死んでる時間”と吐き捨てた工場での仕事と変らない、同じことを繰り返す。脊髄反射で臍を曲げ、一旦別れを告げるも踵を返した美紀は長谷川に、「金出せよいい夢見させてやんぞ」と悪し様に詰め寄る。これは、これはこれで無力に立ち尽くすほかないダメ人間に、延髄斬りを叩き込む残酷な天使が降臨するドラマが起動したのかとときめきかけたのは、俺史上最大級空前の早とちり。風俗嬢に入れ揚げ全財産を貢いだ男は、弟嫁まで含め全てを失ひ最終的には野垂れ死に。女も女でちよろまかした金をダニに吸ひ取られるまでは兎も角、何故か男の後を追ふかのやうにみるみる消耗、挙句急流に身を投げるストップモーションがラスト・ショット。だ、などと。斯くも一欠片の救ひもないどうしやうもない物語を、荒木太郎は一体何を考へて撮つたのか。長谷川と美紀の造形なり関係性から火を見るよりも明らかなやうに、黒澤明「生きる」の翻案をチラシに謳ふまでもなく実際に取り組んでおきながら、全ての生命力を失ひ落下運動の如く死に至るのが、荒木太郎にとつての“生きる”といふことなのか?全然生きてねえよ。侘び寂びなんぞでは片付かぬ明らかに尋常ではない生命観に荒木太郎が心配にさへ思へて来る、2016年恐らく最大の問題作である。

 最後にもう一ツッコミ、為にする嘘ないしは事実誤認であるのかも知れないが、健康問題でも家族との不和でもなく、中高年―男性―自殺の原因第一位は経済的な要因ぢやろ。


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 「萌え盛るアイドル エクスタシーで犯れ!」(2016/製作:フリーク・アウト/提供:オーピー映画/監督:国沢実/脚本:高橋祐太/撮影・照明:海津真也/撮影助手:榮穰/照明助手:広瀬寛巳/録音:小林徹哉/助監督:夏湖・浅井康生/編集:酒井編集室/スチール:本田あきら/音楽:與語一平/整音:シネキャビン/タイトル:小関裕次郎/特殊造形:はきだめ造形/仕上げ:東映ラボ・テック/タイミング:石井良太/衣装協力:小平海美/協力:菊嶌稔章・《有》アシスト/出演:浅田結梨・夏目優希・桜木優希音・比佐仁・太三・豊川尚人・村田頼俊・生方哲・丘尚輝・鎌田一利・周摩要・電撃チャック・中村勝則、他大勢)。オープニングとエンディングとで主要キャストのビリングが異なる、オープニングはポスターと同じで太三がトメに来る。出演者中、五十音順で並べてみた生方哲以降は本篇クレジットのみ。
 のちにMC曰く“北半球に残された人類最後の正統派アイドル”なり“地上に舞ひ降りた天使”こと、アンダーグラウンドアイドル・熱音郁(浅田)のライブ開巻。曲は誰が書いたのか知らないが、浅田結梨の不安定な音程が爆裂する一節経て、郁がファンに「ありがとー☆」と手を振りタイトル・イン。とりあへず、きみと歩実とここまで2016年歌謡ピンクは豪快に二連敗、澁谷果歩のギターも大概御愛嬌ではあつたが。
 熱音郁大ファンの「スマイル警備」警備員・槍上亜久人(比佐)が、てれんこてれんこケミカルライト感覚で誘導灯を振つてゐると、通りがかつた高部万美(桜木)に当ててしまふ。当たり前も通り越し万美は口汚く激昂、ダメ人間・変態と罵られた槍上が万美を公衆便所に連れ込み手酷く犯すのは、ここでは勿論槍上の妄想。ここでピンク映画初陣の―三輪江一と同じ事務所所属の―比佐仁が、国沢実と田嶋謙一(ex.田崎潤一)を足して二で割つた俳優部、より正確にはダメ人間部のアルティメットウェポンたる逸材。国沢組次作には出て来ないやうだが、どうにか継戦して貰へないものか。話を戻して見るから怪しげな自称映画プロデューサー・須東寛二(豊川)に郁がまんまと捕獲される一方、帰宅した槍上の部屋に現れた謎の男・ディック(太三)は、“あなたのエロな妄想を実現するアプリ”なる「EROS NOTE」を槍上のスマホにダウンロードする。その時は真に受けなかつた槍上ではあつたが、後日同じやうな形で再会した万美を、EROS NOTEを使ひ実際に凌辱する。
 配役残り、凄腕がチュッパチャップスを咥へてゐるクリシェが清々しい夏目優希は、EROS NOTEの餌食となつた万美・郁の前に現れる謎の女・ユリアヌス。郁には性被害に遭つた女性を調査する探偵と名乗るも、一体その場合クライアントは誰なのよ?村田頼俊は、ラメラメのオレンジのジャケットで如何にもそれらしく務め上げる、イベントMC。生方哲以降は、十数人は擁したと思はれる、ライブ会場の客席要員。丘尚輝を又してもロストしたのは痛恨の極みながら菊りんも客席に見切れるほか、後述するマラ神を崇拝する群衆の中に、ひろぽんと国沢実も顔を出す。
 前々作「スケベ研究室 絶倫強化計画」(2015/主演:竹内真琴)・前作「陶酔妻 白濁に濡れる柔肌」(主演:美泉咲)と続く高橋祐太とのタッグで、それ以前からの好調を加速する国沢実2016年第二作。DEATHならぬEROS NOTEと来た日には、と草を生やさうとする態度は、今作を全然ナメてゐる。EROS NOTEの持つ力を認めた槍上は、ティアドロップのグラサンをキメるとその名も“地獄の警備員”に大変身、大暴走。槍上に須東から解放された郁は、感謝の気持ちと称して尺八を吹く。あるいは握手会会場で操られた郁がファンの手を乳に誘(いざな)ひ、ステージ上で諸乳を揉みしだき、果てにはゾンビ化した大勢のファンに輪姦される。高橋祐太はチンコでキーを叩いてゐるとしか思へない、神々しいまでに一撃必殺のシークエンスを連打する傍ら、EROS NOTEでエロスの神・ディック―因みに造形的には角の代りにチンコの生えた鬼―とロゴスの神・ユリアヌスの行動の自由をも手中に収めた槍上は、やがて自らをマラ神と成す。DEATH NOTE如き小賢しい推理か心理サスペンスどころか、神々の争ひが地球を丸ごと包む大ロマンに物語は大バースト。V.マドンナなプロテクターは殆ど全く機能しないともいへ、最終的に郁が槍上亜久人改め地獄の警備員改めマラ神と対峙。破滅の危機に瀕した、

 世界をオッパイが救ふ

 作劇的に最大級にして、同時に最も崇高なスペクタクルを臆することなく撃ち抜けるのは、ナベか国沢実しかゐない!これは2016年は国沢実がいよいよ天下を取る―監督賞だけなら二回獲つてるけど―のかと、海よりも深く感銘を受けた、のに。そこで救つたまゝおとなしく映画を畳めないのが、同時に国沢実の素直でない限界。


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 「婚前交渉 淫夢に濡れて」(2003/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:岡輝男/撮影:図書紀芳/照明:小川満/編集:フィルムクラフト/録音:シネキャビン/助監督:竹洞哲也/監督助手:山口大輔/撮影助手:末吉真琴・田沼加奈子/照明助手:佐藤浩太/スチール:佐藤初太郎/音楽:レインボーサウンド/タイトル:ホーラX/現像:東映ラボ・テック/出演:りる・林由美香・風間今日子・柳東史・丘尚輝・小川真実)。タイトルのホーラXは、竹洞哲也の変名か。
 タイトル開巻、拘束された主演女優に、鋏を手にした白頭巾の男が迫る。旧姓堀内の嶋田光葉(りる)が、鋏を用ゐた危なつかしい愛虐に悶える淫夢から跳ね起きると、隣に夫が眠る寝室には、吊るされた人形の裂かれた腹から零れた綿が降る。のも、二段構への夢オチ。「その夢は、私に忘れかけてゐた二年前の忌まはしい出来事を思ひださせた」との光葉のモノローグで、本篇突入。堀内酒店看板娘の光葉がハイエースで得意の大泉家に到着、カットの端々でこれ見よがしに邪悪な相を見せる大泉徹子(小川)に、遅いと軽く怒られる。その日大泉家では、光葉とは幼馴染でもある智也(柳)の婚約者でセントエルモス病院看護婦・杉浦洋子(林)が、徹子に御挨拶。智也と徹子は、既に故人の智也父親が、智也が三歳の時に再婚した後妻が徹子といふ関係。一見話は恙なく進行しつつ、突如淫蕩女に変貌した洋子と智也はどさくさ破局。智也はさういふ形で別れた女が洋子で六人目ともなる不可解な悩みを、光葉に打ち明ける。
 配役残り風間今日子は多分五人目、巨乳未亡人の真山みかげ。別に喪服に袖を通すでもなく、寡婦属性は藪蛇か闇雲ともいへる。丘尚輝は最終的な光葉夫・淳と、洋子を寝取る男の首から下―と声―を兼任。
 中州に2006年五月までは大蔵の直営館があつたのもあり、2002年のデビュー以来ピンクは全作追ひ駆けて来たつもりが、何故か脱けてゐた加藤義一第七作、2003年的には第三作。改めて慌てて見てみたところが、小屋に来てゐない筈がない割に不思議なことに清々しく初見の印象。仮に脳内から欠落するくらゐ面白くも何ともないにせよ、何処か一カットか二カットは覚えてゐるか思ひだすもんなんだけどな。
 他愛もない私的な繰言はさて措き、物語の核―当然尺的な限界もあるゆゑ、枝葉といふほどの枝葉が繁る訳でもないのだが―としては、智也が深く付き合つた女といふ女は、ことごとく呪はれてゐるのではあるまいか。果たして、それは一体誰の仕業なのか、とでもいつた趣向のサイコスリラー風味のサスペンス。洋子宅にてオッ始まる婚前交渉と、如何にも怪しげな風情の徹子のミシン仕事が並走。カタカタ高速上下するミシン針と、柳東史のいはゆるピストン運動とをカットバックでリンクさせる演出は、おどろおどろしいといふよりも寧ろ馬鹿馬鹿しさ寄りに可笑しく、洋子が囚はれる淫夢の中で、人形に針が一本刺される毎に、林由美香の体中の穴といふ穴を責めるバイブの数が一本づつ増えて行くポップかつ煽情的な演出は、スリラーも何もかんもスッ飛ばして裸映画的には手放しで有効。尤も、方便が卒なく繋がる一転目までは普通に決まるものの、余計な色気を出したオーラスのどんでん返し二転目は正真正銘のレス・ザン・イントロダクションぶりに、蛇に描いた足が足にすら見えない始末、ある意味見事にやらかしてしまふ。だらしない緊縛にも映えるカザキョンの偉大なるオッパイと、りるの綺麗な乳首は全く以て眼福とはいへ、土台素面の劇映画的には無惨に引つ繰り返つた卓袱台を、デフォルトで決められた上映時間が有無をいはせる暇さへ与へず締め括るといふか強制終了してのけるのが、量産型娯楽映画のせめてもの救ひ。


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 平成29年映画鑑賞実績:10本 一般映画:2 ピンク:7 再見作:1 杉本ナンバー: ミサトナンバー: 花宴ナンバー: 水上荘ナンバー:1

 平成28年映画鑑賞実績:175本 一般映画:9 ピンク:156 再見作:10 杉本ナンバー:38 ミサトナンバー:2 花宴ナンバー:2 水上荘ナンバー:5

 再見作に関しては一年毎にリセットしてゐる。そのため、たとへば三年前に観たピンクを旧作改題で新たに観た場合、再見作にはカウントしない。あくまでその一年間の中で、二度以上観た映画の本数、あるいは回数である。二度観た映画が八本で三度観た映画が一本ある場合、その年の再見作は10本となる。それと一々別立てするのも煩はしいので、ロマポも一緒くたにしてある。

 因みに“杉本ナンバー”とは。ピンクの内、杉本まこと(現:なかみつせいじ)出演作の本数である。改めてなかみつせいじの芸名の変遷に関しては。1987年に中満誠治名義でデビュー。1990年に杉本まことに改名。2000年に更に、現在のなかみつせいじに改名してゐる。改名後も、旧芸名をランダムに使用することもある。ピンクの畑にはかういふことを好む(?)傾向がまゝあるので、なかなか一筋縄には行かぬところでもある。
 加へて、戯れにカウントする“ミサトナンバー”とは。いふまでもなく、ピンク映画で御馴染みプールのある白亜の洋館、撮影をミサトスタジオで行つてゐる新旧問はずピンクの本数である。もしもミサトで撮影してゐる一般映画にお目にかゝれば、当然に加算する。
 同様に“花宴ナンバー”は、主に小川(欽也)組や深町(章)組の映画に頻出する、伊豆のペンション「花宴」が、“水上荘ナンバー”は御馴染み「水上荘」が、劇中に登場する映画の本数である。


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 「発禁 肉蒲団」(昭和50/製作:日活株式会社/監督:白井伸明/脚本:大和屋竺/プロデューサー:伊藤亮爾/撮影:山崎敏郎/照明:小林秀之/録音:古山恒夫/美術:渡辺平八郎/編集:鍋島惇/音楽:月見里太一/助監督:黒沢直輔/色彩計測:村田米造/現像:東洋現像所/製作担当者:古川石也/出演:東てる美・ひろみ摩耶・二條朱実・芹明香・五十嵐ひろみ・桂たまき・岡本麗・谷本一・木島一郎・島村謙次・益富信孝・大和屋竺・王井謙介・伊豆見英輔・水木京一・北上忠行・近江大介/ナレーター:坂本長利)。出演者中木島一郎と島村謙次、大和屋竺以降は本篇クレジットのみ。クレジットはスッ飛ばす配給に関しては、事実上“提供:Xces Film”。
 一人の色男が四人の女を侍らせる酒池肉林に速攻タイトル・イン、並べた乳尻にクレジットが流れるジャスティス。最初に片付けておくと、タイトルとポスターが謳ふ、発禁された艶笑譚を原作とするとやらの体裁は、本篇には完全に等閑視される。
 天保元年、水戸藩お抱へ医師の放蕩息子・カツタシンザブロウ(谷本)は寺子屋学者タカシマコウベイの娘・ぬい(東)と祝言を挙げておいて、昌平坂の門を潜ると周囲を偽り、ぬいを水戸に残し上京する。元々嗜んでゐた戯作の才を活かし、シンザブロウは金魚亭未央を名乗り深川の廻船問屋「戸田屋」に寄宿。やがて鼠小僧もので一山当てた金魚亭は一端の風流人を気取り遊び歩くも、品川の遊郭「俵屋」の花魁・春菊(ひろみ)に、中途半端な心性諸とも一物の短小さを木端微塵に嘲笑され、一転失意の底に叩き落される。
 配役残り、自ら最重要な大役を務める大和屋竺は、江戸への道中、渡し舟にてシンザブロウと乗り合はせる禅僧、安寧と色即是空を口にするシンザブロウに喝を入れる。芹明香は、金魚亭の身の回りの世話を下まで焼く、戸田屋の女中・加代。春菊に撃墜された泣きつ面に蜂とばかりに、金魚亭は賊徒を主役に据ゑた戯作が御上の怒りを買ひ咎を受ける。粗野にして愛嬌もあり、下卑てゐつつ振り撒くユーモアの端々には知性も感じさせる佇まひが絶品な益富信孝は、枷を嵌められた金魚亭の前に現れる鼠小僧次郎吉。鼠小僧当人は清廉な義賊といふ訳でも別になく、鼠小僧に連れられ、金魚亭は屋根伝ひの夜這ひに。岡本麗が二人が向かつた先、小唄師匠のいね。初陣に二の足を踏む金魚亭を、鼠小僧が後ろから文字通り手取り足取る絡みはさながら人形浄瑠璃の風情。残念ながら、この辺りは現代ピンクには太刀打ち出来ない。ところがいねにも、挿れてゐる筈の棹を小指と誤認された金魚亭は、乱高下する相場の如く再び絶望の淵に。見かねた鼠小僧が連れて来た、仙人造形の医師・タマエホーデンノスケ(不明)に犬の巨根を自身のメダカに癒着させる、大雑把な施術で望みの得物を手に入れた金魚亭は、女々を泣かして回る。五十嵐ひろみが春菊にリベンジを果たした金魚亭が手篭めにする尼僧・比丘尼で、二條朱実と桂たまきが、鶯の谷渡る武家姉妹・岸邊玉と香、二人で百合も咲かせる大サービス。一方、後追ひの分際で義賊風を吹かすもう一人の子の字(木島)は、本家次郎吉と金魚亭とを敵対視する。その他男優部を詰め切れないのは、正直に認めるが当サイトの限界。
 ロマポ何するものぞと高を括つてゐたところが、見事に鼻を明かされた白井伸明昭和50年第三作。一旦逸物を得た金魚亭は豪快にこの世の春を謳歌するものの、やがて捥げたサラミは犬に喰はれ、子の字も捕縛。筆を折つた金魚亭は、姿を消す。何気に完成されたセットが撮影所の地力を轟かせる、ペーソス溢れる獄門台の一幕も経て、生半可な青二才がめくるめく遍歴の末に辿り着いた果ては、穏やかな幸福に包まれた極楽か、安楽死にも似た地獄か。愛欲籠る小屋から立ち去る、黙して語らぬ足下。超絶にカッコいいラスト・ショットが刻み込む、極上の余韻。もつと今作がワーキャー持て囃されないのが不思議なほどの、裸映画の傑作。こんな代物を見せられては、おとなしくロマンポルノにシャッポを脱ぐ。


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 「巨乳OLと美乳人妻 ~北へ向かふ女たち~」(2016/制作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:深澤浩子/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/録音:小林徹哉/音楽:友愛学園音楽部/助監督:小関裕次郎/監督助手:植田浩行/撮影助手:高橋草太/スチール:本田あきら/録音所:シネキャビン/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:嬬恋村フィルムコミッション/出演:福咲れん・倖田李梨・宇野ゆかり・ダーリン石川・竹本泰志・深澤幸太・青森次郎・なかみつせいじ)。
 別館が何故か素通りしてゐる―知らんがな(´・ω・`)―第七作「婚前交渉 淫夢に濡れて」(2003/脚本:岡輝男/主演:りる)以来長らく使用して来た、カチンコがぐるりと移動するCGから一新、シュッとはしてゐるけれども制止した文字情報のみの加藤映像工房新ロゴで何気に意表を突くと、エンジンの起動音が鳴つてタイトル・イン。夜の道を車が発進する俯瞰の軽いロングが暗転、グチャグチャ他愛ない会話を交しながら、美乳人妻の長谷ひな子(倖田)が運転し、助手席には巨乳OLの大崎愛(福咲)が座るステーションワゴン?―正直この辺りの車種は全然判らん―は一路、といふほどでもなく漠然と北海道を目指す。散発的に挿み込まれる、愛の回想。傷心の愛が帰宅すると、同棲相手といふか要はヒモのバンドマン「インスタントセックス」の狂介こと一ノ瀬芳樹(ダーリン)は、ファンの女子高生・内田美咲(宇野)を連れ込んでゐた。愛が持つて来てしまつた、芳樹だか狂介のスマホのGPSを辿り美咲が車の行く先々に神出鬼没の機動性を発揮して現れる一方、「中華料理店 竹岡」(嬬恋村大字鎌原)に入つた二人は、六百円のラーメン代にも事欠くや、持参する募金箱に手をつけそれでも足りない、見るから神父には見えない竹中茂(なかみつ)と出会ふ。
 配役残り、竹洞哲也の変名の筈の青森次郎は竹岡の大将とされるものの、少なくとも今回公開された70分ピンクver.では声しか聞かせず些か不明、別のバージョンがあるのかどうかも知らんけど。竹本泰志はひな子の夫にして愛の上司・慎吾、忘年会で酔はせた愛をレイプする。深澤浩子の配偶者の深澤幸太は、短大卒業後すぐに慎吾と結婚し、就業経験のない点に関して愛に対抗心を燃やしたひな子に、ヒッチハイクからの据膳かと見せかけた、グーパン一発で卒倒させる強盗の被害者。倖田李梨の持ちキャラにはフィットしてゐなくもないにせよ、銀婚式間近の一筋専業主婦が仕出かすにしては飛躍が大雑把すぎる。
 前作に引き続き脚本家に深澤浩子を擁し、大半を嬬恋で撮影した加藤義一2016年第二作。としたところがこれが、俳優部の顔ぶれのほかはまんま前回と変らない出来栄えである意味吃驚した。脚本の冴えを感じさせるのは執拗に愛―ではなく狂介のスマホ―を追ひ狙ふ美咲の目的ばかりで、女二人の逃避行に至る顛末を、散発的に挿み込まれる愛の回想で小出しにする体裁を採つてみせたりする割に、そもそも如何にひな子が大崎家に辿り着いたのかはスッ飛ばされてゐたりする始末。竹中に騙され続けるのと同じ強度で、愛の言葉には耳を傾けないひな子の頑なさはストレスフルで、そんなひな子の、片棒を背負ひ込まうとする愛の姿は更に理解に遠い。ロケーション―だけ―は豊かゆゑ撮影部は孤軍奮闘しつつ、物語本体が斯くもボロボロでは焼け石にかける水程度。気がつくと何時の間にか、加藤義一と最後に組んだのは案外昔の2009年。それ以外でも、最後に名前を見かけたのは2014年。改めて際立つのは、岡輝男の不在。

 付記< 視認は出来なかつたけれども、国沢実2016年第二作のエキストラ要員に、丘尚輝の名前があつた
 備忘録< 執拗に狂介のスマホをチェイスする美咲の目的は、ハメ撮りの削除


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 「実写本番ONANIE」(1991/製作・配給:新東宝映画/脚本・監督:鈴木敬晴/撮影:三浦忠/照明:斎藤久晃/編集:酒井正次/音楽:雄龍舎/助監督:上野茶我丸/演出助手:石田薫/撮影助手:今井裕二・小林嘉弘/照明助手:大島孝/メイク:俵典子/スチール:児玉健二/制作:谷中康子/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/現像:東映化学/撮影協力:スタジオキャビン・クリスタル映像/出演:五島めぐ・南野千夏・伊藤清美・清水大敬・牧村耕治・小林節彦・さとうあきこ・早川誠・一輝郁雄)。出演者中牧村耕治が、VHSジャケ―去年発売されたDVDでも―では牧村耕次に、どうしても間違へておかないと気が済まないのか
 キョロキョロするアップの目元に、他人の手でアイシャドウが施される。ビートの利いたインストとクレジット起動、めぐ(大体ハーセルフ)がメイクさん(さとう)に綺麗にして貰つてゐる楽屋に、監督の沖田(清水)が―めぐ曰くアダルトなのに―台本を手に現れる。台本の中身にめぐがゴネ始めると、男優の一輝君(概ねヒムセルフ/本名義は一騎郁雄か)、マイクも持つ助監督の小林(小林)、めぐのマネージャー・西村(牧村)を矢継ぎ早に顔見せ。シャワーを浴びるめぐが完璧な乳尻を軽く披露した上で、停電に伴ふ暗転とともに鈴木敬晴のクレジット。ブレーカーを落とした小林が怒られて、ビデオ題の「FカップONANIE 巨乳いぢり」でタイトル・イン。作為の欠片も窺へない即物的なビデオ題が、それはそれでそれなりに内容にはジャスト・フィットしてもゐる一方、“本番”と“ONANIE”に関しては本気自慰といふことだらうと好意的に解釈するとして、“実写”が輝かしいほどに意味不明な元題ではある、マンガか小説の原作でもあるのかよ。
 とりあへず他愛ないインタビューから撮影開始、早川誠がカメラマンの早川。「ドキュメンタリーといふのは、事実を何度も再構成したフィクションなんだ」だとかめぐに画期的な演出を施す沖田に、妻のかおりから離婚を切り出す電話がかゝつて来る。挫けかけつつ沖田がなほも撮影を続行するスタジオに、制作会社に場所を訊いたかおり(南野)が離婚届を手に訪ねて来る。かおりは、妊娠してゐた。
 「サヨナラホームランは絶対に打つ」、「欲しいのはそのきつかけだけなんだ」だなどと沖田に仕方のない台詞を吐かせながらのめぐの本番ONANIEの撮影中。配役残り、決定力が爆裂する五島めぐの自乳舐めの最中に飛び込んで来る伊藤清美は、沖田の不倫相手・奈津子。沖田を捨てた奈津子が選んだ、きれいな江頭2:50みたいな男は不明。
 佐々木乃武良と同時進行中の鈴木敬晴映画祭、1991年第三作。あくまで本当に撮りたいのは映画な男が監督するAVの、現場を舞台としたメロドラマ。おためごかしな映画愛には甘酸つぱさも通り越した居た堪れなさを禁じ得ず、誰が演じたところで変らない結果となつたやうに苦笑しながらも、敢て、といふかより直截には選りにも選つて沖田役に清水大敬を据ゑた真向中の真向勝負のキャスティングに、殆どやぶれかぶれな潔さを感じるものでもある。「映画もやつてる人も大嫌ひ」、「世界の中心みたいに馬鹿みたいに本気になつて」と一旦下げるだけ下げておいて、最終的には「映画撮つて欲しい」と今でいふツンデレを華麗に決め最後の夫婦生活に突入する沖田とかおりの物語は、如何ともし難い臭さ、あるいは北極経由でグルッと一周した南風の惰弱ささへ一旦さて措けば、尺も十二分に費やし最低限形になつてゐなくもない、南野千夏は殆ど脱がないが。対して裸映画的にも劇映画的にも正しく対照的に、回想風のイメージの乱打を通して伊藤清美の裸は潤沢に見せ、ある意味伊藤清美らしいグジャグジャした熱演を撃ち抜く見せ場も与へられはするものの、奈津子の言ひ分あるいはエモーションがてんで伝はらない沖田と奈津子の物語は、木に竹すら接ぎ損なふ。いはゆる濡れ場要員の存在を回避しようとした節は肯けなくもないにせよ、改めて南野千夏が殆ど脱がない点まで踏まへると、今回果敢に勝負を挑みはした鈴木敬晴が、基本的にピンク映画初期設定の三本柱フォーマットに玉と砕けた様は否めまい。そもそもが話を戻すとラスト沖田との別れ際、主演女優に「今度映画撮ろ!」なんていはせてのける、要は調子よく自分で自分の背中を押してみせたレス・ザン・ゼロに射程の短い自己憐憫は所詮煮ても焼いても到底食へない代物で、それならばいつそ寧ろ、清水大敬の闇雲な熱量でゴリ押しでもされた方が、ツッコミの楽しさにも満ち溢れまだしもマシなのではなからうかとすら思へた。

 但し、この際男優部には頼らずオナニー・シーンを多用する秀逸な戦略も功を奏し、五島めぐを美しく、そしてどエロく撮ることには大成功してゐる。五島めぐにお世話になつたメモリーのある御仁にはマストで必見と畳語も省みずお薦め出来るし、余程偏狭な琴線の持ち主でなければ、博く何時の時代に見るなり観ても勃つと断言しよう。


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 「裸の劇団 いきり立つ欲望」(2016/製作:ファミリーツリー/提供:オーピー映画/監督:榊英雄/脚本・助監督:三輪江一/音楽:雷鳥/撮影:早坂伸/照明:藤田貴路・田島慎/録音・効果・仕上げ:丹雄二/編集:清野英樹/ヘアメイク:KAORI/スチール:富山龍太郎・You Ishii/撮影助手:小島悠介・日下部一也/監督助手:折元星也、もう一名/制作担当:宗像良介/制作応援:岡本直樹/特別協力:長門薫/企画協力:木原祐輔/仕上げ:東映ラボ・テック/美術協力:ナジャペレーネ株式会社/出演:水城りの・REN・蓮実クレア・加藤絵莉・山本宗介・阿部恍沙穂・齋賀正和・三輪江一・松浦笑美・佐藤文吾・石川優実・羽柴裕吾・檜尾健太・佳那・和田光沙・針原滋・柴やすよ・とみやまあゆみ、他若干名・名無しの千夜子・睡蓮みどり・榊英雄)。出演者中、針原滋から他若干名までは本篇クレジットのみ。多分ボロボロのビリングとロケーション協力を主に、予定通り一般映画並の情報量に惨敗する。
 タイトル開巻、前作をトレースしたかの如く、制作の上杉京子(松浦)がやきもきする中、開幕間近といふのに劇団「ネイキッドデザイア」の看板女優、に返り咲いた虹川希来莉(加藤)と、俳優部から昨今演出まで手掛け、ネイキッドを牛耳る根岸昭一(齋賀)は小屋の手洗ひで一発キメたのち、慌しく舞台に飛び込んで行く。但し、短い挿入を除けば前作を踏襲するのはこの件ばかり、以降は一切のノー・イントロダクションで、後述する「さまよふアゲハ」を未見の人間は清々しく置いてけぼりにしたまゝお話は勝手に進行して行く。敷居は低過ぎるくらゐでちやうどいいと思へるひとつの量産型娯楽映画観からは、些か不親切に映らなくもない。第十回公演「蝶々夫人」が成功したネイキッドはライバル劇団「水玉スパンコール」から遠野青空(蓮実)・関サバ男(佐藤)・矢部真子(石川)の移籍組を迎へ、とりわけ青空はアイドル的人気を博してゐたが、独断的だか独善的な根岸の手法に高村康太(山本)は呆れ返る態度を隠さず距離を置き、自身が発掘した蝶々夫人の主演女優・花森揚羽(水城)に何時の間にか去られてゐたネイキッド元代表―現在は副代表らしい―の瀬田翼(REN)は、すつかり腑抜けになつてゐた。ところで、黙つてゐると恐らく通り過ぎて済まされるフィルモグラフィーに触れておくと、何番手にカウントしたらよいのかよく判らない石川優実は、ほんの賑やかし程度の出演に止(とど)まつた、松岡邦彦フィルム最終作「つはものどもの夢のあと 剥き出しセックス、そして…性愛」(2012/脚本:今西守・関谷和樹/主演:後藤リサ)から四年ぶり二度目にしての、濡れ場もこなすピンク本格参戦。
 配役残り阿部恍沙穂は、終ぞ報はれないビアンのネイキッド劇団員・西脇里美。三輪江一は静かに翼を見守る、ネイキッド元前貼り担当、現衣装の張本健作、ついでにex.ぽんぽこ商事。榊英雄は、手洗ひをホテル代りに使ふ希来莉と根岸か高村と真子には閉口しつつも、パンティを握らされると大人しくなる小屋の支配人。羽柴裕吾は高村の友人で元々揚羽をネイキッドの観劇に誘つた、揚羽の同棲相手・加地恭平。大竹をオミットした佳那はときめきかけた京子を絶望の底に叩き落す、サバ男のブリブリな嫁・河北真白。二人とも脱ぐのが偉い―あるいは榊英雄の、女優を脱がせる才覚は評価すべきといつた方がより適切なのか―睡蓮みどりと名無しの千夜子は、当人の同意を得ることなく揚羽主演の新作の脚本に取りかゝつた、翼を挟んでキャットファイトを繰り広げる創作の女神と睡魔。殊に睡蓮みどりが多分クッソエロいので、束の間コメディ調の使ひ方は何気に激しく勿体ない。檜尾健太は水玉スパンコール主催の濱口テツで、針原滋から他若干名までが、ネイキッドがスパンコールに名義を借りて参加する演劇コンクールの、審査員と観客の客席要員。あれ、オッサン審査員と、オッサンに常時乳を揉まれてる女が針原滋と柴やすよか?そして田中幸恵役とされる和田光沙を、ロストしたのは痛恨の極み。
 正しく青天の霹靂のピンク映画電撃参入作「オナニーシスター たぎる肉壺」(2015/主演:三田羽衣・西野翔・柴やすよ)から年を跨いでの、改めて前作「さまよふアゲハ 蜜壺トロトロ」と連続した前後篇二部作をなす榊英雄2016年第二作。普通に考へれば前回挨拶代りの乳見せで温存した蓮実クレアが、爆乳を爆裂させるのが二部作後篇のブーストといつた面も踏まへるとなほさら、本来裸映画的には然るべき戦法とならうところなのだが、それ以外にも法外な頭数の女優部がジャンジャカジャンジャカ気前よく脱いで呉れるにも関らず、そもそも榊英雄が女の裸あるいは裸の女をそれ以外の人か物と同じやうにしか―少なくとも今作時点では依然―撮れない監督につき、腰から下を揺さぶる有難味は相変らず殆どない。とりあへず首を傾げざるを得ないのは、折角青空が据ゑた膳を翼は食はず、自ら積極的に仕掛けておいて、青空のセックスした男の才能を推し量る特技に、根岸は最終的には怖気づく。高村に喰はれ倒す真子即ち石川優実に対し、しかもこれだけのビリング上位―ポスターではトメ―に置きながら、青空の絡みで観客の精嚢を空つぽにさせに来る気配を凡そ感じさせない、蓮実クレア(ex.安達亜美)を持ち腐らせる神経は到底理解に遠い。
 尤も、又しても二度あることの三回目だつたか、と匙を投げかけた中盤。踏切前にともに傷心の京子と里美が並んだタイミングで、張本からの翼復活の報が飛び込んで来る。以降ネイキッドが再起動する件は、男と女の色恋を描くとモタモタ堂々巡りに終始する反面、榊英雄的に得意とする展開なのか、娯楽映画が綺麗に弾む。客席をも巻き込んだラストのいはば大乱交も、勃つ勃たないを一旦さて措けば、エモーションの伝播を体感出来る立派なスペクタクル、ピンクがさて措いたら駄目なんだけど。ともあれ、対蓮実クレア戦に於ける羽柴裕吾の凄まじい逆マグロぶりがある意味象徴的な、演出部俳優部双方不得手な面子で挑んだピンク映画に、三度目の正直でひとまづ新しい風が吹いたのは気持ち感じられた、この先があるのかどうかは知らないけれど。


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 「ザ・夜這ひ」(昭和60/製作:AMI企画/配給:株式会社にっかつ/脚本・監督:木俣堯喬/撮影:伊東英男/照明:隅田宗孝/音楽:新映音楽/美術:衣恭介/効果:小針誠一/編集:菊池純一/助監督:西沢弘己・鎌田敏明・大内裕/撮影助手:佐久間栄一/照明助手:山中正一/スチール:津田一郎/衣裳:富士衣裳/小道具:高津商会/録音:ニューメグロスタジオ/現像:東映化学/企画:AMI企画/制作プロデューサー:珠瑠美/出演:城源寺くるみ・藤ひろ子・田代葉子・村川映子・港雄一・牧村耕治・水戸康之・泉ワ輔・北村大造・坂本昭・山本竜二・外波山文明・あおい恵)。出演者中、山本竜二は本篇クレジットのみ。美術の衣恭介は、木俣堯喬の変名。企画・製作のAMI企画と、御馴染プロ鷹は同一組織。
 サクッとタイトル開巻、平家の落人村とされ、花嫁を水神様に扮した村の長老が水揚げする奇習と、フリーダムな夜這ひの風俗が昭和末期にしてなほ残る下塚村。村長(港)と篠崎理容店も営む床屋の助役(泉)を始め賑々しく挿しつ挿されつする一方、村長曰くの劇中台詞ママで“当村議会随一の共産党議員”平坂ケンスケ(外波文)は因習の打破を訴へるも煙たがられる下塚村に、都会に出てはみたけれど、ヒモとの生活に疲れた西浜か西濱マサコ(城源寺)が帰つて来る。
 配役残り村川映子は、イントロダクションの水揚げ儀式要員、坂本昭が水神様に扮する村長叔父貴。あおい恵は村長・助役らが常連の、二階ではいはゆるちよんの間も営業する居酒屋女将・ツネコ。田代葉子は床屋の娘・ヨシコで、牧村耕治が親爺居ぬ間にヨシコに言ひ寄る、村民からは村長の極道息子と称されるハルオ。そして水戸康之が、ハルオが来てゐるのも知らずヨシコに夜這ひを仕掛ける村の漁師・山下ジロー。藤ひろ子はマサコ母、ジローがマサコに仕掛けた夜這ひが母ちやんに誤爆する、定番中の定番シークエンスに際してはこの人も脱ぐ。北村大造は村の駐在。
 次作の香港ロケ大作「中川みず穂 ハードポルノ絶頂」(昭和61/主演:中川みず穂)で監督生活の幕をある意味派手に閉ぢた、今をときめく和泉聖治の実父・木俣堯喬(2004年没)のラスト第二作。リアルタイム的には、前年度の「にっかつ新人女優コンテスト」で入賞した城源寺くるみの初主演作。といつた点が、本来フィーチャーされるべき、であつたのかも知れないのだけれど。一応如何にも当時のアイドルぽい容姿を備へこそすれ、まるで木俣堯喬の関心が城源寺くるみには向けられなかつたかの如く、物理的な尺の支配率から村長なり床屋やツネコに大きく水をあけられ、ヨシコの印象は全く薄い。因みに最終的にも、城源寺くるみがビリングの頭を張るのは最初で最後である、単体のアダルトビデオを除けば。ヒロインがヒロインとして機能せず、とりあへず活き活きとはしてゐなくもない猥雑な下塚村の日常が、つらつらと連ねられるに終始する展開は、詰まらないといふほど詰まらなくもないにせよ、決して面白くも何ともない。結局物語らしい物語は終ぞ起動しないまゝに、何だかんだで祝言に漕ぎつけたマサコとハルオの初夜。水揚げの儀までは恙なく終了したものの、宴席で床屋に潰されたハルオはあへなく轟沈。代つて寝室に忍び込んだジローがマサコに挿入するや、エッサカホイサカに連動するやうにクレジット起動。人を小馬鹿にした素頓狂な劇伴で締め括るラストは、並走する形の娑婆に戻つたツネコ内縁の夫・ユーイチ(山竜)が、ダイナマイトを持ち出し店に立て籠る物騒な修羅場の顛末も見事に放り投げ、後には何にも残らない。といふか、残すものかといはんばかりのグルッと一周した腹の据わりぶりさへ誤認させかけ、さうなると一種の迫力すら漂ひかねない。尤も、ロマポで御座いとお高くとまつた鼻持ちならなさよりは、所詮は買取系の徒花ともいへたとへば今作の如く、初めから右から左、あるいは明後日から一昨日に消費される宿命を受け容れた、振りきれたか割りきれた潔さにこそ、量産型娯楽映画らしさをより感じるところでもある。


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 「大人志願 恥ぢらひの発情」(2016/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小山侑子/撮影監督:創優和/録音:山口勉/編集:有馬潜/音楽:與語一平/整音:高島良太/助監督:小関裕次郎/撮影助手:林有一郎・高橋草太/撮影応援:佐藤文男/スチール:阿部真也/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:広瀬寛巳/出演:若月まりあ・吉川いと・みおり舞・橘秀樹・山本宗介・可児正光、他一名・春日いぶき・竹本泰志)。出演者中、ロストした―監督助手も―他一名と春日いぶきは本篇クレジットのみ。決して拾ひきれない情報量―とスピード―ではなかつた筈なのだが、体力の限界に力なく屈する。
 タイトル開巻、貧血を拗らせ高校生にして二留中の澄川茉莉子(若月)が、通ふ学習塾「学友会」のソファーで例によつてしんどくなつて寝てゐると、出勤して来た学友会―オーナー兼?―講師の富田浩一(竹本)は驚く。富田も富田で、劇中学友会には茉莉子を主に常時誰かしらが入り浸つてゐるのだから、一々吃驚しなくてもいいのに。といふか、塾生に鍵持たせてるの?茉莉子の学校は違ふ学友会の友達・中村友美(吉川)らの大学受験合格を祝ふパーティーの席、葉山修平(可児)が現役で東大に合格する一方、東大三浪に突入した河田真生(橘)は荒れる。皆はカラオケに行つたのち、友美と葉山は給湯室にて致し、相変らずソファーで寝てゐた茉莉子も、出し抜けな告白とともに迫つて来た河田に体を開く。翌朝姿を消し、再び茉莉子の前に現れた時、河田はあとは写真を入れるのみの、偽造した東大の学生証を二人分用意してゐた。五月封切りの今作が初陣で、現在もなほピンクに継戦中の可児正光に話を戻すと、一応イケメンではあるのだが、出番の少なさ以上だか以下に印象は薄い。
 新入生を装ひ東大に潜り込んだ茉莉子は、鏡花好きの河田に連れられる形で文学研究会に入部する。配役残り山本宗介は、三留中の文研部長・尾崎洋介。みおり舞が―二人しかゐないが―文研副部長で、尾崎とは男女の仲にもある松田尚子、この人はストレートで銀行の就職まで決めてゐる。他一名と春日いぶきは、カメラが無闇に動く合格パーティー要員、頭数の少なさでも誤魔化したつもりなのか。
 ピンク映画通算四十八作目にして、薔薇族一本を含めても竹洞哲也が初めて小松公典以外の脚本家と組んだ2016年第二作。といつて、全体的な出来栄えが素人目にはさほども何も特段変らない点をみるに、小松公典の我が強く滲み出てゐるやうにも見受けてゐたものだが、矢張りといふか何といふか、これまでもこれで案外竹洞哲也の映画であつたのかしらん。アッサリかマッタリとした始終を経ての終盤、茉莉子が尾崎に跨る、少し多めに尺は残すけれども締めの濡れ場。「優しくなんかない」から劇伴が猛然と鳴り始めた瞬間には、終にアクセルを踏み込んで来たかと色めきたつたものの、結局詰めが甘くさしたる結実は果たせず。詰まるところは人一人の死を出汁にした、在り来たりだか生温いモラトリアム卒業物語は、ホップの2015年第六作―「恋人百景 フラれてフつて、また濡れて」(主演:友田彩也香・樹花凜・加藤ツバキ)、ステップの前作「純情濡らし、愛情暮らし」(主演:通野未帆・世志男)と来ての、満を持した大ジャンプとは行かなかつた。因みに次作以降、竹洞哲也は再び小松公典と組んでゐる模様。
 要は都合のいい自堕落さを、黒髪の似合ふアイドル的容姿で上手いことアンニュイの枠内に押し込んだ主演女優とと、正反対のキャラクターでど直球の正論をドッカンドッカン放り込んで来る二番手との対比も悪くないが、最も特筆すべきは、純然たる三番手濡れ場要員の浜野佐知デジエク第四弾「僕のオッパイが発情した理由」(2014/脚本:山﨑邦紀/主演:愛田奈々)、二番手に昇格し若干前に出た竹洞哲也2015年第三作「湯けむり温泉芸者 お座敷で枕芸」(主演:友田彩也香)を経て、再びビリングは三番手に後退しながら、ピンク三戦目で完全に一皮剝けたみおり舞のプログレス。プロフェッショナルの確実が透けて見える安定した佇まひに加へ、そこら辺にゐさうな女の絶妙なエロさを、同時に空前のクオリティで撃ち抜く様には腰から下の琴線を激弾きされて激弾きされて仕方がなかつた。ヒロインに据ゑた場合地味かつエモーショナルなドラマの構築に難儀しさうにも思へ、この人を三人目に置いておけば、裸の劇映画的にも裸映画的にも極めて戦ひが楽になるやうに映つた。

 とか何とかいひつつ、最大の見所は、枝葉に咲いた大概な徒花。物語上不可欠なアイテムにつき、枝葉扱ひは妥当ではない気もするが。何処からかそれとも自作したのか、河田が調達して来た偽造東大学生証といふのが、台紙はちやんとしてゐる―風に見えた―免許証状のカードに、上から証明写真を直貼りしただけといふ代物。プラス戦線を今回は初めから辞退したが如き、薄味の展開とはいへそれまでそれなりに丹念に積み重ねて来た全てを、ワン・カットの一撃で卓袱台する衝撃のプリミティブ小道具には良くなくも悪くも度肝を抜かれた。レス・ザン・イントロダクションをものともせず箆棒な配役で飛び込んで来る倖田李梨といひ、一見おとなしさうに見せて、竹洞哲也は時々とんでもない無茶をする。


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 「巨乳教師 パイズリ授業」(1994『本番授業 巨乳にぶつかけろ!』の2000年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:稲吉雅志・村川聡/照明:秋山和夫・山本裕貴/音楽:藪中博章/編集:《有》フィルム・クラフト/助監督:女池充・戸部美奈子/ヘアメイク:斉藤秀子/スチール:佐藤初太郎/効果:時田滋/制作:鈴木静夫/録音:ニューメグロスタジオ/現像:東映化学/出演:君矢摩子・奈月莉香・遠山リナ・栗原良・ジャンク斉藤・杉本まこと・石神一・平賀勘一)。
 白いハイヒール開巻、ボディコンで武装する主演女優の身支度に、クレジットが並走、馬鹿デカいサングラスで顔を隠しいざ出撃するとタイトル・イン。君矢摩子が向かつた先は、「平成版 阿部定 あんたが、欲しい」(1999)に於いて時任歩と樋渡剛が出会つたゲイバーとは別物件の、パブ&スナック「扇」。カウンターには鈴木静夫が入り、広瀬寛巳その他三名が客要員に見切れる店内。ノーブラ×ノーパンで一同に固唾を呑ませた君矢摩子は、常連客・君塚達也(石神)に勧められたグラスを受けるや、サクサク扇を離脱、所移したホテルにてザクザク君塚に跨る。一転日中の新宿、役所勤めの婚約者・重政紀夫(杉本)と、扇で男を漁つてゐる際とは対照的どころか完全に別人の、いはゆるアラレちやんメガネに格好も頗るおとなしい、入江瑞恵(君矢)が落ち合ふ。重政は寿退職を決めつける瑞恵の職業は、市民大学講師。瑞恵の講座のテーマはボディコンの歴史、受講者の草薙真吾(栗原)と安本義則(ジャンク)は、ボディコンの歴史を説きながら地味な扮装の瑞恵を揶揄する。草薙が瑞恵の引合に出す華美な市民大学事務員・坂口美樹(奈月)と、瑞恵に並々ならぬ視線を向ける理事長の杉町圭三(平賀)の顔見せ、栗原良V.S.奈月莉香の十二分に重量級の一戦挿んで、例によつてボディコンで扇に入店する瑞恵の姿を、草薙が目撃する。
 配役残り遠山リナは、瑞恵を悩ます無言電話の主・中平明子。初めから結婚後も関係を継続する腹の、重政のセフレ。それと扇のみならず瑞恵の教室内にも、潤沢な生徒要員が見切れる。
 「暴走女子と行く!ピンクツアー」年明け次回の舞台が上野ではなく池袋の点をみるに、未だ情報解禁されないながら最新作はデジエク大復活作と思しき浜野佐知の、DMMでも見られない1994年第一作。常々繰り返してゐる通り未知の新作と未見の旧作との間に特段の差異を認めない当サイトにとつて、かういふ古い映画に小屋に飛び込んで来て貰へるのは猛烈に有り難い。二番手三番手仲良く絡みは一回限りに、いはゆるボンキュッボンな君矢摩子の超絶ボディを、ボディコンダーver.のアグレッシブさと、瑞恵通常時の一貫した受け身ぶりとの濡れ場の対比も効かせ、質量とも十全に堪能させて呉れる始終は圧巻。エクセスを主戦場に戦つてゐた時期の、浜野佐知の充実を窺はせる。杉町が手引きした草薙と安本によるレイプと、付随する重政との一悶着を経た瑞恵が、常時ボディコンダーの完全に一皮剝ける終盤も如何にも旦々舎らしい王道展開。尤も、そもそも病院に行くレベルの、昼夜で別れる瑞恵の画期的な二面性の外堀を埋める作業は、清々しく放置される。ボディコンの見せる衣服から感じる衣服への移行、即ち最終的には着た自らを見る他人の存在を担保とする段階から、第二の皮膚感覚を通して自己変革の起爆剤となす段階へのボディコンの変容。といふ瑞恵が講義する内容と、現にボディコンで生まれ変る瑞恵自身の姿とが理屈の上では繋がるともいへ、瑞恵がボディコンを着る際のもう一手間に欠き、劇中から受ける印象は些かならず遠い。なほかつ、執心に狂ひ一旦一線を越えた杉町が、ボディコンで教鞭を執る美しく開花した瑞恵に目を細めるラストも、浜野佐知にしてはといはずとも自堕落に過ぎよう。些末に囚はれず勢ひに任せた様も、量産型娯楽映画を本当に量産してゐたこの時期の浜野佐知らしい一作である。

 どうでもいいことを忘れてた、どうでもいいから忘れるんだ。平勘が左目外側半分、片玉割れた訳の判らん眼鏡をかけてゐるのは、あれは一体何なんだ?

 以下は一旦脱稿後翌日の付記< シネロマン池袋の公式ブログに、新春第二弾で浜野佐知のデジエク新作が封切られる旨の第一報が飛び込んで来た!・・・・といふか、これ俺が気づいたのが偶々そのタイミングだつたといふだけで、第一報の日付自体は十一月十日だな(´・ω・`)
 更に一週後の再付記< しかも繁忙期の非人道性に手をこまねいてゐる内に、現在ではポスターまで公開されてる


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 「汗ばむ美乳妻 夫に背いた昼下がり」(2016/制作:Production Lenny/提供:オーピー映画/監督:城定秀夫/脚本:長濱亮祐・城定秀夫/プロデューサー:久保獅子/ラインプロデューサー:羽根誠/撮影・照明:田宮健彦/録音:小林徹哉/助監督:伊藤一平/編集:城定秀夫/ヘアメイク:ビューティ☆佐口/スチール:本田あきら/監督助手:島崎真人/撮影助手:高嶋正人/制作応援:浅木大/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:七海なな・木下桂一・沢村純・青山真希・富沢恵・森羅万象・麻木貴仁・久保奮迅・一本気渡)。出演者中、一本気渡は本篇クレジットのみ。
 入道雲を背景に、“昼の光に、夜の闇の深さが分かるものか”とニーチェを引く。福原彰(a.k.a.福俵満)が脚本を書いたのか?と開巻から不安になる。
 空調が効いてゐない喫茶店、結婚相談所を介して、旧姓不明のカオル(七海)と谷輝彦(木下)が実際に会つてみる席。極度に潔癖な輝彦はナーバスぶりを爆裂し、男性交際から未経験なカオルもしどろもどろ自爆する。店に匙を投げた輝彦が会計を済ませて来るとテーブルを離れるや、正しく名が体を表し匂ひフェチなカオルは机上に残された、輝彦が汗を拭いたハンカチに飛びつきスーハ―スーハ―喜悦。若干位置関係は微妙ながら、カオルの汗がポチャンとカップのコーヒーに落ちてタイトル・イン。イコール久保獅子でa.k.a.久保和明の久保奮迅が、ここでのウェイター。
 当然の如くタイトル明けの夫婦生活と一夜明けての朝食を通して、偏執的に室内環境のみならず万事を管理する輝彦との、カオリの息の詰まりさうな結婚生活が描かれる。外出したカオリは、草野球の面々がフェンスに引つ掛けた汚れたアンダーシャツをくすねると、三年の時を経て今なほ健在の、十年ぶりの衝撃「人妻セカンドバージン 私を襲つて下さい」で火を噴いた見かけによらず高い身体能力を弾けさせ猛ダッシュ。家の中をグッチャグチャにしながらの激しいオナニーに燃えると、度外れて神経質な輝彦に悟られないやう家内を入念に整へ直し、お宝のアンダーシャツはジップロックに入れトランクに保管する。それがカオルの、ある意味マイナスプラスが安定した日常だつた。例によつてジョギング男(伊藤一平)から拝借したキャップで燃えたカオリは、事後後始末で大量に消費するティッシュを水洗トイレに詰まらせてしまふ。現れた水道屋・浅野文平(沢村)は汗かきで、頻りに汗を拭くタオルに発情したカオルは、浅野が作業中にも関らずタオルを手に浴室に飛び込むと堰の切れた自慰に狂ひ、その場を目撃した、浅野に手篭めにされる形で一線を越える。翌日だか後日、浅野が風呂を我慢する日数を考慮すると恐らく翌日。輝彦から接待で遅くなる旨のメールを着弾したカオルが、トイレを詰まらせてもゐないのに再び浅野を呼ぶ一方、画に描いたやうなガッハッハ系の取引先専務・西岡(森羅)と上司の中嶋(麻木)に捕まりSMクラブの敷居を跨いだ輝彦も、ヤンキー口調が女王の気品を感じさせない二階堂美香(青山)と出会ふ、名前は女王様ぽい。ところで、浅野役の沢村純吉の変名ではない沢村純に話を戻すと、「悦楽交差点」時に気づかなかつた己の不明を恥ぢるばかりだが、正式に改名したのか否かは不明の中村英児。それと青山真希のex.逢崎みゆにつられ性懲りもない繰言を吹くと、時折映像畑に帰還する形跡が窺へぬでもない、中村和愛の超復帰を当サイトは何時までも諦めない。
 配役残り富沢恵は、センム改めハゲブタ―直線的すぐる(;´Д`)―を責めるアフロ女王。一応いはゆるロケット型のオッパイは披露するもののまるで何かを口に含んだかのやうな回りくどい口跡の、謎の逸材。如何にもな名義で蘭汰郎の変名に見えた一本気渡は、浅野の退職をカオリに告げる―のと住所を売る―水道修理屋の若い衆。
 電撃上陸作「悦楽交差点 オンナの裏に出会ふとき」(2015/脚本協力:城定由有子/主演:古川いおり)に続く、城定秀夫大蔵第二作。七海なな的にも、「人妻セカンドバージン」以来のピンク映画第二戦。どうやら世間では、城定秀夫を激賞しないと親が死ぬ呪ひでも蔓延してゐるらしいが、こちとらそんなこた知つたこつちやない。前半と後半とでベクトルが180°ヘアピン大転換するユニークな構成には一旦度肝を抜かれかけた、「悦楽交差点」から更におとなしく、あるいは小ぢんまりと。何を仰々しく持ち出したのか、てんで腑に落ちないニーチェは微笑ましい御愛嬌と生温かくスルーした上で、そこが通らないと瓢箪から駒が出て来ないともいへ、木に竹を接ぐ輝彦の目覚めと、この期に及んで埒が明かない浅野の設定周りの些末なリアリズムも一旦さて措く、にしても。今作詰まるところ、ありがちな世間の狭さがスパークする実質的スワッピングの末に、早々に擦れ違ひかけてゐた夫婦がヨリを戻す。要はそれだけのよくある話―ザッと探して「義母の淫臭 だらしない下半身」(2000/監督:大門通/脚本:有馬仟世/主演:美麗)とか、「夫婦交換 刺激に飢ゑた巨乳妻」(2005/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/主演:朝倉まりあ)とか―に過ぎず、城定秀夫にとつて、北沢幸雄以外に踏んだ場数でいふともう一人の師匠格と目しても差し支へあるまい、我等が無冠か無言の巨匠・新田栄ならば全然勿体ぶらずにサラッとかサクッと描いたのではなからうか。今回表面的には洗練だかオサレに撮り上げられ、その一見一般風の出来映えはプラスまで見据ゑたオーピーのお眼鏡には適つたものであるのかも知れないが、何てこともない物語は何てこともなく撮る。そのルーチンや枯れと紙一重の後先省みない素気なさこそが、量産型娯楽映画的には寧ろスマートであるやうにも思へる。瀬戸際中の瀬戸際で殆ど満足に量産し得てさへゐない状況で、時代に錯誤するにもほどがある点に関しては、片隅を掠めなくもないけれど。


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 「悶絶!快感ONANIE」(1991/製作・配給:新東宝映画/脚本・監督:鈴木敬晴/撮影:稲吉雅志・小山田勝治/照明:清野俊博・南園智男/助監督:森本英紀/編集:酒井正次/音楽:やじろべえ/録音:ニューメグロスタジオ/効果:協立音響/現像:東映化学/制作:秋月康/出演:南野千夏・伊藤舞・下元史朗・杉浦峰夫・伊藤清美)。出演者中伊藤清美が、VHSジャケには伊藤晴美、自由奔放な世界だ。
 後々襖に描かれたものであるのが判明する、ヌルい地獄絵に赤い照明が揺らぐ。ボンデージで締め上げられた乳と股間を、主演女優の悲鳴が追つて二十秒そこらの手短なタイトル・イン。改めて普通の色調でシャワーを浴びる南野千夏に俳優部クレジット起動、一転再び赤々しい伊藤舞の体と体を洗ふ伊藤清美の手元のクローズアップに、スタッフが続く。地獄絵で知られる日本画の大家・葦田が再婚、葦田家に入つて十五年のメイド・岸本小夜(漢字は大体推定/伊藤清美)と、葦田の娘・絵美(伊藤舞)がイントロダクションがてら“新しい奥様”森田霞(南野)に関する会話を交す。特注の花嫁衣装と称して、霞にボンデージが贈られるジャブを放つた上で、小夜が平静さを失はない一方、絵美は父親に対する独占欲込み込みで財産目当てと新しく家に入る後妻に悪態をつく。この件、果たして狙つたのか不作為が生んだ瓢箪から駒か、フェードアウトした―筈の―南野千夏が舞と清美のダブル伊藤の画に、ウッスラ残つてゐるのがまるで心霊写真の趣。画家としての限界に慄く葦田(下元)の姿挿んで、霞を一見使用人かと思ひきや、後に書生的なこの人も画家である旨が明らかとなる山下(杉浦)が車で迎へに行く。その頃葦田邸では下元史朗と伊藤清美が、「何が欲しい?」、「旦那様の心」。「身を焼き尽くすぞ、地獄に堕ちて」、「いいのそれでも」だ云々と、マッタリ演技合戦。絡みに水を差す藪蛇なハレーションも姦しく、軽薄な耽美が形にならない序盤には、正直挫けさうになる。
 鈴木敬晴(ex.ハル鈴木)1991年第一作にして、敬晴名義第三作。葦田が霞を屋根裏的な創作部屋に入れての、新婚初夜風の営み。霞がボンデージの上からパンストを穿いてゐるのに激昂した葦田は、“充血した肉のエネルギーがお前の心を動かしてゐるのに過ぎない”にも関らず、“愛が肉を動かしてゐるのだと”錯覚してゐると難癖をつけ始めたのに続き、矢継ぎ早に“肉は精神と分離して初めて壮絶な美となり得る”、“充血した肉のエネルギーのみに興味”があると御高説。美肉がボンデージに締め上げられるSEが、縄が軋む音にしか聞こえない間抜けな音効もある意味側面支援に、先には「人妻 口いつぱいの欲情」(1989/ハル鈴木名義/主演:川奈忍)、後には「現代猟奇事件 痴情」(1992/主演:浅野桃里)と、コッテコテな、あるいは穏当な如何にも量産型娯楽映画らしい量産型娯楽映画も撮る傍ら、鈴木敬晴が時に派手に仕出かす観念論ピンクが壮絶に幕を開いた日には、挫けるのも通り越し頭を抱へ、かけた。ところが伊藤舞がエクストリームに火蓋を切り、残りの二人も追随する看板を偽らないハードオナニーを豪快な噴射剤に、よくよく考へてみればよくある落とし処にも思へ、裸映画的にも派手に拡げた風呂敷を、下元史朗の役者力も借り予想外の結末に落とし込む最終盤には綺麗なカタルシスに心洗はれた。最終的に、折角葦田が見事に畳んでみせたのに、南野千夏の覚束ないモノローグで失速するオーラスについては、蛇に足を描いた御愛嬌とでもいふことにしてしまへ。

 大事な一幕を忘れてた、劇中葦田が常用する、巨峰か何か大きな葡萄。小夜は「愛してゐるなら受け容れられる」と、霞の蛤に旦那様の好物を詰め込む葡萄責めを敢行。当然じたばた抵抗する霞に対し、伊藤清美がサラッと撃ち抜く超絶の名台詞が「そんなに力んだら愛が潰れちやふ」、これには痺れた。


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 「変態芸術 吸ひつく結合」(2016/製作:旦々舎/提供:オーピー映画/脚本・監督:山﨑邦紀/撮影:小山田勝治/撮影助手:宮原かおり/撮影応援:山川邦顕/照明:ガッツ/録音:山口勉・廣木邦人/助監督:小関裕次郎・高田芳次/編集:有馬潜/音楽:中空龍/整音・音響効果:若林大記/録音スタジオ:シンクワイヤ/ポスター撮影:MAYA/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:アクアショップ マリンキープ・桃子・ラブピースクラブ/出演:東凛・酒井あずさ・ダーリン石川・津田篤・荒木太郎・卯水咲流)。照明のガッツは、守利賢一の変名。
 ガード下を通過する車列を一時捉へて、尻尾から白いウーパールーパーを舐める。全裸の主演女優を、全身抜く自室のロング。ルーパー嬢(東)がパンティ・ブラの順で下着を着け、チャイナドレスに体を通すと、水槽のウーパールーパーに「私は変つた」と語りかける。ルーパー嬢の、薬科大に通つてゐた過去。取り憑かれたかのやうに乳鉢で薬物を擂るルーパー嬢あるいはタリウム女が、カッと目を見開いてタイトル・イン。静かなアバンながら、溜息が漏れるほどに均整の取れた東凛のプロポーションを、丹念に堪能させるカットの数々には確実な力が漲る。
 男女の等身大人体模型が並び、背景には鉄格子も見切れる見るから怪しげな一室。和洋といふか和フラワー折衷な扮装の卯水咲流が、模型胴体のカバーを外し腸に頬擦りした上で、ちやうどディルド―程度の大きさの小ぶりな人体模型でオナニーに耽る。そこに現れたルーパー嬢に、完遂したグル(卯水)は手を差し伸べる。
 種々雑多な奇人変人が入れ替り立ち替り登場する、山﨑邦紀十八番の展覧会的な序盤は今作も健在。配役残り、バサッとマントを広げての疾走で飛び込んで来るダーリン石川は、自らをドラゴンの化身と目するサラマンデル。ウーパールーパーことメキシコサラマンダー繋がりのルーパー嬢の彼氏で、後にルーパー嬢は巷間を騒がせた事件に触れ、自身も人に毒を飲ませてしまふと薬科大を中退、ウーパールーパーとの出会ひによつて救はれたと語る。サラマンデルに話を戻すと、真のドラゴンと化すには通過儀礼として、亡夫の遺産で全身整形を繰り返す母親・整形ママ(酒井)とのファックが必要だと常々息巻くも、いざといふ段となると何時も息苦しさに見舞はれ果たせずにゐた。浜野佐知に丸グラサンを借りた―凄い与太―荒木太郎は、実質的には整形ママの間男といつて差支へあるまい、家内に逗留し整形ママの自伝を口述筆記する三文文士。誰のためにもならない、何の役にも立たないことこそ芸術の宿命とする、よくいへば一切の下心を廃した純粋な、直截には諧謔的な芸術観の持ち主。それで社会生活はどうしてゐるのかホワイトカラーの癖に髪までツンツンに立てた津田篤は、この人は自らを機械仕掛け、しかも壊れたと目するエレキ君。一見バラエティ豊かに見せて、拗らせた自意識だらけでもある。とまれエレキ君、キーだのカシャンだのロボット風のSEがなければ、傍目的な症状は単なるチック症と大差なかつたりもする。大腸を脳を上回る最重要な器官と位置づけ、入り口である口腔の舌と出口である肛門の同時刺激とにより、要は一本の管を成すその間の消化器官の活性化を説く。正しく独自の説を提唱し、助手をルーパー嬢が務める、グルのラボに窮したエレキ君が相談に訪れる。
 神は細部に宿るとばかりに、個人的には2015年ベストの肛門探偵で華麗なる復活を遂げて以降、加速してモチーフ勝負を嬉々と続けてゐる様が窺へる、山﨑邦紀の2016年第一作。肛門探偵をより理論的に整備したグルの大腸要諦主義を軸に、類が友を呼ぶが如く集つた“失敗した芸術家”達が繰り広げる下へより下への大騒ぎ。といふと、例によつて風呂敷を拡げるだけ拡げておいて畳みもせず散らかしたまゝ映画が終る。終つてのける危惧は、どうかしたのかと驚かされるくらゐの完璧な形で大回避。サラマンデルが頑なに固執する母子相姦に関し、グルは脳の過大視と同列の子宮幻想に囚はれてゐると指摘、大腸に繋がるべきと主張。母のヴァギナではなくアナルとグルが述べるや、ユリイカと鳴り始める安いハードロック調の劇伴が絶品。点の奇想が線に繋がるドラマティックなカタルシスが満開に咲き乱れ、続く実際に上のグルと下のルーパー嬢による、サラマンデルの舌と肛門の同時刺激。絶頂に達したサラマンデルが上げる「オーオー大腸!」なるスッ惚けた歓声が、厭世的には人間そのものを糞袋とも看做し得る、人体を貫く一本の管を快感が駆け巡る劇中体験を観客にも実感させる大いなる映画的魔術!
 とこ、ろが。サラマンデルが整形ママのアナルに挿入しつつ、ルーパー嬢の肛門を舐める。舌肛同時刺激があたかも秘蹟の領域にすら突入せんかに思へた、否、その時は確かに突入した荘厳なまでの濡れ場を経て、グル曰くの“聖なるトライアングル”が完成した瞬間。嗚呼俺は、何て素晴らしい映画を観たんだと、心の底から感動した、のに。一見意味不明な件なりショットが、魚雷のやうに命中する伏線はパンドラの箱じみた蓋が開いてみれば理解に難くもないとはいへ、斯くも完璧にテーブルコーディネートしておいて、したにも関らず卓袱台を豪快に引つ繰り返すどころか木端微塵に原子に還す、変りも救はれもしなかつたのかよ!な無体なエンディングには呆然とするのも通り越し度肝を抜かれた。綺麗に等閑視されるエレキ君や、前作前々作の充実ぶりからするとヤマザキ組荒木太郎が比較的大人しい点も特筆しようと思へばし得なくもないものの、この際取るに足らない些末。山﨑邦紀が大御大・小林悟に連なりかねない、貴様等の望む映画など撮るものかといはんばかりのダンディズム溢れる一作である。

 何処で触れたものか逡巡してゐる内に最後まで機を失してしまつたが、徒に仰々しくもなければ、稚拙の結果の素頓狂といふ訳でもない。山﨑邦紀映画のヒロインにしては案外目もとい耳新しい東凛の至つて普通といふ意味でのフラットな口跡は、奇矯な世界観が雲散霧消するのを防ぐ、アンカーの役割を果たしてゐるやう効果的に聞こえた。


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