【現代思想とジャーナリスト精神】

三反園鹿児島県知事の方針変換の背後に苦渋を感じる


三反園鹿児島県知事の方針変換の背後に苦渋を感じる

             櫻井 智志


 実は昨夜「日刊ゲンダイ」で鹿児島県知事の「転向」を批判する記事を目にしていた。きょうの東京新聞でも、同じ問題を夜に見たらwebで掲載している。
 私は三反園氏がジャーナリストの頃から、信頼感を感じていた。鹿児島県知事選に出馬して当選した時に、快哉の念をもった。

 その三反園氏の政策の転換。一知事にどれだけ様々な圧力をかけられるものかを考え、恐怖感を想像する。新潟県の前・泉田知事も暴力による生命の危機感をほのめかした。当人でなければ分からぬものかも知れない。
 議会制民主主義の建前を崩壊させる危険な兆候である。泉田氏や三反園氏を非難することはおかしい。立候補して政策を実現していく、戦後の議会政治の前提だからだ。

 それを前提に言うが、沖縄県知事翁長雄志氏は、胃がん摘出の闘病とともに、一貫して自公安倍政権に一歩もひるまず、今も闘い続けている。戦前の労農党代議士山本宣治は、国会で戦争への批判を演説、紐付きの国粋主義者によって京都にて暗殺された。政権にあった高橋是清蔵相や犬養毅首相などへの「革新」将校による5.15事件や2.26事件のクーデター未遂の要人テロ。
 それは戦後もある。1960年社会党浅沼稻次郎委員長が演台で演説中に、階下から駆け上がった右翼未成年によって刺殺された。あまりに警備の警察や警備の不可解な状況である。1970年代に入り作家三島由紀夫は私兵「縦の会」を引き連れ、市ヶ谷自衛隊駐屯地に幹部に面会を申し入れ、クーデター蹶起を演説したが、リアリズムの常識ある自衛隊員たちは相手にもしなかった。2016年の現在とは雲泥の差が社会にあった。

 泉田氏は自民党支持で出馬したが、県政はまともな行政であり、かつて自民党や維新の会からも政界を目指した米山隆一氏は、見事な対応で民進党を離党、無所属で出馬して、共産党、社民党、自由党の推薦のもと見事当選し、現在も慎重に臨み健闘している。
 三反園氏の原発政策はわからぬが、氏の健闘を応援したい。幅広く支援状況が変わるならば、氏には熱き初心がある。

 以下に新聞記事を転載させていただく。ひとつの政策だけでなく、知事の支援態勢や市町村や近隣の県知事選の情勢を有利に転換させていくことや世論の盛り上がりなど、構造的な分析と対応が必要である。

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川内原発の運転再開容認 鹿児島知事「権限ない」

2016年12月1日 18時44分 東京新聞web


 鹿児島県の三反園訓知事は1日の定例県議会で、九州電力川内原発の安全性を議論するため新設する検討委員会に関し、8日にも予定される川内1号機の原子炉起動前の設置にこだわらない考えを示した。「私に原発を動かすかどうかの(決定をする)権限はない」とも強調した。事実上、定期検査からの運転再開を容認したことになる。
 九電は川内1号機の運転再開への起点となる原子炉起動を8~9日に予定しており、三反園氏がそれまでに運転再開の延期を求めるかどうかが焦点だった。三反園氏は県議会で代表質問に対し「8日がどうこうで(検討委を)設置するわけではない」と答弁した。
(共同)

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