【現代思想とジャーナリスト精神】

危機的状況が継続、収拾はしていない福島原発事故

危機的状況が継続、収拾はしていない福島原発事故

                     櫻井智志

 孫崎亨氏は言う。

《福島原発事故は収拾していない。危機的状況が継続》。

原発事故について危機的だという情報を目にすることはつらい。

 しかし、危機を知らされずに状況悪化のままでいることは、もっと危機的な状態へと深刻な局面に深化していても、そのまま破滅的な、早急に取り組むべき課題に取り組まない政府の怠慢と一緒に破滅へと至るのではあるまいか。事実報道を「風評被害」と決めつける論難は問題外だ。

 アメリカ・スリーマイル島や旧ソ連・チェルノブイリの原発事故対応を参考に、世界史的視野で、まつとうに取り組むことを放棄している安倍晋三自民党公明党政権。旧・民主党政権よりもはるかに後退した、「棄民」原発政策だ。
 それは、沖縄県民の犠牲的負担をトランプアメリカ大統領へ「手土産」と差し出す売国的奴隷的依存症安倍首相が政権ぐるみでもたらす政策全般のもと、「共通した」政権の認識のもとに推進されている。
 はやくから預言している大江健三郎氏の評論集のタイトル『鯨の死滅する日』の到来したことを告げる。「鯨の死滅する日」、沖縄も福島も日本列島も壊滅的な「日本沈没」(小松左京氏)が寓話にとどまらない現実化の凶暴な事態の破滅ゾーンへ突入する。

 私たちは、日本共産党が他の立憲野党とともに、成熟した市民運動主体の「ニッポン・市民的革命」の実現によって、この国民的危機を打開しよう。国際社会に尊敬されていた戦後民主化日本の名誉失墜は、「市民と立憲野党」共闘を変革主体とする国民的救国運動によってしか回復されえない。

 いそいそとアメリカを訪れ、アメリカ国民でさえ、支持もしない大統領と目と目を見つめ合い、固く手と手を携える倒錯軍事同盟に依存し続ける亡国首相に依存し続ける日本国民は、今のまま闘争から逃走していては、卑弥呼以来のニッポンの歴史は終焉を迎えざるを得まい。古代ペルー・インカ文明や現代ソ連のように、滅亡や解体した国家は現実に存在している。余程国民が自覚しない限り、日本は実態において今でも相当破壊されている。このまま手をこまねいていて、依存するに足る解決能力は皆無の自民公明維新勢力なのだ。


===【孫崎亨のつぶやき】======
2017-02-15 07:26

【福島原発事故は収拾していない。危機的状況が継続。その①福島2号機危機、1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応、連鎖反応なら広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が生成(村田光平氏)】


原発の危険を発信続けている元駐スイス大使村田光平氏からのメールです。

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 元国連職員の松村昭雄氏から寄せられたメールをお届け致します。

同氏とは福島4号機の危険性を協力して世界に訴えた経緯がありますがこのたび竹本修三京大名誉教授の見解を踏まえ、新たに浮上した福島2号機危機への真剣な対応を共に世界に呼びかけ出しております。

別添の入口 紀男熊本大学名誉教授の見解は、下記の通り日本の将来を深刻に憂慮させるものであり、また、予見される国際社会の反応もあり、対策として建設費が100兆円ともいわれる石棺の要否についての検討を急ぐ必要があると思われます。

「1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応であろうと考えられます。その未反応のデブリは、濃度と形状によっては、あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。すると熱エネルギーと同時に広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が生成される可能性があります。

 使用済み燃料は、常に水中になければ、そこから発せられる中性子によってヒトは敷地全体に近づけません。一方、未反応のデブリは、逆に、周囲に水があるとそれが中性子減速剤となって、あるとき、たとえば無理に取り出そうとしたときに再臨界を迎えかねないという矛盾をはらんでいます。デブリを奇跡的に取り出すことができない限り、その(再臨界の)可能性はこれから100万年間続くでしょう。」

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原子炉デブリについての某氏と入口先生のFB上での質疑応答

原子炉デブリに関する質疑応答(Toshiko Kato‎ ― 入口 紀男)

4基の原子炉、石棺は可能なのでしょうか?いまもこれからも大量の水で冷却していますが、冷却水ストップして、デブリ臨界に達しないのでしょうか?

教えてください。

入口 紀男 1~3号機のデブリのおよそ半量の138トンが未反応であろうと考えられます。その未反応のデブリは、濃度と形状によっては、あるとき周囲の水を中性子減速剤として核分裂連鎖反応を起こし得ます。すると熱エネルギーと同時に広島原爆約7,000発分の放射性物質(セシウム137換算)が生成される可能性があります。

 使用済み燃料は、常に水中になければ、そこから発せられる中性子によってヒトは敷地全体に近づけません。一方、未反応のデブリは、逆に、周囲に水があるとそれが中性子減速剤となって、あるとき、たとえば無理に取り出そうとしたときに再臨界を迎えかねないという矛盾をはらんでいます。デブリを奇跡的に取り出すことができない限り、その(再臨界の)可能性はこれから100万年間続くでしょう。

Toshiko Kato ありがとうございます。未反応デブリはウラン235と中性子減速材などがとけて固まった物。デブリから中性子が出ていて、水が減速材として働くと再臨界が起こるのですか ?なぜ減速材が再臨界に必要なのかが分かりません。これとは別に、石棺は可能なのでしょうか?

入口 紀男 ひとつの中性子が「ほど良いスピード」で核燃料に衝突すると、核燃料の中から二つ以上の中性子をたたき出します。二つの中性子が「ほど良いスピード」で核燃料に衝突すると、核燃料から四つ以上の中性子をたたき出します。このようにしてねずみ算のように増えていくのが核分裂連鎖反応ですね。

中性子のスピードが速すぎると、核燃料の表面ではじかれてしまいます。これは本当です。そこで中性子減速材として周囲に「水」や「カーボン」(黒鉛)があると、中性子は減速されて「ほど良いスピード」になるのです。

核燃料棒を水の中に沈めて数センチの距離に近づけると、効率よく核分裂連鎖反応が起きます。これが原子炉ですね。

 石棺は、先ず原子炉の地下を掘って水が流れ込まないようにコンクリートを流し込みます。次に全体を石棺で覆います。しかし、建造する前に、デブリが水につかって再臨界(核分裂連鎖反応を起こすこと)をしないように、「水なし」となるようにしなければなりません。これも困難です。チェルノブイリは黒鉛炉でしたので「水なし」にする工程が省けました。福島第一の1~3号機ではまだ水冷が行われていますね。

水冷をやめても格納容器の底(1インチの厚さの鋼鉄)にあると思われるデブリが発熱で底を溶かしてメルトアウト(格納容器からデブリが地下などの環境に出ること)しないように熱を外部に上手に逃がしながら行います。また、中性子は、デブリが水に沈んでいないと格納容器を通り抜けて環境に出てきますので、それが周囲の作業者を被ばくさせないように上手に建造していくことが必要です。これも容易でありません。

100兆円かかるでしょうが、できても、何十年かでやがて老朽化するでしょう。外側に大きな石棺が必要となるでしょう。

Toshiko Kato 程よいスピードが必要、わかりました。汚染水を止められない日本の科学・技術・工学では、石棺も無理ですね。燃料取り出しも無理。分厚い圧力容器を破ったメルト燃料は、格納容器内に止まるほどラッキーではない、とメルトスルーも考えられますね。1号機は格納容器にみずを循環させて冷やしているらしいですが。

入口 紀男 「メルトスルー」(炉心貫通)とは、デブリが圧力容器の底を突き抜けて格納容器の中に出ることで、それはすでに1~3号機で起きました。「メルトアウト」(炉心露出)はデブリが格納容器の底を破って環境(地下)に出ることですが、それが起きているかどうかはまだ分かりません。

******転載終了*************

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