想い・思い・おもい ver.2

***つなぎ、つながり、つなげあう***
since 2009.7.16(2009.3.28〜ver.1)

第257回 将来を思い、「今」を考える

2009-11-24 00:29:46 | 実践
「今のケアマネさんと、どうしても性があわない」とおっしゃっておられ、
ケアマネを受けてくれないかと、行政の障害担当から依頼のあったのが、始まりです。

ご家族は、ご本人と夫と子どもが一人。
ご夫婦は、2人とも要介護度1の2号被保険者。
子どもは義務教育年齢ですが、学校へはほとんど行かず、
教育センターや養育センターのフォローを受けています。

関係機関から情報をえたところ、ご本人の医療情報には、
統合失調症や境界型人格障害といった診断名が書かれています。

そういったことから、「性があわない」とその方が思われてしまったら、
もうどうしようもないかもしれません。
「性があわない」という訴えに対し、「そんなことはない」としてしまえば、
それは、ご本人に相当のストレスを与えることになってしまいます。

担当交代を希望された直接の原因は、
「自分も要介護状態であるのに、要介護状態にある夫を介護することは無理である。
夫が入れる施設を紹介して欲しい」
という希望に対し、適切な情報提供がなかった、というものでした。

私の地域の特養の待機者は、1施設ごとにそれぞれ延べ人数で1000人弱の方が登録されています。
有料老人ホームは、それなりに費用がかかります。
その方からは、ほかにもいくつかの条件が出されいました。
早々、ご希望にあった施設を紹介するは、難しいというものです。

私がケアマネを担当してからも、何度か「夫を施設に入れたい」といったことを訴えられましたが、
夫が施設に入った後の、夫の生活や残された家族の過ごし方や、
逆に、万が一、ご本人のほうが先に亡くなった場合に、
夫や子どもはどのように生活をしていくのかなどについて、
ご本人がどのように思ったり、算段をとろうとしていらっしゃるのかを、一緒に考えるようにしました。

そして、その間、夫のADLや認知機能の低下の具合などを見させていただき、
私だけでなく、それまでも利用していたヘルパーさんからや、
数ヶ月前から利用をし始めたデイサービスのスタッフからの意見を聞きながら、
「ご主人は、確かにお身体も(左片麻痺があり)不自由で、言葉もはっきりとしゃべることができない。
それでも、私たちのいったことは理解もされており、お身体が不自由なりに、
一生懸命に、身体を使い身の回りのことをされようとしています。
何か作業をお願いしても、一つひとつ、丁寧に取り組んでいらっしゃいます」
と、ご主人のポジティブな面をお伝えするようにしました。

そして、22日。
ご本人より、
「私の治療のため、2週間の予定で入院することになった。
夫もヘルパーさんに来てもらえれば、一人で生活することができるといっていいる。
これからの病気のことを考えたとき、私の方が先に逝く可能性の方が高いと思う。
そのときの練習にもなる。
お米を炊くことや掃除は自分で行うことができる。
ヘルパーさんに1日おきくらいに買い物と調理を手伝ってもらえれば、
夫も一人で過ごすことができるように思う」
という電話がありました。

このように、次のことを考えながら、「今」をどうしていくかを考えていく、ということは、
障がいや要介護状態にある、なしにかかわらず、とても大切なことです。

今回のご本人からの提案は、
他の支援をいただいているご親族からの猛反対にあい、
結局のところ、ショートステイの空きもあったことから、実現には至りませんでした。
しかし、ご親族に猛反対をされてからも、
「私は、主人は一人で生活できると思うんです」と
ご主人の「生きていく力」をお認めになっていました。
そして、今後は、ガスコンロをIHヒーターに変えるなどして、
「安全」に配慮しながら暮らしていく方法を考えようとされています。

まだまだ、気持ちに波があり、
私の毎月の訪問も、必ずしも歓迎されない場合もあります。
私の訪問を受けなければ、介護保険サービスを受けることができないと
仕方なく会ってくださっていることもあります。

しかし、これは、ご本人なりに
「介護保険サービスを受けるに当たって、契約事項で決められたこと」として、
守らなければならないことを知っていらっしゃるからこそ、
会いたくなくても、面談を受け入れてくださっています。
それは、ご本人なりの「誠意」の表し方です。

「精神疾患がある人」と、先に病気をみてしまうと、
「気持ちの波」も、「私たちにとっての問題行動」と、とらえがちですが、
気持ちに波があるのも、誰しもにあること。
ただ、その「気持ちの波」をコントロールすることがちょっと苦手なだけで、
支援者の側(=環境)を整えてていくことで、
「気持ちの波」ともうまくつきあっていけるようになっていかれているように思います。

ご本人の、子どもさんに対する接し方も、この2年間で随分と変わりました。

このご家族への支援を通し、
要介護状態にあるそれぞれの方への支援、
そして、システムとしての夫婦、親子、家族という
それぞれのシステムへの支援、連携といったことを、
学ばせていただいています。

ご本人がこの2年間で変わられたように、
私たち支援者も、変わっていくことができているでしょうか?
ジャンル:
介護
キーワード
有料老人ホーム 境界型人格障害 統合失調症
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4 コメント

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精神科のフォローが必要な方 (Maa-chan)
2009-11-24 00:43:01
 お子さんが義務教育で不登校なんですね。スクールソーシャルワーカーとしては,そちらも気になります。

 推測ですが,学校は「親の役割を果たしていない親」であるとして,おそらく厳しい対応(指導的対応)をしているような気がします。それが逆に学校にこどもを向かわせていないのではないでしょうか。

 どりーむさんが丁寧に関わっていく中で,おそらくその話がでるかもしれません。神奈川県内ですとまだまだスクールソーシャルワーカーが活用できるような状態ではありませんから,中学校にいるスクールカウンセラーあたりが活用できるかもしれません。

 もしそんなお話しが出ましたら,ちょっと頭に置いておいていただけましたら幸いです。
次の試練 (どりーむ)
2009-11-24 01:12:56
Maa-chan様、早速にコメントをありがとうございます。

私が、このご家族に関わる一つの条件として、
年に1回は、家族に関わる支援者が一同に会し、
それぞれの支援の方向性や進捗状況を確認しあおう、
というこを提示しました。

多問題を抱える家族に対し支援を展開する上で、
支援する機関が高齢、障がい、児童といった「縦割り」のままに支援していては、
決して良い支援は行えないと、おもったからです。

登校拒否が始まったのは、やはり、ご両親がそれぞれ障がいを負われたころからです。
そのときに、学校やその他の支援者が、
このご家族にどのように接してこられたのかは、
支援機関も、担当者も変わってしまっているのでわかりません。
今も、学校からの訪問は、学期末に成績表等を届けるだけの、事務的な関わりのようです。

残念ながら、スクールソーシャルワーカーとの関わりはないようですが、
現在の教育センターや療育センターの方々は、
それなりに関わってくださっているようです。

「それなりに」というのは、私から見て、
それぞれの機関としての役割は果たしてくださっているように思うのですが、
「チーム」として、「連携して関わる」といった意識が乏しいように感じられる点です。

年度末を迎え、お子さんへの支援も転機を迎えようとしています。
そのことが、このご家族の次の試練かもしれません。

どのようにその試練を乗り切ることができるか。
また、一緒に考えさせてもらえるよう、
少しずつ、関わらせていただくことができればと思います。

もしもの時には、相談にのってください。
よろしくお願いします。
大切なことですね (Maa-chan)
2009-11-24 17:18:03
 残念ながら予想があたってしまいましたね。ただ今までの仕組みや枠組みでは,旦那さんの介護のことも,奥さんの病気治療のことも,お子さんの不登校についても,きちんと向かい合った人間はいないでしょう。「支援関係者が一同に集まる」ということだけで,夫婦にとっては強いメッセージになるでしょうし,学校の教員にとっては「保護者への新しい関わり方」の学びの場になるかもしれません。

 私でよろしければ,今の学校のこと等をお伝えしながら,いっしょに考えていくことはできるかもしれません。ご連絡をお待ちしています。
心強いです (どりーむ)
2009-11-25 01:29:19
Maa-chan様

介護保険、高齢分野にいる私としては、
当然、児童の分野に間するネットワークは
ほとんど皆無です。
子どもについては、その専門機関にお任せするしかありませんが、
家族が相互関係をもって生きている以上、
専門機関も、相互関係でもって支援していくことが必要だと思います。

それでも、以前、訪問看護で児童にも関わったことがあります。
そのため、何らかの障がいがある児童に対しては、
療育センター等が関わってくださるという情報をもっており、
そのような専門機関に対する敷居が、
他のケアマネジャーよりも低いというのはあると思います。

本当は、地域全体への支援として、
地域包括支援センター等も、
私のバックアップということで関わってもらいたいという思いもあるのですが、
そこまでは、まだできていません。

しかし、こうして外部からスーパービジョンをしていただける機会を得られたことは、
とてもありがたいことです。
突然、SOSを出すことがあるかもしれません。
そのときはどうぞ、よろしくお願いします。

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