「夜の谷を行く」 桐野夏生 文藝春秋 2017.3.30
桐野さんは1951年生まれか。
ギリギリ、団塊の世代と言えるのだろうか。
1972年、連合赤軍のあさま山荘事件があった。
今となっては、歴史の一部か……。
2011年、最高幹部の一人だった永田洋子が死亡し、
東日本大震災があったーー
39年前、西田啓子はリンチ殺人の舞台のなった連合赤軍の山岳ベースから脱走した。
5年余の服役を経て、いまは一人で静かに過ごしている。
だが、2011年、永田の死の知らせと共に、忘れてしまいたい過去が迫ってくる。
昔の仲間、昔の夫から連絡があり、姪に過去を告げねばならず、さらには連合赤軍を取材しているというジャーナリストが現れる。
『女たちの連合赤軍の真実』と謳っているが、
そんな一面もあった、
かもしれないと思うに留まるのは、
その流れをわずかながら体感した
ほぼ同世代だからか……
かつて、学生運動の大きな波があった。
元々は、社会を変えたいという、
純粋な思い・エネルギーだったと思う。
下火になった頃、
学生運動に積極的に関わっていた人々と
直接かかわった記憶が蘇る。