夜中とも明け方ともつかない時間に、
電話があった。
具合が悪くなった父を、病院に連れて行ってもいいかと。
もちろん承諾して、救急車の手配を願う。
一気に眠気が醒めて、私も暗い道を走った。
電話の口調に切羽詰まった感じはなかったが、
何しろ90歳。
僅かな不調が生死の分かれ目となる。
父は、この1、2月で
加速度という言葉で足りないくらい
急激に衰えている。
脚腰が弱って歩けなくなり、
座っていることも難しくなり、
手の力がなくなってスプーンすら持てなくなり、
歯茎が痩せて入れ歯が合わなくなると、
ペースト状の食事になった。
ほぼ寝たきりになってからは表情も乏しく、
目が開いてても、
宙を眺めている感じのことが多い。
滅多に声を発しないけど、
声をかけると時には頷くし、
稀には短い言葉も出る。
まさに老衰を絵に描いたような……。
本当に、あっという間の変わりよう……。
父の中では、
ゆっくりと時が流れているのだろうと思う。
そんな現状の中、マメに施設に通い、
何かあったとしても、想定内。
心の準備はできているつもりだ。
肺炎だった。
高齢者の肺炎は、死に直結することも多い中、
幸い、回復に向かっている。
退院後の居場所の目処もついた……
ちょっとだけ一段落。