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香港功夫映画と共に

邵氏兄弟電影黄金時代④ “千面女郎”施思と東映作品「女必殺拳」

2017-02-08 17:33:00 | 邵氏兄弟電影黄金時代
「邵氏兄弟電影黄金時代」第4回は、邵氏公司で女武打星として活躍し“千面女郎”の異名で知られた施思と日本の伝説的な女ドラゴン映画の意外な関係に触れたいと思います。
“武侠影后”として一世を風靡した鄭佩佩に結婚を理由に引退されてしまった邵氏公司は、鄭佩佩と「鍾馗娘子」(71)で共演し注目を浴びていた女優を“新武侠影后”として売り出そうとします。
それが台湾出身で本名を雷秋思というまるで少女のような新進女優でした。民族舞蹈を学んだ雷秋思は僅か15歳で邵氏公司に加入すると「小毒龍」(72)、「霹靂拳」(73)、「太極拳」(74)、そして「ドラゴンvs7人の吸血鬼」(74)などで俊敏なクンフーアクションを披露します。
ただ私から見て施思のクンフーアクションは、どうしても鄭佩佩の鬼気迫るような凄味に欠けていて、どちらかと言うと主役の男性武打星の脇で光っていたと言いますか、最後まで女武打星としては完全に一本立ち出来ずに終わった人でした。
またこれは私も以前から触れていますが、施思が邵氏公司で活躍していた70年代序盤に、施思と日本の映画会社の東映が意外な形で接点を持つ事となります。
それが東映が企画した女性が主人公の本格的な空手アクション映画「女必殺拳」(74)でした。
私が邵氏公司の日本支社の方に聞いた情報で、当時邵氏公司と東映の間で施思を主役に「女必殺拳」の企画が立ち上げられましたが、施思サイドがアクションシーンの際にダブルの起用を強く望んだために施思主演「女必殺拳」の企画は流れてしまったとの事です。
確かに邵氏公司作品での施思のクンフーアクションを見てみると、それなりにハードな武打シーンに挑んではいますが、やはりハイレベルかつ激しいクンフーアクションとなるとちょっと厳しい印象はありました。
ところがこの「女必殺拳」の主演女武打星に関して、何とこの施思の他に2人の主演候補、それも超大物が候補に挙がっていた、との説があるんですね。
その2人目が「地獄から来た女ドラゴン」(72)で知られるジュディ・リーこと嘉凌でした。これは以前に某CSの番組の中で倉田保昭さんが「あの「女必殺拳」はね、最初はチア・リン(嘉凌の中国語発音)が候補に挙がっていたんですよ」と語っていましたし、私も嘉凌が「女必殺拳」の主役候補に挙がっていたと他方面で聞いた事がありました。
そして最後の主演候補がアンジェラ・マオこと茅瑛でした。
アンジェラ・マオに関しては皆さんもご存知のように、私がアンジェラ本人にこの「女必殺拳」に出演依頼があったかどうか直接確認したところ、アンジェラ曰く「もしかしたらマネージャーにオファーが来ていたかも知れないけど・・・私は知らないわ」との返答だったと記憶しています。
ところが、最近になってこのアンジェラ・マオ「女必殺拳」主演説に、これまた意外な人物から証言が出て来ました。
それがKKこと風間健です。吉田豪さんの極真空手OBインタビュー集「吉田豪の空手☆バカ一代」の中で、風間健が「ワシが「女必殺拳」って映画を企画して(中略)「燃えよドラゴン」でブルース・リーの妹役やったアンジェラ・マオにオファーしたらギャラ400万って言うから「バカにすんなコノヤロー!三流映画の癖に」と思って」と語っているんですね。
まあ風間健が果たしてどの映画を三流映画と言っているのかは別として(^。^)、この風間健の証言が事実だとしたら、少なくともアンジェラ・マオと東映の間には「女必殺拳」に関してギャランティーの交渉があった事になるわけです。
結局のところ、この施思、嘉凌、茅瑛ら3人の女ドラゴンたちと「女必殺拳」の真実に関して明確な回答を提供できる人物、それは実際に「女必殺拳」全3部作に主演し日本の女ドラゴンの歴史に一時代を築いた志穂美悦子しかいないのかも知れません。
さて、その後の施思ですが、1979年に邵氏公司との演員契約が満了となり、再契約を固辞した施思は台湾に戻ると数多くの台湾武打片や電視劇に出演し活躍を続けました。
特に「人在江湖」(79)は、施思自身が邵氏公司在籍時代には出来なかった堂々と主演を張った作品で、劇中のユニークかつ圧巻のクンフーアクションと共に欧米のクンフー映画ファンの間で施思のベスト作品として高く評価されている傑作武打片です。
私生活の施思は88年にあの沈長聲と結婚しますが、残念ながら92年には離婚してしまいます。現在の施思の近影もネットなどで見る事ができますが、それほど老け込んでもいませんし、相変わらず綺麗なので私も嬉しく思います(^_^)。
この施思が邵氏公司で活躍後、邵氏公司には長年に渡って本格的な女武打星が登場する事がありませんでした。
それは御大の邵逸夫の寵愛をバックに邵氏公司内で“女帝”の名を欲しいままにしていた方逸華が自分の気に入った男優ばかりを優遇し、女優を徹底的に冷遇していた事も要因の一つだったわけです。
そんな“女武打星、冬の時代”の扉を劉家良直伝の華麗なる“レディクンフー殺法”で打ち破り、邵氏公司に再び女ドラゴン旋風を巻き起こすベティ・ワイこと恵英紅の大活躍は、また後のお話。
そう、香港映画の原点にして“最強無敵影城”は嘉禾影業にあらず、邵氏兄弟公司にあり!!
「邵氏兄弟電影黄金時代」、次回もどうぞお楽しみに!!
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