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製作費750万円の映画が香港金像奨最優秀作品賞を受賞!社会派オムニバス映画「十年」7月公開。

2017-05-17 16:32:03 | 作品レビュー

さて、昨日は香港返還から20年後の香港を描いた社会派オムニバス映画「十年」(15)を試写で観て来ました。
この映画、以前から噂で聞いていましたし、やはり香港映画に携わる人間としても観ておきたい作品でした。
全部で5話から成るショートムービーで構成された本作「十年」ですが、5作品の監督やキャストも第5話に出演の廖啓智以外は殆どが無名ながら15年の公開時は単館上映からスタートし、徐々に口コミで評判が広がり、最終的には9200万円の興行収入を達成した上に、翌年の香港金像奨では最優秀作品賞を受賞しました。製作費僅か750万円の映画が、です。
香港政治の裏側を暗殺計画を通して描いた第1話「エキストラ」。男が自分を標本にする事で失われていく記憶を追い求める第2話「冬のセミ」。広東語しか話せないタクシー運転手の泣き笑いを通じて標準語(北京語)の侵略を描く第3話「方言」。雨傘運動を通して香港が直面する重々しい現実を描いた第4話「焼身自殺者」。“地元”なる言葉に込められた香港市民の拘りと悲しみを描いた第5話「地元産の卵」。
これら全ての物語が1997年の香港の中国への返還から10年の間に香港市民が何らかの形で経験した、また経験するかも知れない現実感に満ち溢れた香港の近未来の風景を描いています。
中国が返還後の香港に確約した「五十年不変」。この言葉が真実だったかどうか、それは意見が別れるところでしょう。
ただ香港映画の世界に限って見ても、制作される香港映画の台詞が北京語である事が多いし、香港映画でありながらキャストには中国側の俳優が必ず1人は入っている、などこれまでの香港映画とは異なる現象がジワジワと増えて来ているのは事実です。
香港の人たちの静かな、それでいて悲痛な叫びが込められた「十年」。この映画を観た人たちにとって、本作が何故に香港金像奨で最優秀作品を受賞したか、その理由を心から理解できるかどうかでこの映画に対するそれぞれのアプローチが決まると私は思います。
この「十年」は7月22日から新宿K`s cinemaでロードショー公開との事です。

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