Dr. フロッガーのブログ

内科医フロッガーのブログです。
医療大麻についてなど、いろいろ書いてます。

医療と魂について

2009-10-12 18:14:23 | 医療

末期がんの患者さんの話である。60代の女性であった。

ご本人も末期がんであることを知っており、死期を悟っている。知的な方で意識もはっきりしており、その分死への不安も強かった。病室で一人になるとさみしさを感じ、看護師に不安を訴えることも多かったようだ。

終末期に不安や抑うつが出ることは多く、医者は安定剤や抗うつ剤を良く出す。そのことを患者に勧めると、いらないという。僕は、不安は安定剤でとることが良いという頭しかなく、患者さんがどうして薬を断ったのか最初良く分からなかった。

しかし、話を聞いて理解した。その患者さんは、不安や抑うつも含めて、死に正面から向き合いたかったのだ。

ネガティブな感情は悪いもので取り除くべき、というのが、医療者の思い上がりであることに気付いた。自分は病気のことについて患者より知っていると考えていたが、実際に病気を経験しているのは患者であり、その心のありようは理解しきれていないと痛感した。

病気、特に死に向かうときの心のありようは、想像するほかないが、魂の成長を伴うものだろう。不安や抑うつが魂を成長させることもあるだろう。それを乗り越えて、死を見つめ、家族や友人と過ごしてきた時間を振り返ることができるのかもしれない。

人間の一生は魂が成長していく過程だと考えれば、死に向かうということはその集大成である。自分のような若く未熟な者は、死に向かう人の心のありようを少なくとも邪魔しないように、謙虚に接していかなければならないだろう。そして、出来れば最後の時間を有意義に過ごせる手助けが出来れば良いと思う。

それは、ただ肉体の故障を直すという科学や技術の範疇を超えた、心と心の関わり合いなのだと思う。

うつ病と医療大麻に関する個人的考察

2009-09-30 20:40:23 | 大麻−医療用

うつ病に関してはもう少し調べる必要があると思いつつも、精神科の論文は読みなれないため、手をつけかねている感じです。そんな中での印象としては(あくまで印象ね)・・・、

・現在ある抗うつ薬は、とりあえず飲んどけば気分を上げるといったものがほとんど。
おかげで、精神科でない素人医者もSSRIなどを安易に出してしまっている。(イイのかな?)
逆にいえば、素人でも扱えるような薬が良い薬として出回りやすいのだと思う。

・大麻は患者によっては大変不快な経験をし、かえって悪化することがあるらしい。もちろん良くなる場合もあるようだが。

・このような薬剤の場合、通常の薬剤評価がそぐわないかもしれない。
(統計学的な差が求めにくい。また投与法に工夫がいるとすれば施設間のばらつきがでやすい。)
つまり、現在の治験システムだとどこでも簡単にできる治療法ほど、治療効果を証明しやすいから。

・患者の選択が必要なのかもしれない。病気のタイプによる違いとか。後はカンナビノイドレセプターの亜型によって違ったりしたら面白いな。

・また、大麻の場合サイケデリクスの精神科治療と同様、ただ投薬すればよいというものではないのかもしれない。
心理療法のセッションの中で使っていく、つまり、治療者が患者を導いていくような形で使っていくと良いのではないか。
(LSDもそのような形で探求が始まっている。らしい。)
それは、かつてのシャーマニズムに近い形であろう。それには治療者のテクニックが必要になるだろう。

・そういった治療の在り方は古くて新しいものとなるだろう。しかし、シャーマン・メディスンマンの修行は大変そうだな。

・一般にうつ病とうつ状態が混同してとらえられている様に思う。そのための誤解もあるのではないか。つらいことがあって落ち込むのは病気ではない。そういった事に用いるのは有効かもしれないが、医療と言うよりは嗜好品の分野になる気がする。

Twitter

2009-09-11 19:26:45 | 雑記

Twitter。以前より気になっていましたが、いよいよ登録してみました。
まだ使い方や楽しみ方がよくわからないです。輪が広がれば楽しくなるのでしょうか?
ここをご覧になった方、もしよろしければフォローなどしていただければありがたいです。あと、面白い使い方などありましたら教えてください。

http://twitter.com/drfrogger

とりあえずは、ブログにパーツを貼ったので、一言メモ的に使ってみようと思います。

夕暮れに聞きたい曲

2009-08-29 11:20:55 | 音楽ライブラリー

The Upsetters - Dread Lion

夏も終わりに近づき、夕方はだいぶ風が涼しくなりました。 
そんな爽やかだけどちょっと切ない夕暮れには、こういう曲がいいなあと思います。

新型インフル 流行期突入

2009-08-28 09:58:21 | 医療

新型インフルエンザは流行期に入ったとみてよい。僕は現在研究メインの生活でパートタイム医者だが、それでも何人かインフルエンザ患者を診療した。 東京都の定点当たり発生数も2.64に上昇している。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/2008-09/new-tokyo08-09.html

毎年の季節性インフルエンザはシーズン突入前にワクチンを打ち診療に当たるため、ここ10年インフルエンザに罹っていない。おそらくインフルエンザワクチンで免疫がついたところに患者からのウイルスをあびて、免疫のブースター効果が起こって強い免疫となり罹りにくいのだろうと思う。まただんだん免疫が蓄積するのだろうか、フレッシュマンの研修医はインフルエンザにばたばた罹るが、ある程度たった医者はインフルエンザに罹りにくい。
しかし、今回の新型インフルエンザはほとんどの人が免疫を持たない上に、ワクチンの供給が大幅に遅れ、ワクチン投与前に流行シーズンに突入してしまった。おそらく自分にも免疫がないだろうから、うつってしまうかもしれない。そのため、いつもとは違う緊張感がある。

ワクチンがひとつ大きな対策であるが、状況は芳しくなく、国内生産分は時期的に遅れているし、量も不十分だ。
国内生産ワクチンは10月下旬
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt248/20090825AT3S2500N25082009.html

8月下旬から流行期に入ったことから、流行第一波ピークが予測より早まり10月になりそう。ワクチンはこれに間に合わない・・・。
流行第一波ピークが10月に
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20090827ddn003040023000c.html

また量が足らないが、厚労省はその分を輸入でまかなう方針らしい。国内治験もすっとばすようだ。副作用が出た時の補償までするらしい。メーカーの意向に押し切られた印象。
新型インフルワクチン、国内治験なし承認も 早期接種へ
http://www.asahi.com/national/update/0825/TKY200908250147.html
新型インフルの輸入ワクチン、副作用補償へ特措法
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090827-OYT8T00227.htm

主なワクチン輸入元海外製薬メーカー
バクスター社
http://www.baxter.co.jp/about_baxter/news_room/news_releases/2009/090806.html
厚労省情報
http://www.forth.go.jp/cgi-bin/promed/search.cgi?title_link=20090806-0040&button_detail=on#top

注射の打ち方で量を節約できるかも?
現在日本では皮下注射しているが、皮内注射に変えることで量が節約できるかもしれない。1/5量で効果あるとのこと。皮下は皮膚の下に注射。皮内は皮膚の薄皮の中に注射。皮膚の中に抗原を提示する免疫細胞がいるので理にかなっている。問題は痛いことかな。検討を希望。
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/351/351nov/xf351-22-2295.htm

問題点
・ワクチン供給10月下旬で間に合うの?
ワクチン接種後免疫がつくのは2−4週くらいかかるだろう。10月ピークの可能性もあり、ワクチン接種が間に合わない。
・ワクチン輸入について。
今までの薬事行政は何だったの?という気がしちゃうけど。まあ緊急事態でしょうがないのか。副作用が出たときに、どの位の程度ならストップするか前もって決めておくべき。また、各国でワクチン争奪戦が起こる可能性。するとお金のない途上国に回らなくなる。栄養失調の人が多い国では死者がたくさん出るかも。
まあ、そもそも間に合わないからいいのか?
・日本国内においてもワクチン接種優先順位や接種場所の具体的な決定がない。
一応ハイリスクな人を優先する方針らしいが。誰がそれを決めるのか?どうやって通知するのか?保健所でやったほうがいいと思うが、民間の医療機関でやるという噂も。すると結局争奪戦になるかもしれない。
まあ、そもそも間に合わないからいいのか?(トホホ)
・するとタミフル、リレンザが今のところ頼りだが在庫が持つのか?あとは、検査キットが持つのか?
本格的なシーズンを迎えると、診断も治療もできなくなる可能性あり。

混乱しそうだなー。ますぞえ氏もパフォーマンス的で派手な宣言はするものの具体的なことは決定していないし、選挙対策の匂いがする・・・。ひょっとして、 どうせ大流行期は政権交代後だから・・・、なんて考えてたりしないよな!

総選挙

2009-08-25 17:54:23 | 雑記

今回の総選挙は明らかに今までと違う変化を感じる。
政権交代への変化と言えばそうなのだけど、むしろ旧体制の瓦解という印象を持つ。

医者の世界には医師会という職業ギルド組織があり、一種の圧力団体として政治に関わっている。医師会は保守であり、自民党を支持することで自分たちの声を政治に反映してきた。要は自民党の支持団体だったのだが・・・。

しかし、どうやら今回は違うようだ。先日、とある病院の院長先生とお話をしたときに選挙の話になったが、日本医師会も各地区の医師会も選挙について「何も言ってこない」らしい。各自の判断に任せるという方針のようだ。逆にいえば、自民党を支持しないという意思表示にも思える。

この判断の裏には、会員である医者(特に民間病院、クリニックの経営者)の現在の医療行政に対する不満があるように思う。小泉改革により特に中小の病院の経営が疲弊し、病院経営者の多くはひどい目にあったと感じているようだ。地区によっては、民主党支持を打ち出したところもあるらしい。

首相、民主の政策「ばらまき」 鳩山氏、茨城で医師会推薦に謝意
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090824AT3S2400724082009.html

「自民王国」岐阜でも変化 県医師会と民主接近
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2009081202000291.html

この動きは医師会だけではなく、農協などでも起こっているようだ。

<政権選択>農協、医師会 自民離れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2009080602000123.html

小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と言っていたが、まさにそうだなと思う。古くからの保守的な支持団体が自民党離れを起こしているわけだから。支持団体が離れれば、権力も離れていくだろう。
(そして、民主党の戦いを取り仕切っているのが「壊し屋」とも呼ばれる小沢氏というのも暗示的である。スサノオ的だ。)
今回の選挙は、下馬評通り自民党が大敗する様な気がする。

社会というのは複雑系の事象と思うが、ここ最近はどうやら臨界点を迎えつつある印象だ。その原因はいろいろあると思う。
例えばインターネットによる世界規模の情報の共有、グローバル化、アメリカ一極集中から多極化への変化、環境破壊、日本においては高齢化、産業の空洞化、格差の可視化、国力の低下などなど。

社会システムにどのパラメーターがどう関わるのかはわからないが、実際に起こることと言えば古い秩序が崩壊し一時カオスになることだろうと思う。そして、カオスからまた新しい秩序が生まれるだろう。

この選挙で民主党が政権を取り政権交代が起こったとしても、急に新しい秩序は出来ないことだろう。彼らのマニフェストは残念ながらまだ新しい社会像を描くには至っていないように思える。
しかし「壊し屋」が新しいルールの創造者とは限らないし、現時点では人を集めることができればスローガンは何でも良いのだろう。例えば明治維新は「尊王」「攘夷」がスローガンだったが、明治政府ができたら「攘夷」はいつの間にか無くなってしまった。でも大きな問題にならなかった。日本にはそういう面がある。

しばらくビジョンも見えず混沌とした社会が続く様な気がする。
しかしそれは仕方がないことだろう。カオスを乗り越えて、新しい秩序が生まれ出るだろうから。

新型インフルンザ 季節外れの小流行

2009-08-14 09:16:12 | 医療

何だかもうのど元を過ぎたのか、新型インフルエンザはあまり話題に上らない。
それほど毒性が高くないのであまり騒ぐのも良くないが、状況ぐらいは把握しておきたい。

ここ1-2週、どうやら東京で季節外れのインフルエンザが増えているようだ。

東京都におけるインフルエンザ流行状況
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/2008-09/new-tokyo08-09.html

これをみると、定点辺り患者数が31週(7/27)から増え始めている。例年と比較して異常なことである。ウイルス検出状況をみると、6月下旬からは新型のみ検出されている。

つまり、例年見られないような夏場のインフルエンザ小流行が起こりつつあり、新型インフルエンザによるものと考えられる。専門家の予想する通りとなっている。これは秋ー冬の大流行につながるだろう。

この冬は大変だー。

音楽で癒やされてみる

2009-07-20 11:36:02 | 音楽ライブラリー
Richard Rossbach & The Gregorian Chants - Kyrie Eleison - Lords of Mystery I


グレゴリアン聖歌のchill out版です。癒し系かな。

上妻宏光 "津軽じょんがら節"


津軽三味線、かっこいいです。

最近

2009-07-14 00:09:56 | 雑記
最近何だかバタバタしていて、やらなきゃいけないなーと思っている事は多いのだけど、毎日過すのでで精いっぱい。かと言って忙しすぎてつらい日々を送っていると言う訳でもない。変な感じ。

世の中は、何だか新しい転換点を感じさせることが多いように思う。
思えば数年前はネオリベの金融の人たちがこの世の春を謳歌していたけれどクラッシュして、アメリカがオバマ大統領になって、最近はイランで暴動があって、中国ではウイグルが蜂起した。それと何だか一致しているように思うのだが、我が国では自民党に対するNoの声が大きくなって、都議選では民主党が圧勝した。

今までのシステムががらりと変化するような予感を感じさせる。人類の社会システムがシンクロしつつ未来に向かって変わっていっているか、少なくとも変わらなければならないという意志が表れ出ている。

今までの社会のやり方は、とにかく生産効率を上げること、そして消費をし続けることで、その為のポジティブフィードバックが沢山ある状態だ。問題はネガティブフィードバックが無く、消費しつくすまで増え続ける癌細胞のような性質を持っている。(ネガティブフィードバックのないシステムはいずれ破たんする。)そのため、そろそろ臨界点が見えて来て、食い尽くして絶滅するか社会を変えるかと言う選択が迫られているのだと感じる。

未来が無いと考えると、希望も無くなってしまう。人間は子供たちの未来が続いていくから、決して避けられない死を乗り越えられる。
そろそろ、明確に、未来のために、持続可能な社会を第一に主張するイデオロギーの登場を願う。そこには真の人間の知恵と尊厳、そして責任を伴う自由があるはずだ。

右も左ももういらない。

新型インフルエンザ すでに東京でも発生している可能性

2009-05-20 13:44:13 | 医療

厚生労働省の情報

これによると、5月20日現在の国内の状況は、第二段階(国内発生早期)とのこと。具体的には、(正式な発表では)兵庫県・大阪府・滋賀県の関西圏でのみで(確定診断例が)出ていることになっている。

関西圏以外では発生が報告されていないが、これだけ人の流れが激しい我が国において、なぜ他の地域、特に首都圏で発生がないのか、不思議に思う。
発生の報告がないから、首都圏にはまだ入ってきていない、と考えるのは短絡的である。というのも、新型インフルエンザ診断のアルゴリズムにおいて大きな欠陥があるからである。

医療機関における新型インフルエンザ診断の流れ

東京都の対応(旧方針)

国及び自治体の医療機関への勧告では、発熱などの症状がありかつ「発生地域に滞在したことのある人」に対して検査を行うことになっていた。
発生地域とは、国内発生以前にはメキシコや北米など海外のみであり(悪いものは海外から入ってくるという島国根性か)、国内発生があった現在においても関西地区に限定している。
今回、神戸で感染者が見つかった経緯も、医師が自主的に調べた結果であった。

発生報告のあった地域以外でもすでに患者がいる可能性は高く、そのような患者は通常のインフルエンザとしてかたづけられている可能性がある。つまり、すでに蔓延しているのに、検査をせずに「見て見ぬふり」をしているということだ。

そもそも、通常の(季節性)インフルエンザは5月になればほぼ終息してしまう。この時期にインフルエンザであるだけで珍しく、新型であることを疑うべきである。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/inf/2008/Vol11No17.pdf

巷の情報では、この時期にもかかわらず、都内でインフルエンザによる学級閉鎖となっているところがあるという。さらに、新型であるかどうかの検査はしていない。うがった見方をすれば、騒ぎを恐れての隠蔽であった可能性すらある。 ここにきて、ようやく都も無渡航でも遺伝子検査をおこなう新方針を打ち出したようだ。
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090519ddlk13040342000c.html
しかし対策として後手に回った感が否めない。

新型インフルエンザとはいえ、病原性は通常のものと変わらず、それ故大変な事態とはなっていないのかもしれない。しかし、感染力はとても強く、さらに、基礎疾患があったりお年寄りだったり体力のない人にとっては大きな脅威となりうる。感染の拡大に伴い強毒型への変異や薬剤耐性を獲得する恐れもある(いっそ早めにやっちゃうというのもありか?)。
そのためには感染状況の正確な把握は大切なことである。検疫をやたらに強化しているにもかかわらず、国内発生のサーベイランスがざるのような状況と言うのはちぐはぐに思える。何のために大騒ぎしていたのか。もはや蔓延は食い止められないだろう。マスク・手洗いなどで出来る範囲の感染予防を行い、ワクチンが使用できるようになるのを待つほかないだろう。

まとめると、
・新型インフルエンザの検査は限られた人にしか行われていない。
・首都圏でも新型インフルエンザはすでに発生している可能性が高い。
・おそらく蔓延するだろう。

追加:
東京都感染症情報センター 都内インフル定点観測
H21年度第20週(5/11-)で、0.44。H20年は0.17、H19年は0.12。
例年よりは多い。(これが何を意味するのか。)
グラフ上は収束に向かっており、もしここに新型が含まれているとしても季節的に爆発的な感染は避けられているような気するが、散発的に患者が出続けるのではないか。

今年の冬に大爆発する予感がします。ワクチンの開発が待たれます。報道されている新型確定患者数だけではなく、こういった数字にも注目した方が良いでしょう。