今回の総選挙は明らかに今までと違う変化を感じる。
政権交代への変化と言えばそうなのだけど、むしろ旧体制の瓦解という印象を持つ。
医者の世界には医師会という職業ギルド組織があり、一種の圧力団体として政治に関わっている。医師会は保守であり、自民党を支持することで自分たちの声を政治に反映してきた。要は自民党の支持団体だったのだが・・・。
しかし、どうやら今回は違うようだ。先日、とある病院の院長先生とお話をしたときに選挙の話になったが、日本医師会も各地区の医師会も選挙について「何も言ってこない」らしい。各自の判断に任せるという方針のようだ。逆にいえば、自民党を支持しないという意思表示にも思える。
この判断の裏には、会員である医者(特に民間病院、クリニックの経営者)の現在の医療行政に対する不満があるように思う。小泉改革により特に中小の病院の経営が疲弊し、病院経営者の多くはひどい目にあったと感じているようだ。地区によっては、民主党支持を打ち出したところもあるらしい。
首相、民主の政策「ばらまき」 鳩山氏、茨城で医師会推薦に謝意
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090824AT3S2400724082009.html
「自民王国」岐阜でも変化 県医師会と民主接近
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2009081202000291.html
この動きは医師会だけではなく、農協などでも起こっているようだ。
<政権選択>農協、医師会 自民離れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2009080602000123.html
小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と言っていたが、まさにそうだなと思う。古くからの保守的な支持団体が自民党離れを起こしているわけだから。支持団体が離れれば、権力も離れていくだろう。
(そして、民主党の戦いを取り仕切っているのが「壊し屋」とも呼ばれる小沢氏というのも暗示的である。スサノオ的だ。)
今回の選挙は、下馬評通り自民党が大敗する様な気がする。
社会というのは複雑系の事象と思うが、ここ最近はどうやら臨界点を迎えつつある印象だ。その原因はいろいろあると思う。
例えばインターネットによる世界規模の情報の共有、グローバル化、アメリカ一極集中から多極化への変化、環境破壊、日本においては高齢化、産業の空洞化、格差の可視化、国力の低下などなど。
社会システムにどのパラメーターがどう関わるのかはわからないが、実際に起こることと言えば古い秩序が崩壊し一時カオスになることだろうと思う。そして、カオスからまた新しい秩序が生まれるだろう。
この選挙で民主党が政権を取り政権交代が起こったとしても、急に新しい秩序は出来ないことだろう。彼らのマニフェストは残念ながらまだ新しい社会像を描くには至っていないように思える。
しかし「壊し屋」が新しいルールの創造者とは限らないし、現時点では人を集めることができればスローガンは何でも良いのだろう。例えば明治維新は「尊王」「攘夷」がスローガンだったが、明治政府ができたら「攘夷」はいつの間にか無くなってしまった。でも大きな問題にならなかった。日本にはそういう面がある。
しばらくビジョンも見えず混沌とした社会が続く様な気がする。
しかしそれは仕方がないことだろう。カオスを乗り越えて、新しい秩序が生まれ出るだろうから。