京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

アローイ 五

2017-05-20 14:22:25 | 日記
  アローイ
                 金澤 ひろあき
  五
 昼前にバーンタンチャナ校に着きました。バスの前に警備の車つきです。どうも私たちはすごいお客さんらしいのです。「日本人が29名も来る」というのが、たぶん学校の歴史はじまって以来はじめての事なんでしょうし、学校だけでなく、この地方全体がそうなんでしょう。学校では、校門から子供達が、2列に並んで歓迎し、その中を私達が進みます。蘭の花で作った輪をかけてくれました。
  蘭の花客人われら首飾る    ひろあき
 それが済んで次に、高床式の亭といった趣の建物に通されました。 亭と言っても大きくて、200人は座れるようなものです。高床式で屋根と奥には舞台がついていますが、壁はありません。日本でいえば屋外の大きな能舞台という趣ですね。これが大きな儀式を行う時の講堂であり、食堂であるということに、後で気がつきました。すべての行事をここで行ったからです。
 歓迎の昼食会の後、引き続き、ウエルカム・セレモニーが行われます。奥の舞台には、ロータリークラブの方全員、タイ側は学校の校長先生、教頭先生、郡の教育長などお偉いさんが座っています。この時、M先生は行方不明。後で聞くと、この学校に卓球台があるのを見つけ、近くにいた子供たちと卓球をやっていたそうです。すぐに誰とでも仲良くなれる、いい人だなあ。
 式典の後は、学校の見学。工作で、おみやげ物を作っています。これは工芸の技術を身につけるためのもの。農作業の肥料作りの実習もあります。池でナマズを飼育するというのもあります。鶏も飼っています。学校の教科の勉強とともに、職業習得が目標となっています。生きていく力、職につく力を身につけ、卒業したらすぐに働けるようにするというのが大切なのでしょう。それが切実な問題、やはり貧しさということが根底にあるようです。
  六
 学校見学の後、奨学生の家を訪問しました。非常に生活困難な家庭で、大人数で行って見るのもつらいし、見られるのはもっと苦しいでしょう。生きて行くこと自体が大変そうです。帰り道、放牧された牛の群れが各家庭に帰って行くのに出会い、ちょっと気が楽になりました。皆、無口になっていました。
 その後、ホームステイ先の村へ行きます。ドリアンを載せたトラックの荷台に乗って、村を一回りします。ドリアンの匂いにむせそうです。私は高校生のT君と一緒にホームステイすることになりました。ホームステイ先は、お母さんとおばあちゃん。そして姉弟の4人家族。姉は小学校へ通っていますが、弟はまだ未就学。お母さんのお名前を聞くと「チュアンさん」と言ったようですが、タイ語に慣れていないので、心もとない。日本語も英語も通じません。持ってきた簡単な会話集で例文を指さしてやりとりします。家は十畳ほどの一間で、木を組み合わせて作っています。天井板が無く、屋根が見えています。この村全体がそうですが、鶏と犬が歩き回っています。ともに放し飼い。どの鶏がどの家の所有なのか、産んだ卵をどうやって回収しているのか、よくわかりません。スキがあれば、鶏は家の中に入って来ます。鶏は日本にはいない種類のようで、真っ黒のやら、灰色のもの、黒とレンガ色が混じった闘鶏のようなのが一番いばっています。コーチンにどことなく似ていますが、少し違います。これだけ鶏が多いと、鳥料理も多くなるのは当然です。鶏のカラ揚げ。鶏肉のスープ。(ナンプラーというしょうゆ味)がけっこう出て来ます。犬も首輪もせず、放し飼いです。犬はみんなおだやかな顔をして、ゴロッと横になっています。昔、陶淵明の『桃花源記』を読んだ時、「鶏犬相聞こゆ」という表現がありましたが、まるでそのまま。
 家の中にはゴミ箱がありません。出たゴミはどうするのだろう。生ゴミは?答は「庭に捨てる」です。食べ物

が貴重なので、まずたくさん作らない。余った食べ物は犬のエサになります。あるいは庭に捨てると、鶏たちが奪い合って食べ、生ゴミが出ないのです。どんな田舎でも、生ゴミがあふれている日本のほうが、異常なのかもしれません。
 貧しく見える村ですが、各家庭には扇風機とテレビがあります。テレビは27インチぐらいの大きなカラーテレビで、香港や台湾制作の恋愛物をやっていて、大人も子供も食い入るように見ています。私などは、「テレビを買う金があったら、家をもっとキレイにするのに」と思ったのですが、そうではないらしい。人間には「他人と同じように所有したい」という欲求と「知りたい」という欲求があります。これらがある面、文明を発達させる力になっています。特に「知りたい」欲求は、人間の深い所から発しているようです。
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