寺子屋ぶろぐ

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自筆証書遺言の身だしなみ⑫(遺贈の種類)

2010年05月31日 | 自筆証書遺言

遺贈には2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

この区別の基準は、遺贈の仕方によります。

特定の財産をあげる、というのが特定遺贈です。
財産の割合的一部又は全部をあげる、というのが包括遺贈です。

たとえば。

Aが、「俺の車はBにやる。それ以外の2分の1(又はそれ以外の全部)をCにやる。」という遺言書を作成して亡くなりました。

この場合…
Bについては、特定遺贈です。
車という特定の財産が遺贈の対象になっているからです。
Cについては、包括遺贈です。
車以外の2分の1または車以外の全部という、割合で遺贈の対象を定めているからです。

ここで、包括遺贈についての注意点です。

民法第990条
「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」

包括受遺者とは、包括遺贈を受ける人のことです。
上記の例では、Cのことです。

大雑把に言えば、990条は、CをAの相続人として考えます、と規定しています。

もともと、CがAの相続人ならば問題はありません。
しかし、Cが第三者だった場合、ちょっとヤヤコシイ問題が2つ生じます。
「相続人にとって嫌」という問題と「包括受遺者にとって嫌」という問題です。

次回、この2つの問題についてご説明します。

…「自筆証書遺言の身だしなみ⑬(包括遺贈に注意)」につづく。