マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

オンディマンドで”御柱”を観る(その2)

2016年12月24日 | 考古学

 NHKスペシャル“御柱”は、考古学上の、最新の成果を取り入れる一方、神話や推測をも交えながら話が展開していった。私は一つの仮説としてこの物語を観たのだが、その話は大変に面白く、説得力のある仮説に思えた。
 謎解きは4つの柱から構成されていた。
(1)縄文時代、人々は森や巨木には神がいると信じ、日本各地に巨木が建てられた。
(2)特に諏訪地方は森と水に恵まれ、黒曜石を大量に産出した。
(3)米作りを伴う弥生文化は日本列島を南より東へと拡がっていったが、諏訪地方を迂回し、本州北端の青森方面から南下し、最後に諏訪地方に到達した。
(4)縄文文化が最後まで残ったのが、北海道は別にして、諏訪地方。神話によれば弥生の神は縄文の神とのたたかいに勝利したが、縄文の神を滅ぼさず融和した。その過程で御柱を建てることは残され、御柱祭へと繋がった。出雲から来た弥生の神は諏訪大社となり、縄文の神は大社の神事を司ることとなった。

 以下は”御柱”を私なりに整理したものである。
(1)「日本各地に巨木が建てられた」
 
御柱祭はいつ何の為に始まったのか。鎌倉時代に柱を立てていた記録はある。それ以前の歴史は謎である。しかし日本列島各地の縄文遺跡には巨木の祭の痕跡が見つかっている。縄文人の主食はドングリやコチ・栗。落葉広葉樹の森から木の実を集め、冬も狩猟の為に森に入り獣の毛皮を刎ね、肉は干して保存食とした。森は生きる為の全てを与えてくれた。
 縄文研究の最前線に立つ考古学者岡村道雄氏は「巨木への祈りが生まれたのはごく自然のこと。当時の人たちは、森や自然など、ありとあらゆるものに神が宿ると考えたわけです。神々に囲まれて生かされ生きている。森といったら巨木。巨木に物凄い大きな神聖性を求めて、その神の力を祭のシンボルにした」と語った。

 巨木の祭の意味に光を当てたのが、富山湾を望む石川県能登町真脇遺跡。柱の一部が見つかり復元されている。環状木柱列と呼ばれ、直径7メートルの円を描く様に立てられた柱は祭祀の跡ではないかと考えられている。(写真:真脇遺跡を真上から見る
 真脇遺跡縄文館館長高田秀樹さんは語る。「この環状木柱列には門扉と呼ばれ、入口と思われる施設が作られています。中心線が後ろの山に向かっていることが分かりました。後ろの山と関係のある祭祀の場所と考えられるわけです」



 更に高田さんは巨木立てるという行為そのものの意味に目を向けた。そのキッカケはこの地で発掘された280頭あまりのイルカの骨。イルカは真脇の縄文人が食料として長年にわたり捕獲したもので、富山湾には春から秋にかけてイルカの群れがやって来る。江戸時代『能登国採魚図絵』には真脇のイルカ漁の様子が描かれている。イルカを入り江に追い込むには沢山の舟で取り囲まねばならない。一つの集落では人手を賄い切れなかった。多くの集落が共同して漁に当たった。(写真:『能登国採魚図絵』より)
 高田さんは巨木の祭には縄文人が他の集落との絆を深める意味があったとも語る。「周辺の村から沢山の人がやってきて協同でイルカ漁をやる。環状木柱列をこれから建てるという時にもその人たちが一緒に参加した。柱を建てる行為自体がお祭りだと思うので、そういうところは今の御柱祭と共通するものがあると思います」

(2)「諏訪では黒曜石を大量に産出した」
 八ヶ岳山麓には、現代でも深い森が拡がっている。縄文時代の日本列島の中で諏訪はとりわけ恵み豊かな地域だった。見つかった縄文遺跡は茅野市与助尾根遺を始め900ほど。これほど遺跡が密集する地域は殆ど例ない。森と共に暮らしを支えたのが諏訪湖の水。湖を中心に拡がった縄文人の集落。諏訪は森と水に恵まれた楽園だった。(写真:黄色の点が諏訪湖周辺の遺跡)




 更に諏訪が日本列島に広がる縄文文化圏の一大拠点であったことが湖の北東で発掘された大量の黒曜石から明らかになった。黒曜石は矢じりやナイフに使われた。下諏訪町の「星ケ塔黒曜石原産地遺跡」から193の採掘跡が確認された。掘り出されていた黒曜石はある穴だけで推定1トン近く。諏訪だけでなく日本各地に流通していた。その範囲は日本海沿岸・北海道にまで及んでいる。諏訪の縄文人は質のよい黒曜石と引き換えに他の地域の産物を手に入れていたと考えられる。(次回に続く)

 

 今日の一葉(琵琶湖付近の、最終の紅葉)
 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« オンデマンドで”御柱”を観る... | トップ | オンディマンドで”御柱”を観... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

考古学」カテゴリの最新記事