マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

サティde乱歩『人間椅子』を聴く(その1)

2017年10月01日 | 映画・美術・芝居・落語

 久し振りに「乱歩」を読み、初めて乱歩の『人間椅子』を聴いた。
 “かたりと”北原久仁香さんの今回の語りは、タイトル名が「サティde乱歩」ときて、内容が『人間椅子』。この風変わりなタイトル名は、口演を聴けば分かるだろうが、『人間椅子』とは懐かし、それを語りに選んだことが不思議に思えた。
 私が小学生の頃、私達のアイドルは力道山・栃錦(人によっては若の花)に明智小五郎。怪人二十面相を相手に大活躍する明智名探偵や「少年探偵団」に憧れて、私も将来は探偵になりたいと真剣に思ったものだ。
 中学生になると、どこから借りたのかは忘れたが『江戸川乱歩全集』などを、親に知られないようにこっそりと読んでいた。その全集は今は手元にはない。口演を聴く前に一読しておこうと図書館から借りてきて読んだ。

 読み終えてストーリーを思い出すと共に、この著作の文字数を計算した。約17500文字。まずはこれら全て暗記してしまう彼女の記憶力にビックリしてしまう。役者根性か。このストーリーの登場人物は2名と言っていい。その二人の間で会話は交わされない。会話が登場しないこの怪奇物語を、北原さんはどう語るのだろうかと思いつつ、9月も末の30日「旧安田楠雄邸庭園」へと足を運んだ。

 口演の感想を綴るには、粗筋から書いておいたほうより良いだろう。そこでまずは物語の要約から。   
 
最近作家として有名になってきた佳子は、夫の登庁を見送り、10時を過ぎると書斎にとじこもって創作にとりかかるのだが、仕事にとりかかる前に未知の人々からの手紙に目を通すのを常としていた。その中に、気味悪いものを予感させる一通があつた。

 その手紙は、自らを“世にも醜い容貌の持ち主”と語る、椅子職人からのものだった。その職人は自分を隠し込んでしまう肘掛椅子を制作し、その椅子はホテルのラウンジに置かれることとなる。椅子に座る人間の臀部とは、薄い革一枚を通しての密接状態。そこには彼にとって耽美と官能の世界があった。(写真:安田楠雄邸で口演に使われた椅子)
 しかし、ホテルの経営者が変わり、肘掛椅子は競売に付された後、ある官吏の書斎に置かれることとなる。
薄い革を通してそこに座るのは若くて美しい夫人と悟り、彼は彼女に恋し、愛してしまう。手紙を書く為に屋敷を抜け出し、書いた手紙は「奥様、一生のお願いでございます。たった、一度、私にお逢い下さい。もし、この願いをお聞き届けくださるなら、書斎の窓の撫子の鉢植えにハンカチをおかけください」と結ばれていた。
 この手紙を読んだ美しき閨秀作家佳子は、背中から冷水をあびせられたような悪寒を覚え、身震いがやまなくなる。そこへ一人の女中が手紙を持ってくる。件の手紙の主と同じ筆癖の彼女の宛名が記されていた。そこには次の様に記されていた。
 
「別封で送りましたのは私の拙い創作です。もし拙作が先生に感銘を与えたとすればこんな嬉しいことはありません。原稿にはわざと省いてい置きましたが、表題は『人間椅子』と付けたい考えでございます」と。

 さて手紙は二通あった。到着順にA・Bと名付ければ、手紙Aで終わっていれば手紙は椅子職人の実際を書いたもの。しかし、最後に登場した手紙Bからは、手紙Aは椅子職人を名のる者の創作とも、職人が実体験を書いたものとも読める。果たして?次回に続く。

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