マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

金沢文庫の運慶展

2018年02月05日 | 映画・美術・芝居・落語

 称名寺から金沢文庫へ行くにはトンネルを潜らなければならない。現在のトンネルは平成になってから造られたものだそうで、その直ぐ脇に、今は通行禁止となっている、もう一本のトンネルがあった。鎌倉時代に創建された金沢文庫は現在の文庫とほぼ同じ地点にあったと推定されているから、鎌倉時代から現代までトンネルがお寺と文庫を繋いできたらしい。


 

      (こちらは通行禁止の隧道)


 そのトンネル内に8枚の浮世絵が掲げられていた。安藤広重による『金沢八景』だが、私は初めてお目にかかるもので、称名寺をお参りして来たので、そのうちの一枚「称名寺晩鐘」を撮影した。
 トンネルを潜り抜けると県立金沢文庫の正面に出る。そこに入館料が書かれていた。なんと65歳以上は200円で一般が800円。まだその年齢に達していないトモさん曰く「いいなあ~」

 企画の全体説明として次の様にあった。
 「運慶は日本を代表する仏師です。本展示は運慶と鎌倉幕府との関係や、運慶仏が霊験あらたかなものとして信仰されたことに注目して、関連作品をご紹介します。平成23年春の金沢文庫、同29年秋の東京国立博物館の「運慶展」に続き、本展示をご覧になることで運慶の全貌が明らかになるでしょう」と。
 重要文化財が8点展示されてはいたが、昨年観た東博の、多数の国宝と比較してしまうと、やや見劣りがしてしまう。ただ私はパンフレットに登場している瀧山寺の仏様を是非、直接に拝観したいと思っていた。
 昨年、東博の「運慶展」で、瀧山寺の「聖観音菩薩立像」を観た。胎内には頼朝の遺髪と歯が納められていると推定されている、色彩豊かな仏様だった。愛知にある瀧山寺に源頼朝の追善供養のために三体の美仏が造像されたそうな。
 『瀧山寺縁起』によれば、頼朝の従兄弟に当たる僧都寛伝が頼朝の三回忌に奉安したとあり、仏師は運慶とその子堪慶と記録されている。その三体は、東博で観た「菩薩像」と同じで全て菩薩像と思い込んでいたが、今回拝観した仏様は脇持「梵天立像」だった。今回展示されてはいなかったが、もう一点が脇持「帝釈天立像」。
 梵天像は観音菩薩に比べて小ぶりだが、四つのお顔の四面四臂。全ての額には、赤味を帯びた第三の眼が施されていて、殊更美しいと思った。
私達はその三体のうち二体を個別に拝観したわけだが、瀧山寺ではその三体お揃いで並んでいる姿が拝観出来るはず。行きたい「旅リスト」に瀧山寺が加わった。

称名寺子院の光明院からは、運慶晩年の作と言われる、重文「大威徳明王像」が。本来は六面六臂六足で、水牛の台座に跨った姿だったそうな。そぎ落とされ、2面の顔しか残されていないが、正面のお顔の鋭い眼光がはっきりと見て取れる姿だ。(写真:図録より大威徳明王像)
 ここを辞して徒歩で金沢文庫駅へ向かった。


   (トンネル付近に咲く蝋梅)