しんくうかん

この地とともに。

第156話 「タイトル」

2017-07-15 15:45:14 | 日記



地元金融機関の100周年記念出版事業が終ってひと段落して間もなく、胃癌が見つかる。進行性癌で即入院手術。一区切りついたのでいろいろと考えていたものの、そんなんで結局何ひとつ実行に移すことができずに、あっという間に一年が過ぎた。

だが、“これまでのこと、今のこと、これからのこと”を、たっぷりと考えることができたのはありがたかった。まあ―、大した考えではないけどね。
一世一代の大仕事ともいえた100周年事業、これまでに到るスタートは「十勝の山菜」で、決まったときはもう有頂天。ずぅーと形にしたいと思っていたことだったから。
でも担当者は、「継続は約束できない」。しかし、これが大当たり。そして、キノコ(これだけは植物ではなく菌類)、薬草、ハーブそして果実酒と5年もつづいてしまうのだ。
もうここまで来るとやめるわけにはいかない。毎年心待ちにしているフアン、つまりは顧客の顧客が沢山出来たからだ。
しかし写真モノ出版が尽き、次に何を出すか、製作スタッフと何日も討議を重ねるも “これだ!”というものはなかなか出てこない。
魚釣りに出かけたある日のこと、山間の開けた川原で「良いキャンプ地だ!日の出日没はどんな景観を見せるのだろう」。そう思うと、こころのなかにふつふつとわいてきたのは、「ならば、この十勝を気ままにさまよい、野宿しながらその紀行をイラストで―なによりも仕事となれば堂々と遊べる」と、当時職業カメラマンで勤め人だった私は考えた。だから動機は、すこぶる不純ともいえるのだ。
―自分のやりたいことを好きに自由にしてきただけ―なのに、きっと読者も〈自分もそうしたいけどなかなかできない〉と思っていて、〈この本でその思いを満たそう〉としたのかもしれない。その題目『十勝ふるさと紀行・風の吹くままに』は、以来30年続き100周年へと結んだのだった。
そしていま、長年抱いていた夢“出版事業”を立ち上げる。初版の題目は「十勝のアイヌ伝説・豊かな大地」。
綿々と太古からの野生豊かなアイヌの地をわが物にして、たった130年で日本一の農業王国に変え、豊かな生活を享受した私たち。
ここに至って、いまこの大地はどうなのか!?
半世紀にわたり十勝野を歩いて見た現実を一言で表せば、私たちの今考えていることは、「さらなる地域・経済の活性」すなわち科学的にもっともっと活発にすることなのだ。

偉そうにもうひとりのわたしは「もういい、十勝の大地は疲れきっている」。
わたしたちの求める“豊かさ”とは一体何なのか。

もう間もなく古希を迎えるわたしの最後のタイトルとして、命ある限り追いつづけたい。

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