明日へのヒント by シキシマ博士

ご訪問くださりありがとうございます。あまり頻繁には更新できませんが、どうぞよろしくお願い致します。

「草の上の仕事」 ただ、草を刈る

2006年10月06日 20時31分07秒 | 明日のための映画
ずっと気になっていた作品を、ようやくDVDで鑑賞しました。
篠原哲雄監督の初期の作品「草の上の仕事」です。
1993年製作のわずか42分の作品ですが、とても味わい深い、観て良かったと言える作品です。

真夏の草原に二人の男が草を刈りにやって来る。
一人は草刈り職人(後藤直樹)、もう一人はこの日だけのアルバイト(太田光)。
手際よく草を刈る職人と、手際の悪いバイト。
叱り付ける職人と、居心地の悪そうなバイト。
草刈り作業は黙々と続く。
しかし、真夏の太陽の下、二人だけが共有するその空気や時間が、互いの距離感を微妙に縮めていく…。

42分間、出ているのは二人の男だけです。
観ながら思ったのは、篠原監督の2004年の傑作「深呼吸の必要」の原点を、もう既に、この作品に見ることができるということでした。
もちろん、「深呼吸の必要」は登場人物も多く、もっといろんな要素を含んだ作品ですが。
ただ黙々と草を刈っていく(〝深呼吸〟ではキビを刈っていく)姿を見せられることで、言葉や理屈だけでは伝わらないものが伝わってきます。
言葉だけで判ろうと(あるいは判らせようと)躍起になると、却って決裂してしまうことってありますよね。
それよりもただ、同じ場所で、同じ作業をしているだけで、言葉以上に伝わるものが確かにあります。
それが何なのか、このブログでも言葉にはしませんけど。
是非、皆さんもご覧になって、感じ取ってください。

この映画、なんと言っても一番の見どころは、当時26歳の太田光(爆笑問題)の演技です。
ナイーブで意思表示のはっきりしない若者の、もどかしさがよく表れています。
きっとこれは多くの若者が通過する青年期の姿。だからこそこんなに伝わってくるのでしょうね。

このDVDでは、篠原監督の初期の8ミリ作品2本も観ることができます。
「草の上の仕事」とは全くタイプの違う作品。
駆け出しの監督の、映画への情熱と模索を感じることが出来ます。

まもなく公開の篠原監督の最新作「地下鉄に乗って」が、ますます楽しみになってきました。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TB&コメントありがとうございます (やっぱり邦画好き…)
2006-10-12 01:19:14
この作品の感想をBLOGにUPしている方が身近にいるなんて、

篠原監督好きとしては、とても幸せなことです(笑)

それはこの作品をみたことよりうれしいかも♪
あ~! (こっちゃん)
2006-10-12 16:58:52
これ観たんですね~。

こっちゃんも前に観ましたよ。

感想は断念しましたけど。(笑)

いいですよね~。



え?だから何が?って聞かれると答えられないんですって。

だから感想書いてないの。



でも良いんだよね~。

太田光のネクラな演技と草が。(笑)
>やっぱり邦画好き…さん (シキシマ博士)
2006-10-12 20:19:13
ありがとうございます。

そう言っていただけて、私のほうこそ嬉しいです。

この作品、短いけれど印象に残りますね。

篠原監督らしさが良く出ていたと思います。
>こっちゃん (シキシマ博士)
2006-10-12 20:32:09
え~っ!?

こっちゃんでも、感想書かないことってあるんだ。



確かにどこがどうって言うのは難しいね。

具体的に書こうと思うと、短編だから完全なネタバレになりそうだし。

いや、どんなに具体的に書いても、あの草ばかりの映像の魅力は言葉じゃ伝わらないですけどね。

コメントを投稿