スパニッシュ・オデッセイ

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中日ドラゴンズのビシエド選手

2018-01-21 20:28:54 | 名前
 2017年のシーズン前半はずいぶん話題になったが、後半はすっかり影が薄くなってしまった、中日ドラゴンズのビシエド選手。
 
 フルネームは「ダヤン・ビシエド・ペレス」(Dayán Viciedo Pérez)。キューバ出身である。
 個人名の Dayán という名は初めて聞く。ネットで調べてみたら、どうもヘブライ起源の名前らしい。
 まず、母の父姓の Pérez は典型的なスペイン語圏の姓である。日本の野球選手に何人もいたはずである。例の“Historia Apellidos”を調べてみると、スペインでは8番目に多い。世界的に見ると、絶対数で多いのはメキシコ、人口比で多いのはキューバである。
  Pérez は姓で、個人名ではない。日本でも有名な「マンボ・キング」、ペレス・プラード(Pérez Prado)だが、個人名は Dámaso である。 Pérez は父の父姓で、Prado は母の父姓である。
  Pérez も -ez で終わっているので、「だれそれの息子」である。ところが、現在のスペイン語には Pero のような名前は見当たらない。小学館『西和中辞典』の Pérez の項には次のように書かれている。

 [古西」Pero (Pedro の異形)+[古西] -ez「…の子」(「Pedro の子」が原義)

 スペイン語によくある[d]音の脱落である。フランス語で Pedro に相当するのは Pierre で、こちらも[d]音がない。
 Pérez は英語の Peterson に相当するわけで、ジャズ・ピアニストの Oscar Peterson はスペイン語では Oscar Pérez (オスカル・ペレス)となる。“Soul Español”というアルバムも出しているが、ここでは Oscar Pérez と名乗ってほしかった。
 
 本題の Viciedo だが、これはスペインでは22,528番目に多い。つまり、かなり少ないということで、父の父姓として使っているのが120人、母の父姓として使っているのが124人しかいない。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でも多いのはスペインである。Viciedo 姓の人はラテンアメリカなどにあまり拡散していないということになる。
 そうすると、キューバ人のビシエド選手はかなり貴重な存在である。
 Viciedo には何か意味があるかと思ったが、辞書にはこの語は見当たらない。viciado という語はあるが、「よどんだ、空気が濁った、改ざんされた」という意味で、まさかこの語に由来するとは思えない。
 “Historia Apellidos”で調べてみると、Viciedo は著名な姓であるとのこと。Viciedo 家は11世紀から14世紀にかけてフランスのカタルーニャ侵略から守ったというようなことが書かれていた。
  Viciedo 選手までで、だいたい2017年シーズンの主だったラテン系の選手に触れたと思う。
 おさらいとして、スペインにおける姓のランキングを記しておく。
 López 5位
 Ramírez 27位
 Guerrero 48位
Cruz 55位
 Caminero  3510位
 Anderson  4518位
 Viciedo  22528位
 Moinelo  28200位
 Despaigne 45788位  
 Bojórquez (クルーズ選手の母の父姓)68108位
 今後、López、Ramírez、Guerrero、Cruz 及び Anderson 以外で、上記と同姓の選手が現れることはそうそうあるまい。

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