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キリシタン用語(15) 「アンジョ」のお仕事

2017-09-22 21:33:47 | キリシタン用語
  「天使」を表す英語の angel はギリシア語のアンゲロス(αγγελος;angelos)に由来し、その原義は「伝令」「使いの者」であることは前回述べた。日本語では「天使」と訳されるのが一般的だが、「御使い」、「神使」、「神の使い」などの訳語もある。
 訳語が示すように天使の仕事は神の伝令として神のお告げを伝えることである。天使ガブリエルが聖母マリアに懐妊を伝えたことはその一例である。
 
 【エル・グレコ画、16世紀末、大原美術館収蔵。筆者は何度も実物を見ている。】
 しかしながら、天使の仕事は伝令だけではない。天使はラッパを吹き鳴らして、世界に災厄をもたらしたり、天で悪魔と戦ったり(黙示録12:7-9)している。また、最後の審判にも天使が関わるものと考えられている(ウィキペディア「天使」参照)。
 『天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡』に書かれていたかと思うが(手元にないので確認できない)、天体の運行も天使の仕事の一つだとか。このルーティン・ワークに嫌気がさして、光の大天使ルシフェルは神に反逆して、地獄の魔王になったのだろうか。確認したいのだが、高価な本なので、なかなか手が出ない。図書館に調べに行くしかない。
  
 それはともかく、ルシフェルに限らず、天使は容姿端麗のようであるが、美男美女というわけではない。天使に性別はないらしいが、流行歌の世界では美男美女にたとえられる。
 さて、天使は数多くいるので、天使の名前もまた多い。有名どころでは、ミカエル、ガブリエルがあるが、その他の天使の名前についてはウィキペディア「天使の一覧」に掲載されているので、ご覧いただきたい。
 ミカエルとガブリエルがキリスト教の二大天使とされているが、3人目はラファエルである。これにウリエルが加わって四大天使になっている(ウィキペディア「大天使」参照)。
 
 【大天使ミハイル(ミカエル)のイコン。悪魔を踏んでいる。(シモン・ウシャコフ、1676年、モスクワ・トレチャコフ美術館蔵)】
 
 【ラファエル】
 
 【ウリエルのモザイク】
 ミカエル、ガブリエル、ラファエルはヨーロッパでは男子名としてもよく使われている。
 四大天使の名前に共通するのは語末の「エル」(-el)である。四大天使以外の天使の名前にも「エル」(-el)で終わるものが多い。
 この「エル」(-el)とは何かというと、「神」である。四大天使の名前の意味についてはウィキペディア「ミカエル」、同「ガブリエル」、同「ラファエル」及び同「ウリエル」を参照されたい。
 イエスが十字架で息絶える前に言った言葉は“Eli, Eli, la'ma sabach-tha'ni?”で、英訳は“My God, my God, why hast thou forsaken me?”で、和訳は「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」。
 Eli は El の呼格だったかと思う。どこかで読んだ気がするが、確認できない。
 El をルーツとするヨーロッパ人の名前には、Elias, Elie, Eliot などがある。Eliot はフランス語名 Elie に縮小辞 -ot がついて生まれた姓とのこと(『ヨーロッパ人名語源事典』梅田修、大修館、2009、p.27)。
 
 日本人女性にも「エリ」さんがいるが、「エリ」さんは神様なので、「エリ」さんをかみさんにした人は「エリ」さんを大事にしないと、祟られそうである。

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