A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

夏コミ戦利品レビュー・東方編その19

2017-11-07 22:37:53 | 同人誌感想

 はいまだ終わってませんでした夏コミ戦利品レビュー。

・ケイヴァリットジャーニィ No more Silver Bullet-reloaded-(折葉坂三番地)
 さてこないだの紅楼夢でまたもや大量に新刊既刊を入手してしまったサークルさんの小説本、今回レビューするのは両方とも秘封倶楽部のお話です。
 まず前者、いきなりグランドキャニオンから月に踏み込むという展開で冒頭からぐいぐい物語に引っ張り込まれます。
 物語の端緒が「月の土地」ってあたりも実に秘封的。
 秘封倶楽部モノの作品の魅力のひとつは「現実世界と東方世界のクロスオーバー」だと思ってるんですが、そこで難しいのは両者のバランスだと思うんですよね。
 本作は現実世界の分量が多めですが、それがいかにも「得体の知れない怪異に襲われてる感」が出てて、特にヒロシゲ車内での追いかけっこなんかは読んでてハラハラしました。
 そして中盤から終盤の謎解きパートの構成も、蓮子の曽祖父の家に忍び込む辺りから冒頭に繋がる怒涛の展開は、構成的にも学ぶところの多い作品でした。
 終盤でかつての月の土地購入に関わったメンバーたちの軽妙な会話も好き。
 ヒロシゲで二人を追いかけてきた黒服の正体には思わずニヤリとさせられました。
 そして後者、こちらは何と言っても高度に電脳化され、ARシステムが当たり前になった京都の描写が圧巻の一言。
 こうした重厚な世界観を読者に見せようとすると、説明一辺倒になってしまったりするものですが、そうではなくそうなった世界やそこでの生活を描写しているので設定に十分な説得力を感じました。
 そして本作はナズーリンがゲスト参戦!
 というか本作は秘封に見せかけた濃厚なナズ星であるという疑いが関係各位から寄せられています。
 のんだくれナズかわいい。
 秘封二次創作ではしばしば旧作のキャラ、夢美やちゆりが二人の大学の関係者として登場しますが、本作でも二人は大活躍。
 この二人のおかげで本作のサイバーパンク度合いが一気に上昇!
 サイバーパンク大好きっ子としてはソッチ方面のリビドーは鼻血が出るほど満たされました。
 あと素晴らしいのは、ARが浸透した作中の世界観に合わせてか、紙面下方にシステムメッセージが。
 これで作中に一気に、そして一緒に作中に没入できました。
 しかしこの演出はそれだけでは終わりません。読んでてこれ絶対なにかここに仕込んでくるだろと思ってましたよ。
 終盤の謎の電脳テロでエラーコード吐きまくりからのラストのアレは、まさに「現代に現れた怪異」!
 既刊「世界最初の月面歩行者から親愛なる君へ」でも思いましたが、小説媒体でビジュアル面での演出を入れるってすごいことだと思います。
 かの名作「記憶屋ジョニィ」を彷彿とさせる演出でした。

 今日はここまで。

コメント
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