Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE1483. 一般化(Generalization)そして合わせ技

2017年10月16日 | diving

  やはり岩穴には生物がいた。画像ではわかりにくいが中央やや左上の岩穴から黒いおちょぼ口の魚がこちらの様子を見ている。岩穴というのは、魚の住処になることが多い。

 さて日本とアメリカの産業は方向性が真逆だという話をしよう。それを図で示せば簡単だが、まあ文章の記述で説明する方法にトライ。

 座標軸で考えれば縦軸のマイナス側に高機能、プラス側に統合化、さらに横軸のマイナス側に専門性、プラス側に一般性というラベルを付けておこう。なぜこのラベルをつけたか?。それは多変量解析を行ってよりよく説明できる指標を選ぶと、これらの2軸が抽出されるという経験値。

 まず日本製品、手前味噌な話になるが撮影機材でいえば、オリンパスのOM-D E-M1の問題点を克服してより高性能・高機能化したのがE-M1mark2なのだ。それは私も使用しているのでよくわかるのだが、モデルチェンジによって高機能・高性能な使い方ができるようになったので縦軸はマイナス側へ向かうベクトルだ。さらにより専門性の高い使い方ができるので横軸はより専門性の高いマイナス側に位置づけられる。これら2軸をまとめると。座標軸の中央から左下に向かうベクトルだ。

 さてIBMのFortranやMS DOSから進化したAppleのMachintoshは、それまで専門家あるいは勉強して専門家の知識を必要としたコンピュータが誰にでも使えるようになったのだから横軸は、左へのプラス側へ動いている。つまり一般化の方向である。さらにiPhonに至っては。それは通信手段はもとよりオーディオになり撮影機材になりGPSが付いているかマップや私たちの行動の指針になり、出版物の代わりになり、映画館の代わりになり、そのほかカレンダーやメモ帳などもあるからスーテーショナリーにもなる。だから縦軸はプラス側の統合化へプロットできる。これら2軸の傾向をまとめると座標の中央から左上へ向かうベクトルである。

 まとめるとJapanプロダクトは座標の中央から左下、Appleプロダクトは座標の中央から左上のベクトルをもっており、これらは真逆の方向である。

 例えば過去にiPhonより高度・高性能な機能を持ったSONYの携帯電話がガラケーとして片隅に追いやられた事実を思い出して欲しい。なぜ片隅に追いやられたか?、SONYは高い技術力に依存しすぎて常に座標軸をマイナス側つまり高機能・専門性の方向へシフトしてきたが、それはiPhonの一般化・総合化とは真逆なのであったからというのがその理由。

 さらに知見を進めれば、横軸は科学の軸であり、そのなかで一般化という概念は、科学をちゃんと勉強すればよくわかることだが、どんなに高度で専門性のある科学知識や技術も、やがては一般化という方向をめざし、最後は私たち一般人の世界のツールになるということを意味している。そうAppleは一般化をめざし、IBMやSONYは特殊解をめざしたのである。つまり開発方向が真逆だったというわけだ。

 そんな風に考えると、日本の技術開発は今でも座標軸のマイナス側を目指している。撮影機材だって、よりよく写すために高機能・高性能化しつつあるが、要はそんな高機能や高性能が私たちの身の回りで必要ですか?、という問いをたてることが重要なのである。iPhonの画像だって、これで十分だと思われる場面は多い(ただし水中は潜れないが)。

 この一般化というのが科学の重要概念なのである。それに反して専門性を高めることが先端技術開発だとしたら、当然科学に対する特殊な傾向でしかなく、その特殊な傾向づくりに日本は国をあげてやっている1枚岩ということになる。しかしこの10年で世界の軸は左下志向から右上志向へと大きく変化してきた。だから先端技術開発をしつつ、それをプロダクトとして一般化する努力が必要であり、アメリカはそうした合わせ技なのである。1枚岩と合わせ技、どっちが強いかは明白でしょ。

 日本や韓国のスマホをみていると、アプリの種類や数がやたらに多いのだけど、そんな応用技ばかりじゃ先が暗いですよ。応用技に専門性が加わり、より高性能・高機能なスマホが誕生しましたというのが日本や韓国のプロモーションでしょう。最近は、それをイメージ・プロモーションやお笑いで逃げているけど。そうしたプロモーションがアメリカとは方向違いだということを示唆しているようにも思われる。つまりiPhonを超えるスマホがいまだに登場しない理由もそのあたりにありそうだ。前述したように合わせ技なのだから高機能・高性能だけを求めているだけでは日本は勝てないのですね。

 「一般化」(Generalization)そして合わせ技、その概念が今の産業を読み解くキーワードなんですというのが本日の論旨。

 

沖縄県慶良間諸島久場島キャニオン

OLYMPUS E-M1,M.ZUIKO DG FISHEYE8 mm/F1.8

ISO200,露出補正-1,f/2,1/320

 

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