おじさん日記 ~Okinawa Self-Diving Log~

セルフダイビングのブログ。ログや写真や器材について好き勝手書いています。そのうちテクニカルダイビングもやってみたいな。

ファーストステージ故障でのエアーストップはありえるか

2016-09-19 17:46:44 | リスクマネジメント
レギュレーターの不具合には2種類あります。
1つは、フリーフロー。
もう1つは、エアーが止まって出てこなくなるもの。

オープンウォーター環境だったら仮にフリーフローしても呼吸しながらゆっくり浮上してくることができますが、どんな環境でも突然空気が止まったら困る。特に息を吐き切った状態で突然空気が来なくなったら、無事に水面に浮上する自信はない。そんな状態にならないように、基本的にはレギュレーターは故障したらフリーフローするように作られています。この、万が一故障しても最悪の状態を避ける仕組みをフェイルセーフといいます。

では、突然のエアーストップはありえるのか。

まずはセカンドステージの故障によるもの。消耗品の劣化では空気は止まらないけれど、部品の破損により空気が突然止まる場所が意外と多い。
・レバーが折れる、外れる
・スプリングが折れる、外れる
・ダイアフラムが破れる、外れる
・マウスピースが外れる
など。可能性は低いとはいえ、以上の部品の破損で突然のエアーストップはありうるので、自分を守るためにもオクトパスは必要だと思う。どれも結構薄い素材で作られており、破損の可能性はありうる。

ただ、セカンドステージが原因でのエアーストップであれば、オクトパスにくわえなおせば呼吸を続けられる。

では、ファーストステージが原因でのエアーストップはありうるか。もしファーストステージで空気が止まったらオクトパスにくわえ直しても空気は吸えなく、とても困った状況になる。

一応、ファーストステージのエアーストップもありうるということになっていて、TDIにしろPADIにしろソロダイビングを教えるプログラムではオープンウォーター環境であっても独立した呼吸源(ポニーボトルorマニフォールドダブルタンク)を持つように指導されている。そして、オープンウォーター講習では予備の呼吸限のバディから決して離れないように言われる。

結論としては、ファーストステージ故障によるのエアーストップの可能性って限りなくゼロに近いのです。セカンドステージと違って、エアーストップになりうる部品は限られている。

1.メインスプリングの破損

高圧シートを開く方向に力をかけているのがこのメインスプリング。コイツが折れるようなことがあればエアーストップする。でもこのメインスプリング、他のスプリングとは桁違いにとても太くて頑丈に作られている。仮に錆びたとしても、まず折れはしない。ピストンタイプのファーストステージではこの部分が海水に触れるけれど、ダイアフラムタイプでは水に触れることすらない。定期的にメンテナンスしているのであれば、このスプリングが破損する可能性を考えるのは現実的ではない。海水に浸された状態で数年間放置するなどの極端に劣悪な環境なら話は別ですが。

2.ピストンの固着

どのメカニズムのファーストステージでも、高圧シートがある部分がピストン運動をして行ったり来たりすることによって空気の出し入れを調節している。この高圧シートが、完全に閉じた状態で固着してしまったら空気が止まる。錆びたまま長年放置してしまった時に起こりうるトラブルで、固着していたら陸上でチェックした時から全く吸えない。

でも、途中まで吸えていたのに水中で突然止まることはありえない。固着の場合、少しでも隙間が空いていたらフリーフローという症状として出てきて、エアーストップになるのはぴったり閉じたところで止まってしまった時だけ。最初から固着して動かないならまだしも、ピストン運動している高圧シートが突然止まるなんていうこと自体考えにくいし、しかもそれがぴったり閉じる場所で止まるなんて、宝くじで1等が当たるより低い確率だと思う。隕石が頭に当たって死ぬくらいの確率?

オーバーホール屋さんや器材屋さんは「可能性はゼロではないのだから…」と言いますが、そんな可能性を恐れていたらダイビングなんてできない。そんな可能性よりも、ダイビングに行く途中に交通事故で死ぬ確率の方が高いのだから。

3.ヨーク部分の破損

タンクバルブを固定している部分。とても頑丈に作られています。ここの部分は、万が一破損してちぎれたら200気圧のエネルギーを持った部品が後頭部に飛んでくることになってエアーストップどころではない危険なことになるので、そんなことがないようにとても頑丈に作られています。

あとは、タンクのOリングがちぎれたり(エア漏れはするが完全に吸えなくはならない)、単なる確認不足のエア切れで残圧がゼロになったり(完全に吸えなくなるまで吸気抵抗は高いながら何回か呼吸できる)といったものが可能性としてはあります。

ということで、エア切れは論外として、器材が原因となるファーストステージのエアーストップは現実的ではないのです。ファーストステージのエアーストップさえなければ、水中で万が一レギュレーターが故障しても、数回呼吸をして浮上することができます


そうそう、話は変わりますが、普通のシングルタンクでもファーストステージでのエアストップの可能性をさらに低くする面白いレギュレーターが日本のメーカー、ダイブウェイズから発売されています。
http://www.diveways.jp/products/regulator/fsr117d4af.htm
なんとファーストステージが2つ付いていて、万が一どちらかが止まってももう片方から空気が来るので呼吸が続けられるというもの。一見良さそうな商品ですが、自分としては使う気になれません。

なぜなら、ファーストステージが2つになることによりファーストステージの不具合によるフリーフローの可能性が2倍に増えるから。2つあるうちどちらかが故障したらもうダメでオーバーホールが必要。フリーフローの可能性が2倍になっても、エアーストップの可能性が低くなるのであればそれでOKといった割り切りがされている器材です。コンセプトは良いのだけれどね。エアーストップは死に繋がりますから。でも、もともと限りなくゼロに近いエアーストップの対策をするためによくある不具合のフリーフローの可能性が2倍になるのは、どうも自分には受け入れられない。消耗品も2倍になりますし。

部品の精度が高くてめったなことでフリーフローしないような製品であれば良いかもしれませんが、所詮は工業製品ですし内部の部品も消耗品ですからね。実際に使ったユーザーが1年に1回のオーバーホールでトラブルなく使えているのであればこの器材は少ないながらニーズがあると思います。1年以内にフリーフローすることを繰り返すようであれば使い物にならない。この辺は実際に使ってみないと分かりません。自分は買うことはありませんが、面白い着眼点の器材なので気になっています。実際に使っている人いたら感想を聞かせてください^^
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2 コメント

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ファーストステージ故障 (ぽんた)
2017-09-19 12:08:35
ファーストステージ故障は、怖いです。特に、エアーが止まった場合は、最悪ですよね。そうならないように、日々精進してフリーダイビングに磨きをかけています。
自分の身は、自分で守る。バディシステムの基本ですが、ダイビングしている限り何が起こるかわからないですから。
ファーストステージ (snowman)
2017-09-22 22:31:16
ぽんたさん、コメントありがとうございます。水中にはとても怖いリスクがありますよね。めったに起こらないこととはいえ、それが起こるものとして対策しておく心構えが大切なんだと思っています。実はフリーダイビングってやったことがないのですが、フリーダイビングはダイビングでのトラブルに役立ちそうですか?

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