おじさん日記 ~Okinawa Self-Diving Log~

セルフダイビングのブログ。ログや写真や器材について好き勝手書いています。そのうちテクニカルダイビングもやってみたいな。

単独潜水のリスク(器材面)

2016-09-18 17:28:22 | リスクマネジメント
ここでは、単独潜水と器材について。器材トラブルで命にすぐ関わるのが、レギュレーター。そして、器材の中で万が一の時に予備をバディに求めるのもレギュレーター。

もちろんバディには、BCが機能しない時に引っ張っていってもらったり、ダイコンが壊れたときにバディのものを参考にしたりといった他の予備の機能もあります。ただこの辺は正直何とかなるので、ここではレギュレーターについて扱います。もちろん、ポニーボトルのような予備の呼吸源があれば安心ですが、ここではそれがないとどうなるかについて考えてみます。

単独潜水で予備の空気源がない時でも、レギュレーターに異常があったら毎分18m以内のスピードでゆっくり浮上すれば良い。問題は、それができない場合が出てくるかどうか。そういった可能性があればやっぱり単独潜水は危険と言わざるをえない。

まず確実に無理なのは、オープンウォーター環境(すぐ水面に浮上できる環境)でない時。具体的には、洞窟など頭上が妨げられている環境や、DECOを出した状態など。この状況だと安全な浮上は不可能です。単独潜水で予備の空気源がないにも関わらずこういった環境に行くのはさすがにリスクが高い。

ちなみにこれはバディ潜水でも同様。なのでご存知の通り、バディ潜水であってもレジャーダイビングではオープンウォーター環境でしか潜ってはいけないということになっています。普段の潜水でのバディの存在価値と、DECOが出ている時やそのまま浮上できない環境にいる時のバディの存在価値は全然違います。普段の潜水の時はちょっとバディが見当たらなくなってもそこまで焦らないけれど、DECOが出ている時は何が何でもすぐに到達できる範囲にバディがいてくれなくては困る。何かトラブルがあった時に自力で安全に水面に浮上することができないのだから。

オープンウォーター環境であれば、仮にセカンドステージがフリーフローしたとしても、エアがゼロになるまでに何度か呼吸をすることはできるので、バディがいなくてもゆっくり浮上することは可能。フリーフローしていない方のセカンドステージで呼吸しながら浮上するのが一番簡単ですが、ファーストステージの異常で両方のセカンドステージからフリーフローしている時でも、空気をすすりながら浮上すれば良い。

ただ、確実にこれができる技術が必要だし、突然こういった状況になっても落ち着いて対処できる精神力も必要。全員ができるとは思っていません。フリーフローしているレギュレーターから空気をすするのは、水中でいつでも練習できるので暇な時にやっておくと良いと思います。

また、フリーフローしている状態では安全停止をして浮上する余裕はありません。減圧停止と違って安全停止は仮に行わなかったとしても被害があるものではないので、緊急時に安全停止をしないのは仕方のないこと。ロストして水面に上がる時も安全停止はしませんよね。

オープンウォーター環境での予備呼吸源なし単独潜水(すぐ近くにバディがいないバディ潜水も含む)で、安全に浮上できない可能性が高いのは以下の2つの場合。
1.エアーストップ
2.中圧ホースの破裂


これらについて1つずつ考えていきます。

【1.エアーストップ】
仮にオープンウォーター環境でも突然空気が止まったら困る。特に息を吐き切った状態で突然空気が来なくなったら、無事に水面に浮上する自信はない。そんな状態にならないように、基本的にはレギュレーターは故障したらフローするように作られています。これをフェイルセーフといいます。

では、突然のエアーストップはありえるのか。

まずはセカンドステージの故障によるもの。消耗品の劣化では空気は止まらないけれど、部品の破損により空気が突然止まる場所が意外と多い。
・レバーが折れる、外れる
・スプリングが折れる、外れる
・ダイアフラムが破れる、外れる
・マウスピースが外れる
など。可能性は低いとはいえ、以上の部品が破損すると突然エアーストップする。どれも結構薄い素材で作られており、破損の可能性はありうる。

でもセカンドステージが原因でのエアーストップであれば、オクトパスにくわえなおせば呼吸を続けられる。ということで、他の人のエア切れ用だけでなく、セカンドステージが原因でのエアーストップに備えて、やはりオクトパスは必要だと思う。

では、ファーストステージが原因でのエアーストップはありうるか。もしファーストステージで空気が止まったらオクトパスにくわえ直しても空気は吸うことはできなく、とても困った状況になる。

これについては長くなるので以下のURL先の記事で扱っています↓
http://blog.goo.ne.jp/diving-snowman/e/77511240072d7cb12b420c1744e96ffd
詳細は上記リンク先の記事を見ていただきたいのですが、自分の中での結論は、「まずありえないので心配しなくてOK」です。


【2.中圧ホースの破裂】
セカンドステージがフリーフローするくらいだったらゆっくりと浮上すれば良いけれど、中圧ホースが破裂するともの凄い勢いで空気がなくなる。フリーフローの比ではない。

どんな時に中圧ホースが破裂する可能性があるか、その時にどのくらいのスピードで空気がなくなるか、自分だったら中圧ホース破裂の危険性に対しどのように対策するか、についてはこれもまた長くなるので別の記事として書いています↓
http://blog.goo.ne.jp/diving-snowman/e/fde6ca48ca2bde3045a83a7fb76fd1b6

以上、危ない2つのケースについて詳細の詳細は先送りしますが、それぞれ後日の記事を見ていただくとして、結論としては単独潜水であってもオープンウォーター環境であれば、レギュレーターに万が一のことがあっても水面に上がってこれると考えています。

もちろん、繰り返しになりますがこれは仮にレギュレーターがフリーフローしても落ち着いて水面までゆっくり浮上できる技術があることを前提としており、全ての人に当てはまるとは思っていません。

また、この段階では水面に上がってきただけで、エキジットしていません。フリーフローが続いていれば水面で残圧はゼロになる。シュノーケルだけでエキジットすることになり、荒れた海でエキジットが大変なときはこれでは危険。波に巻き込まれたら溺れるかも。水面でのトラブルは危険です。こんな時は仮にバディがいたとしてもロングホースがない限りバディのオクトパスを使いながらのエキジットは難しい。この点では自分自身で予備の呼吸源を持って潜るのが一番安全だと思います。

結論としてはよく見かける予備の呼吸源なし単独潜水でも、
・オープンウォーター環境
・トラブルの時に落ち着いて適切なスキルでゆっくり浮上できる
・海況が落ち着いていてエキジットも簡単
という条件が全て揃えば器材トラブルによるリスクは上がらないと思います。


でもやっぱり自分の場合は単独潜水をする時にはポニーボトルを付けて潜ることにしています。海況が変わることなんてよくあることですし、トラブルが重なった時にも予備の呼吸源があれば安心して対処できる。万が一のトラブルの際にも、エアさえあれば時間的余裕ができます。その時間的余裕が、精神的余裕を生み、より落ち着いて対処することができる。もちろん指導団体の教えでもソロダイビングでは予備の呼吸源を持つように指導されています。

ご存知の通り指導団体はレクレーショナルダイビングではオープンウォーター環境でなおかつバディという予備の呼吸源を持って潜るように指導してますし、SDIやPADIのソロダイビングコースでもオープンウォーター環境でなおかつポニーボトルやダブルタンクなどの予備の呼吸源を持って潜るように指導されているので、基本的な考えは一緒です。ソロダイビングで変わるのは、予備の呼吸源がバディからポニーボトルやダブルタンクといったものに変わるだけ。

【追記】Hバルブの記載が抜けているよと、尊敬するベテランダイバーNさんからご指摘いただきました。Hバルブはとても便利です。シングルタンクの出口を2つにするバルブ。なので、シングルタンクなのに2つのレギュレーターを付けることができて、どちらかのレギュレーターが故障してももう1つのレギュレーターで呼吸できるという仕組み。また、シングルタンクだけで予備も兼ねることができるため、ダブルタンクやポニーボトルといった追加のタンクが必要にならず、重さの面でも取り回しの面でもメリットがある
そんな便利なHバルブですが、1つ大きな問題が。国内で堂々と充填してもらうのに必要なKHKの刻印がされているHバルブがないのです。少なくとも僕は知りません。もしあれば、マイタンクのバルブをHバルブに変えて潜りたいです。(2016年10月9日 追記終わり)


ホーシューでインディペンデント・ダブルタンクを使って単独潜水をしている方もいました。これもとても良いやり方ですね。水中バランスも良いし。自分も今のBCでなくテクニカルダイビング用のハーネスを使っていたらこのやり方にしたと思います。普通のマニホールドダブルタンクと違って、シングルタンクはすぐに手に入るし、片方を空気、片方をナイトロックスにして深度によって吸うガスを変えることもできる(間違えのリスクがあるので勧められるものではありませんが)。

ちなみに、SDIなどの指導団体によるソロダイビングコースでは、予備の独立した呼吸源に加え、予備の浮力(ドライスーツやダブルブラダーのBCやリフトバック)や予備のダイブコンピューター、予備の切断器具、予備のマスクまで推奨されています。

Redundancy リダンダンシー、直訳すると冗長とか余剰とか訳わからん日本語になりますが、テクニカルダイビングではカタカナ読みでリダンダンシーと言っています。馴染みのない言葉ですが、要はバックアップ。生命に関わる重要な器材全てにおいて予備を用意します。

自分としては、単独潜水の時はポニーボトルに加え、深度計とタイマーの予備のためダイコンを2つ付けて潜りますが、予備の浮力源とマスクは持ちません。予備を持つほど荷物が多くなり重くなる。ビーチエントリーなので仮にBC壊れても壁つかみながら浮上してくればいいし、マスクがなくてもゆっくり浮上するだけならできるので。切断器具は単独潜水であろうがなかろうが一応持って入っています。自分にとって一番怖いのが釣り糸。沖縄のダイビングポイントには釣り人がよくいる。釣り針に気づかずに引っ掛かって、しかも釣り人に本気で釣り上げられたら、急浮上して動脈ガス塞栓になってオシマイです。糸をすぐに切るしかない。

指導団体や偉い人がよく言う、「危ないからダメ」って上から目線で言うだけなのはあまり好きではありません。リスクがあるといっても、その向こうにリスクを背負ってでも行きたい世界が広がっているからこそ進もうと思うわけなので。リスク自体を知らずに安全でない領域に進むのはちょっと考えものですが、リスクを評価できてそのリスクを許容できるのであれば、リスク覚悟で進めばいい。リスクに対する考え方は人それぞれなので、自分の価値観で他人の潜り方を否定するようなことはしたくない。経験を積めば積むほど、ダイビングで重視するものが変わってくるのは当たり前のこと。もちろん、グループで潜る時は他の人に迷惑をかけないようにルールを守る責任はあると思います。

器材の面での結論としては、単独潜水はバディ潜水よりも危険な面がある。危険な面に関しては、予備器材として装備を増やすことによりリスクを減らしてバディ潜水よりもむしろ安全に潜ることが可能。自分の場合はポニーボトルを持って潜りますが、予備の呼吸源を持つにしろ持たないにしろ、単独潜水のリスクよりもそれによって得られる利益の方が大きいのであれば、堂々と単独潜水をすればよいというのが自分の考えです。

器材以外のリスクについては別の記事で扱っています↓
http://blog.goo.ne.jp/diving-snowman/e/010d9fd4f7d5ac82d4e350d8df4c9131
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興味深く拝見してます。 (とんにぃ)
2016-09-19 03:55:55
はじめまして、
ダイビング歴18年 1200本ほどのレジャーダイバーです。
単独潜水も300本ほどしています。
以前にあったダイバーの有名なサイトで、自分も単独潜水を肯定する投稿したら、2対8ぐらいで否定派が多かったです(苦笑)。
ところで、自分の結論から言えば、いくら安全策を講じても危険度は単独>バディだと思っています。
バディは機材のバックアップ替わりでだけではないと思います。 撮影に夢中で姿勢を変えたらウツボにかまれた、ふと見上げたら、ミノカサゴに刺されたってことも起こりうる。 その時、バディが居れば、手助けや通報できる。 何も絶えず、バディを意識しても潜るのでは、なくても、見える範囲やホーンの聞こえる範囲にいればいいのではないでしょか。 それで十分バディの役割りは、こなしていると思ってます。

それ以上に、エントリー、エクジットの時です。
例えば、ホーシューのエントリー前の岩場で、転倒して動けなくなったり、意識を失ったら、たとえ初心者のバディでも通報してくれるでしょう。

自分も単独潜水の楽しさも知っていますので、今後もやりますが(笑)単独潜水の方が策を講じれば危険度は少ないと言う視点は、疑問です。

危険な単独潜水をバディ潜水レベルに近づけるために単独の時は、誰もいないポイントに行かない、深場に行かない、残圧は多めに残す等、自分は控えめなダイビングをしています。

感謝 (snowman)
2016-09-19 17:45:10
とんにぃ様、コメントありがとうございます。

以前もそういった議論があったのですね。様々な意見があるかと思いますし、完全にどちらかの意見に落ち着くということにはならないと思いますが、今もその掲示板が残っていれば是非とも拝見したいところです。

おっしゃる通りバディの役割についても、何かあったときに気づける範囲であれば少し離れても十分機能すると思います。いわゆる理想的なバディ潜水でなくても、バディの果たす役割は大きいですよね。

単独潜水の話題になると予備器材のことが中心になることが多いですが、実際は人間のミスや病気や怪我によるトラブルの方が多く、なおかつ死に至る可能性が高いと思っています。それに関しては「単独潜水のリスク(器材以外の面)」というタイトルで扱う予定です。内容は一応完成しているのですが、その前に投稿する予定の記事が2つあるため、器材以外の面については21日に投稿します。

今回は器材についてのみしか扱っていないにも関わらず、「予備器材を持った単独潜水の方が安全」と全てをひっくるめた上での結論のように書いてしまったことは説明不足で不正確でした。単独潜水の方が安全かのようなメッセージになってしまっていますね。「器材の面での結論としては」と訂正いたしました。

本来は「リスクを許容すれば単独潜水もありじゃないか」くらいが適切な表現かと思いますが、ご指摘をいただいたにも関わらず実はまだ私は安全性についても単独潜水に傾いており、その理由については21日の器材以外の記事で触れていきます。当然、単にバディ潜水・単独潜水それぞれに有利な点・不利な点があるためそれぞれをどう判断するかで変わってきますし、そもそも潜り方にもよるため、一般的な話ではありませんし、他の方に単独潜水を勧めるわけでもありません。

今回、コメントいただいたことに感謝しております。私は素人にも関わらずこのブログで随分偉そうな(?)持論を好き勝手書いていますが、その1つの理由として、自分とは違った意見をいただけることがあります。いくら時間をかけて考えても、所詮自分の知識や経験の中に過ぎません。別の視点からコメントいただけるのはとても嬉しいです。

今回もエントリー前やエキジット後のことについては考えていませんでした。水中だとレスキューによってバディにも危険が及ぶ可能性がありますが、少なくとも陸上では間違いなくバディの恩恵の方が大きいですね。

今後も何か思うところがあれば気軽にコメントいただけると幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

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