狐・狸・祭

フラメンコの故郷よりマイペースに発信、カンタオーラ小里彩のブログです

Familia Mijitas

2016年07月30日 11時27分17秒 | 日記
7月最後のviernes flamencoは、プラスエラ地区のカンタオール「アルフォンソ・カルピオ・ミヒータ父」を中心に、長男の「アルフォンソ・カルピオ・ミヒータ」次男の「ホセ・ミヒータ」の歌をドミンゴ・ルビチのギターとアリ・デ・ラ・トタ、ホセ・ペーニャのパルマで堪能できるとても良い企画だった。

MIJITAとはスペイン語で「何かのちいさなかけら」の意(例:mijita de panは「パンくず」)。ミヒータ父は伝説的な歌い手「Tio Chalao」の孫にあたり、父親は「Tio Belenjeno」というファンダンゴ・ソレアの名手だったそう。アグヘータ一族、ルビチ一族は彼らカルピオ一族と親族で、ギターのドミンゴ・ルビチはミヒータ父の甥。そのようなわけでプラスエラ地区のカンテヒターノの重要な系譜の流れを汲む家族なのですが、「清流は必ず良い源泉から生まれる」とはよく言ったもの!

観客の入は少なかったものの、本当によいフラメンコを聞きたい!という気合の入った聴衆が熱い雰囲気で迎える中、3人の格調高いマルティネーテで舞台は幕を開けた。
続いてミヒータ父が残り、ソレア、ファンダンゴ、ブレリアを短く歌い上げた。年季の入ったしゃがれて分厚い歌声とコンパスに惜しみないハレオがかかる。

続いて、次男のホセ・ミヒータが壇上へ。入魂のシギリージャとブレリアの他にも数週間前にバルセロナで2作目のCDの発売記念コンサートを行ったばかりということで、新作のバンベーラとタンゴも披露してくれ、新しい分野に責めの姿勢で挑む姿に頼もしさを感じました。若い歌い手でこれだけレトラに気持ちを乗せて歌うことに優れた人がほかにいるだろうかと思うほど、彼のカンテは聴く人の心にストレートに響く。レトラが、歌いまわしがシンプルに正統派であればあるほど彼の持ち味が生きるように思います。

休憩を挟み、2部は長男アルフォンソのブレリアから。音楽が鳴り響いてから舞台に上がり、立ってパフォーマンスをする。見せ方がとても上手い。勝負の出方が兄弟でこうも違うのかと感心させられ、とても面白かった。その後、圧巻のシギリージャ、ソレア、ファンダンゴ。時に太く、時にコロコロと喉をうまく使った歌いまわし方、選曲のセンス・・・マノロ・カラコールの影響を受けているのはすべての曲を通して感じさせられました。スタイルの全く異なる2人ではありますが、共通しているのは逸脱したセンスの良さ。違う方向へ枝葉が向いていたとしても太い根に各々のアルテが支えられているのがはっきりと感じられます。

その後、ファミリアとよく舞台を共にしているヘレス出身のバイラオーラ、カルメン・エレーラのアレグリアスのパフォーマンスがあり、続くフィンデフィエスタでは孫らしき子供たちがゾロゾロと10人くらい参戦、踊ったり歌ったり。。。。いやあ~カワイイのなんの!!!(*^_^*)

家族のアルテを一同に楽しめる今日のような企画、是非ともこれからもどんどん実現して欲しいものです。やはりフラメンコは舞台ではなく家族で、地域で育てるもの・・・・。それがあとから今日のような日に偶然舞台に上がるのであり、舞台に載せるために作られたものではないのだと改めてフラメンコファンである私たちにそのアルテをもって知らしめさせてくれた、ファミリア・ミヒータ。小さな「巨人たち」への盛大な拍手はなかなかなり止むことなく、ステージはようやく午前1時に終了したのでした。




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