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濤声(ARCHEの6曲目)の感想・レビュー

2016-11-25 23:08:42 | DIR EN GRE...
テーマは『殺人』、全身を波打つように鼓動する『罪悪感』。

私は人を殺したことがないのでアレなんですけれど、殺人というのは実際にはそれほど衝動的なものではないと思う。
あまりにも一瞬にして人生の光を失うものだから、殺人は衝動的な過ちだと誤解されるが、事前にゆっくり考え直す時間があれば防げたことなのかと言われれば、そいういうわけでもなさそうだ。
刑法はその動機や計画性、責任能力から計測される悪意を天秤にかけて罪の重さを決定するが、それは社会的制裁や遺族感情を考慮するためであり、人殺しの気持ちを汲み取ろうというわけではない。人殺し達は単に『殺害』という結果のみに憑りつかれて行動しただけで、刑罰の重さに影響するようなプロセスなど本来は持ち合わせていないのだ。
つまるところ、殺人というのは怒りや憎しみによる衝動ではなく、『諦め』がもたらす結果なのである。
『この人が同じ空の下、どこかで生きている限り、私は絶対に幸せになれない』、『自分が築き上げたものをすべて捨ててでも、この人の人生を台無しにしてやりたい』という、人生に対する『諦め』こそが殺意の正体だ。
諦めた人間に選択肢などないから、殺すしかないのである。
計画的な殺人トリックで芸術点を稼ごうが、悲劇的な動機で傍聴席の涙を誘おうが、罪状は変わらない。

殺意に憑りつかれた『私』はまるで聴覚を失ったかのように、誰の声も聞こえないほど無我夢中に人を殺めた。
生暖かい鮮血が肌を伝う感触を思い出し、殺人という作業を終えたことを実感する。
実感とともに『私』は少しずつ聴覚を取り戻しながら殺意から解放され、ずっと耳に入ってこなかった、聞こえないフリをしていた声をぼんやりと反芻する。
自分のしたことに後悔などないが、自分の人生を投げ打ったことへの罪悪感が波打つように押し寄せ、いつかの自分を大切にしてくれた人のことが思い出される。
もう自分の人生などない。それでも呼吸が続くことに、『私』は穏やかに絶望するのである。

『ARCHE』は全曲新曲のベストアルバムみたいなもので、キラーチューン満載の名盤なのだが、この曲は取りわけ完成度が高い。
特にShinyaさんのドラムロールが曲のコンセプトとマッチしていて名演である。
サビでの京の絶唱は鳥肌が止まらぬほどに美しい。
コンパクトな曲構成から世界観を拡大映写するように表現するのが『ARCHE』の楽曲陣の特徴なのだが、この曲の音の拡がりは特に素晴らしい。
圧し潰すように音を敷き詰めて圧倒し続けた『DUM SPIRO SPERO』とのベクトルの違いは明確である。

ありがとうございました。
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